コロンビア戦の敗因とこれからの日本代表

2014年7月1日

実力は出しきった。日本代表、完敗。

Number(ナンバー)コロンビア戦速報&ベスト16速報

最後の最後にようやく力を発揮。それだけに悔やまれる初戦。

この試合でザッケローニが選んだスターティングイレブンは以下のとおり。GK川島永嗣。DFは右から内田篤人、吉田麻也、今野泰幸、長友佑都。中盤は守備 的な位置に長谷部誠と青山敏弘、右に岡崎慎司、左に香川真司、トップ下に本田圭佑。そしてワントップに大久保嘉人。前回のギリシャ戦から香川がスタメンに 復帰。そして、これまでボランチの主軸だった山口蛍に代わって青山が今大会初出場となった。大久保はスタートからワントップでの起用。「より攻撃的に」と いう指揮官のメッセージがひしひしと伝わってくる布陣である。

引用元:(cache) 「ドルトムントの夜」を思い出した敗戦(宇都宮徹壱)

 

 大会前から何度も言っていた「攻撃的なサッカー」が、コロンビア戦でようやく出ました。結果は完敗でしたが、日本は良いサッカーをしたと思います。少なくとも、見ていてフラストレーションの溜まる試合ではなかったです。ただ、やはり思うのは、「このサッカーを1試合目にできていれば……」ということです。コートジボワール戦での結果も、そしてグループリーグでの順位も変わっていたでしょう。

 

 

【敗因は明らかにメンタル】

 では、今大会での敗因は何でしょうか? それは明らかにメンタル面でしょう。大きな大会では力を発揮できずに敗退するチームは多いですが、日本の場合はそれを自ら招いたところがあります。初戦で先取点を取ったあとに消極的に、守りに入ったこと。大会前にあれだけ「攻める」と言っていたのに、試合が始まるとコロッと変わってしまい、伝統とも言える「日本の消極性」が出てしまいました。

 結果を出す以前に実力を出せない。実力を出すどころか、最初に考えていた戦い方を変えてしまう。これはワールドカップでの緊張、ピッチや選手のコンディション、その他もろもろの要素を考える以前の問題です。そういう意味で、メンタルが大きな敗因だったと思います。

 

 ただ、実力を出し切ったからと言って、結果が必ずしも良くなるわけではありません。コートジボワール戦やギリシャ戦で「攻撃的なサッカー」をしたものの、大敗した可能性もあるわけです。しかし、もしそうならば、敗因は「戦略」、「チーム育成・方針」となります。結果はダメでも原因がはっきりわかるので、これからの4年間の計画も立てやすいです。

 たらればを言ってもしょうがないですが、もし攻撃的なサッカーを初戦からしていれば、コロンビア戦の前に2連勝していた可能性は高いです。コロンビア戦は相手が2軍スタートで、なおかつ日本は力を出しきった「完敗」ですのでしょうがありません。ただ、最初の2試合は互いの実力が均衡しており、戦い方次第で勝利できる可能性は高かったです。

 

 

【ゲームコントロール能力の不足】

 メンタルという言い方は抽象的ですので、サッカーの戦術における「メンタル」として考えていくと、「ゲームコントロール」があります。コロンビア戦直後に大久保選手と中田英寿さんが言っていましたが、日本はゲームコントロールがまだ未熟です。これは簡単に言うと、「要所を抑えて、抜く所は抜く」という戦い方です。ゲームコントロール不足が目立ったのは、コートジボワール戦とコロンビア戦です。どちらも「追加点が取れない」「短時間での連続失点」がありました。これは、攻めるべきところで攻められない、守るべきところで守れないということです。

 これは試合をする上での「メリハリ」とも言えます。メリハリがあれば、相手の油断を誘うことができますし、体力を効率よく使うことができます。しかし、日本は「全力プレー」と「相手に合わせた戦い方」しかできていないように感じます。1,3試合目で共通しているのは、前半から良くも悪くも全力プレーをして接戦に持ち込む。その後、疲れが出始める後半なかば以降に、相手がポイントゲッターを投入。日本は一人の選手にかき回されて連続失点という流れです。

 

 

【深いところで考えを共有できていなかった?】

 メンタル面については、個々の選手で高い能力を持った人はいても、チーム全体でそれができていないと思います。メンタル面の強さが目立ち、ゲームの流れを変えようとしていた選手は何人もいました。初戦で固くなっているところ、個の力で先取点をとった本田選手。積極的な攻撃参加をしていた内田選手。リスクを犯して攻撃参加をしていた吉田選手。前線で何度も声を出し、見方に上がるように促していた大久保選手。また、内田選手や吉田選手など最終ラインの選手は、要所で攻め上がり、試合にメリハリをつけようとしていました。

 こんなにたくさんの「強いメンタル」を持った選手がいるのに、チームとして戦い方を統一できていない。考えを共有できていない。それがゲームコントロール不足の原因ではないでしょうか?

 

 

 

ザックと大久保選手のコメントに見る日本の敗因

(ザッケローニ監督のコメント)

  • 「コンフェデレーションズ(コンフェデ杯)、W杯では間違ったアプローチを取ってしまった。戦術面ではなく、精神面を変えるべきだった」
  • 解決すべき課題が、1戦目、2戦目にあり、その課題に関しては3戦目に応えたつもり。チームは先に進む可能性があったので全力を尽くしたが、グループCで最強のチーム(コロンビア)に対して、応えるのはうまくいかなかった。
  • (失点の多かった守備について)
    プレーヤー間の距離があり、守備以上の問題があった。距離があることによって、MFが問題を抱えることになる。チームとしては、一緒に攻撃し、一緒に守るというコンセプトがあった。

引用元:(cache) ザック「間違ったアプローチだった」1/2,(cache) ザック「間違ったアプローチだった」2/2

 

 監督の分析はしっかりしていると思います。チームの、そして日本人の弱点を知った上で、それを克服する手はこの数年で打ってきたのでしょう。しかし、想像以上に欠点が目立ってしまったのが、今大会だったと思います。

 コンフェデや親善試合で日本の悪さが出ることはありましたが、その後の試合で積極的な戦い方をし、弱点は克服されつつあると感じていました。しかし、最も大切なWCで逆戻り。結局問題は解決できていなかったのです。

 

 

(大久保選手のコメント等)

  • サイドで起点を作りながら、最後は中で崩していくのが日本の目指す攻撃だったはずだが、この大会では起点がサイドでも中でも、結局はサイドからのクロスが頼みになってしまっている。
  • 「ペナルティエリアの中で崩せていない。そこまで来てサイドに行ってしまうから。相手がでかいのに、そんなので勝てる訳ない。そこからワンツーがあってもいいのかなとすごく感じました」
  • 「(コロンビアは)中に入っていって、そこから前に出てきますからね。中、中に来たらこっちも怖いし、実際それでやられていますから。今大会はそこに尽きると思います」

引用元:(cache) 【W杯】大久保が日本の攻め方に苦言。「中を崩せずサイドに行ってしまう。相手はでかい、勝てる訳ない」 (フットボールチャンネル)

 

 大久保選手はフォワードらしいコメントをしています。彼は今大会で最も多くチャンスに絡んだ選手と言っていいでしょう。果敢に中へ切り込んでいく場面も多かったです。その一方で、他の選手に攻撃に絡むよう、声を上げていた場面も目立ちました。

 彼のような選手がもう一人いれば、結果は変わっていたかもしれません。3戦目は香川選手がようやく積極性を取り戻し、自分で切り込んでいく場面も見られました。3戦目はその甲斐もあって、エリア内、あるいはエリア付近でワンツーをする場面、ドリブルで攻め込む場面が多くなっていました。

 

 

 まだまだ書きたいことはありますが、最後に、今後の日本代表について。個人的には、ザッケローニ監督にはあと4年続けて欲しいと思っています。ここまで攻撃的なサッカーをする日本代表は、これまでで初めてでした。また、はっきりとした方向性を示して形にしつつあったのは、これまでの監督でも限られています。あくまで結果にこだわり続けた岡田監督、そして大胆な攻撃サッカーを標榜したザッケローニ監督の2人です。
 そもそも岡田監督も、2010年のWCでは攻撃サッカーを目指していました。しかし、直前になってスタメンを入れ替え、守備的なサッカーをしてベスト16。一方ザッケローニ監督は、守備的サッカーに限界を感じ、さらに上を目指すために攻撃的なサッカーを目標にチームを育成してきました。
 残念ながらザッケローニ監督は辞意を表明したそうです。しかし、サッカー協会には全力で引き止めて欲しかったものです。これまでに、これほど得点力のある日本代表はあったでしょうか? ファンも、ずっとこのようなサッカーを求めていたはずです。そして、日本代表はまだ独自のスタイルを持っていない国です。さらに4年、攻撃サッカーを追求していった日本の姿を見てみたかったです。

 

【関連記事】

[article mode=”cat” id=”51″ numberposts=”5″ tail=”
“]