「残業代ゼロ」へ!?日本型新裁量労働制の提言

2017年11月8日

安倍政権が考える新たな働き方

日本の決意

年収1000万以上の社員か、労働組合との合意をした社員に適用

  •  政府の産業競争力会議(議長・安倍晋三首相)は、労働時間にかかわらず賃金が一定になる働き方を一般社員に広げることを検討
  • 仕事の成果などで賃金が決まる一方、法律で定める労働時間より働いても「残業代ゼロ」になったり、長時間労働の温床になったりするおそれがある

引用元:(cache) 「残業代ゼロ」一般社員も 産業競争力会議が提言へ:朝日新聞デジタル

  「残業代ゼロ」というところだけ見ると、雇用者側にしかメリットがないように思ってしまいますが、この提言の背景には、裁量労働制という制度があります。その説明の前に、この新しい働き方についてもう少し説明します。

【日本型新裁量労働制】

  • これまでは研究職や部長職以上の管理職などに適用されていた
  • 今回の提言は、その範囲を広げようというもの
  • 年収1000万円以上の社員、労働組合との合意で認められた社員に適用

  とりあえずは年収1000万以上など条件をつけることで、低賃金で長時間の残業をさせるといったトラブルを避けようとしています。ただ、導入には他にもいろいろ問題があるようです。

 

 

日本型新裁量労働制の導入には、成果を給与に反映する仕組みが必要

【裁量労働制】

  • 企業は労働時間の管理を労働者に委ねて、企業は原則として時間管理を行わないことが特徴だ。情報処理システムの分析・設計や記事の取材・執筆など11の業種が、裁量労働制を適用される業務とされてきた。

引用元:裁量労働制 とは – コトバンク

  • 労働時間と成果・業績が必ずしも連動しない職種において適用される

引用元:裁量労働制 – Wikipedia

【日本型新裁量労働制】

  • 現在でも、働いた時間によらず、決められた給与を出す「裁量労働制」があるが、手続きが複雑なので、もっと使いやすい制度をめざす。
  • 経営側がこの制度導入を求めるのは、労働生産性を引き上げることが狙い
  • 労働時間に対して賃金を支払うのではなく、成果に対して払う仕組みが必要

引用元:(cache) 残業代払わない「ホワイトカラーエグゼンプション」 新年から再度議論始まる見通し : J-CASTニュース

 

  裁量労働制は、引用記事にあるように、例えば取材や執筆のように、成果や業績が労働時間と必ずしも比例しない職種に適用されてきました。同じ仕事でも、工夫してこなせば早く終わらせることができるので、その分生産性が上がる、といったメリットがあります。

 一方、今回の提言ではその範囲を拡大しようという狙いがあります。確かに、しっかりした給料を与えた上でこの制度を導入すれば、雇用者も労働者もメリットがあるでしょう。無駄に仕事が長引いて残業代が膨らむことがなくなりますし、労働者も効率よく働くことができます。しかし、個人の成果を給与に反映する仕組みがしっかりしていないと、意味がありません

 日本はそもそも年功序列や終身雇用といった独特の雇用の文化をもっており、成果主義はある意味で正反対のものです。その分だけ、制度の導入の前に、労働者の成果をどのように評価するかをしっかり決める必要があるでしょう。

導入を急げば、「低賃金で長時間労働」の危険性もある

今ある規制を撤廃し、どんな業種でも裁量労働制を導入できるということになれば、これまで残業代を払わずに違法な働かせ方を行っていた企業は、これまで以上に堂々と労働者に長時間労働を強いることになるでしょう。

引用元:(cache) 「残業代」がゼロに!? 安倍政権が導入めざす「日本型新裁量労働制」とは何か

 一番怖いのは、日本型新裁量労働制を残業代を支払わないための理由にしてしまうことです。生産性を上げるという建前はあるものの、雇用者がコストを抑えるために悪用することもできるというわけです。

 

 成果主義については、個人的には賛成できます。個人の裁量に任せて生産性を上げるというのも、確かに合理的な考え方でしょう。しかし、成果主義に馴染みの薄い日本では、準備もなしにいきなり導入するのは危険だと思います。労働者の評価基準をしっかりつくることと、悪用しないための法整備をしなければ、いろいろな問題が起こるでしょう。

 

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