【90年代】洋楽ロックの歴史と年表⑤[出来事,事件,ムーブメント]

2018年3月7日

事件・出来事・ムーブメントと共に、
ロックの歴史をその起源から紐解く!


レディオヘッド・ストーリー

もくじ

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洋楽ロック90年代 – 年表
90年代初期:オルタナ,グランジの波
  • オルタナティブ・ロックの潮流(英米)
    • オルタナティブ・ロックの台頭
    • オルタナの代表的アーティスト(80~90年代)
      オルタナの派生ジャンル
  • マッドチェスター(英/80年代終盤~)
    • レイブ文化と合法ドラッグ
    • 英国史上最高のバンド「ストーン・ローゼズ」
  • グランジブーム(米/90年代前半)
    • ニルヴァーナとカート・コバーンの衝撃
    • グランジの音楽的特性
    • メタリカへの影響

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90年代前半:英米での新時代幕開け
  • オルタナティブ・ロックブーム(英,米/90年代前半~)
  • ブリット・ポップムーブメント(英)
    • 転換期となった1994年
    • ブラーVSオアシス(1995年)
    • 現代のビートルズとまで言われたオアシス
  • ミクスチャー・ロックの登場(米/90年代初)
  • ポップ・パンク、メロコア流行(米)

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90年代後半:2000年代への足がかり
  • ブリット・ポップ終焉/新たな音楽(1997年)
    • レディオ・ヘッドの変化と世界的成功
    • 真に「オルタナティブ」なロック
  • ビック・ビートの登場(英/90年代半ば)
  • エレクトロニカが注目(英/90年代後半)
  • オルタナ系ビッグ・バンド登場(英米/90年代終盤)
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洋楽ロックの歴史・年表まとめ

洋楽ロックまとめ

洋楽ロック90年代 – 年表

1989年 ストーン・ローゼズ登場、エアロスミス再ブレイク

重要作品・出来事
デビュー
アルバム

1990年 AC/DC再ブレイク

デビュー
アルバム

1991年 ニルヴァーナ大ヒット、フレディ死去

重要作品・出来事
  • 3月  REM『アウト・オブ・タイム』(alb)発売。英米を始めとして世界中でヒット&高評価を受ける。最初期からのオルタナブーム牽引役が表舞台へ出てくる()
  • 8月  メタリカ『メタリカ(ブラックアルバム)』(alb)発売。音楽領域を拡大し超メガヒットを記録。
  • 9月  ニルヴァーナ『ネヴァーマインド』(alb)発売。アメリカ市場に風穴を開けグランジブームを巻き起こす。世界で爆発的ヒットを記録し90年代のトップアルバムとなる()
  • 11月 クイーンのフレディ・マーキュリーが死去。
アルバム

1992年 レディヘがヒット

重要作品・出来事
  • 9月 レディオ・ヘッド「クリープ」(sgl)がヒット。オルタナブームの火付け役となる。
デビュー
アルバム

1993年 ベック、ビョーク登場

デビュー
アルバム

1994年 カート・コバーン死去、次世代バンド続々

重要作品・出来事
  • 2月  グリーンデイがメジャー・デビュー。『ドゥーキー』(alb)が世界中でヒット()
  • 〃  ベック「ルーザー」(sgl)がアメリカで大ヒット。オルタナブームの火付け役となる()
  • 4月  カート・コバーン(ニルヴァーナ)が自殺。27歳という曰く付きの年齢での死だった(27クラブ)(★)
  • 〃  ブラー『パークライフ』(alb)発売。ブリット・ポップブームの着火点となる()
  • 9月  オアシス『オアシス』(alb)発売。英デビューアルバム歴代最速売上記録更新(当時)()
デビュー
アルバム

1995年 ブリット・ポップ最盛期

重要作品・出来事
  • 8月  英ヒットチャートにて「オアシスvsブラー」のシングル対決。ブリット・ポップブームが加速する()
  • 10月 オアシス『モーニング・グローリー』(alb)発売。英の歴代売上記録更新(当時)。世界中で超メガヒットを記録()
デビュー
アルバム

1996年 ベック、ケミカルブラザーズがヒット

重要作品・出来事
アルバム
  • 4月  レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン『イーヴィル・エンパイア』(alb)発売
  • 6月  メタリカ『ロード』(alb)発売
  • 〃  ベック『オディレイ』(alb)発売。世界中で大ヒット
  • 8月  ストーン・ローゼズ解散
  • 10月 ケミカル・ブラザーズ「Setting Sun」(sgl)が大ヒット。オアシスのノエルギャラガーが参加。

1997年 ブリット・ポップ終焉/レディへ大変身

重要作品・出来事
  • 2月 ブラー『ブラー』(alb)発売。デーモン・アルバーン「ブリット・ポップは死んだ」発言()
  • 4月 ケミカル・ブラザーズ『ディグ・ユア・オウン・ホール』(alb)発売。全英1位を獲得()
  • 6月 レディオ・ヘッド『OK コンピューター』(alb)発売。世界中で高い評価を得て、90年代を代表する傑作となる()
  • 8月 オアシス『ビィ・ヒア・ナウ』(alb)発売。大ヒットするもメディアから酷評を受ける。
  • 9月  ビョーク『ホモジェニック』(alb)発売。英米で非常に高く評価される()
アルバム

1998年 ホワイト・ストライプスがデビュー

デビュー
アルバム

1999年 フー・ファイターズがヒット

重要作品・出来事
デビュー
アルバム

2000年 英国バンド健闘

重要作品・出来事
デビュー
アルバム

90年代初期 – オルタナ、グランジの波

オルタナティブ・ロックの潮流(英米)

オルタナティブ・ロックの台頭

 80年代末~90年代初頭にかけて「オルタナティブ・ロック(インディー・ロック)」というジャンルが注目を集めることになる。このジャンルは非常に範囲が広く定義もはっきり言って曖昧だが、ロックの歴史の中で見ると

産業化ロックへの反対勢力
  1. 70年代中頃:
    パンク・ロック [⇔ハードロック/プログレ]
  2. 70年代終盤~80年代:
    ニューウェーブ(ポスト・パンク) [パンクの先で派生した新たな音楽群]
  3. 80年代終盤~90年代:
    オルタナティブ・ロック(インディー・ロック)[⇔ヘヴィメタル・産業化ロック(米)]

※年代は最盛期の目安。あくまでわかりやすさを意識しての年代分け

 という流れの中にある。ロックの歴史を知る上でこの流れを頭に入れておくと理解がしやすい。パンク・ロックからの流れの中で共通なのは「産業化したロックへの反対勢力」という点だ。パンクの先に派生したニューウェーブは、その後アート的な面を洗練させていった。では、オルタナティブ・ロック(インディー・ロック)は何か?

オルタナとインディーロック
  • オルタナティブ・ロック:
    オルタナティブ[Alternative=代わりの]。商業化したロックや流行と一線を画した(=代わりの)ロック
  • インディー・ロック:
    メジャーに対してのインディーズ。つまり、(あえて)インディーズやアンダーグラウンドシーンで展開されるロック

 この2つはあくまでザックリとした定義だが、両者は自然とその領域を共有するし、自然とそそれが進んでいく。そういうわけで、一括りにオルタナティブ・ロックとして良いと思う。中には明確に「インディー・ロック」というバンドもいるが、その多くは「オルタナ」にも分類される。だから、一緒に考えてしまおう。

オルタナの代表的アーティスト(1980~90年代)
オルタナの派生ジャンル

アメリカ
イギリス

 このように、オルタナは非常に幅広い。ミクスチャーもグランジもポップ・パンクも、マッドチェスターもブリット・ポップも広義では(あるいはアーティストのジャンルから見ると)オルタナに含まれる。より正当なオルタナ、あるいは影響力の強かったものは太字で示してあるので参考に。やはり80年代初めに登場したアーティストの影響力は大きい。

 最後にもう一つ言えば、パンク、ニューウェーブがイギリスで好まれたことも影響してか、アメリカ出身のREMやソニック・ユースはイギリスで高評価を受け、その後の国内オルタナは独自の発展を遂げている。

マッドチェスター(英/80年代終盤~)

レイブ文化と合法ドラッグ

 80年代終盤のイギリスでは、マッドチェスターと呼ばれるダンス系の音楽ジャンル・ブームが起こる。代表的なアーティストは――

マッドチェスター
  • ニュー・オーダー
  • ストーン・ローゼズ
  • ハッピー・マンデーズ

 ――といったところ。このムーブメントはレイブ文化(ダンスイベント・パーティー)やエクスタシー(合法ドラッグの一種)と関係があり、簡単に言えばドラッグをやって一晩中踊って騒ぐという文化だ。24パーティーピープルという言葉も生まれた。海外ではこういった流行が音楽と結びついて文化に発展し、有名アーティストを誕生させる。 日本のパーリーピーポーなど生ぬるいというわけだ。

 ちなみに、マッドチェスターというのは上に挙げたアーティストの出身がサッカーでおなじみの「マンチェスター」で、「マッド」は「Mud=狂った」。合わせて「(踊り)狂うマンチェスター」となる。かつてのサイケデリック・ロックと同じく、ドラッグの高揚感を曲で表現したというわけだ。マンチェスターは90年代に入っても有名アーティストを輩出し、あのオアシスもそうだ。

英国史上最高のバンド「ストーン・ローゼズ」

 話を戻そう。ここでもやはり80年代のアーティストの力が強いのだが、中でも一大センセーションを巻き起こしたのはストーン・ローゼズである。音楽性から見るとそれほど「ダンス系」というわけではないが、とにかくまあ英国での評価がずば抜けて高く、歴史に残る傑作アルバムを世に残した(年表参照『ストーン・ローゼズ/1989年』)。後進の英国のアーティストは間違いなくこの作品の影響を受けており、現在でも「イギリス史上最高傑作」「過去30年じゃナンバーワン」といった声が絶えない。

 バンドは2枚のオリジナルアルバムを残して解散してしまうが、その後につづくオアシス、ブラー、レディオ・ヘッドといった英国を引っ張るバンドを生んだ。オルタナのところで紹介したザスミスと並んで、非常に影響力の強いアーティストというわけだ。

グランジブーム(米/90年代前半)

ニルヴァーナとカート・コバーンの衝撃

 90年代で欠かせないのはグランジブームとニルヴァーナの存在。もしカート・コバーンが生きていたなら(絶頂期の1994年に自殺)、間違いなく90年代は天下を獲っていただろうし、その後のロックの歴史も変わっていただろう。

 グランジブームはアンダーグラウンドから発展したところを見ると、オルタナ(インディー)の流れを組むジャンルとして捉えることができる。また、アメリカ国内で大量発生していたメタルバンドへの抵抗勢力という側面も持っている。とは言え、ニルヴァーナはロックを基本としつつ、パンク・ロック、ハード・ロック、そしてメタルの要素も無きにしもあらず。その存在自体がオルタナ的であり、グランジであったということだろう。

グランジの音楽的特性

 音楽性から言うと、グランジは「パンクのリズム・ビート+ハード・ロックのリフ+ロックのメロディ」といったところだろうか? ニルヴァーナに関して言えば、シンプルながら重くノイジーなサウンドで、動と静を有するといったところ。このサウンドは後のフーファイターズも受け継いでいると言える。

メタリカへの影響

 グランジブームがどれほど衝撃的だったか。それを一言で語るのは難しいが、例えば「あのメタリカがグランジに影響を受けて音楽性を変化させた」というのはどうだろう。メタリカといえばメタルの帝王、グランジが敵対する相手のボスとも言える存在。そのメタリカがグランジ的要素を新作に入れて絶賛され、その後の音楽性も変化させたのだ。

 メタリカというバンドは柔軟性がある。あえてメタルにこだわらないという作品作りも見せている。音楽領域をどんどん拡大させていくバンドだ。だからグランジも好意的に受け入れ、バンドの変化のきっかけにしたのではないだろうか。というか、その後はメタリカは「オルタナティブ・メタル」などとも呼ばれるようになる。こうなると本末転倒でジャンル分けなど無意味なのがわかる。

 90年代、そして2000年代はバンドの数よりジャンルの数が多いのではと思うほど、ジャンルが細分化されてわけがわからない。ここで紹介したものも、あくまで参考程度にしていただきたい。