【起源~60年代】洋楽ロックの歴史と年表①[出来事,事件,ムーブメント]
事件・出来事・ムーブメントと共に、
ロックの歴史をその起源から紐解く!
もくじ
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60年代洋楽ロック年表
ロックの歴史 – ロック黎明期
- 黒人ブルースとロックの創始者たち
20世紀前半~1950年代- ロバート・ジョンソン(1911~1938)
- マディ・ウォーターズ(活動期間:1947~1983)
- チャック・ベリー(活動期間:1955年?~)
- エルヴィス・プレスリー(1935~1977)
- フォーク・リバイバル
ボブ・ディランの登場(1962~)
ロックの歴史 – 60年代前半:ロックの成長期
- ブリティッシュ・インベンション(1964年頃~)
- ビートルズ旋風
自作曲を演奏するロック・バンドの登場 - ヒット作連発~アメリカ進出
- ブルース色の強いストーンズの登場
- モッズ、パンクからスタートしたザ・フー
- フォーク・ロックの誕生(1964~1965年)
エレキギターを持ったボブディラン
- ビートルズ旋風
ロックの歴史 – 60年代後半:ロックの黄金期到来
- サイケデリック・ムーブメント(1966年頃~)
オルタモントの悲劇とチャールズ・マンソン- ベトナム戦争とヒッピー文化
- ヒッピー文化とサイケデリック・ムーブメント
- ウッドストックフェスティバルとオルタモントの悲劇
- ベトナム戦争泥沼化とロックスターの死
- チャールズ・マンソンの恐怖
- 次世代のアーティストの出現
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洋楽ロックの歴史・年表まとめ
洋楽ロックまとめ
60年代洋楽ロック年表
(★……後半にて解説あり)
1961年
- ビーチボーイズ(米)がデビュー
1962年
1963年
- 6月 ローリング・ストーンズ(英)デビュー※「come on」(sgl)(チャック・ベリーのカバー)
- 3月 ビートルズ『プリーズ・プリーズ・ミー』(al)発売
- 5月 ボブディラン『フリーホイーリン・ボブ・ディラン』(alb)発売
- 12月 ビートルズ「抱きしめたい」(sgl)発売。ビルボードチャートで初の1位を獲得。
1964年 ビートルズ旋風、ボウイ、ザ・フー登場
重要作品・出来事
- アメリカでビートルズ旋風が巻き起こり、ローリングストーンズらと共に「ブリティッシュ・インベンション」を巻き起こす(★後半にて解説あり)
デビュー
- 2月 キンクス(英)デビュー※「ロング・トール・サリー」(sgl)
- 6月 デヴィッド・ボウイ(英)デビュー※「デヴィッド・ボウイ」名義は1966年から
- 12月 ザ・フー(英)デビュー※「アイ・キャント・エクスプレイン」(sgl)
アルバム
- 1月 ボブディラン『時代は変わる』(alb)発売
1965年 フォーク・ロック誕生
重要作品・出来事
- 8月 ボブディラン『追憶のハイウェイ61』(alb)発売。それまでの曲調を変えてロックを取り入れ、フォーク・ロック誕生の象徴となる(★)
デビュー
- 10月 ザ・バーズ(米)デビュー
アルバム・シングル
- 3月 ボブディラン『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』(alb)発売
- 6月 ローリング・ストーンズ「サティスファクション」(sgl)発売
※全米No.1を記録 - 12月 ビートルズ『ラバー・ソウル』(alb)発売
- 〃 ザ・フー『マイ・ジェネレーション』(alb)発売
1966年 サイケブーム、ジミヘン登場
重要作品・出来事
- サイケデリック・ムーブメントが起こる(~67年頃/★)
- 6月 ビートルズが来日公演(ザ・ビートルズ日本公演 – Wikipedia)
デビュー
- ジミ・ヘンドリックス&エクスペリエンス(米)デビュー
アルバム
- 4月 ローリング・ストーンズ『アフターマス』(alb)発売
※初めて全曲を自作曲で構成 - 5月 ビーチ・ボーイズ『ペット・サウンズ』(alb)発売
〃 ボブディラン『ブロンド・オン・ブロンド』(alb)発売 - 7月 ザ・バーズ『フィフス・ディメンション』(alb)発売。
- 8月 ビートルズ『リボルバー』(alb)発売
- 12月 ザフー『ア・クイック・ワン 』(alb)発売
1967年 ドアーズ、ヴェルヴェッツ、ピンク・フロイド登場
重要作品・出来事
- 6月 ビートルズ『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』(alb)発売。驚異のサウンドクリエイトで不朽の名作へ。
デビュー
- 1月 ドアーズ(米)デビュー※『ハートに火をつけて』(alb)
- 3月 ヴェルヴェット・アンダーグラウンド(米)デビュー※『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ』(alb)
〃 ピンク・フロイド(英)デビュー
アルバム
- 5月 ジミヘンドリックス『アー・ユー・エクスペリエンスト』(alb)発売
- 6月 ドアーズ『まぼろしの世界』(alb)発売
- 8月 ピンクフロイド『夜明けの口笛吹き』(alb)発売
- 11月 ビートルズ『マジカル・ミステリー・ツアー』(alb)発売
- 12月 ザフー『ザ・フー・セル・アウト 』(alb)発売
1968年 ディープ・パープル登場
重要作品・出来事
- ピンクフロイドのリーダーであったシド・バレットが実質的に脱退。デヴィッド・ギルモアが加入。
デビュー
アルバム・シングル
- 11月 ビートルズ『ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)』(alb)発売
〃 キンクス『ヴィレッジ・グリーン・プリザヴェイション・ソサエティ』(alb)発売 - 12月 ローリング・ストーンズ『ベガーズ・バンケット』(alb)発売
1969年 名盤大豊作、ハードロック/プログレ誕生
重要作品・出来事
- 3月 ジョンレノンとオノ・ヨーコが反戦パフォーマンス「ベッド・イン」を始める。
- 7月 ブライアン・ジョーンズ死去(参考:ストーンズ脱退と最期)、間もなく後任にミック・テイラーが加入。
- 7月 マイルス・デイビス『イン・ア・サイレント・ウェイ』(alb)発売。エレクトリック・ジャズ、フュージョンの先駆けとなる(★「ロックの年表③」にて解説)。
- 8月 ウッドストック・フェスティバル開催。ザ・フーやジミヘンのステージは後年伝説として語り継がれる(★)。
- 12月 フリーコンサートにてオルタモントの悲劇が起こる(★)
デビュー
- 1月 レッド・ツェッペリン(英)がデビュー※『レッド・ツェッペリン I』(alb)
- 7月 イエス(英)デビュー※『イエス・ファースト・アルバム』(alb)
- 8月 ザ・ストゥージズ(米)デビュー※『ザ・ストゥージズ』(alb)
- 10月 キング・クリムゾン(英)がデビュー『クリムゾン・キングの宮殿』(alb)
- 11月 カーペンターズデビュー※『オファリング』(alb)
アルバム・シングル
- 5月 ザ・フー『トミー』(alb)発売
- 7月 ジョンレノン「Give Peace a Chance」(sgl)発売
- 9月 ビートルズ『アビー・ロード』(alb)発売
- 10月 レッド・ツェッペリン『レッド・ツェッペリン II』(alb)発売
- 〃 キンクス『アーサー、もしくは大英帝国の衰退ならびに滅亡』(alb)発売。
- 11月 デビッドボウイ『スペース・オディティ』(alb)発売
- 12月 ローリング・ストーンズ『レット・イット・ブリード』(alb)発売
ロック黎明期
ロックの年表は60年代からを始まりとするが、その前にロック以前の音楽、ルーツや黎明期のアーティストと歴史を紹介したい。ロックは突然湧いて出たものでなく、ルーツとなる音楽がいくつもある。ビートルズの時代に登場した様々なアーティストの音楽性の違いを知る上でも、それらのルーツを見れば非常にわかりやすくなる。
他のミュージシャンによるカバーや映画での使用例を中心に、ロックの父や祖父とも言える素晴らしいミュージシャンを動画と共に見ていこう。
20世紀前半~1950年代
黒人ブルースとロックの創始者たち
ロバート・ジョンソン(1911~1938)
エリック・クラプトンによるカバー
ロックのルーツであるブルース。その歴史は19世紀の黒人の民謡(黒人霊歌)まで遡るが、20世紀前半のブルースにおいて伝説的な存在となっているのが、ロバート・ジョンソンである。有名なクロスロード伝説(魂と引き換えに悪魔からギターテクニックを授かった)で知られ、若くしてこの世を去ったものの、ローリング・ストーンズやエリック・クラプトンといったミュージシャンも多くの楽曲をカバーするなど、その影響力は非常に大きい。
動画ではロックのアレンジがなされ、完全なブルース・ロックとなっている。このようなカバーの例は非常に多く、ロックの初期にはブルースのカバーでデビューしたり、アルバムをカバー中心で構成するというのが常識となる。
- 「Love in Vain」
ストーンズが『Let It Bleed』(1969)にてカバー。 - 「Stop Breaking Down」
ストーンズが『メイン・ストリートのならず者』(1972)にてカバー。 - 『Me and Mr. Johnson』(2004)
エリッククラプトンによるカバーアルバム。
マディ・ウォーターズ(活動期間:1947~1983)
ブルースにエレキギターとバンドスタイルを持ち込み、シカゴ・ブルース創始者。ロックの誕生および後のロックミュージシャンに多大な影響を与える。ロックの王様と言われるローリング・ストーンズのバンド名も、彼の楽曲から取ったものだ。
- 「ローリング・ストーン」1950年
ローリング・ストーンズのバンド名の由来。 - 「I Just Want To Make Love To You」1954年
ローリング・ストーンズがデビューアルバム(1964)でカバー - 「マニッシュ・ボーイ」1955年
ローリングストーンズが「ラブ・ユー・ライブ」でカバー
チャック・ベリー(活動期間:1955年?~)
映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』より
ロックの創始者として最も有名な人物の一人。ギターリフを前面に押し出したノリのいいサウンドは、まさにスタンダードなロック。
- 「ルート66」1961年(オリジナルは1946年のアメリカのポピュラーソング)
ローリング・ストーンズがデビューアルバム(1964)でカバー - 「ジョニー・B.グッド」1958年
映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でマーティーが演奏していた曲。 - 「キャロル」1958年
ローリング・ストーンズがデビューアルバム(1964)でカバー
エルヴィス・プレスリー(1935~1977)
ロックの創始者の一人であり、世界にロックの存在を知らしめたのがプレスリー。とりわけ有名なエピソードは、ビートルズが多大な影響を受けたと言うもの。デビュー当時のリーゼントヘアはプレスリーから来たもので、中でもジョン・レノンは若かりし日にプレスリーのデビュー曲を聴いて衝撃を受け、そこからロックミュージシャンを志した。
黒人音楽のリズムに、白人のメロディとギターのコードを乗せるという、まさに白人文化と黒人文化のミックスであり、60年代初頭のロックの方向性を示したと言ってもいい。アメリカ出身の白人のロックに影響されたイギリス出身のビートルズは、海を渡り、バンド編成という形でアイドルとしてデビューすることになる。
- 「ハートブレイク・ホテル」(1956)
初のビルボード1位獲得曲であり、ここからわずか5年で17曲ものビルボード1位の曲を生み出す。 - 「ハウンド・ドッグ」(1956)
- 「監獄ロック」(1957)
フォーク・リバイバル
ボブ・ディランの登場(1962~)
風に吹かれて(Blowin’ in the Wind)1963
ボブディランは1950年末~60年代初めのフォーク・リバイバルブームの牽引者であり、フォーク・ロックを世界に広め、ジャンルを超えて多くのミュージシャンに影響を与え続けている。フォークはいろいろな定義があるが、アメリカでは南部の伝統的な音楽、民謡がルーツである。戦前には世界恐慌の後遺症の中で反体制の精神を歌い、そのために弾圧を受ける中脈々と受け継がれ、50年代の末にフォーク・リバイバルとして世に広まる。ボブディランは戦前のフォークを好み(ウデイ・ガスリーなど)、それを後世に伝えると言う役割も果たした。
フォークは民謡だけでなく、民謡のアレンジ、自作曲を自ら歌う(今で言うシンガーソングライター)という特徴を持っており、その点では60年代に入ってロック・バンドが自作曲を歌うという時代に合っていたのかもしれない。
まとめ
ロック黎明期のポイントはブルースとエルヴィスプレスリー、そしてフォークを押さえておけばある程度わかる。ブルースはそのままロックの原型となった黒人音楽である一方、フォークはアメリカ人にとっての白人ルーツの音楽だった。この二つの流れはロックの黄金期である60年代の方向性を決定づけているし、同時代のロックの流行やムーブメントを生み出している。
かなり乱暴な分け方になるが、ブルースはローリングストーンズが受け継ぎ、プレスリーはビートルズが受け継いだ。そして、フォークはボブディランだ。60年代はこの3グループを追えばある程度の部分が見えてくる。
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