洋楽ロックまとめ【名盤,おすすめアルバム,歴史・年表】

2017年11月18日

4. 90年代 – 短命のカリスマと多様化するロック

 90年代は米英それぞれで時代を変える音楽が誕生する。共通するのは、90年代始めにかけてカリスマ的なバンドが登場。一大ブームをつくるも、数年で姿を消す。その後は、彼らのフォロワー、あるいは取って代わるビッグ・バンドが登場し、90年代を引っ張っていくという流れ。曲調は米英で異なるものの、似たような動きがあったのは面白い。

イギリス:ストーン・ローゼズからブラー、オアシスへ

ストーン・ローゼズ』(89) – ストーン・ローゼズ


ストーン・ローゼズ

 90年代を目前にして、イギリスのロックの歴史に名を残す、伝説のバンドが登場する。それがストーン・ローゼズ。現在は再結成してライブ活動などをしているものの、実質的な活動期間は10年強、ファーストアルバムの発売から解散まで10年弱。発表したオリジナルアルバムはたったの2枚。そのうち1枚は「駄作」扱い。それでも、彼らのファースト・アルバムを「史上最高」と評価する人が多い。

 確かに、ファースト・アルバムのクオリティはハンパない。ジャンルで言えばオルタナ、ギター、ベース、ドラムのセンスと演奏力はかなり高く、そこにカリスマ性を持った「ヘタウマのボーカル」が加わる。これだけでも、何となく伝説のバンドっぽいとわかると思う。アルバムの特徴は、まずは「エフェクトを多用したギター」が印象的。全体として、「隙間なく詰め込んだ音」「空間をイメージさせる包み込むような音」。あとはやっぱり、リズム隊が素晴らしいので、ノリが最高

 彼らが後に続くバンドに遺したものといえば、「イギリス的な音楽をやろう」ってこととか、「肩の力抜いてやろう」っていう意識だと思う。イギリスのバンドは、国内で売れてアメリカ進出ってのが一般的。そうなると世界的(≒アメリカの)流行を取り入れる必要が出てくる。でも、経済状況とか政治の方向性が英米じゃ全然違うし、文化も違うし、無理に追いかけなくてもいいんじゃね? ってなった。その辺の影響が、90年代に登場するイギリスのビッグバンドに引き継がれている。

 

パークライフ』(95) – ブラー


Parklife

 ストーン・ローゼズは大きなブームを作ることなく表舞台から去る。その後で出てきたのが、「ブリット・ポップ」のバンド。その火付け役がブラー。ブリット・ポップってのは音楽的な括りというより、90年代に登場したポップ的な音楽を幅広く指す。同じブリット・ポップのバンドでも、例えばブラーとオアシスは全然違う。もちろん共通点もある。「イギリス的な音楽」を意識しているし、「原点回帰的」なところもある。そして、どちらも聴きやすい。

 まずブラーは、60年代で言うとキンクスなんかに似てる。加えて、歌詞の内容は極めてイギリス的。イギリスの文化や日常を歌っている。音楽性は幅広く、ポップ、ロック、パンク、ダンスなんでもこなす。キャリアの後半になるほど、どんどん広がっていく。中流階級出身のバンドなので、お洒落でいい意味で気の抜けた感じもある。『パークライフ』は3作目のアルバムで、国内で大ヒット。ここからブームが徐々に広がっていく。

 

モーニング・グローリー』(95) – オアシス


モーニング・グローリー

 次に来るのがおなじみオアシス。日本じゃブラーより知名度が高いはず。ブラーとはメディアで「ライバル」とされて散々煽られ、ブリット・ポップブームを盛り上げ役となる。オアシスは労働者階級出身で、音楽性もブラーと正反対。デビュー当時はストーン・ローゼズの影響に加えて、パンクの影響も見られた。バンドで言えばセックス・ピストルズ、ザ・フーなんかも近いと思う。キャリアの中ではクラシックなロックにどんどん寄っていく。アルバムについて言うと、『モーニング・グローリー』は最高。メロディがとにかく綺麗で、全曲シングルにしようって話もあったほど。全世界で1000万枚を超えるヒット作。90年代を代表するロック・アルバムの一つ。

 オアシスとブラーの違いをもう少し。オアシスは実は、世界的に成功したかと言えば、「まあまあ」といったところ。一方、ブラーはデーモン・アルバーンゴリラズなんかも含めて、世界的にも大成功。だからってどっちが優れてるかなんてのはどうでもいい。どっちもすごいバンド。

 

The Bends』(95) – レディオヘッド


The Bends

 もうひとつ忘れてはならないのはレディオ・ヘッド。こちらは電子音楽、コンセプトアルバム、前衛音楽といった分野で世界的に大成功。でも、デビュー当初はポップでメロディアスなロックバンドだった。90年代のイギリスはこの3つのバンドを押えておけば大丈夫。まだまだ他にもいっぱいいるけど、彼らのことをいろいろ調べていけばいろんなバンドやアーティストに派生するから問題なし。

アメリカ:ニルヴァーナからグリーン・デイ、レッチリへ

ネヴァーマインド』(91) – ニルヴァーナ


ネヴァーマインド

 90年代のアメリカのロックの幕開けは、ニルヴァーナの『ネヴァーマインド』。80年代のメタルに取って代わったのは、パンクに退廃的なサウンドを組み合わせたグランジという音楽だった。ただ、このアルバムの場合は、「ポップ」「メロディー」という要素が加わる。結果、マニア受けしつつも大衆にも歓迎されるサウンドが誕生。世界を巻き込んだブームをつくりあげる。当時は時代の救世主のような扱いで、フロントマンのカート・コバーンはセンスの塊でまさにカリスマ。その辺はアルバムを聞けばわかる。超格好良い。

 しかし、カート・コバーンは全盛期にショットガンで自殺。ブームも数年で終了。ただ、残ったメンバーがあの「フー・ファイターズ」を結成し、世界的なビッグ・バンドにまで成長。曲調も似ているところがあるので、ニルヴァーナが気に入った人は合わせて聞いておきたい(フー・ファイターズは後でまた紹介)。

 

ドゥーキー』(94) – グリーン・デイ


ドゥーキー

 カート・コバーン亡き後のアメリカのロック界、その穴にちょうどいいタイミングで入りこんだのが日本でもおなじみグリーン・デイ。彼らはジャンルで言うとポップ・パンクに分類される。パンクの持ち味であるシンプルで攻撃的な音に、ポップやロックの持ち味であるメロディや聴きやすさを加えた音楽。グリーン・デイはキャリアを重ねていくに連れてジャンルにとらわれないバンドに成長していくけど、この頃はポップ・パンクの括りにはいるバンドがいくつも登場し、ヒット。

 『ドゥーキー』はグリーン・デイにとってはメジャーデビューアルバム。インディーズ時代にすでにかなりの人気を得ていて、満を持してメジャー・デビューしたという作品。期待に違わず、アルバムは1000万枚を超えるメガヒットを記録。すぐにアメリカどころか世界を代表するバンドに躍り出た。アルバムの内容は、ひと言で言えば「若者ウケしそうなアルバム」。ノリの良い曲が多く、メロディも綺麗。シンプルなロック寄りのパンク。もう一つ特徴をあげれば、メンバーの演奏力が高いこと。90年代から00年代にかけて、数多くの名作を生み出してきた彼らの中でも、ベストの1枚にあげられる作品。

ブラッド・シュガー・セックス・マジック』(91) – レッド・ホット・チリ・ペッパーズ


ブラッド・シュガー・セックス・マジック

 ニルヴァーナと同時期に活躍していたのがレッチリ。90年代~2000年代にかけて世界的なバンドとなる。ミクスチャーロックというジャンルを開拓。これはロックにラップやファンクといった音楽を「ミックス」させた音楽となっている。作曲センスと同時に、演奏力が非常に素晴らしい。ジャンルの開拓と共に唯一無二の音楽性を確立。とにかくセンスが素晴らしいので、是非とも聞いてほしい。

おまけ

『Ixnay on the Hombre』(97) – オフスプリング


Ixnay on the Hombre

 グリーン・デイと同じくポップ・パンクのバンドで有名なのがオフスプリング。ジャンルとしてはメロコアにも分類されるバンド。グリーン・デイと比べるとよりハードな印象。メロディよりはリフをガンガン鳴らすタイプのバンド。聴きやすいし格好良い。洋楽初心者なんかはこれを聞くと高確率でハマると思う。僕も中学時代に友人に薦められて、グリーン・デイと一緒によく聞いてた。