『投資家が「お金」よりも大切にしていること』感想

お金に対するマイナスイメージを払拭!

投資家が「お金」よりも大切にしていること

「お金」を考え直す

 結構前から話題になってる本。お金もうけの話というより、「お金はどういうものか考えてみよう」ってノリの本。子供向けの道徳とか社会科の本みたいな感じ。日本人と外国人(とりわけアメリカ人)のお金に対する感覚の違いなんかを取り上げてる。

 例えば「お金儲けや起業」について。

  • アメリカ
    お金を儲けることや起業することは素晴らしいという認識がある。
    お金儲けは言い方を変えれば世の中に商品や価値を提供し「社会に貢献」している。社会全体で起業する人をみんなで応援するような雰囲気がある。加えて、アメリカは実業家が寄付する習慣がある。これも社会貢献。
    つまり、お金を社会全体で循環させようって考えがある。
  • 日本
    お金儲けは悪とか汚いという認識がある。
    アメリカと正反対に、日本はお金を循環させようという考えがない。そのために貯蓄の割合が極端に高く、投資も寄付も非常に少ない。株式投資も「ギャンブルだ」「不労所得だ」というマイナスイメージがある。
    「清貧」という言葉に代表されるように、「金にまみれずつつましく生きることこそ清らかだ」という文化も影響している。

 日本にあるお金に対するマイナスイメージ。理由もなく幼いころから「お金は汚い」なんて刷り込まれてきているけど、それって本当に正しいの? と問いかける。プラスに、積極的に、肯定的に考えてみれば、人や社会に貢献しつつお金を儲けられる。そんな内容。

 いわゆる「自己啓発本」「いんちきビジネス本」の類ではなく、あくまで中立的な立場からお金を学び直す本。著者は一流の証券会社で働き、投資会社の経営をしつつ、大学の講師なんかもしてる。お金のプロというだけあって、内容はしっかり。それでいて非常に読みやすい。暇つぶしに読むにもピッタリの本。

 

株は「不労所得」なのか?

 日本人というのは、どういうわけか「お金は汚いよ」と周囲に言われて育ってきた。それなのに、みんなお金の話が大好きだし、宝くじを買うし、貯金ばかりするし、わけがわからない。しかしまあ、最近はその認識もだいぶ変わってきた。最近の若い子なんてお金に対して非常にシビア。大学に入る前から就職やその後の人生のことを考えて、そこそこお金のもらえる人生を歩もうと考えてる。ただ、積極的に「金をもうけてやる!」って人はまだまだ少数派。

 「起業」と聞いて日本人がまずイメージするのは、「危険」「失敗」って言葉じゃないかと思う。そりゃ確かにリスクはつきものだけど、これはちょっと異常だ。どんだけネガティブなんだよ、って。あと、株の話で思い出したけど、いつだかホリエモンがニッポン放送を買収しようとした時。芸能人がこぞって「働きもしないで金儲けするやつに、テレビ番組が作れるはずない」なんて言って猛烈な批判を受けた。ライブドアは株取引で儲けてたってことから、そう言われてた。

 確かに、メディアの素人に買収されることに反対するのはわかる。ただ「働きもしないで」って部分はおかしい。株取引ってのは社会的に認められてることだし、犯罪でも何でもない。むしろ、株式会社は株を買う人がいて成り立ってる。公に認められたことで金を稼いで、一体何が悪いんだろうって当時は思っていた。海外には投資と企業買収でもうけている会社などゴマンとある。

やりたいのにやれないから、「悪」とする風潮

 結局日本人の悪いとこってのは、僻みとか妬みとか、そういうとこ。起業だって株だって、敷居が高いもの。本当なら起業して自分の会社を持ちたいし、株を買ってお金儲けしたい。でも、なかなかできない。悔しい。だから批判する。金儲けは「悪」だ。こういうメンタリティーが、日本人の根っこにはある。どうしてそうなったのかわかんないけど、アホだなあって思うね。

 リスクを恐れる国民性ってのは、わからないでもない。良いところもある。日本の公的保険制度、終身雇用制度ってのは、社会インフラとして非常に優れている。人を大切にするって点では、終身雇用制は復活させてもいいくらい。ただ、あんまりにも恐れ過ぎで、それがいろいろと足を引っ張ってる感がある。

 日本は地理的にリスクの多い国だ。地震と台風が毎年何度も来るし、島国ということでよそ者、新しいものを警戒する。これはもう遺伝子レベルで刻まれてることだから、なかなか変えようもない。リスクを恐れるからこそ、経済も社会も安定的で、日本の円は世界の拠り所になっている。でも、恐れるべきところとそうでないところを、もう少し見極めないとだめだ。ここが日本人の弱い所。自分で考えたり判断せず、周りに流される。何となくで大切なことを決めてしまう。そして、リスクや新しいものは「悪」とする。

 いや、そうじゃないだろう、って。もっと理屈で考えて、リスクのあるものでも、「どういうリスクか?」「どうしてリスクがあるのか?」ってのを考えて、取捨選択していかないと。そうやって考え方を社会全体で変えていかないと、新しいものは生まれない。「出る杭は打たれる」という国民性を、修正していかないと!

 その辺の詳しい話は、岡本太郎の本を読むと良い↓