「ソナチネ」のあらすじ・解説

2017年10月1日

北野武ファンに人気の、国際的評価を得た映画「ソナチネ」

ソナチネ [DVD]

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「ソナチネ」あらすじ/ストーリー

 北島組幹部の村川(ビートたけし)は、組長に頼まれ、舎弟を数人連れて沖縄へ向かった。沖縄では、北島組と友好関係にある中松組が地元の組と抗争しており、その支援をするとの名目であった。しかし、現地の状況は聞いていた話とは違っていた。

 腑に落ちない状況の中、抗争は激化。生き残った村川は、数人の仲間とともに海沿いの廃屋に身を隠すことにする。東京の組とも連絡がつかない中、死の匂いを感じつつ、村川たちは一日中砂浜で遊び興じる。

 

「ソナチネ」の感想

■本作は、北野映画の中でもファンからの人気が非常に高い作品。最高傑作に挙げる人も少なくない。沖縄を舞台にしており、映像の美しさや表現の面白さも素晴らしい。死と隣り合わせの中で、沖縄の海で子供みたいに遊んで過ごすと言う構図も、なんとも北野映画らしい。

 監督のインタビューなどを見ると、沖縄は美しい場所だけど死の香りがする(世界大戦の激戦区だったこと等)。そこで、落ち目のヤクザたちが、死までの時間をいかに過ごすかというのを描きたかったようだ。

 初期の北野映画のテーマに一つに「主人公が死に向かって突き進んでいく」がある。ただ、死に向かうにしても、いろいろな描き方がある。「その男凶暴につき」では、大切な人をすべて失った主人公が自暴自棄になってヤクザと共倒れするという描き方だった。一方で、ソナチネはそれとは真逆。自暴自棄というのは同じでも、積極的に死に向かうと言うより、「死までの間の時間つぶし」「死ぬまでどう遊んで過ごすか」という描き方だ。

 死と遊びという対極にあるものを並べるのは、まさに対比による強調。死を強調すれば遊びもまた映える。とことん馬鹿騒ぎすればするほど、死への緊張感も高まる。それを見事に表現しているので、この作品は評価されていると思う。

■ちなみに、この作品は海外でも高い評価を受けている。「世界の北野」と騒がれる以前、国内ではまだまだ評価されていなかった時代の作品だ。そしてこの翌年、監督はバイク事故で死線を彷徨う。見事復活し、その後「世界の北野」となるわけだが、事故を境に作風は微妙に変化する。

 ソナチネまでは、物語や登場人物に「いつ死んでもいいや」という雰囲気があった。しかし、事故の後では「死んでたまるか」「死ぬ前にやるべきことがある」という雰囲気に変わっている。言い換えれば、「芸術>命」だったのが「芸術≦命」と変化している。この辺を気にして見比べてみると、また作品を深く楽しめると思う。

 

北野武監督のインタビューから見る「ソナチネ」
(解説・撮影秘話・映画論)

物語 」(北野武)より

作品のコンセプトと、テーマの「死」について

  • 基本的に「ソナチネ」って言のは、写真集みたいな感じなんだよね。だから、脚本っていうよりも、沖縄の海があって、ヤクザがいて、アロハシャツ着て遊んでる画があって。あと、自分の頭を撃つ画があって。もう、コンセプトってのはそれだけで、あとはどうやってその画につなげていくか、っていう。
  • ヤクザが海で遊ぶあのシーンだけ、どう考えても長すぎるって言われるんだけど。(中略)あれね、結局、最期、だいたいの奴が死んじゃうってわかってるじゃない? その、死ぬという緊張感が常にあったときに、いかにマヌケなことして時間をつぶせるかな、というようなことなんだけどね。(中略)戦争映画とかでも、マヌケなことして遊んでるシーンのほうが、なんか自分は好きだね。
  • 「死ぬことばっかり考えてると、本当に死にたくなっちゃうんだよ」っていう台詞。あれは、最初からあったね。要するにあれだもんね、あの映画で言いたいのは。ああいうのは、ほかの映画だと、「キッズ・リターン」の、「まだ始まってもいねえよ」ぐらいかなあ。

 

作品の舞台「沖縄」と、各シーンの解説

(沖縄を舞台にしたことについて)

  • あそこに行くと、どうもね、怨念の島みたいな気がすんのよ。沖縄って、海はきれいで、空が青くて、珊瑚礁があって、でもやっぱり、津波とか、太平洋戦争とかね。生きる死ぬでいうと、死のほうが強くてね。だから、ヤクザの抗争で、やっつけなきゃいけない、生きていかなきゃいけないって言ってるんだけど、沖縄だと「ダメだな、こりゃあ」って感じが出るんだよね。

(「死ぬことばっかり考えてると、本当に死にたくなっちゃうんだよ」という台詞について)

  • 男の舎弟に対して、兄貴が「おい、死にたくなるよなあ」つったらまずいじゃない? そうすっと、全然ヤクザと関係ない、なんだかわかんない女が出てきたときに、つい本音を言ってしまうっていうか。そのために女、出したようなもんだから。

 

  • 入って行ってマシンガン、バーって撃ちまくるシーン、あるじゃない。あれ、中のシーンを一切外して、外から撮ったんだけど、わかりにくいかなあ、って。じゃあ、音と光と影でどうするかなんてのを、撮りながら相当考えてた。(中略)見せないほうがもっと想像するかなあと思って。マシンガンの音で、中で何が起こっているかを想像させるべきだろう、と思うんだ。