セロとノルアとパミン(5)「富山の薬売り」

2017年11月8日

「面倒なことは有耶無耶にしちゃえばいい」

サージェント・ペパーズ

 

 うやむや、あいまい、ぼんやり。なかなかやわらかみのある、日本語らしい言葉ですね。

 

 

 純一郎くん薬を買う

前回までのあらすじ

総理大臣と小学3年生、二足のわらじの生活を始めた純一郎くん。クラスメイトのエマーソンくんに招かれたパーティーにて、性に目覚める。

その後、地方自治を勉強するために都知事になり、大衆を相手にする術を身につけようとシンガーソングライターも経験。

会見と謝罪のスキルも身につけ、経験値を蓄えていくのであった。

登場人物
  • 純一郎くん  ……夢の世界で生きる決意をし、念じれば何にでもなれる力を手に入れた小学3年生。現在は総理と都知事を掛け持ちし、シンガーソングライターもこなす。
  • エマーソンくん……純一郎くんのクラスメイト。ハーフ。政治好きで大人びている。
  • ジョリー   ……エマーソンくんの母。アンジェリーナ・ジョリーに似ているが貧乳。脇が甘い。

 

 会見続きで精神衰弱気味の純一郎くん。そこに富山の薬売りがやってきましたとさ。

 

「お薬いかがですか? 」

「それは何の薬ですか? 」

 

「これはですね、困った時にあなたを助けてくれる薬ですよ」

「いいですね。どんな風に助けてくれるんですか? 」

 

「あのですね、あなたが見ている世界をぼんやりさせてくれる薬なんです。」

「ちょっとわかりにくいですね」

 

「雨で濡れた窓ガラスのように、ぼんやりします」

「ほう」

 

「昼寝から覚めた直後のように、ぼんやりします」

「なるほど」

 

「世界がぼんやりすると、嫌なこともぼんやりします」

「それはいいですね、確かに」

 

「ただ、同じく良いこともぼんやりします」

「それは嫌だなあ」

 

「でも、楽しい事ってぼんやりしても楽しいものですよ」

「どういうことですか? 」

 

「幼いころの楽しい思い出は、ぼんやりしてるけど楽しいでしょう」

「そうですね」

 

「逆に、嫌なものってぼんやりしちゃえばどうってことないんです」

「本当ですか? 」

 

「嫌な人間の顔も、濡れた窓ガラスの向こうならそんなに気にならないでしょう」

「そう言われるとそんな気もしますが……半信半疑ですね」

 

「そのへんもぼんやりさせてくれますよ。『半信半疑』を『半信半々疑』くらいにはできますよ」

「そうなんですか」

 

「ここまで話を聞いていて、モヤモヤしているんじゃないですか? 」

「していますね」

 

「モヤモヤした気持ちを、もっとモヤモヤ、さらにモヤモヤ、かなりモヤモヤにしたら、もうどうでも良くなりませんか? 」

「なりそうですね」

 

「そういう薬なんです」

「では、一つもらいましょう。おいくらですか? 」

 

「あなたの生まれた月に年齢を足して、兄弟の数で割って、アドレス帳に入っている人数をかけて、それを同僚の数で割って……」

「ちょっとややこしいですね」

 

「まあ200円でいいですよ」

「適当ですね」

 

「それも含めて薬の効能なので」

「どうもありがとうございました」

 

続く

今日の格言

「良薬は財布に優し」「ジェネリックの半分は黒柳徹子の人柄」

 

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