セロとノルアとパミン(4)「シンガーソングライター」

2017年11月8日

「一度あることは二度ある? そりゃだいたいそうだろ」

ONE(初回生産限定盤A)(DVD付)

 「一度あることは二度ある」そんな格言を言われてドヤ顔されても、こっちは参ってしまう。恥ずかしいくらいだ。そもそも使い古しの格言を言ってることが恥ずかしいし、この格言は当たり前のことを言ってるだけ。二度同じことが続くのは、毎日でもありうる。一日に複数も珍しくない。そういうわけで、二重の意味で恥ずかしい。

 「二度あることは三度ある」ってのも、おかしい。日本だけに限らず、同じミスを三度繰り返せばそいつはダメだということになる。アメリカでも、三振法ってのがあるし、野球もスリーストライクでアウト。それなら「二度と三度の分かれ道」の方がいい。

 それはそうと、「三」っていう数字は何かとちょうどいい。飯も三回だし、ノックも三回。会話も三人くらいがちょうど盛り上がる。大抵の物事は三度目で慣れが出てきて楽しくなる。

 ただ、厄介なのは三角関係。最近じゃダブル不倫なんてのもあって、さらに複数の愛人がいたってなると、四角関係、五角関係、六角関係なんてのもありうる。そういや誰かが言ってたな。「三角関係だから角が立つ。自由恋愛、フリーセックスにして、頂点をどんどん増やしていけばそのうち丸になる。そうすりゃ丸く収まる」だって。

 

 

大人の顔した子供

前回までのあらすじ

総理大臣と小学3年生、二足のわらじの生活を始めた純一郎くん。クラスメイトのエマーソンくんに招かれたパーティーにて、性に目覚める。

地方自治を勉強しようと、今度は都知事にもなった純一郎くん。初めての仕事は謝罪会見。

そこで8歳とは思えない流暢な受け答えをし、テレビの向こうのエマーソンくんを感心させた。

登場人物
  • 純一郎くん  ……夢の世界で生きる決意をし、念じれば何にでもなれる力を手に入れた小学3年生。現在は総理と都知事を掛け持ち。
  • エマーソンくん……純一郎くんのクラスメイト。ハーフ。政治好きで大人びている。
  • ジョリー   ……エマーソンくんの母。アンジェリーナ・ジョリーに似ているが貧乳。脇が甘い。

 

 前回の不正会計疑惑の謝罪会見にて、初めてとは思えない受け答えを見せた純一郎くん。都民および国民の期待は一気に膨んだ。そう。エマーソンくんが言ったように「アレは温めると膨らむ」のだ。
(参考:セロとノルアとパミン(2)「アンジェリーナ・ジョリー」

 ただし、一発目に大当たりするのは、危険をはらんでいる。世に言う一発屋になる可能性があるからだ。お笑いでもミュージシャンでもスポーツ選手でも、最近は過剰な期待をかけてメディアが煽るので、一発屋が大量生産されている傾向がある。由々しき事態である。

 さて、純一郎くんは総理として都知事として、大衆を相手にうまく立ちまわる技術が必要だと感じ始めていた。そこで彼は、スターになることにした。彼がイメージしたスターは若手ミュージシャン。かつてバンドを組んでおり、純愛ソングをひたすら量産。しかし、人気絶頂の中でバンドは解散。理由は、中心メンバーの一人が突然哲学に目覚め、大学進学し研究者を目指すというもの。その後、ソロとしてのキャリアを積み始めたという経歴を持つ。

 そういうわけで、純一郎くんは熱い心と透き通った瞳、ストレートな詩を綴る若手ミュージシャンとなったのだ。

 

「この度は大変なご迷惑をおかけし、誠に申し訳なく思っております。この場を借りて、一千万都民、そしてすべての国民の皆様へ、お詫び申し上げます」

 

 シンガーソングライター純一郎くんの初仕事は、またもや謝罪会見だった。こともあろうに、純愛ソングの歌い手は、ダブル不倫で相手を妊娠という大失態を演じてしまったのだ。

 

「週刊誌で報道された内容をお認めになるということで? 」

「僕は、逃げも隠れもせず、すべてを受け止めます」

 

「ダブル不倫をし、相手は妊娠。なおかつ、相手の夫はあなたの親友だった……よろしいでしょうか? 」

「すべて事実です。もし、君が僕を疑っているのなら、この喉を切ってくれてやります」

 

「相手の女性に一言ありますか?」

「オー、ダーリン」

 

「相手に子供ができたということは、いつお知りになったのでしょうか? 」

「苛立つような人混みに立ち、感情さえもリアルに持てなくなりそうだった時……ですかね」

 

「相手の女性から、どのようにして伝えられたのでしょうか? 何と言われたのでしょうか? 」

「生涯を君に捧ぐ……と」

 

「その時、何と答えましたか? 」

「失くしちゃいけない物が、やっと見つかった気がする、と」

 

「相手の女性と知り合った経緯を教えて下さい」

「成り行きまかせの恋に落ちてしまった……といったところです」

 

「それが、親友の奥様だとは知っていた? 」

「知らぬ間に気づいていました」

 

「相手との子を認知していると伺いましたが、お名前はどうするのでしょうか? 」

「愛、希望、夢……あたりでどうでしょう。足元に転がっているような、ありふれているけど素晴らしい言葉を使いたいです」

 

「養育費については? 」

「『いつまでも君に捧げる』と言ってあります」

 

「今後の歌手活動については? 」

「あるがままの心で生きられぬ弱さを、誰かのせいにしないよう気をつけたいと思います」

 

「後悔はしていますか? 」

「後悔も反省もしています……妙なプライドなんか捨ててしまえばいい……そう思って今回の会見に臨みました」

 

「周囲の人間及び、ファンの心を傷つけたという認識は? 」

「仮に誰かを傷つけたとしても、その度に心をいためる様な時代ではないでしょう」

 

「最後に一言お願いします」

「反省という形のないものを、みなさんに伝えるのは非常に困難だと感じました。だから、この名も無き子を将来の希望として、いつまでも大切にしていきたいと思っています。それから、僕は年齢からすれば大人ですが、まだまだ未熟な大人、ミスター・チルドレンでした」

続く

今日の格言

「名曲は形を変えても心に響く」

 

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