『シナリオの基礎技術』のレビュー[ストーリー,人物,場面,構成]

2017年11月8日

起承転結を基本にした、ストーリー作成法

 「プロット」をつくる意味は2つ。一つは、断片的なアイディアをまとめることです。小説のアイディアをプロットにまとめて適時情報を加筆・修正していくことで、長いストーリーを練り上げることができます。もう一つは、小説の設計図になることです。あらかじめ設計図をつくっておくことで、小説のテーマや方向性をいつでも確認し、小説の軸がぶれないようにします。長い文章を書いていく小説ではこれは非常に重要で、書いているうちにあらぬ方向へ話がそれることを防げます。また、例えば途中で小説の方向性を変えたい時やこれまでとは違ったアイディアが生まれたとき、設計図があれば軌道修正が容易になります。

 実際に「プロット」をつくってみればわかりますが、小説を書く上でこれほど便利なものはありません。ぜひとも利用してみてください。

「シナリオの基礎技術」のレビュー – もくじ

<プロットを利用したストーリーの書き方>

<キャラクター・登場人物の書き方>

  • キャラクター・人物の基本事項
    • キャラクター・人物の種類
    • キャラクターのアイディアの出し方
    • 小説の中でのキャラクターの紹介の仕方
  • キャラクター・人物を作る際の注意点
    • 人物紹介をしっかり行う
    • 型にはまった人物を作らない
    • 人物の性格や感情が出ない場合の対処法

<小説の場面描写の方法>

  • 舞台・場面の種類と選び方

<小説の構成のポイント>

  • 「メイン要素とサブ要素」「省略(必要なものだけ書く)」「面白さ」
  • メインのシーンとサブのシーン
    • サブのシーンは、メインのシーンと関連付ける
    • 主人公が登場しないサブシーンの書き方
  • 構成上のテクニックについて
    • 面白さを出すため「制約」と「伏線」
    • 伏線は様々な応用が利く便利な技術
    • 会話のシーンを「面白く」する方法
    • 魅力的な主人公を描く

プロットを利用したストーリーの書き方

 小説の物語・ストーリーを簡略化したものがシナリオ・プロットで、プロットを膨らませていくと無理なく長いストーリーが書けます。では、プロットを作る上で重要なのは何か? それは「起承転結」を使って話の展開を意識することです。起承転結とは物事の順序を現す四字熟語で、ストーリーに起伏をつける時の良い例になります。

 ここでは、起承転結を意識してプロット作成し、プロットを徐々に膨らませていくことでストーリーを作る方法を紹介します。かなりのボリュームになってしまうので、個別にまとめてあるので、是非ともそちらを参照してください。かなり詳しく・丁寧にまとめてあります。

キャラクター・登場人物の書き方

 キャラクター・人物の基本事項

キャラクター・人物の種類

  • 主人公:
    どこから見ても完全な個性を持っている。
  • 脇役:
    主人公の同僚、友人など。主人公の公私いずれかの面で完全な個性を持って描かれる。
  • 端役:
    会社の受付、飲食店の店員など。ある一点に限って個性を持っているもの。

 小説の中では、主人公はいつでもはっきりした個性を示す必要があり、脇役を必要以上に目立たせてはいけません。例えば企業を舞台にした小説ならば、主人公は会社での働きぶりと共に、私生活もしっかり描かれるでしょう。一方、脇役である主人公の同僚については、会社で深く関わりあうことはあっても、プライベートは描かないのが基本です。

 また、原則としてプライベートを持ち込まないことで、いざというときにアクセントとして使えます。例えば主人公が仕事でトラブルを抱えたとします。そこで同僚に助けを求めたところ、そんな時に限って同僚が私的な事情で仕事が手につかず、逆に相談をもちかけられたらどうでしょう。原則としてプライベートを持ち込まないというキャラクター設定がしっかりしていれば、このようにしてストーリーにアクセントをつけることができます。

 その他、キャラクターの種類をしっかり分けることで、読者にそれぞれキャラの重要度を知らせる意味もあります。さほど重要でない端役のキャラが過剰に個性を出すと「ストーリー上で何か意味を持っているのか」と読者が勘違いしてしまうので、注意しましょう。

 キャラクターのアイディアの出し方

 キャラクターを作る方法は「モデルがいる場合」「テーマから生み出す場合」の2つがあります。モデルがいる場合にはまずは観察・分析し、容姿、服装、性格、口癖など、些細なことでもいいのでメモをとっておくと、後になって話の中で使えることがあります。

 逆に、テーマからキャラクターをイメージする場合は、イメージを具体化しなければなりません。先ほどあげた特徴に加えて、「クセ」や「弱点」を考えると、イメージが膨らみやすいです。

小説の中でのキャラクターの紹介の仕方

  • 性格……あくまでストーリーの進行の中で紹介する。説明してはダメ。
  • 境遇……テーマやストーリーのために必要な立場。
  • 職業・地位……細かい所まで明確に。
  • 人間関係……利害関係、上下関係など。

  性格について注意点は、キャラクターの行動や発言で表現するということです。直接的な説明ばかりしていると、機械的な文章になり違和感を与えてしまいます。境遇については、家庭・経済状況、人間関係、身分・地位を指します。特に、その人の意志とは関係なく定められた状況です。例えば家庭・経済環境ならば、育ちが裕福、親の借金を肩代わりをしている、母子家庭などが境遇でしょう。特に登場人物の個性が表れるという点で、テーマやストーリーに深く関わる可能性が高いです。

 職業・地位については、サラリーマンならどの課に属し、課の中でどのような位置にあるかなど細かいところまで明確にした方がいいです。人間関係については、キャラクター同士の利害関係を考えることで、個性や性格がはっきり出るようになります。その際、例えば相槌や挨拶を工夫すれば説明がなくとも関係がわかります。他にも、しぐさなども使えます。本の中では、このような人間関係を表す言葉や動作は、日常生活の中で人間観察をするとよくわかるとあります。

キャラクター・人物を作る際の注意点

人物紹介をしっかり行う

 人物紹介については、まずは大前提があります。それは、人物紹介はエピソードを使い、キャラクターの言動で示していくことです。説明的になってはいけません。それを踏まえた上で、人物紹介については、「性格の統一」と「早い段階での紹介」がポイントです

 まず「性格の統一」については、現実の世界では個々の人物の性格はあっても、その統一性は薄いです。その時々によって言動にブレがあります。しかし、それを小説で忠実に再現しては、キャラクターの輪郭がぼやけてしまいます。現実の世界で「自分を持っている」「考えがしっかりしている」と言われているような人をイメージして、言動にブレのない人物紹介を行いましょう。

 また、仮に性格と異なる言動をするにしても、納得できるような理由をきちんと描きます。何らかの事情、あるいは心の変化などをしっかり描けば、ブレが出てもいいということです。また、もう一つ、本の中で「感情は変わっても性格は変わらない」とあります。表面的な言動は変わっても、根っこの部分は変わらないように描けばいいということでしょう。

 「早い段階での紹介」については、『シナリオの基礎技術』の中では「全体の1/5~1/4で済ますべき」とあります。5章立ての小説ならば、1章でしっかり紹介しておく必要があります。

型にはまった人物を作らない

 本の中では悪い例をいくつかあげています。例えば、老人の語尾が「~じゃ」というものです。ごくごく一般的な老人を登場させるにしても、言葉や容姿だけ老人にするのではなく、しっかりしたキャラクターづくりが重要ということです。他にも、複数の学生が会話する例が本のなかであげられています。同じ肩書をもつ人物が会話する場合でも、どのセリフを誰が言っても伝わるような書き方ではいけません。

  これらのことに注意してキャラクターをしっかり作るコツとして「人物の名前を自分のイメージに従って決めておく」方法があります。明るい女性は「陽子」、冷たい女性は「令子」などとすることで、小説を書いていく中で、キャラクターの性格の軸がぶれません。シンプルですが、効果的な方法だと思います。

人物の性格や感情が出ない場合の対処法

 性格については、例えばあるキャラクターが、毎回同じようなセリフしか言わない状態になることがあります。それを避けるためには、個々のキャラクターの持っている「事情」を絡ませるといいです。家庭、交友関係、職場などでそのキャラクターがどのような状況にあるかをセリフに反映させれば、性格が出やすいということです。

 感情については、ストーリー進行に気を取られるあまり、キャラクターの感情がストーリー進行の犠牲になってしまうことがあります。ストーリーの枠組みは固めすぎないこと、もしストーリーの流れに反する感情が生まれそうなら、思い切って方向を変えてみるのもいいでしょう。

小説の場面描写の方法

舞台・場面の種類と選び方

【シーンごとに舞台・場所を選ぶ】
  • 人物や話題が集約される場所をつくる:
    情報量が多く、盛り上がりやすい。効率が良い。
  • 感情が表れやすい場所を選ぶ:
    各シーンの説得力が高まることを意識する

 人物や話題が集まっている場所は、小説のクライマックスなどがわかりやすい例です。キャラクターや、それまでの話題が一箇所に集まり、ストーリーを盛り上げます。また、クライマックス以外でも、テンポよく、無駄なくストーリーを展開するために重要です。

 感情が現れやすい場所については、例えば「喜び」を伝えたいときは主人公の良い思い出がある場所、あるいは親友の家などは感情が自然と出やすいです。また、「怒りやイライラ」を伝える場合なら、満員電車などどうでしょうか? ただでさえイライラしているところに、窮屈で息苦しく、それでいて周りにいるのは見ず知らずの他人だらけということで、そこにいる登場人物は抑圧された状態になります。そこで他の通勤客とトラブルになり、一気に感情が噴き出すというのは自然な流れでしょう。

 一方で、あえて制約を設けるという方法もあります。例えば「喜び」を伝えたいシーンであえて「葬式」を使うとどうでしょう? 真逆の「悲しみ」を感じさせる場所であり、礼儀やマナーも問われる場面です。葬式とは全く別のことで嬉しいことがあった人間を、あえて葬式会場に置いてみる。これはいわゆる対比ですが、人の感情と言うのは抑えようとすれば逆に増幅していくものです。

【舞台・場面描写の注意点】
  • 理由や意図をはっきりさせてから舞台・場面を選ぶ

 例えば「喫茶店」の場面を描く時でも、喫茶店にはいろいろな種類があります。チェーン店か個人経営か、新しい店か古い店か、高級志向、若者向け、女性向け、値段が安いなどなど種類はいろいろあります。ここで例えば「この店は良く知ってて書きやすいから、ここにしよう」と選んでしまうと、その場面の特性が自分が描きたい内容と無関係になってしまいます。

 まず自分がその場面で何を伝えたいか考え、そのためにはどういう喫茶店が最適か考えます。次いで、喫茶店の種類を書き出していき、それぞれの特性を考えた上で選択します。何でもないシーンなに使う場合ならまだしも、何度も使う場合を適当に選んでしまうと、後々になって引き出しが少なくなりストーリーの展開などに悪影響を及ぼします。