エセ科学と怪しい副業

金も健康も楽して手にしたい日本人

だましの手口 (PHP新書)

 

人は「胡散臭いもの」が好き!?

酵素ドリンクと水素水

 最近よく見る胡散臭いものといえば、酵素ドリンクがある。これまで摂取しなくても普通に生きてきたものを、「摂取しなくちゃならない」なんて言ってせっせと飲んでいる。そもそも酵素なんて体の中にたくさんあるし、日本の発酵食品を食ってれば摂取することも簡単。酵素ドリンクを飲む前に、酵素は何かっていう知識を頭に入れたほうがいいんじゃないの?

 もう一つは水素水だけど、これもまだまだ研究が始まったばかりのもの。人体への臨床実験もろくにしてない段階で、コンビニでペットボトルに入れて売るなんてのは早すぎる。そもそも、水素を水に溶かしたってすぐに気が抜けちゃうし、ペットボトルじゃ密閉できないはずだよ。コンビニに届く頃にはただの水になってる。「水を分解すれば酸素と水素になるから、水蒸気を吸えば手軽に摂取できます」なんて言ったら、本当にやる奴がいそうで怖いね 笑。まあ、病は気からって言うし、プラセボ効果もあるから、「信じるものは救われる」ということにしておこう。

 

胡散臭い金儲け

 胡散臭いものといえば、最近はやってる「副業」。ネットで転売したり、株で楽に稼ぐとか、あるいは適当な動画をつくって儲けるなんて話。昔からあるマルチ商法もネットでたくさん見かける。こういう話は腐るほどあるけど、どうしていつの時代も人はこれらに飛びついてしまうのか。ここまでくると、人は本能的に胡散臭いものを求めているんじゃないかと思ってしまう。あえてそこに飛び込んで、騙されて、上手く行かなくて、「ああやっぱりダメなんだ」って再確認する。予防接種じゃないけど、ちょっと危ないものに手を出して、免疫をつけてるんだよ。子供なんてのはうまい話にすぐ乗って痛い目にあって、そこで学習する。あれと同じことを本能的にやってしまうんじゃないか?

 これまではそういうものに手を出すのは、世の中を知らない若い人間だけだった。楽して稼ごうなんて考えているのは、せいぜい20代まで。でも、最近じゃ30を超えても甘いことを考えている人がどんどん増えてきている。これは思うに、今の30代前後の人間は、子供の頃に「夢は叶う」って言われ続けてきたのが原因だよ。自分が30代だからよくわかるけど、親も教師もテレビのコメンテーターも、周りにいる大人はみんな「夢は叶う」って言ってたからね。でも、今の30代の親世代は、バブル崩壊とか平成不況を経験してる。それなのに「夢は叶う」なんて言い続けてきたのは、ちょっと無理があるね。

 

 

理想と現実をつきつけられた世の中の30代

 世の中をよく見てみると、今の30代ってのは、親の世代と比べて収入はかなり低い。むしろ、昔が高すぎたんだ。一億総中流なんて言われてた時代だから、年収1000万近くなんてザラだった。みんな持ち家だし、ものを買うにも我慢する意識はそれほどなかっただろうし、ちょっとした贅沢も気軽にできた。そんな家庭で育った子供が、いざ大人になると、思っていたことと違う。夢が叶うどころか、小金持ちにすらなれない。子供時代と社会人時代とで、まったく逆の世界を目の当たりにした世代だ。その世代の人間が胡散臭い副業とか詐欺に加担してるし、引っかかっている。親はあんなに金あって、子供の頃は楽しかったのに、なんで俺だけ……って話だ。

 簡単にいえば、夢見ることを捨てられない人間。普通の仕事に満足できず、胡散臭い副業に手を出す。「1日30分の作業で月40万」なんていかにもな誘い文句に引っかかってしまう。だいたい副業で本業より稼ごうって魂胆が気にくわない。本業がいまいちなのに、どうして副業なら簡単に成功できるんだ? 何年もやってきた本業で出世して昇級しようって根性もない奴が、どうして副業で成功できるんだよ。あのマイケルジョーダンだって、野球選手としてはダメだったろう。副業で本業超えられるのはごくごく一部の人間。ぎりぎり「世界の北野」くらい。

 

結局は「楽して金欲しい」だけ

 安易に副業に手を出す奴とか、中途半端な努力で夢を叶えようとする奴は、結局は楽して金欲しいだけなんだろうね。辛い仕事からも責任のある立場からも逃げて、都合の悪いことからは目をそらす。そういう奴はまずは内職から始めたほうがいいね。シール貼りとか、干物の網つくったり、ブラジャーの型つくったり。労力の割に全然稼げないんだから。自宅でマイペースで仕事したいってだけでも、お金を稼ぐためのハードルは高くなるんだ。楽して金が欲しいなら、才能と頭が必要だし、それが無いならルールを破ることになる。その辺をよく考えれば、妙な副業に引っかかることなんてないのにね。

 話がだいぶ逸れたけど、胡散臭い商品を欲しがるのだって、根本は一緒だと思うよ。簡単に健康や美しさを手に入れられる、都合のいい商品に目がくらんでるだけなんだから。それに、健康も美しさも、結局は生まれ持った才能によるところが大きいはずだよ。タバコを吸いまくっても長生きする人もいれば、タバコを吸ったことがないのに肺がんで死ぬ人もいる。生まれ持った美人は意外と化粧品には無頓着。安い量販品使ってたり、ろくに化粧水も使ってなかったり。それを周りの人は「手をかけ過ぎないのが美の秘訣」なんて都合よく解釈するんだから。結果論でしか物事を語ってないってわけだよ。

 では、胡散臭いものとどう向き合うか? 例えば健康食品なんかは、娯楽の一つと考えて、効果を期待せず楽しむのが一番だね。怪しい商売なら、その仕組がどうなってるのか観察してみる。あるいは、馬鹿馬鹿しい謳い文句や誘い文句をギャグとして楽しむことだね。マルチ商法の説明文なんて、よくよく見てみるととんでもないこと書いてあるんだから。騙す側と騙される側で一緒になってコントをやってるって考えれば、少しは楽しむことができるんじゃないの? 笑。

 

おまけ

酵素と水素水の謎

酵素は体にいい?

 いつの時代も世の中には胡散臭い商品ってのがある。胡散臭いと言っては失 礼なので、よくわからない商品。最近目にするのは、酵素ドリンク。まず酵素ドリンクだけど、なんであんなに酵素酵素言ってるのかよくわからないね。これま で摂取してこなくても平気だったものを、みんなこぞって「体に良い」って言って、そのうち「摂取しなきゃならない」ってなっている。そもそも酵素ってどう いうものかわかってる人がどれくらいいるのか。酵素は人間の体の中で、化学反応の手助けをする物質。食べ物を消化する時や、代謝を行う際など、体の中で行 われている様々な活動に欠かせないもの。これだけ聞くと酵素を摂取することは体にいいことに思えるけど、そう単純じゃない。

 その前に、酵 素なんて普通に食事してりゃ簡単に摂取できる。代表的なのは発酵食品。味噌でも醤油でも納豆でも、昔から馴染みのある食品には酵素が含まれている。納豆な ら、納豆菌などの微生物の他に、アミラーゼやらリパーゼやら様々な酵素が含まれている。ただ、こういった酵素は、そもそも人間の体の中にある。唾液とか胃 液とか、消化器官から分泌される消化液に含まれているもの。加えて、食物から摂取した酵素と体の中にもともとある酵素が同じ働きをするかどうかは不明。い くら体にいいものでも、外から摂取した酵素がそのまま体内で働くかどうかは別。納豆の酵素だって、大豆を発酵させて様々な栄養素を生み出したり、消化吸収 しやすい形にしているだけで、酵素そのものが体にいいかどうかは別の話。

急に登場した水素水の謎

  もうひとつ気になるのは水素水。今ではコンビニでペットボトル入りで売られているくらいだけど、実際の効果はどうなんだ? なんて思ってたら、この前新聞 にその真偽に迫る記事があった。元々は、日本の生物学の教授が真面目に研究していたもので、活性酸素を除去する働きがあるってもの。世界的な学術雑誌に論 文を寄稿したらしいから、きちんとした研究であることは間違いない。ただ、実験室レベルで効果があったというだけで、生体実験も大半は動物実験。リウマチ 患者に高い効果が見られたって話もあるけど、まだまだ研究が始まったばかりのもの。つまり、まだコンビニで売るには早いって話だ。

  記事の中で気になったのは、水素の特性について。炭酸などと比べても揮発性が高く、2時間ほどで空気中に消えてしまう。また、ペットボトルなどの容器では 蓋をしていても容器を透過してしまう。店に輸送する途中で水素は全部外に逃げてしまうって話。こんな不安定な気体を扱うには、コンビニやスーパーなどは無理があるということ。

 

疑似科学入門 (岩波新書)

 

【関連記事】

[article mode=”cat” id=”37″ numberposts=”5″ tail=”
“]