ROLLING STONES(ローリング・ストーンズ)まとめ【おすすめアルバム,名盤,レビュー】

2017年11月8日

ローリングストーンズまとめ – もくじ

  • ローリング・ストーンズのプロフィール
    基本情報/ローリングストーンズってどんなバンド?
  • アフターマス』(1966年)
    初期の傑作。作曲能力が開花!
  • ベガーズ・バンケット』(1968年)
    ルーツへの回帰。ロックの方向性を示した作品。
  • レット・イット・ブリード』(1969年)
    60年代のロック界を代表するアルバム
  • スティッキー・フィンガーズ』(1971年)
    文句なしのキャリア最高傑作!
  • メイン・ストリートのならず者』(1972年)
    聞けば聞くほど味が出る「スルメ」アルバム!
  • サム・ガールズ』(1978年)
    パンクを諭してディスの波に乗る!

★以下のアルバム中心に随時更新予定。
ザ・ローリング・ストーンズ』 『アウト・オブ・アワ・ヘッズ』『ビトウィーン・ザ・バトンズ』『サタニック・マジェスティーズ』『山羊の頭のスープ』『イッツ・オンリー・ロックン・ロール』『ブラック・アンド・ブルー』『エモーショナル・レスキュー』『刺青の男』『ヴードゥー・ラウンジ』『フォーティ・リックス』『ア・ビガー・バン』『ブルー&ロンサム

ローリング・ストーンズのプロフィール

基本情報

ローリングストーンズってどんなバンド?

  • ビートルズと同世代。半世紀を超えるキャリアでメンバーが70代になった今もバリバリの現役!
  • 「アイドル」のビートルズと「不良」のストーンズ。
  • 60年代「イギリス4大バンド」の一角。
  • レコーディング・ミュージシャン」のビートルズと「ライブ・バンド」のストーンズ
  • 無駄を省いたシンプルで汚い音。元祖「ヘタウマ」バンド。
  • 黒人音楽で鍛えたグルーヴの申し子。
  • ストーンズの歴史をたどればロックの歴史が大体わかる

Aftermath(アフターマス)』(1966年)
初期の傑作。作曲能力が開花!
★おすすめ★


アフターマス

【白人バンドが黒人ブルースを作るとどうなるか?】

 これまでブルースのカバーを中心に、オリジナル曲を加えてアルバム作成をしていたストーンズ。本作は初めてジャガー/リチャーズ作の曲のみで構成されており、バンドにとって大きなターニングポイントになった。「黒人の音楽であるブルースを、白人がつくったらどうなるか?」その一つの答えを示した作品でもある。黒人ブルースの背景には「奴隷」や「差別」という悲しい歴史があり、加えて黒人独特の感性がある。しかしストーンズはあくまで白人だ。それに、イギリス出身である。ブルースの重いバックグラウンドは置いておき、ブルースの持つ音楽的な特性を取り入れつつ、独自の歌詞を乗せていく。これがストーンズが出した答えである。結果どうなったか? ブルースのノリやリズムに「女・酒・ドラッグ」の歌詞を乗せ、大衆受けしやすいメロディーで仕上げる、という結果となった。これがストーンズである。#1,3,5は歌詞の内容のために批判され放送禁止などの処置もとられた。

【ブライアンジョーンズの才能と影】

 アルバムを語る上で欠かせないのは、ブライアン・ジョーンズの存在である。この頃はまだまだ元気だったブライアンは、アレンジャーとしての才能をいかんなく発揮している。とりわけ#4,9でのマリンバがすばらしく、#4はバンドのキャリアを通じての代表曲に、#9はシングル化されヒットしている。ブライアンのマリンバがなければ、そこまで評価されていなかっただろう。それくらい彼の感性は素晴らしい。シタールダルシマーなどの楽器も取り入れており、やはり曲の中で素晴らしいアクセントとなっている。

 だが一方で、これはブライアンが壊れ始めている証拠でもある。彼がストーンズを去った原因はいろいろあるが、一つはミックとキースへの嫉妬である。本作で作曲能力をいかんなく発揮した彼らに対して、ブライアンに作曲センスは全くなかったと言われている。全曲オリジナルで構成されたこのアルバムは、彼にとってショックであっただろう。だからこそ、特殊な楽器で存在感を示していたのだ。彼には天才的な演奏能力があったためそれが成功しているが、根本的な問題は解決していない。

 本作以降、バンドは当然オリジナル曲中心ででアルバムをつくっていく。そして徐々に、バンドの主導権はミックとキースに移る。次作ではブライアンはさらに他の楽器にも手を出し、徐々にプライベートでもバンド活動でも問題を起こし始める。彼がバンドを去ることになるのは、本作から3年後のことだ。

【収録曲】※UK版
  1. マザーズ・リトル・ヘルパー (Mother’s Little Helper)
    歌詞の内容はちょっと訳ありで、捻くれて陰のあるメロディーが陰鬱な曲の雰囲気を作り出す。キースのスライド奏法によるどくどくのギターの音が楽しめる。
  2. Stupid Girl
  3. Lady Jane
  4. アンダー・マイ・サム(Under My Thumb)
    ブルースロック。ギターはキースによるもので、ブライアン・ジョーンズはマリンバに専念。彼のプレイがこの曲の全てと言ってもいい。とは言え、歌詞の内容とミックの表現力が際立つ。
  5. Doncha Bother Me
  6. ゴーイン・ホーム (Goin’ Home)
    ブルースロック。ストーンズの曲の中でも11分とかなり長い。アドリブ演奏をそのまま録音したことで、後半のジャムを存分に楽しめる。本作の目玉とも言って良い、インパクトのある作品。
  7. Flight 505
  8. High and Dry
  9. アウト・オブ・タイム(Out of Time)
    ここでもブライアンのマリンバが登場。やはり彼のプレイが曲の印象を決定づけている。
  10. It’s Not Easy
  11. I am Waiting
  12. Take It or Leave It
  13. Think
  14. What to Do

Beggars Banquet(ベガーズ・バンケット)』(1968)
ルーツへの回帰。ロックの方向性を示した作品。
★おすすめ★


ベガーズ・バンケット

【名曲「悪魔を憐れむ歌」】

 ストーンズの作品として、そしてロックの歴史において重要な位置を占める本作。バンドのルーツにあるブルース(#3,4,8)、フォーク(#2)、カントリー(#3,9)といった音楽を取り入れたロックアルバムであり、バンドの新たな可能性を示す曲(#1,6)も加わり、初期の最高傑作と呼ばれるほどの作品となっている。

 アルバムのスタートはストーンズの代表曲であり、数々のアーティストにカバーされている「悪魔を憐れむ歌」。コンガマラカスが生み出すサンバ調のリズムに独特のコーラス、さらに歌詞は「世界の黒歴史は悪魔の仕業だ」という内容。アルバムの1曲目としてこれ以上ないインパクトを持っている。そこから一転、2曲目からはフォーク・カントリー・ブルースの色を前面に出した曲が続く。

【ロックの方向性を決めた作品】

 アルバム発表前のストーンズは、サイケデリック・ムーブメントの波にのまれ、音楽的にも試行錯誤の状態にあった。その間に出したオリジナルアルバムも評価が分かれるもので、バンドは方向性を見失っていた。そんな中、ミック・ジャガーはプロデューサーとしてジミー・ミラーを招聘し、新たな作品作りに乗り出す。結果的にそれが功を奏し、バンドは自らのルーツを見直すこととなり、バンドは黄金期を迎えることとなる。

 このアルバムによって見出した方向性とは何か? それは「ルーツミュージックを取り入れたスタンダードなロック」と言う音楽性である。これはストーンズだけでなく、この時代のミュージシャン全体に影響を与えたと言ってもいい。70年代に登場するアーティストも、その多くは自身のルーツとも言える音楽を発展させることで、オリジナリティを確立させたからだ。

【さようならブライアン・ジョーンズ】

 アルバムのレコーディングの時点で、ブライアン・ジョーンズはもはやまともに活動できる状態にはなかった。67年頃から薬物中毒に陥り、メンバーとの不仲も加わり、精神的にも行く大敵にもボロボロな状態にあった。自身の最も得意な楽器であるギターを手放し、ありとあらゆる楽器に手を出す。それもこれも、どんどん才能を開花させるミックとキースに対して、どんどん居場所を失うことへの苛立ちが原因だった。

 本作のレコーディングではギターの大半はキースが担当しており、ブライアンのまともなプレイが聞けるのは#2「No Expectations」くらいである。しかしながら、そこには彼の才能の高さがはっきりと示されている。ブライアンは演奏やアレンジに集中していれば、他のメンバーと上手くやっていけたかもしれない。しかし、あくまで彼はリーダーであることを望み、それが叶わない現実から逃れるように、ドラッグに飲まれていったのである。

 本作リリースの翌年にブライアンはバンドを脱退し、その1ヶ月後に自宅のプールで溺死しているところを発見される。いろいろな意味で、ストーンズが生まれ変わる姿を見られるアルバムというわけだ。

【収録曲】
  1. 悪魔を憐れむ歌(Sympathy for the Devil)
  2. No Expectations
    ブライアンジョーンズの遺作とも言える作品。彼のスライドギターがフィーチャーされた名曲。
  3. Dear Doctor
  4. Parachute Woman
  5. Jigsaw Puzzle
  6. ストリート・ファイティング・マン(Street Fighting Man)
  7. Prodigal Son
  8. Stray Cat Blues
  9. Factory Girl
  10. 地の塩(Salt of the Earth)

Let It Bleed(レット・イット・ブリード)』(1969年)
60年代のロック界を代表するアルバム!
★★おすすめ★★

Let It Bleed

【ブライアンジョーンズの脱退・死去】

 本作を語る上で欠かせないのは、制作中のブライアンジョーンズ脱退。前作の時点ですでにバンドから半ば離脱状態にあったブライアンは、1969年6月に正式にバンドを脱退し、約1ヶ月に自宅のプールで溺死。ドラッグとアルコールが原因と言われている。レコーディングではギターはほぼ全てキースが担当し、一部で後任のギタリスト「ミックテイラー」がエレキギターを担当している(#3,4)。

  • 1968年11月:
    「レット・イット・ブリード」レコーディング開始(~1969年11月)
    レコーディング途中からミックテイラーが参加
  • 1969年6月 :ブライアンジョーンズ脱退
  •  〃 7月:ブライアンジョーンズ死去
【ヒッピー文化、ベトナム戦争、オルタモントの悲劇】

  本作はまた、当時の時代背景、ロック界の変動を如実に表した作品となっている。1960年にアメリカの軍事介入によりベトナム戦争が始まり、反戦運動が起こる中で「フラワームーブメント」が起こった。いわゆるヒッピーの時代である。反体制という側面を持つロックはこれと深く関係があり、ヒッピー文化を盛り上げたのは音楽であり、サイケデリックロックというジャンルがそれを担った。反戦運動と言えば聞こえはいいが、結局はフリーコンサートに集まった若者が、マリファナLSDで気持ち良くなって「精神解放だ、自由だ」と叫び、そのままテントで男女が交わるという、まさに頭がお花畑のピープルだったわけだ。

 しかしながら、その幻想は69年に崩れ去る。ベトナム戦争が泥沼化し、各地で虐殺事件が起こり、簡単に言うとヒッピーたちはその現実に「引いて」しまったのである。「どうしようか、もうやめようか」と思い始めた中で、本作に伴うツアー中、大規模フリーコンサートが興奮した観客により混乱状態に陥り、警備員の手によって死者を出してしまう。これは「オルタモントの悲劇」と呼ばれ、ヒッピー文化の衰退と60年代ロックの終焉の象徴となった。

 これらの一連の出来事はアルバムにも影響を与えており、曲の中で扱うテーマや歌詞に「戦争、殺人、ドラッグ中毒」といったものが登場する。とりわけ、アルバム冒頭の「ギミー・シェルター」は69年の社会とロックを象徴した曲と言っても良い。

【前作をさらに深めた作品】

 「ベガーズバンケット」でバンドの方向性を再確認し、今作はそれをさらに深めた内容となっている。#2のブルースカバー、#3でシングル曲をカントリーへアレンジ、#5,6,7,8のブルース・カントリーナンバーと、得意のスタイルが続くが、ここで特筆すべきは曲のバリエーションの豊かさだ。#2ではシンプルかつ哀愁漂うブルースを演奏し、#3では一転リラックスした自由な演奏となり、#5では確立されたバンドのスタイルをもってカントリー・ロックを演じる。とりわけこの曲ではイアン・スチュワートの軽快なピアノが素晴らしく、キースのスライド・ギターとの掛け合いが曲を引っ張っていく。

 #6はアルバムのハイライトと言ってもいい曲であり、転調を取り入れた即興スタイルの長編ブルースであり、ストーンズ特有のグルーヴを醸し出す。続く#7はキースが初めてメインヴォーカルをとる。#8はストーンズ屈指の名曲であり、ミックの歌を始めとして演奏のテンションが非常に高く、渾然一体となったサウンドが渦を巻き、恐ろしいほどの高揚感をもって襲いかかる。自分で書いていて何を言いたいのかわからないが(笑)、この曲はめちゃくちゃ格好良い。

 とまあこんな感じで、このアルバムはストーンズの最高傑作の一つ。

【収録曲】
  1. ギミー・シェルター(Gimme Shelter)
  2. Love in Vain
    ロバート・ジョンソンのカヴァー。
  3. Country Honk
  4. Live With Me
  5. レット・イット・ブリード(Let It Bleed)
  6. ミッドナイト・ランブラー(Midnight Rambler)
  7. ユー・ガット・ザ・シルヴァー(You Got the Silver)
  8. Monkey Man
  9. 無情の世界(You Can’t Always Get What You Want)

Sticky Fingers(スティッキー・フィンガーズ)』(1971年)
文句なしのキャリア最高傑作!
★★おすすめ★★


スティッキー・フィンガーズ

【「ストーンズの音」の確立】

 「ベガーズ・バンケット」「レット・イット・ブリード」の2作でバンドのルーツを再確認し、音楽性を深めていったストーンズ。足元をしっかり固めた上で、さらなる進化を見せる。アルバム発売当時、音楽界では大きな動きがいくつかあった。とりわけ有名なのは、70年のビートルズの実質的な解散。それと入れ替わるように、ロック界にはハード・ロックが登場。その代表格となるレッドツチェッペリは、69年に発表したデビューアルバムで世の中に衝撃を与えた。

 ロックは激しいギターサウンドと音域の広いボーカルの時代となっていた。ストーンズも多かれ少なかれその影響は受けているが、あくまで自分たちのスタイルを保ったまま、音を進化させていく。とりわけこのアルバムで目立つのは、ギターを強調した音作りと、リフの多用だ。印象的なリフ主導の曲が目立ち(#1,4,6など)、以降のストーンズの曲のトレードマークにもなる。

 一方で、お得意のブルース(#5,7)やカントリー(#9)もしっかり入っている。特にカバー曲の#5You Gotta Moveなどは、ストーンズのセンスの良さが存分に発揮されている。はっきり言って、こんな曲をこんな風にアレンジしてアルバムのど真ん中に突っ込むというのは、他のバンドにはできない芸当。

【名プレイヤー「ミックテイラー」の加入】

 音の変化に関していえば、ブライアンジョーンズに代わる新メンバーのミックテイラーの存在が非常に大きい。随所でそのテクニックを見せ、アルバムの完成度に貢献している。隠れた名曲でもある#2でははミック・テイラーが曲作りに大きく関わり、アウトロで素晴らしいギターソロを響かせる。#4の後半部分では、3分にも渡るサックスとギターの素晴らしいジャムを展開している。時にキースを飲んでしまうほどの存在感を見せている。他にも、アルバムではボビー・キーズによるサックスが大胆に取り入れられており、随所で曲に迫力と華やかさを与えている。先述の#4のジャム部分も、彼のプレイの素晴らしさのためアドリブで加えられたものである。

【3人の才能が見事に結集】

 70年代あたりからミックジャガーとキースのセンスが爆発し始め、両者がアルバムを奪い合うと言う事態が起こる。いろいろな解説を読んでいくと、この時点でもすでに前作「レット・イット・ブリード」はキース主導、本作はどうもミックジャガー主導でミックテイラーと一緒にねりあげた曲が目立つ。そして次作はまたキース主導のアルバムとなる。

 この関係性は80年代初め頃まで続くのだが、キースはあくまでルーツ・ミュージックにこだわりを見せ、ミックはその才能とアイディアで様々なものを取り込んでいく。両者のバランスが合致すると今作のような傑作となり、合致しなくても名作ができる。さらにそこに、ミックテイラーの存在だ。彼はこれまでにないテクニックをストーンズにもたらした。結局数枚のアルバムに参加してストーンズを去ってしまうのだが、ミックとキースを含めて、3人の才能が衝突することなく溶け合ったのは、やはりこの作品だろう。

【収録曲】
  1. ブラウン・シュガー(Brown Sugar)
  2. スウェイ(Sway)
    ファンの間で人気の名曲
  3. ワイルド・ホース (Wild Horses)
  4. Can’t You Hear Me Knocking
    終盤でミックテイラーとサックスのジャムセッションが楽しめる。
  5. ユー・ガッタ・ムーブ(You Gotta Move)
    黒人霊歌をもとにしたフレッド・マクドウェル録音バージョンのカバー。エアロスミスなどもカバーしている作品。
  6. Bitch
  7. I Got the Blues
  8. シスター・モーフィン (Sister Morphine)
  9. Dead Flowers
  10. Moonlight Mile

Exile on Main St.(メイン・ストリートのならず者)』(1972年)
聞けば聞くほど味が出る「スルメ」アルバム!
★★おすすめ★★

Exile on Main St.

【バカンスしながらキースがつくったアルバム】

 キース主導で作られたアルバム。イギリスの高い税率(所得税は最高で80%という異常事態)から逃れるべく、キースは南フランスの居を移し、バカンスのような生活をしつつ、地下室に設けられたスタジオでレコーディングを始める。一方ミックジャガーは、新妻と共に社交界での生活を満喫していた。

 南フランスと言えばバカンスで有名な場所。その土地柄も相まって、キースはドラッグを常用しながらダラダラとレコーディングを進めていく。70年代後半に深刻な麻薬中毒に陥る遠因ともなった。しかし、この時点ではキースはまだピンピンしている。ミックジャガーもマスコミもいない中、とことん自分の好きな音楽を追求していく。その結果、アルバムは「スティッキー・フィンガーズ」のようなインパクトはないものの、キースの感性を生かした、ブルースやファンク、カントリーのフィーリングをそのまま音にしたような作品となる。

【ロック史に残る名作へ】

 独特の作風に当時は評論家の意見は分かれた。一方は大絶賛し、一方は「良いアルバムだがベストではない」。しかし、アルバムは年を追うごとに評価が上がっていき、今ではストーンズの最高傑作として名前があがるほど。それどころか、ロック史上に残る名作という評価が定石だ。

 初めて聞くとつかみどころがなく、独特の音やフレーズに不思議に思うかもしれない。しかし、聞き込んでいくうちに徐々に曲の魅力が浮かび上がってきて、そのうち何度でも聞きたくなる。まるでそうだな、印象派のモネの絵みたいだな。モネもフランス出身だし、ちょうどいいだろう(やっつけ)。そういうわけで、モネの画像を一枚貼っておく。


Le Jour ni l’Heure 8174 : Claude Monet, 1840-1926, Soleil couchant sur la Seine à Lavacourt, effet d’hiver, 1840, dét., musée du Petit Palais, Paris, mardi 11 mars 2012, 16:55:54 / Renaud Camus
クリエイティブ・コモンズ 表示 2.0 一般

 ついでに、このアルバムに限った話ではないが、キースはグラム・パーソンズの影響を多分に受けていたようで、レコーディングの最中にも家で一緒に演奏や作曲をして楽しんでいたそう。確かにグラム・パーソンズの曲調を想起させるような曲が前半に見られる。

 また、忘れてはならないのはやはりミックテイラー。相変わらず安定したプレイでキースの曲作りを支えている。キースに最大限配慮しながら、自分の良さを出そうと言う感じがこの辺のアルバムでよくわかる。レコーディングの最中もキースと二人で曲作りを進める場面が多かったようで、ミックジャガーにとってもキースにとっても、彼の存在は非常に大きかったのだろう。前作と今作とで、まるでテイラーを取り合っているようだ。

【収録曲】
  1. Rocks Off
  2. Rip This Joint
  3. Shake Your Hips
  4. Casino Boogie
  5. Tumbling Dice
  6. Sweet Virginia
  7. Torn and Frayed
  8. Sweet Black Angel
  9. Loving Cup
  10. Happy
  11. Turd on the Run
  12. Ventilator Blues
  13. I Just Want to See His Face
  14. Let It Loose
  15. All Down the Line
  16. Stop Breaking Down
  17. Shine a Light
  18. Soul Survivor

Some Girls(サム・ガールズ)』(1978年)
パンクを諭してディスの波に乗る!
★★おすすめ★★


サム・ガールズ

【カナダでの逮捕とクリーンアップ】

 1977年2月、ライブのために訪れたカナダにて、キースは麻薬密輸の容疑で逮捕されてしまう。刑務所へ拘留される可能性もあり、バンドは活動停止の危機に陥る。しかしこの事件が、70年代にドラッグ漬けだったキースと、そしてバンドの復活のきっかけとなる。キースは1年の執行猶予と2回のチャリティーコンサートという刑に処され、なんとか収監は免れることができた。これを期にドラッグ中毒の治療に乗り出し、長年の恋人アニタとも別れ、キースの健康状態は回復へと向かう。

【パンク・ロックの波】

 70年代の終わりごろ、セックス・ピストルズの登場と共にパンクブームが到来する。1977年に発表したファーストアルバムはロックが元々持っていたカウンターカルチャーの要素を前面にだしたものであり、産業化していたロックは逆に批判にさらされる。当然ながら、ロックバンドの代表格であるストーンズも標的にされた。加えて、ビージーズなどを代表とするディスコブームも訪れており、その後の80年代のマイケルジャクソンのダンスミュージックブームへとつながっていく。メディアも大衆もこぞって大御所ロック・バンドを非難する中、ミックがそれに対抗心を燃やす。

【ミック・ジャガーがやる気を出すとすごい】

 70年代のストーンズはかれらの黄金期でもあり、一方で不調の時期も目立った。キースのドラッグ問題もそうだし、ミック・テイラーの脱退、キースとミック・ジャガーの対立もあった。70年代後半のアルバムは低評価で、大衆にとってはまさに格好の標的となったわけだ。ミック・ジャガーという人物は、流行が大好きであり、大衆やメディアの目も非常に気にするところがある。それもこれも、彼の音楽ビジネスの才覚と、スターとしての自己顕示欲から来るものだろう。こういう時にこそ、ミックは力を発揮する。

 キースの裁判の結果を待ちながら、ミック主導で行われたレコーディング。すでにメンバーとして定着していたロン・ウッドの存在が大きい。ロンはメンバーになる以前からキースと仲良しで、キースの復活に少なからず貢献したはずだ。そして、キース不在の場合には、ミックにとって貴重なギタリストとなる。そしてミックもギターを弾く。冒頭の「ミス・ユー」を始めとして、ミックはギタリストとして貢献。堅実なミックのリズムギターが楽しめる。ディスコをちょこっと摘まんで、パンクとは対照的なリラックスした楽曲により、アルバムは大ヒットを記録する。

【ドラッグへの別れと新たな問題】
  • Well here’s another goodbye to another good friend
    また親友と別れの時がきた
  • Gonna find my way to heaven, `cause I did my time in hell
    生きてる間に地獄を見たんだから、せめて天国への生き方を教えてくれ
  • After all is said and done
    やりたいことやって言いたいだけ言ったら
  • Gotta move while it’s still fun
    楽しいうちにまた動き出さなきゃ
  • Let me walk before they make me run
    あいつらが俺を追い立てる前に、早く動き出さなきゃ

 キースがヴォーカルをとる#8「Before They Make Me Run」の一説。音楽の歌詞と言うのはどうにでもとれるが、裁判中にキースが書いたものだと考えると、その意味も見えてくる。昔の音楽界では有名なミュージシャンが若くして死ぬことは多かった。キースの友人、そしてキース自身にも当てはまることだ。そんな死への恐怖を感じながらも、前に進もうという意味が見えなくもない。

 キースも回復へ向かい、メンバーも固まり、バンドは好調。と思いきや、そううまくはいかない。キースが元気になると今度はいつものミックとキースの対立が始まる。すっかり元気になった分、今回の対立は長期化・泥沼化することになる。

【収録曲】
  1. Miss You
    ミックがビリー・プレストンとのジャムによって生み出した曲。自身もギターを演奏。
  2. When The Whip Comes Down
  3. Some Girls
  4. Lies
  5. Far Away Eyes
  6. Respectable
  7. Before They Make Me Run
  8. Beast Of Burden
  9. Shattered

洋楽

Posted by hirofumi