【70年代プログレッシブ・ロック】洋楽ロックの名盤とおすすめバンド②

2018年3月6日

ピンク・フロイド(1965年~)
プログレの枠を超えた世界的バンド

 ピンク・フロイドはプログレの代名詞とも言っていいくらいのバンド。そして、プログレの枠を超えて、世界でももっとも評価、そして成功したロック・バンドでもある。どれくらいすごいかと言うと、アルバム『狂気』は日本を含めた古今東西、世界中のアーティストが一度は通る作品。その上、発売当時の時代背景も影響して、世界中で数千万枚も売れたというモンスターアルバム。ミリオンで騒いでる場合じゃない。桁が一つ違う。まさに桁違い、規格外。『ザ・ウォール』も同じくらい売れた。数千万枚のヒットを記録した作品を2つも世に出しているバンド。恐ろしい。

狂気』(1973年)
ロック界に燦然と輝く伝説の名盤!!

【優れたサウンドと歌詞、内省的なテーマ】

 まずはロックの歴史的名盤『狂気』。ピンク・フロイドを知るにはまずはこの一枚。作品の内容や音楽性については、以下の引用部分がわかりやすい。

ウォーターズに よる哲学的な歌詞に加え、それを際立たせる立体的な音作りで、完成度の高い作品に仕上がっている。特に、アラン・パーソンズが編集したSE(効果音)の巧みな使い方によって、うまくストーリーを演出している。笑い声、会話、爆発音、時計の針、飛行機のSEやレジスター、心臓の鼓動(実際はニック・メイスンのドラムス)などが随所で使われている。(中略)

アルバムの最初から最後まで曲と曲がつながっており、複数の曲があたかもひとつの作品のようになっているという点が本作の特色のひとつである。レコード時代のA面・B面の区切りである「虚空のスキャット」と「マネー」の間だけは、いったん音が途切れている。その中で主人公の誕生から苦悩、葛藤などを描き出している。この主人公には、「狂気」の人となってしまったシド・バレットの姿も重ねられていると言われている。

引用元:狂気(アルバム) – 構成 – wikipedia

  曲と曲のつながりを意識し、全体で一つの作品になっている。尚且つ、サウンドも工夫されていて、歌詞もプログレの曲調にあったもの。感覚的な言い方になる けど、聞く人の精神を掘り下げるような曲が多い。プログレの枠を超えて、その後の音楽界で「名作を作るための方法の一つ」を示したような内容。その辺がすごい。

アニマルズ』(1977)
ピンク・フロイド
現代社会を動物で表現!コンセプト・アルバムの時代へ!

 大作『狂気』『ザ・ウォール』の間に挟まれたアルバムの一つであり、ロジャー・ウォーターズが主導権を握り、大作志向が出てきた時期の一枚である。ピンク・フロイドのアルバムはすべて名作と言って良いが、その中でもアニマルズはアイディアがユニーク。資本主義社会を皮肉るというコンセプトのものと、金持ちの資本家をブタ、高給のサラリーマンを犬、労働者を羊にそれぞれ例え、各動物の名前がついた楽曲で構成されている。

 内省的なサウンドは相変わらずだが、シンプルなロックサウンドになり、狂気よりも聞きやすいという一面もあるかもしれない。ピンク・フロイドの真骨頂はこのアルバムにも見られるように、あるテーマを先に掲げ、壮大な世界を楽曲によって表現するという点だ。ピンク・フロイドはとりわけ、その世界観を計算されたサウンドで忠実に表現する。ここが他のバンドにはできないところだ。そんなわけで、空飛ぶ豚の物語を楽しんでもらいたい。

ザ・ウォール』(1979年)

【壮大なテーマを見事に表現する凄さ】

 ピンク・フロイドを語る上で、かつてのメンバー「シド・バレッド」の存在も大きい。彼は初期のバンドを引っ張り、その後の活躍のきっかけをつくった。でも、ドラッグにハマって脱退。その後は死ぬまで隠居生活。彼の存在がメンバーに与えた影響は大きく、バンドの作品のテーマはどれも深いものになっている。『狂気』なんかは、シド・バレッドが精神を病んでいく姿を表現してるなんて言われてる。原題は「dark side of the moon(月の裏側)」。月はいつも同じ面を地球に向けているから、その裏側は謎に包まれている。その感じを人間の表と裏の顔に例えているというわけだ。

 『ザ・ウォール』も同じく壮大なテーマを掲げて、2枚組の大作に仕上げている。普通、壮大なテーマを掲げてしまうと、テーマを意識するあまりに窮屈になって、作品のまとまりが無くなってしまうもの。そうでなくとも、テーマを意識するあまりに個々の曲の独立性が薄れてしまうこともしばしば。しかし、ピンク・フロイドはいとも簡単にそれをやってのける。そして、数々の名作を世に送り出している。そして、数千万枚売れてしまう……。

 ザ・ウォールは、社会に存在する様々な「壁」、人々が直面する「壁」がテーマ。かなり暗い内容で、いかにも1970年代後半らしいテーマ。一方で曲はバリエーションが豊かであり、エッジを利かせたハードなサウンドとなっている。これらが上手く混ざり合い、難解なテーマを伝えるわかりやすさも兼ね備えている。

⇒「エマーソン・レイク・アンド・パーマー(’70~’80)」「ラッシュ(’68~)」