【70年代ハードロック】洋楽ロックの名盤とおすすめバンド③

2018年1月20日

AC/DC(1973年~)
豪州発、縦ノリギターの世界的バンド!

AC/DC

 他のハードロック・バンドと比べると、日本ではやや知名度の劣るAC/DC。世界的には知名度抜群であり、世界中のアーティストに影響を与えたバンドである。日本で知名度が低いという理由だけで、AC/DCを聴かないのはもったいなすぎる。音楽性はシンプルで、バンドサウンド基調のハード・ロック。いわゆる縦ノリの曲が多く、聞けばすぐに彼らだと分かるほど。キャリアは40年以上にもなるだろうか……その間彼らのサウンドは全く変わらない。あまりに毎回同じような曲をつくるので、進歩のないバンドなどと揶揄されることもしばしば。それでも、毎度毎度、ファンは彼らの同じ音を求めてしまう。そこがすごい。世界中の名だたるアーティストにも、彼らのファンは多い。ストーンズのキース・リチャーズ、ザ・フーのピート・タウンゼント、サバスのオジー、ニルヴァーナのカートまで、いわゆるレジェンドと呼ばれるアーティストが名を連ねる。

地獄のハイウェイ(Highway to Hell)』(1979年)

 AC/DCはオーストラリア出身のバンドで、最初期は本国で活動をしていた。その後世界進出をし、ようやくヒットしたのがこのアルバム。バンドの音もこの作品でほぼ完成されつつあり、本国やイギリス、アメリカでも好評。当時のバンドは、今後の飛躍が約束されていた。しかし、アルバム発売の翌年、ボーカルのボン・スコットが急死してしまう。バンドは窮地に立たされ、解散まで考えることとなる。

 バンドの中心人物を失った場合、解散し、そのまま伝説化することも多い。ボン・スコットもその独特の声で、バンドの顔となっている重要人物だった。ただ、バンドのメインソングライターはアンガス・ヤングマルコム・ヤングのヤング姉弟であり、バンドを継続することは不可能ではなかった。悩みぬいた末に、バンドは新たなボーカルを加えて活動を継続することとなる。バンドはその後世界的な大成功をおさめるが、ボン・スコット及び彼の在籍時の作品は今もなお高い評価を受けており、この作品はバンドのキャリアにおいて重要な位置づけをされている。

 作品の背景の話ばかりになったけど、ノリの良い名曲揃いのアルバム。作品の完成度は以降のアルバムの方が高いけど、キャリアを通じての基礎となる音楽が揃っている。後任のブライアン・ジョンソンと比べるとより渋みのあるボン・スコットの声も良い。

バック・イン・ブラック』(1980年)
ロックの歴史的名盤!!

 AC/DCが世界に衝撃を与えたのがこのアルバム。いわゆるメガヒットを記録し、売れに売れまくり、歴代のアルバム売り上げランキングで3位に入るほど。現在まで5000万枚近く売れているという、規格外のアルバム。驚くべきは、その中身。完全なハード・ロックアルバムであり、全編通して縦ノリ一辺倒。そんな内容でこれほどのヒットを記録したのは、後にも先にもない。そもそも、このアルバムが評価されているのは、売上枚数よりも作品としてのクオリティだ。数あるハード・ロック/メタルのアルバムの中でも、完成度は秀逸。表題曲も含めて、個々の曲のインパクトも素晴らしい。ゴリゴリのハード・ロックでこれだけの大衆性を得られたのも納得できる。

 もちろん、アルバム完成までの背景も評価・売上に貢献している。成功に手をかけたところで、ボーカルの死という悲劇。それを乗り越え、新たなボーカルを迎え、前作をはるかに上回る作品を完成させる。世界的なビッグ・バンドとなり、その後30年以上キャリアを積み上げていく。これほどドラマチックな背景をもったアルバムは他にあるだろうか。

 肝心なことを良い忘れていたけど、新任ボーカルのブライアン・ジョンソンは、ボン・スコットよりもキーが高く、鋭い声質。少々裏返ったような声をしているが、基本はボン・スコットとそっくり。それまでのファンのことも考えて、ボン・スコットに似せる努力も多少はしたと思われるけど、よくもまあ、こんなバンドにぴったりなボーカルを見つけ出したものだと関心。バンドが生まれ変わったことを告げるような、気持ちのいいボーカルだ。

ボストン(1976年~)
プログレ・ハードを開拓!

ボストン』(1976年) – 史上最高のデビュー・アルバム


ボストン

 ハードロック・バンドの中で独特の位置づけにあるのがボストン。バンド形態になってはいるものの、中心人物トム・ショルツによるソロ・プロジェクトと考えるべき。元々エンジニアとして働いており、仕事の知識を活かして自宅にスタジオを構築。曲をつくってデモテープを持ち込んだのが始まり。こういうデビューをするアーティストは、意外と多い。ただ、彼の場合はその作曲センスがあまりにも突出していた。おまけに、あらゆる楽器をこなすマルチプレイヤー。ボーカル以外の音を自由自在に操り、完璧な音作りを目指してアルバムを制作していく。

 結果、デビュー・アルバム『ボストン』は約2000万枚のメガヒットを記録。その曲調も独特のもので、ハード・ロックでありながらプログレの要素も備え、ジャケットにもあるように、まるでSFの世界観を再現したような作品。ハード・ロックとプログレの最盛期が重なっていることもあって、このような曲調をもつアーティストは他にもいるにはいる。ちょうど同時期に成功したラッシュの『2112』の音なんか非常に近い。ただ、優れた録音技術なども含めて、これまでになかった音楽ということで、「プログレ・ハード」などと呼ばれるようになった。

 ボストンの登場は、数多くのフォロワーを生む。90年代に日本の車のCMなどで使用されていた爽やかな洋楽は、大抵がボストンのフォロワーであり、「プログレ・ハード」に分類される。雑みのない綺麗な音・メロディー、壮大な曲構成、ハイトーンの透き通ったボーカルなどがその特徴。ただ、さきがけということで、ボストンは一味違う。ロックがもつノリがしっかりあり、ギターの音も分厚い。ライブの上手いハードロック・バンドのような曲をつくるのが、ボストンの特徴。アルバムの起承転結もかなり綿密に構成されていて、作品としての完成度がとにかく高い。ハード・ロック初心者にも安心しておすすめできる一枚。

つづき