【70年代ハードロック】洋楽ロックの名盤とおすすめバンド③

2018年3月7日

ディープ・パープル(1968~76年)
キーボードとギターの応酬


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 日本でもお馴染みディープ・パープル。CMソングなどで長い間利用されているので、誰もが一度は耳にしたことがあるはず。そんなディープ・パープルは、 イギリスのハード・ロックバンドであり、特に本国と日本で高い人気を誇る。彼らの出世作となったのが、ここで紹介する『イン・ロック』。

 当時のバンドは、すでに数枚のアルバムを発表していたものの、音楽性は流行に沿ったプログレに近かった。そんな中、69年にレッド・ツェッペリンが登場し、ハード・ロックを世に知らしめる。ディープ・パープルはヒットソングもあり、そこそこ人気はあったものの、バンドはさらなる成功を目指して試行錯誤していた。そこで、ツェッペリンを参考に、自分たちもハード・ ロックをやってみようとなる。そんな経緯で制作された。この試みは見事に成功。イギリスで大きな反響を呼ぶ。

イン・ロック』(1970年)
ハード・ロックへシフトした即興ヘヴィ!

 ディープ・パープルの特徴は、ブルース色の強いハード・ロック。この点はツェッペリンと同じで、王道のハード・ロック。ただ、ツェッペリンとの違いは、キーボードを強調した音作り。シンセサイザーを多用し、各所で印象的なフレーズを刻んでいる。曲中にギターとキーボードのソロを挟むことも多い。これは元々プログレ志向だったのが大きい。実際、アルバムにはプログレ特有のインスト曲もある。シンセの多用とインスト曲の採用という特徴は、以降のアルバムでも受け継がれていく。バンドのリーダーであるリッチー・ブラックモアは、いわゆる速弾きで有名なギタリスト。パープル以外にも、レインボーでも成功。バンドの中心人物。また、ドラムのイアン・ペイス、ボーカルのイアン・ギランもハード・ロック界では非常に有名。

マシン・ヘッド』(1972年)
ハード・ロックの名盤!!

 個人的にディープ・パープルの最高傑作と思うのが『マシン・ヘッド』。すでにハードロック・バンドとしての地位を確立し、アメリカでもじわじわと人気が出始めていた。本格的にアメリカで成功しようと意気込んで制作された作品。基本的な路線はイン・ロックと一緒だが、作品の完成度は段違い。荒削りだったイン・ロックと比べると、音の違いは歴然。ハードさはそのままに、全体的に締まりがある。曲中でのキーボードの使い方が上手いのもその理由の一つ。結果的に、欧州各国でチャート1位、アメリカでもロングヒットを記録。世界にディープ・パープルの名を知らしめる名作となった。

 この説明文を書くにあたって改めて聞いてみたけど、なんというか、やっぱりディープ・パープルの基本はブルース・ロックなんだと再認識させられる。ハードな演奏に騙されてしまいがちだけど、個々の曲はどれもブルース。イアン・ギランの歌い方もそう。ただ、ここでもまたツェッペリンの比較だけど、ツェッペリンは黒人ブルースの影響が強い。一方、パープルは60年代になって白人のバンドがやってたブルース。その辺の聞き安さが、日本でウケた理由かもしれない。

 それはさておき、このアルバムの終盤では、長いインストから始まり、ジャズのような展開を見せる「Lazy」が収録。また、このアルバムには世界一有名なギターリフをもつ曲の一つ、スモーク・オン・ザ・ウォーターが収録。CMで擦り切れるほど使われている曲だけど、ちゃんときくと非常に格好良い。シンプルだけど音が太くて締りがあって良い。冒頭の「ハイウェイ・スター」と合わせて、インパクトのある曲が多く、ハード・ロックの入門盤であり、名盤でもある。

ブラック・サバス(1968年~)
恐怖のサウンド/メタルの元祖

 ハード・ロックの2大バンド、3大バンドというくくりに必ず入れられるのが、このブラック・サバス。世界的な知名度、影響力から言うと、ツェッペリンに勝るとも劣らず。後のメタル・ロックへの影響力から言えば、サバスのほうが圧倒的に上。日本での知名度は低いけど、それくらいの大物バンド。サウンド面での特徴を言うと、不気味なサウンド。これにつきる。トニー・アイオミのドロドロした重苦しいギターに、間延びしたオジー・オズボーンの歌声。このふたつがサバスの最大の特徴。

 加えて、サバスはとにかくギターリフが格好良い。印象的なリフの数ならジミー・ペイジにも引けをとらない。また、綺麗なメロディーのインスト曲をアルバムに挿入することも多い。元々がどす黒い不気味なサウンドなので、軽快なリフやメロディーが非常に際立つ。アレンジを重ねたプログレ的なアルバムもつくってしまうのも、面白い。21世紀になっても多くのファンを持つ、ハード・ロック界の伝説的バンド。

パラノイド』(1970年)
独特のノリと低音ギター!

 最初期のこのアルバムは、サバスの特徴をシンプルに形にした作品。印象的なリフで始まり、ドロドロのリズムを展開する曲が多数収録。それらの曲は、現在ではハード・ロック、メタルの手本となっている。

 ただ、最初期のアルバムということもあって、アルバムの構成力はまだまだ発展途上。冒頭からラストまで不気味な曲を並べているので、初めて聞いたらびっくりするというか、ちょっとうんざりするかもしれない。しかし、作品はサバスのアルバムの中でも1,2を争う評価。後のミュージシャンへの影響力やフォロワーが多いことも大きな理由だと思う。ただ、それにしても冒頭2曲のリフとリズムは素晴らしい。唯一無二、独特のリズムを楽しめる。

ブラック・サバス4』(1972年)
恐怖と切なさの共存サウンド!

 ブラック・サバスのアルバムで最も評価されている一枚。音楽性が変わりつつある時期の作品で、『パラノイド』などと比べても、曲の展開に工夫が見られ、アルバムの構成力もかなり高くなっている。終始綺麗なメロディー展開の曲、想像力を掻き立てるようなインスト曲などが加わり、強烈ななリフをもった曲がより際立つ構成となっている。単純な音をとってみても、最初期のものと比べればシャープになっている。

 全体としては、ストーリー性の高い構成となっているので、アルバムを1周した時の満足感が非常に高い。演奏時間は『パラノイド』とほぼ同じだが、こちらのアルバムのほうが長く感じてしまうほど。バンドとして成熟してきた時期のアルバムなので、初めて聞く人に是非おすすめ。

血まみれの安息日』(1973年)
プログレを取り入れた傑作!

 個人的に一番気に入っているのがこのアルバム。『4』の流れを汲む作品で、曲の展開はより複雑になり、アルバムの構成力は更に増している。その象徴とも言えるのが、プログレを導入した「Sabbra Cadabra」#4。この曲にはイエスのキーボーティストであるリック・ウェイクマンが参加していて、あの独特の音色を堪能することができる。プログレ的な展開をもつ曲は他にもあり、プログレ好きには納得の一枚。プログレ特有の転調を持つ曲もあり、音を楽しめる一枚。

 全体として、オジー在籍時のアルバムの中では、音が最も綺麗。サバス特有の雑音が少ない。加えて、アルバムの後半ではキャッチャーなメロディーも多く見られる。サバスのに不気味なサウンドしか求めない人であれば、このアルバムは面白みにかけるかもしれない。反面、オーソドックスなハード・ロック、プログレ嗜好の人は絶対ハマる。

⇒「エアロスミス」「QUEEN」