洋楽ロックの歴史と名盤(3) – 70年代ハード・ロック

2017年11月4日

70年代ハード・ロック – もくじ

  1. ハード・ロックの誕生 – (70年代前半)
      海外と日本の「ロック」、70年代と80年代の「ロック」
      レッド・ツェッペリン(’68~’80)
  2. ディープ・パープル(’68~’76) / ブラック・サバス(’68~)
  3. エアロスミス(’70~) / QUEEN(’71~)
  4. AC/DC(’73~) / Boston(’76~)

ハードロックの誕生

海外と日本の「ロック」、70年代と80年代の「ロック」

 70年代のハード・ロックの前に、年代ごとのロックの特徴について。日本で言われている「ロック」は、実は正確な「ロック」とはかけ離れている。特に、洋楽をあんまり聞いたことのない日本人がイメージしているロックは、非常に限定的なもの。具体的には、「メタルやいわゆる産業ロックを含む、特にアメリカで80年代に流行ったロック」のこと。

 アメリカや日本の80年代の文化にあまり良いイメージはない。原色のファッションとか、一発屋のわけのわからないアーティストが腐るほどいた。そんなイメージ。ただ、きちんと見ればいいアーティストがたくさんいる。特にイギリスなんかは、ソニック・ユースザ・スミスハッピー・マンデーズラーズストーン・ローゼズなどなど。90年代以降に登場するイギリスのアーティスト達は、80年代のバンドにかなり影響を受けている。

 あと、80年代と言えばメタル。メタルは極端すぎて苦手な人も多いと思う。それも、80年代の悪いイメージの原因かもしれない。とはいえ、個人的には好きなアーティストもいる。最近になってようやく、アイアン・メイデンなんか聞くようになったし、メタリカなんかも良さそうだ。2000年代以降のラップ・メタルやプログレ・メタルは80年代が無かったら存在しなかった。リンキン・パークToolも無かったわけだ。そう考えると悪くない。

黄金時代の60年代と、プラチナ時代の70年代

 しかし、海外でのロックの全盛期は80年代ではない。80年代はむしろ、ロックの最初の低迷期。作品のクオリティ、ロック市場の活況といった点で、ロックの全盛期は70年代にやってくる。ビートルズをはじめ、レジェンドが多数活躍した60年代がロック黄金時代だとすれば、70年代はプラチナ時代。歴史に残る名盤が次々と生まれ、演奏技術も音質も作品の構成力も60年代とは比較にならない。それが70年代。その時代にプログレと共に一大ブームを築いたのがハード・ロック。

 ハード・ロックは日本人にとって比較的身近なものかもしれない。70年代の後半から活躍するQUEEN、エアロスミスといったバンドも基本的にハード・ロック。あと、ディープ・パープルが有名。日本では特に人気が高く、今でも有名なCMソングやテレビ番組のBGMなんかで利用されている。聞けば「知ってる」ってなるはず。あと、レッド・ツェッペリンも有名。これも、聞いたことのある曲が多いはず。

 いずれにしても、海外のロックを知りたいのならば、まずは最近のものを聞き、そこからは60年代から70年代へ行くのがちょうどいい。90年代から21世紀の最新のものまで、名だたるアーティストは間違いなく60年代から70年代のロックの影響を受けている。

世界に衝撃を与えたレッド・ツェッペリン(’68~’80)

レッド・ツェッペリン』(’69)


レッド・ツェッペリン

 言わずもしれたハード・ロックの代名詞レッド・ツェッペリン。彼らがハード・ロックという新しいジャンルを確立したと言ってもいい。彼らの音楽を わかりやすく言うと、基本的にはギター、ベース、ドラム、ヴォーカルの音だけで曲を構成。ただし、それぞれの音が重く、激しい。そして、ブルース色が強い。初期のアルバムはもろブルースの曲が多い。

 特徴と言えば、やはり独特のギターフレーズとリズム。バンドのメインソングライターであるジミー・ペイジと、ロック史上最高のドラマーの一人であるジョン・ボーナムの 力が大きい。というか、ボーカルもベースも含めて、全員がすごい。いつだったか、イギリスでバンドの各パートの歴代ベストを選出して、架空のスーパーバン ドを決めようと言うイベントがあった。そこで最終的に残ったのがレッド・ツェッペリンの4人。つまり、「スーパーバンドは実在した」というオチだった。それくらいすごい。

 活動期間は10年強(解散の原因はドラマーの事故死)だけど、その間に発表されたアルバムのクオリティはどれも最高。おすすめのアルバムを選べと 言われても困ってしまう。その中でも外せないのはデビュー・アルバム。このアルバムは世界に衝撃を与え、それに影響を受けて多くのハード・ロックバンドが 誕生。この項目で取り上げるハード・ロックに分類されるバンドのほぼ全て、間違いなくツェッペリンの影響を受けている。また、ビートルズ の解散と彼らのデビューアルバムがほぼ同時期だったのも大きい。

 60年代のロックが終わり、新しい時代が始まる。その象徴になったのがこのアルバム。肝心の内容は、とにかくハード。シンプル・イズ・ベスト。独特のギターフレーズの「グッド・タイムズ・バッド・タイムズ」 #1、ブルース色の強い「You Shook Me」 #3「Dazed and Confused」 #4「I Can’t Quit You Baby」#8(※#3,8はブルース歌手「ウィリー・ディクスン」のカバー)、激しいギターリフから始まる「Communication Breakdown」#7など、聞き所満載。自分たちのルーツとなる音楽をやりつつ、#1、#7あたりのオリジナリティも出すという、デビューアルバムらしい構成。

』(’70)


 一方で、「Ⅱ」はレッド・ツェッペリンの人気を決定づけた作品。インパクトはデビュー作の方が強いが、作品の統一感やグルーブ感は前作を上回っている。初期の勢いに加えて、アクの強さが加わった名作。ツェッペリンの最高傑作は人によって意見が分かれるけど、この『Ⅱ』をあげる人も少なくない。

』(’71) – キャリア最高傑作!!


 レッド・ツェッペリンの最高傑作といえば、『Ⅳ』をあげる人が多い。これまでの3枚でやってきたことが、ここで一つ完成したという感じ。デビュー作で見せた自分たちのルーツであるブルース。Ⅱで見せたオリジナリティと作品の統一感。Ⅲで見せたフォーク・ロックの要素。その3要素がⅣで見事に結実。傑作として完成されたという感じ。

 聞き所は何と言っても「ブラック・ドッグ #1」「ロックン・ロール #2」「天国への階段 #4」の3曲。#1はブルース・ロックなんだろうけど、なんとも形容しがたい曲。独特のギターリフの繰り返しが印象的。レッド・ツェッペリンのオリジナリ ティが最もよく出てる曲の一つだと思う。#2はシンプルなハード・ロック。冒頭のドラムソロ、プラントの伸びやかな高音と連続シャウトが印象的。#4は ツェッペリン屈指の名曲かつ、ロック史に残る名曲。アコースティックギターから始まる静かなフォークソングが、徐々に激しさを増していき、最期にはハー ド・ロックに変化するという構成。こんな曲はなかなか無い。後に続くハード・ロック・バンドQUEENのボヘミアン・ラプソディみたいな大作。

presence』(’76)


プレゼンス

【無駄な音を排除したバンドサウンド – 後期の傑作『プレゼンス』】

プレゼンスはキャリア後期の作品。ギター、べース、ドラム、ボーカルという基本編成だけでつくった作品。その内容はまさに「ハード・ロック」。格好良いギターリフが満載で、作品の完成度も素晴らしい。Ⅳと並ぶ最高傑作と言ってもいい。

 冒頭の「アキレス最後の戦い」は、「天国への階段」に並ぶ屈指の名曲。10分を超える大作で、1曲目ながらアルバムのハイライトと言ってもいい。特にジミ-・ペイジのギタープレイが素晴らしい。これはアルバム全体に言えることで、全作品の中でも最高レベル。アルバム全編に渡って力強いギタープレイが聞ける。ギター好きは必聴。ジョンジーのベースもすごく格好良い。個人的には一番のお気に入り。

⇒【2】「ディープ・パープル(’68~’76) 」「ブラック・サバス(’68~)」