洋楽ロックの歴史と名盤(4) – 90年代英米ロック比較

2017年11月4日

プライマル・スクリーム(82~)-パンク、ロック、ハウス、エレクトロニカ……変幻自在のバンド

 プライマル・スクリームは、オアシスなんかと比べるとデビューは早い。ただ、メジャーシーンに出てきたのは同じくらいの時期。一躍有名になったのがこの アルバム。元々オーソドックスなロックを演っていた彼ら。ややパンクやガレージ寄りのロック。それが、90年代に入ってダンスミュージック、ハウスの要素を大胆に取り入れた。それが高い評価を受け、プライマル・スクリームは前衛的でアグレッシブなバンドとして、キャリアを積んでいくこととなる。

スクリーマデリカ』(91)-ハウス&ロックの傑作!!


スクリーマデリカ

 このアルバムは、ハウス・ミュージックをわかりやすく提示したアルバムといったところ。ロックの要素も入っているから、なおさら聴きやすい。それでいて、飽きが来ない。独特のノリと浮遊感を備えた楽曲が並び、アルバムの構成も抜群。雰囲気は、ストーン・ローゼズに似ているかもしれない。余談だけど、プライマル・スクリームには、元ストーン・ローゼズのマニが加入(1996)。その辺も合わせて、ローゼズが気に入ったらプライマル・スクリームも聞くべし! 

 解散後の90年代のUKロックで、独特の位置にあるアーティストであり、作品でもある。

エクスターミネーター』(00)-ラウドでヘビーなエレクトロニカ!!


エクスターミネーター

 プライマル・スクリームのアルバムはどれも良いけど、このアルバムはスクリーマデリカと並んで目立つ存在。エレクトロニカ路線に大きく舵を切り、またしても音楽性を広げた作品。よくもまあこんなにいろんな音楽ができるなあと感心する。その一方で、音は変わってもボビー・ギレスピーの歌い方は相変わらずで、根底にはロックのノリがあって、プライマル・スクリームらしさはしっかり出ている。その辺がこのバンドの面白いところ。

 曲調についてもうちょっと詳しく説明すると、エレクトロニカの中でもやはりロック寄りのサウンド。ヘビーな電子音も多く、ヒップホップも取り入れる。その点じゃ、リンキン・パークのサウンドに近いかもしれない。とにかく、音とリズムのセンスが抜群で、聴き応え抜群。必聴。

ケミカル・ブラザーズ(92~)-ダンス・ミュージックの歴史を変えたビッグビート

『さらばダスト惑星』(95)


さらばダスト惑星

 ケミカルブラザーズはテクノエレクトロニックの分野で世界的ヒットを飛ばしたユニット。それまでメジャーでないダンスミュージックをミュージックシーンの最前線に押し上げた。このファーストアルバムを聞けば、その理由がよくわかる。大衆受けしやすいロックを融合させ、非常にメリハリのある音と曲の構成を作り上げている。ダンスミュージックを全く知らない人でも、ロックが好きならすぐにハマれる。

 ジャンルの特性上、基本的に歌詞というものはないのだが、それでこれだけ売れたと言うのはやっぱりすごい。ジャンルが多様化してきた現在では多少事情は変わってきてはいるが、大衆音楽というのは歌があってあたりまえ。歌が無いと「この曲つまんない」などと言われる。どうやったら音だけでこれほど多彩な表現ができるのか、音楽の素人の私には全く理解できない。非常に乗りの良いアルバム。

『ディグ・ユア・オウン・ホール』(97)


ディグ・ユア・オウン・ホール

 ケミカルブラザーズの作品は枚数を重ねるごとにどんどん進化していく。2作目の本作では重低音が利いたラウドな音になっている。本作の目玉はオアシスのノエルギャラガーがボーカルで参加している「Setting Sun」。ビートルズのトゥモロー・ネバー・ノウズを彷彿とさせる大ヒット曲。各アルバムで著名なアーティストとコラボしている点も、楽しめるポイントの一つ。

 現在も活動中の彼らは、アルバムごとに様々なジャンルを取り込んで自由な音楽づくりを一貫して行っている。ダンスミュージックやテクノを聞いたことが無い人は、まずここから入ってみるとその良さがわかると思う。

⇒【5】「ミクスチャー・ロックとポップ・パンクの台頭」