洋楽ロックの歴史と名盤(4) – 90年代英米ロック比較

2017年11月4日

その頃アメリカでは……?-80年代メタルの終焉と、グランジブーム

ガンズ・アンド・ローゼズ(85~)-80年代メタルの終焉

Appetite for Destruction』(87)


Appetite for Destruction

 メタルはそれほど詳しくないが、有名どころは多少は聞いたことがある。その一つがガンズ・アンド・ローゼズ。現在も活動中のバンドだけど、ここで紹介する2枚のアルバムを発表してから、主要メンバーがどんどん脱退し、実質解散状態に。その後2000年代になって久しぶりのアルバムを発表、現在に至る。

 歴史的には、メタルの最初の全盛期は80年代。その中でも、ガンズは80年代メタルの末期に登場したバンドらしい。それはそうと、ガンズは曲が格好良い。ギターリフのオンパレードなので、メタルと言う感じがしない。メタルが苦手だった頃でも、ガンズは聞けた。ロック好きならハマるだろう作品。

Use Your Illusion I/』(91)


Use Your IllusionⅠ

 個人的には『UseYourIllusion』がおすすめ。2枚組の大作で、メタルというよりロック寄りの曲調。曲のバリエーションが多彩で、彼らの好きなアーティストのカバーなんかも入っている。実は、そのカバーがすごくいい。ガンズは確かカバー曲をシングルで発売したこともあるくらいで、カバーがかなり上手いバンドだという印象。アルバムにはリヴ・アンド・レット・ダイ(ポール・マッカトニー)、ノッキン・オン・ヘヴンズ・ドア(ボブ・ディラン)が収録。このアルバムは聴き応えがあるから、結構おすすめ。

 あと、どうでもいい話だけど、ガンズはタモリ倶楽部の「空耳アワー」の常連。名空耳曲をいくつも提供している。いろんな方面で何かと話題になるガンズでした。

ニルヴァーナ(87~94)-新時代の救世主になり得た伝説のバンド

ネヴァーマインド』(91)


ネヴァーマインド

【停滞していたアメリカのロック界と、グランジ・ブーム】

 90年代のアメリカで新たなブームをつくったのが、このバンド。80年代のメタルが停滞し始め、大衆が新たな音楽を求めていたところに登場。ロックの歴史や分類の話をすれば、80年代のニュー・ウェイブのうちポスト・パンク。そこから影響を受けたオルタナティブロック。そのうちとりわけ「グランジ」と呼ばれる。ややこしい……笑。90年代以降のロックはジャンルが細分化されて、分類が非常に難しい。というか、正確な分類はほぼ不可能。まあだから、あくまでも参考程度に。

 ニルヴァーナの話に戻すと、中心人物であるカート・コバーンはロック史にその名を残す伝説の人物。基本的にアンダーグラウンドな存在で、音楽の嗜好はパンクとかハード・ロック。「パンクアルバムをビルボートのトップに上げる」と意気込んで制作したのが『ネヴァーマインド』。結果的にアルバムは記録的なヒット。

 曲調はカートの嗜好がそのまま表現されたもので、ハード・ロックとパンクに、優れたメロディーと退廃的な雰囲気をプラスしたような感じ。言葉で説明するとわかりにくい(笑)」。聞いてもらうのが一番↓

イン・ユーテロ』(93)


イン・ユーテロ

【カート・コバーンの苦悩と突然の死】

 聞いてもらえばわかるけど、かなり聴きやすい。そして、名曲揃い。それでいて脆く儚く危険な雰囲気、何よりカリスマ性をもっていたのだから、バンドは大成功。世界中の音楽シーンに衝撃を与える。しかし、この頃から中心人物のカートは問題を抱える。元々抱えていた精神的な脆さに、一躍スターとなったことでの強大なプレッシャー。そして、成功と引き換えにある意味「ポップ」とも言える大衆受けのいい曲を書いたことへの後悔などなど。これらが積み重なり、カートは徐々に精神を病んでいく。

 そんなこんなで、セカンド・アルバムはアンダーグラウンド路線に。商業的な成功よりも自身のポリシーや音楽的嗜好を表現したことで、こちらも大きく評価される。しかし、カートはその翌年に自殺してしまう。この死はロックの歴史に残る事件であり、バンドやその楽曲とともに今でも語り草になっている。

【ニルヴァーナの大いなる遺産】

 中心人物を失ったバンドは間もなく解散。グランジブームも終焉を迎え、ロック界は再びスター不在となってしまう。しかし、カートの死によって、あるいは死を境に、米英両国で、その後のロック界を背負うバンドが登場する。一つは「オアシス」、もう一つは、ニルヴァーナの元メンバーが結成した「フー・ファイターズ」。オアシスはその後10年以上イギリスのロックを引っ張り、フー・ファイターズは2000年代にグラミー賞の常連となるまで成長する。そういう意味でも、ニルヴァーナとカート・コバーンは非常に大きな存在だったというわけ。

⇒【3】「90年代の幕開け」