【2000年代】洋楽ロックの名盤とおすすめバンド⑤

2018年3月7日

アークティック・モンキーズ
英国に熱狂をもたらした超新星!

Whatever People Say I Am, That’s What I’m Not』(2006)
ハードかつテクニカル!衝撃のスピードサウンド!

 2000年代のUKロックで最重要のバンドの一つがアークティック・モンキーズ。鮮烈なデビューを飾り、ファースト・アルバムでイギリスの最速売上記録を更新。2006年にはブリット・アウォーズ受賞、2007年にはグラストンベリー・フェスティバルのヘッド、2012年にはロンドのリンピックの開会式に出演と、着実にスター街道を歩んでいく。

 とりわけ本国イギリスでの人気がすごく、2016年現在まででスタジオ・アルバム5枚を発表し、そのすべてでチャート1位を獲得。キャリアではデビュー作の衝撃が大きく、その余波で2作目は英米でヒット。2013年発表の5作目英米で高評価。ただ、ファーストの衝撃が強すぎて、それを超える作品がそろそろ出てもいいのでは? というのがここ数年の感想。ここからどのようにキャリアを重ねていくかが非常に楽しみなバンド。

 アークティック・モンキーズ及びこのアルバムの特徴は、何と言ってもスピード感。とにかくテンポが早く、ギターもドラムも手数が多い。そして、ギリギリいっぱいまでつめこんだ歌詞と、まくし立てるように歌うボーカル。非常にオリジナリティが高い。2000年代のUKロックを知りたいなら、まずはここから!

Favourite Worst Nightmare』(2007)
1stの勢いと変化を見せた作品

 アークティック・モンキーズのセカンドは、ファーストのスピード感を維持しつつ、重いサウンドへ変化したアルバム。特にドラムの音がラウドで良い。アルバムの流れや完成度はファーストに譲るものの、本作も面白い。

 バンドは3作目以降はクラシカルなロックへと接近していき、ファーストに見られた圧倒的なスピード感はやや鳴りを潜める。一方で、音楽性の幅は広がりを見せていく。

AM』(2013)
キャリアを経て進化した名盤!

 2nd以降ファーストの衝撃を超えられないでいたアークティック・モンキーズ。その一方で音楽的模索を続けており、本作にてそれが花開いた。ミドルテンポ中心の曲構成ながら、楽曲のバリエーションはかなり豊富になり、サウンド面でも幅広い展開を見せる。

 進化の印はチャート成績にも現れ、ビルボードで自己最高位を更新し(6位)、英米共に売上も向上。キャリアを通して見れば、1stに負けず劣らずの名盤と言っていい。名実ともにビッグバンドとしての地位を固め始め、今後の作品にも大いに期待を抱かせる。

ザ・キラーズ
新時代のニュー・ウェーブ!

ホット・ファス』(2004)
壮大なるメロディアス・シンセ!

 2000年代のインディー・ロックにおいて、ニュー・ウェーブ的なアプローチで独自性を気づいたキラーズ。ポップなダンスサウンドをメロディアスなロックに乗せ、これまでにありそうで無かった新しい楽曲を誕生させた。

 キャッチーで奥の深いサウンドは世界で広く受け入れられ、デビュー作にして大ヒットを記録。21世紀の新たなビッグバンドとしての道を歩み始める。本作の前半の流れは秀逸!

デイ&エイジ』(2008)

 デビュー作から安定してクオリティの高い作品を発表するキラーズ。3rdの本作はアルバム全体を通じて粒ぞろいの楽曲が揃い、始めから終わりまで全く飽きの来ない仕上がりになっている。ポップ的なサウンドと美しさが更に進化した本作は必聴!

ノエル・ギャラガー
変わらぬ才能と素晴らしき作曲センス!

ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ』(2011)
オアシス時代の雰囲気を残す、名曲揃いの一枚!!

 2009年にオアシスが解散し、バンドのリーダーであるノエル・ギャラガーはソロ活動を開始。ファースト・アルバムがこの作品。解散から間もないいことに加えて、オアシス時代のデッドストックも収録されており、全体としてオアシス時代の雰囲気を漂わせている。ただ、何より驚きなのは楽曲のクオリティ。バンド時代のアルバムも加えてランキングをつけたとしても、上位に食い込んできそうなほど。オアシスで言うと中期のアルバム『Standing on the Shoulder of Giants』、あるいは後期の『Don’t Believe the Truth』の楽曲に似ている。とりわけ、アルバム全体の一体感・統一感が素晴らしい。本国イギリスでも高評価。

 何よりうれしいのは、全曲ノエルの声が聞けるということ。はっきりいってキャリア終盤のリアムの声はひどかった。ライブはもちろん、アルバムですらひどかった。一方、ノエルは元々ボーカルとしての能力が高かったし、年を追うごとに歌も上手くなってきた。それでいて、40になっても声が劣化すること無く、むしろ高音なんかはどんどん伸びやかになってきた。そういうわけで、ソングライターとしてだけでなく、ボーカルとしてのノエルの貢献度も非常に高いのがこの作品。

 オアシスが好きな人はもちろん、洋楽あんまり知らないって人にもおすすめ。相変わらずメロディーは綺麗だし、キャッチャーな曲が多い。あと、アコースティック寄りの曲も多く楽器の音もシンプルでいい。

チェイシング・イエスタデイ』(2015)
傑作の呼び声高いセカンド・アルバム!!

 こちらはノエル・ギャラガーのセカンド・アルバム。前作のクオリティの高さもあってか、欧米および日本でのチャートアクションも前作より上回った。肝心の中身はというと、この作品で完全に「ソロ」として独自性を打ち出したという感じ。オアシス時代の雰囲気は薄く、楽曲のバリエーションも多彩。個性的な曲が多く、アルバム全体の完成度はピカイチ。傑作と言っていい出来だと思う。オアシス時代との比較はもう必要ないだろうけど、オアシスのファースト、セカンドに勝るとも劣らないほどのアルバム。

 オアシスファン及びノエルファンとしては、ソロの2作品を聞いて、「ああ、これであと5年10年は楽しめる」といったところ。50近くになっても全盛期と遜色ない曲をつくれて、声もほとんど劣化なし。この調子でいくと間違いなくあと2枚ほどは「名作」を生み出してくれるはず。日本での人気も健在なので、ライブでの来日も必ずある。極端な話、イギリスの新人アーティストでめぼしいのがいなくても、「ノエル聞いてりゃいいや」となる。