フロイトの考える「夢のメカニズム」について[心理学,精神分析]
人間が見る夢ができあがるまで
もくじ
- 夢の目的・材料・メカニズム
- 夢の分析・解釈をするには、夢がつくられる過程を遡る
- 「夢の作業」のいろいろ
- 参考文献
夢の目的・材料・メカニズム
- 【夢の目的】様々な刺激から睡眠を守ること
- 【夢の材料】夢は無意識の中にある「潜在思想」から生まれる
- 【夢のメカニズム】
- 【検閲】無意識の中にある記憶が睡眠中に意識に上がってくると、睡眠を守るために「検閲」が行われる。
- 【夢の作業】検閲をすり抜けるために、潜在思想が変形されて「顕在内容」(実際に見る夢)となる。
夢がどうしてこのような複雑なメカニズムを持っているかは、無意識について知るとわかります。
【無意識】自分を脅かす記憶・思考・感情(トラウマ、反社会的・反道徳的な感情など)が抑圧されたもの
無意識は自分にとって都合の悪い記憶などが含まれています。それが睡眠中に意識へ上がってきてしまうので、検閲や夢の作業が行われるのです。
夢の分析・解釈をするには、夢がつくられる過程を遡る
夢を分析・解釈するというのは、その奥にある無意識を探ることです。言い換えれば、「顕在内容(夢)」から「潜在思想」を探ることです。
夢を分析・解釈するための材料には、まずは夢そのもの、夢に出て来る事物があります。ただし、検閲や夢の作業を経たものなので、それを現れたままに捉えることはできません。夢の中に出て来るものは象徴であり、その裏に本来意味するものがあります。
それを探るには、例えば夢に出て来る事象から何を連想するか、あるいはその人の過去の経験などを手がかりにします。
「夢の作業」のいろいろ
- 【凝縮】潜在思想の複数の要素が、顕在内容で1つに合成される
- 【移動】潜在思想の要素が顕在内容で入れ替わること。全く別のものになったり、重要なものが些細なものになる
- 【視覚化】
潜在思想の中にある思想・観念が夢で具体的な映像となる。抽象的なものが具体的な映像になるため、本来の意味を解釈するのが難しくなる。また、前日や寝る直前に見たものが、映像の材料となる。 - 【二次加工】
凝縮~視覚化によって生まれたものを、ストーリーとしてまとめる作業。目が覚めた後で行われる。
この中でも視覚化と二次加工は、多くの人が夢の特徴としてすでに認識していると思います。前日のテレビに出てきた芸能人が夢にでるといった経験がそれです。二次加工については、完全なストーリーになることはありません。支離滅裂な夢が多いのはこのためです。
ここで注意したいのは、あくまで夢の内容は、本来意味するものが歪められているということです。先ほどの例なら、夢に出てきた芸能人は視覚化の材料になっただけで、それが何を表しているのか考える必要があります。二次加工によって生まれたストーリーも同じで、一貫性のあるストーリーであっても、それがそのまま潜在思想を意味するわけではないのです。
参考文献
- 『フロイトの精神分析 /鈴木晶』(第3章)
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