『女という病』(中村うさぎ)のレビュー・感想

ノンフィクションか妄想か!?
女性が起こした実際の事件を元にした、中村うさぎのドキュメント集!

『女という病』のもくじ

 

内容説明

ツーショットダイヤルで命を落としたエリート医師の妻、我が子の局部を切断した母親、親友をバ ラバラにした内気な看護師…。殺した女、殺された女。際限ない欲望、ついに訪れた破滅。彼女たちは焼けるような焦りに憑かれて「本当の私」を追い求め、狂 い、堕ちた。女性が主役を演じた13事件の闇に迫る圧倒的ドキュメント!女の自意識は、それ自体、病である。これは、あなたの物語。

目次

空っぽの椅子―同人誌“やおい”漫画家殺害事件
ファンシーな城の中の死―エリート医師妻誘拐殺人事件
人生の偽造パスポート―ラカン派精神科医婚約者殺し
殺意の蝉時雨―保育園長園児殺害事件
“有栖川宮妃”のファーストクラス―ニセ皇族の結婚披露宴詐欺事件
青木ヶ原樹海から出てきた女―事件を装って家出した市長の娘
虐待という因果―実子局部カミソリ切断事件
「容貌」という地獄―佐世保小六同級生殺人事件
親友をバラバラにした女―看護師三角関係殺人死体遺棄事件
通称「和歌山二大悪女」―和歌山マリオネット殺人事件
逃げ場所は心中―浮き草売春女テレクラ心中事件
霊能者は殺せと告げた―神奈川県連続主婦殺人事件
バービー・ナルシシズムが生んだ狂気―赤い自転車連続通り魔事件

引用元:女という病 / 中村 うさぎ【著】 – 紀伊國屋書店ウェブストア

※刊行年……単行本:2005年、文庫:2008年

『女という病』のおすすめポイント!

世間を賑わせた「女性」による事件をピックアップ

 この本のコンセプトは、まずは「女性による犯罪を取り上げる」ことがあります。さらに、一般的なノンフィクション・ドキュメントと違って、著者の中村うさぎさんの主観がかなり混入しています。これはあくまで意図的なものであり、「真実」や「リアルさ」の追求ではなく、「女性作家による女性犯罪者の心理分析」が狙いです。

 構成は全十三章につき1つずつ事件を取り上げています。一章につき10p~20pほどの長さなので、気になる章からさくっと読むことができます。章の冒頭には事件の概要が載っているのもポイントです。この部分は、事実に基づく正確な情報が簡潔にまとめられてあります。

 全体としての感想は、とにかく読みやすく、好奇心を刺激する内容となっています。著者自らが「妄想」と語っているように、女性の複雑な心理を独自の視点から掘り下げています。これによって、元々事件が持っているミステリー性が強調され、ノンフィクションと小説が混ざった一つの物語のようになっています。

 

女の自意識は、それ自体、病である

  本書の内容は、『新潮45』に連載していたものであり、世間を賑わせた事件のうち、「女性」が中心になったものを取り上げています。殺人を含む事件の被害者・加害者が抱えていた背景を掘り下げていき、一般の女性にも当てはまる「女性心理」を分析していこうというコンセプトとなっています。

 著者の中村うさぎさんは、事件に関わった女性の心理分析をしていくうち、自身の主観が入り混じっていくのを止められなくなったそうです。

(中略)結果、そこんみは私の強い思い込みや過剰な深読みが大量に混じり、冷製で客観的な事件ドキュメントとは大きくかけ離れたものとなってしまった。事実と想像が入り混じっていて、純粋な意味でのノンフィクションではない。これは「彼女たちの物語」という体裁を取りながら、じつは「私の物語」だ。

 そんなわけで、読者の方々にお願いしたいのは、「これは中村が、実際の事件を元に、自分の妄想を書き散らしたものである」ということを肝に銘じていただきたい、とううことである。

引用元:中村うさぎ(2008)『女という病 (新潮文庫)』新潮社,第5刷,p.4

 

収録事件一覧

 一部の事件はネットでのまとまった情報が見つかりませんでした。事件名を見ていくと、認知度の非常に高い事件も多くなっています。一方で、この本で初めて知る事件もあるでしょう。有名なものとマイナーなもの、扱う事件の事件のバランスの良さも、本書の良い所です。

 

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