ONE OK ROCK(ワンオクロック)まとめ[おすすめアルバム,名盤名曲,レビュー]

2018年3月8日

世界へ羽ばたけ!21世紀のビッグバンド!


クイック・ジャパン130

もくじ

PAGE 1(このページ)

世界デビュー後の作品
  • 35xxxv(サーティ・ファイブ)』(2015)
    アメリカ進出!
    ☆☆☆
  • Ambitions(アンビションズ)』(2017)
    アメリカ市場に食い込む一枚!
    ☆☆

PAGE 2

日本でのヒット時代
  • 人生×僕=(ジンセイカケテボクハ)』(2013)
    日本でやりたかったことは全てここに!
    ☆☆

おすすめアルバム/代表作解説

世界デビュー後の作品

35xxxv(サーティ・ファイブ)』(2015)
アメリカ進出!
★★★最高傑作★★★

 

アルバム解説

 本作はアメリカ進出を本格的に視野に入れ、海外プロデューサーの起用、ロスでの300日にも渡る滞在とレコーディングなど力が入った作品となっている。次作でのアメリカの各種チャートでの結果につながる作品とも言える。

 一方で国内チャートでは初めてのオリコン1位を獲得。名実ともに日本を代表するロック・バンドとなり、いよいよアメリカでの成功が見えてきた! というところ。アルバムの第一印象も完全に「洋楽」のサウンドになっている。正直なところ、日本のロック・バンドでここまでの作品を作ったのは衝撃的とも言える。後はマーケティングやプロモーションを上手くやれば、アメリカでヒットする土台は整っていると個人的に思う。

 その他、本作では何か新しい時代の旗手として、古い時代や世代、価値観をぶち壊してやろうという決意が見て取れる。それはアルバム発売前後のインタビュー記事などでTakaがはっきりと口にしているし(『ロッキング・オン・ジャパン 2015年 03 月号』など)、歌詞にもそういった内容が見て取れる(「7. Memories」「10. One by One」など / 楽曲解説の項で後述)。アメリカ進出、新世代としての覚悟、そしてバンドを思い切って変化させようという決意。こういったアグレッシブさが楽曲の音にも出ている。

 とにかくまあ、素晴らしい作品なので聴いて欲しい!

アメリカ進出について

[Takaへのインタビュー記事より]

――僕らがただアメリカのアーティストみたいにプロデューサーつけてガッチリやって、それを日本で出すだけっていうのは、それってはたしてどうなの?みたいなことは思ってました。
(中略)
やっぱりその先のことも考えてました。全世界で出せたらいいなっていう気持ちの中でやっぱり作るわけで、決して日本だけっていうところでは作ってないので――

引用元:『ロッキング・オン・ジャパン 2015年 03 月号』p.49

――よく前作で、『これは完全に世界に寄せて作ったアルバムですね』って言われて。ただ僕からすると『いや、そんなことないですよ』と。
(中略)
 でも今回は、そういうことを言われたら、普通に『はい、そうですね』って素直に言えるところまで持っていきたかったんですよ。
(中略)
 日本でガッツリと売れてもなお次のステージを目指し、そこでまた成功するバンドって、まだ日本にはいないなと思っているんですね。だから僕らがONE OK ROCKとしてやれる次っていうのは、そこにあるのかなっていう気がしたんですよね。

引用元:『ロッキング・オン・ジャパン 2015年 03 月号』p.52

海外プロデューサー起用

 本作のメインプロデューサーと言っていいジョン・フェルドマンは、シングル曲である「5. Mighty Lond Fall」「8. Decision」に加えて、「11. One by One」「12. Stuck in the middle」など大半の曲で作曲クレジットに名を連ねる。サウンドクリエイトが独特で、打ち込みやプログラミングで作り込まれた人工的なシャープなサウンドは、アルバム全体の軸となっている。

 Colin Brittainは「2. Take me to the top」「3. Cry out」「10. Good Goodbye」にTakaらと共に作曲クレジットに名を連ねる。アルバム序盤の力強いトラックに関わり、作品の印象を決定づける役割を果たしている。アルバムにインパクトを与えたという点で、貢献度はかなり高いと言える。この二人は次作でもアルバムに参加している。

[プロデューサーについて]

 本作を完成させるにあたって絶対不可欠なプロデューサーだったジョン・フェルドマンをはじめ、クレジットされている錚々たる海外の共同プロデューサーやエンジニアたちはTakaが直接コミュニケーションを持ちオファーしたという。
(中略)
Toru:関わってくれたプロデューサーやエンジニアの組み合わせは曲によっていくつかのパターンがあって。進め方も録り方もそれぞれでしたけど、どの曲の制作も楽しくて刺激的な時間でしたね。これが最先端のレコーディング環境であり、世界のトップにいる人たちのやり方なんだって実感する瞬間が何度もありました。

引用元:【インタビュー】ONE OK ROCK、「世界に通用するアルバムを作るしかない」 – BARKS

Taka:ColinはもともとJohnの元で働いていたんですけど、今は独立してプロデュースをやっていて。僕らも彼の持つセンスがすごく好きで年も近いですし、彼の人間性も素晴らしいので、一緒にやってみたいと思ってお願いしました。

引用元:【FEATURES】ONE OK ROCK, Newアルバム「35xxxv」インタビュー – ALTPRSS

タイトルの秘密

[タイトルについて]

制作していたときに、アメリカで“35”という数字に出会うことが多かったんです。食事の後でレシートを見たら“35”ドルだったり、道路標識に“35”と書いてあったり。ターニングポイントとなる時期での制作中に、“35”という数字があまりにも印象的過ぎて、タイトルはこれで行こうと。みんな深読みして“35”って何だろう? って思っているみたいですけど、何も意味はないですから(笑)。

引用元:ONE OK ROCK、Takaソロインタビュー!ニュー・アルバム『35xxxv』を語る!! – M-ON!MUSIC

 特に意味はない「35」という数字。ちなみに「xxxv」と言うのは、アラビア数字で「x=10」「v=5」合わせて「35」という意味。

楽曲解説

2. Take me to the top / 3. Cry out / 4. Suddenly

 ファンの間でも話題になっているが、冒頭の3曲がファンに向けたメッセージや決意になっている。歌詞を拾っていってその辺を見ていこうと思う。

【Take me to the top】

Take me to the top
てっぺんに連れていってくれ
Take me to the top
頂上まで
Take me to the top
僕を連れてってくれ
Take it Oh Oh Oh
わかってくれるよね
Take me to the top
僕を連れてってくれ
Take me to the top
一番上まで
Bring me up to pull me down
引きずり回してもいいから、成長させてくれ

I’ve never what you really needed
今までの僕は、君が本当に必要としていたものじゃなかった

Way too close when I’m far away from you
君との距離が遠くなりすぎるのは、危ないかもしれない

You’re the one to push me over
僕を突き落とせるのは君だけだ

 「てっぺんまで連れてってくれ」というフレーズが印象的なこの歌。ただ、一筋縄ではいかない内容となっている。「今までの僕は君が本当に必要としていたものじゃない」というのは、これから「本当の自分」を目指すこと。変化を意味する。

 一方で「距離が遠くなりすぎては危ない」というのは「ファンが求める音楽から離れてしまうことへの危機感」ともとれる。そして「僕を突き落とせるのは君だけ」。この「僕」は変化する前の「僕」なのか、した後の「僕」なのか。いずれにしても、「君=ファン」にそれを委ねるということだろう。本作で方向性を大きく変えたことへの、決意ともとれる内容となっている。

【Cry out】

(I take ,,, it for no one)
誰でもない、僕は僕のためだけに

Cry out
叫べ
Will you tell me now
教えてくれよ
So we say we want change
僕たちも変わりたいんだ
And never be the same and yeah
今のままじゃいられないんだ

全てが裏腹な僕の
弱みを掴もうとしても
さらに固く閉ざしてみせるの

 「教えてくれよ」とは、何を教えて欲しいのか? ここではファンの気持ちと考えてみよう。変わりたい僕はファンの気持を知りたい。しかしながら「さらに固く閉ざしてみせる」。つまり、変化に向けての不安から「教えてくれよ」と言いつつ、自分の心を閉ざして思うがままに突き進む。決意の裏の不安を感じさせる内容となっている。

【Suddenly】

Say our last goodbye
最後の別れを告げる
Then suddenly
そこで突然
Where should I go?
「どこに向かえばいいの?」
I cannot be the one I see in magazines
雑誌に載ってる偉い人にはなれやしない
Where should I go?
「僕はどこに向かえばいいの?」

 別れを告げた後で、自分の向かうべき場所がわからなくなる。トップに立ちたいが、有名人になりたいわけではない。その先に目指すべきところは、どういう世界なのか。これは、ワンオクロックが自身へ問いかけた命題でもある。

 ある意味でファンに背を向け、不安を感じながらも我が道を突き進む。その先で「どこへ向かえばいいの?」と自問自答し、新たなバンドの姿を模索する。こういった意味が、アルバム冒頭の3曲に隠されているのではないだろうか?

5. Mighty Lond Falll / 8. Decision

 9thシングルでもあるこの2曲は、プロデューサーのジョン・フェルドマンの影響が大きい。「Decision」は小刻みにリズムを刻むギターが心地よい楽曲で、壮大さを感じさせるコーラスとメリハリのあるサビの展開が聞き所である。「終われない」「変われない」「It’s up to you(お前次第だ)」という、タイトルの「Decision(決断)」にふさわしい、力強いメッセージが読み取れる。

 「Mighty Lond Fall」では打ち込みのサウンドが印象的であり、シャープな展開を見せる。サビでは一転、流麗なメロディーを高らかに歌い上げスケールの大きさを感じさせる楽曲に仕上がっている。

Taka:僕の中で、ONE OK ROCKとして楽曲の中で変化を感じたのは “Decision” ですね。実は最初作ったとき、まさかこういう曲になるとは思っていなかったし、自分的にも手応えがすごくあったわけじゃなかったんです。(中略)結果としてすごく大陸的な音楽に寄っていったし、” Decision” が出来たことによって自分たちの感覚も少し変わっていったと思います。

Taka:サウンド面もそうですし、プログラミングも含め、あのテンポ感だったり……。ONE OK ROCKとしてやったことのないタイプの楽曲であるけれど、同時にONE OK ROCKらしさも中心にある気がしているんです。

引用元:【FEATURES】ONE OK ROCK, Newアルバム「35xxxv」インタビュー – ALTPRSS

7. Memories

 非常にメッセージ性が強い楽曲。まずはサビを中心に歌詞の一部を見てみよう。

Memory memory now
(今では思い出にすぎない)
You are nothing but a Memory memory now
(お前はもはや「思い出」でしかない)
You’re burning out
(もういないんだ)
移り変わり行く世代交代
後追いはしない新時代
Memory memory now
(過去のものなんだ)
Go on and fuck yourself
(消え失せろ!)

Don’t wanna be a has-been
(「過去の人」にはなりたくない)
Never gonna happen
(そんなこと絶対ありえないけど)
Not like you
(俺はお前とは違うんだよ)

 「思い出」「世代交代」「新時代」「過去の人」というキーワードが、音楽シーンの中での自身の決意を述べているようにも聞こえる。と言うか、それしか考えられない。日本の有名なバンドでここまで攻めている歌詞はちょっとめずらしいだろう。有名人がこれくらいのことをちょっと言ったくらいで、日本では物議を醸し出す。そこは上手く英語で中和されていてちょうど良いのかも知れない。

9. Paper Planes (featuring Kellin from スリーピング・ウィズ・サイレンス)

Taka:これはもともと曲があったんですけど、ちょっとテイストが違うなと思っていたんです。(中略)そのあと僕らはツアーに出るんですけど、そのツアー中にJohnと仕事をしていたのがSleeping With Sirensだったんです。JohnがKellinに僕らのことを話してこの曲を聴かせたところ、Kellinはすごく気に入ったらしくて。それならちょっと入れてみようか、という遊びから始まって、そのままフィーチャリングと言うスタイルになって行きました。

引用元:【FEATURES】ONE OK ROCK, Newアルバム「35xxxv」インタビュー – ALTPRSS

 スリーピング・ウィズ・サイレンスは、2010年デビューのアメリカのポスト・ハードコアバンド。プロデューサーのジョン・フェルドマンと共に仕事をしていたということだが、彼はエモ、ポスト・ハードコア系のバンドに他にも多く携わっており、ワンオクロックの音楽性とも近いところにある。彼らの出会いはある意味では「自然な」なものだったとも言える。

 とは言え、この曲はワンオクらしさとはかけ離れた特異な曲。メンバー自身もかなり違和感を感じながらレコーディングしていた。アルバムとして完成した後でも「よくわからない」「アルバムに絶対必要とは言えない」「とりあえず入れちゃえ」と語っている。ただしやっつけというわけではなく、あくまでも冒険であり、新しいことをやってみようという考えがある(『ロッキング・オン・ジャパン 2015年 03 月号』pp.57-58参考)。

 打ち込みサウンドを駆使した、遊び心もあるポップなサウンドが、ハードな演奏と絶妙に対比されている。ケリン・クインのクセのある歌唱は、アルバムの中で非常に効果的なアクセントとなっている。

【収録曲】
  1. 3xxxv5
  2. Take me to the top
  3. Cry out
  4. Suddenly
  5. Mighty Long Fall
  6. Heartache
  7. Memories
  8. Decision
  9. Paper Planes
    (featuring Kellin from スリーピング・ウィズ・サイレンス)
  10. Good Goodbye
  11. One by One
  12. Stuck in the middle
  13. Fight the night
※作曲クレジット等
  1. 3xxxv5 / (Taka)1:41
  2. Take me to the top / (Taka,コリン・ブリテン)3:15
  3. Cry out / (ONE OK ROCK,コリン・ブリテン)3:47
  4. Suddenly / (Toru,Taka)3:03
  5. Mighty Long Fall / (ONE OK ROCK,ジョン・フェルドマン)4:03
  6. Heartache / (Taka,A.Lanni)4:25
  7. Memories / (Taka,Jordan Schmidt)3:21
  8. Decision / (Taka,ジョン・フェルドマン)3:45
  9. Paper Planes (featuring Kellin from スリーピング・ウィズ・サイレンス)
    / (Taka,ジョン・フェルドマン,Nicholas “RAS” Furlong,Kellin Quinn)3:21
  10. Good Goodbye / (Taka,コリン・ブリテン)3:45
  11. One by One / (Taka,ジョン・フェルドマン)3:38
  12. Stuck in the middle / (ONE OK ROCK,ジョン・フェルドマン)3:32
  13. Fight the night / (Taka,J.Cole)4:16

Ambitions(アンビションズ)』(2017)
アメリカ市場に食い込む一枚!
★★おすすめ★★

 

アルバム解説

アメリカ名門レーベルへの移籍/ビルボード200

 バンドは2016年秋にこれまで国外リリースを担当していたワーナー・ブラザーズ・レコードから、傘下の「Fueled by Ramen」へ移籍。ワンオクロックの得意とするロック、パンク・ロック、ハードコアエモ系のアーティストを多く抱え、アメリカのチャート成績やグラミー賞でも実績のあるレーベルである。ワンオクが影響を受けたと公言し、共にライブ出演もしているビッグバンド「フォール・アウト・ボーイ」も所属している。当然ながらアメリカ市場におけるマーケティング・コマーシャル力はかなり大きいだろう。結果的にこのアルバムで、ビルボート200にランクイン(106位)するなど、レーベル移籍の効果が出ていると言っていい。今後のアメリカでの活躍も大きく左右するだろう移籍となっている。

ビッグネームとの共演

 アルバムではアヴリル・ラヴィーンをボーカルとしてフィーチャリングした「10. Listen」、オーストラリア出身の新生パンク・バンド「ファイブ・セカンズ・オブ・サマー」をフィーチャリングした「14. Take what you want」など豪華な楽曲も目立つ。どちらもワンオクロックの楽曲を軸に、絶妙なコンビネーションで新たな色付けをし、アルバム内でアクセントを効かせている。

 アヴリル・ラビーンとの共作の経緯については、ファイブ・セカンド・オブ・サマーと一緒にツアーを周り、カナダ公演の際にアヴリルと会ったことから。その以前、アヴリルのアルバム発売の際に日本でインタビュー企画をしたこともあり、音楽について語り連絡先を交換。その後、アルバム作成中との報告をすると「一緒にやれたらいい」という誘いがあったとのこと(参考:Tokyo FM「SCHOOL OF LOCK!」2017年1月10日放送分)。

 また、クレジットはなされていないが「11. One Way Ticket」はリンキン・パークマイク・シノダがプロダクションで参加している。LAでレコーディングの際、同じくアルバム製作中のリンキン・パークのスタジオに遊びに行き、お互いの曲を聞かせあったそう。そこで、ワンオクの曲を気に入り「参加したい」となったとのこと(参考:Tokyo FM「SCHOOL OF LOCK!」2017年1月10日放送分)。

ミドルテンポ&歌へのフォーカス

 Takaによれば、大きい会場でライブした時「後列まで届いているのか?」と感じ、アリーナレベルで座っているお客さんにもしっかり届けられる音楽が大事なんじゃないか? と思ったそう。そこから、少しテンポを下げた楽曲に移行していったそう。また、歌にフォーカスをあてようという意識も強かったそう。収録の楽曲にシャウトが一度も無いのもそこからきている。

雑誌でのインタビュー等

ヴォーカルへの意識、サウンド面の変化

――やっぱりヴォーカルはレベルを上げようと思ってたし、英語の発音なんかも、日本でやってたら気にする必要はないのかもしれないけど、『いや、これやんなきゃダメなんだよ』っていう、それを自分に言ってる感じはすごくあった。

――今まではバンドのことをすごく考えてたから、サウンド面だったりとか、バンドとしてよく目立つようにっていう。でも今回は作ってる段階から、ちょっと誤解を恐れずに言うと、メンバーをあんまり入れ込ませないようにして――それはメンバーもわかってくれてたから。僕が歌に対してもっともっとフォーカスを当てていきたいっていうのは。

引用元:『ロッキング・オン・ジャパン 2017年 02 月号』p.51より

 英語の発音を含めたヴォーカルへのフィーチャー。これが本作の大きなテーマの一つになっている。実際、前作と比べると英詩の割合はぐっと高まり、むしろ時々聞こえる日本語のフレーズがアクセントになっているほど。

 これはサウンド面への変化にも影響しており、よりヴォーカルに向き合うためにミドテンポの楽曲を採用したり、同じ曲の中でも楽器がアコースティックのみのパートを挟み、ヴォーカルの音を強調する場面が見られる。

桜井和寿(Mr. Children)さんとのエピソード

――怒りみたいなバッて来る言葉ではないですね、昔みたいな。今はでも、もうそういう言葉って吐けないんですよね、MC以外では(中略)でもそれはまだ愛されてなかったからできたことだし、こんだけファンが増えたら、そんなね、無茶苦茶言えない(笑)――

――この前ね、桜井(和寿)さんとふたりでご飯を食べたんですよ。で、櫻井さんに、『いや、櫻井さん、僕昔……』って、ほんとに今みたいな話をして、『もう怒りでしかなかった』って、『怒りが今、消えちゃってます、愛されすぎて、どうしたらいいんですかね?』みたいな話をしたら、それは大人になっていくっていうことなのかもしれないけど、でも、たぶん大丈夫だよみたいな。怒りではないかもしれないけど、同じエネルギーみたいなものはちゃんと存在するし、Takaならそれを、別の形かもしれないけど持ち続けてできると思うよって言ってくれた――

引用元:『ロッキング・オン・ジャパン 2017年 02 月号』p.56より

 桜井和寿さんと言えば、彼も若い頃は一気にスターダムにのし上がり、その一方で作品との向き合い方、自分の理想とファンが求める音楽、あるいはメディアでプライベートが取り上げられたりと、いろいろなものと戦い、葛藤してきたアーティストだ。そんな彼にTakaは「怒りというエネルギーが無くなった」ことを相談した。

 そこで桜井さんは、「別のエネルギーを探せばいい」とアドバイスを送る。新旧の日本代表とも言えるアーティストのこのやりとりは非常に興味深い。Mr.Childrenもその時々で大きな曲調の変化、作風の変化を見せてきた。そこで同じような壁にぶつかった経験があるのだろう。ワンオクロックの以前の「攻撃的」な部分が、今後どのように変化していくのか。そんな期待を抱かせる内容だ。

楽曲解説

2. Bombs away

[歌詞解説]※翻訳はノベルユウオリジナル

This is the end of you and me
これで終わり
And I’m never going back
二度と君の元へ戻らない
Before my broken soul begins
to fade to black
壊れた僕の魂が消え去ってしまう前に

And if I could show you now
Let you see the future
もしできるなら、君にも未来を見せてあげたい
Burning out, burning out
完全に燃え尽きるまで
This is confirmation
準備はいいかい?

The higher up I get
さらなる高みへ
I bury it, bury it
そんな決意を葬り
The higher up I get
しかしまたそれを望み

Tick tick tock and it’s bombs away
その時が来た。爆弾投下
Come on, it’s the only way
いいさ、それが運命
Save yourself for a better day
より良き未来のため、自分を守る
No, no, we are falling down
なのにどうして、僕らは落ちていく
I know, you know this is over
皆わかってる、終わったことさ
Tick tick tock and it’s bombs away
時間が迫り、爆弾投下
Now we’re falling…now we’re falling down
そして僕らは落ちていく

 この曲の歌詞にあれこれ解説する必要はないと思うけど、歌っているのは「新たな決意と新たな行動、その裏にある戸惑い」だろう。雰囲気としては前作『35』の「Take me to the top」に似ているが、より心の深い部分について歌っており、内省的な歌詞となっている。サウンド面でも、一辺倒な攻撃的サウンドから一歩先に進めた感がある。

3. Taking Off

 元々はアコースティックナンバーから始まり、徐々に音を重ねていって完成した楽曲。元のアコースティックバージョンをYoutubeで視聴できるが(下記)、タイトかつヘヴィなリズムアレンジに加えて、サビではハード・ロック系のアレンジがなされ、アルバム序盤の核となるダイナミックな楽曲に仕上がっている。

 

4. We are

[歌詞解説]※翻訳はノベルユウオリジナル

They think that we’re no one
僕らはありふれた存在で
We’re nothing, not sorry
ちっぽけだけど、謝る気なんてないね
They push us
それでも前に立たされ
It’s too late, it’s too late
もう遅すぎるんだよ
Not going back
後戻りはできない

夢は終わり、目を覚ます時
絶望や希望も同時に目を覚ました
鏡に映った僕が問いかける
自分を誤魔化し生きることに意味はあるか

When you’re standing on the edge
崖っぷちにいる君たちは
So young and hopeless
あまりに若く、希望もない
Got demons in your head
頭の中には悪魔が……
We are, we are
僕たちだ。僕たちがいる
No ground beneath your feet
君たちの足元に地面が無くても
Now here to hold you
ここで君を支える
‘cause we are, we are
なぜなら僕たちは
The colors in the dark
暗闇に光る色彩だから

 2. Bombs away 3. Taking offとのつながりを感じさせるこの曲。『35』でもそうだったが、アルバム冒頭の数曲はファンに対するメッセージ的な要素を多分に持っている。

 さて、この曲でついに、何かしらの希望や光が強調される。「絶望や希望も同時に目を覚ました」「自分を誤魔化し生きることに意味はあるか」という歌詞は、全てをさらけ出して向かっていくという意味だろう。そして、最後は「僕たちは暗闇に光る色彩」となる。

 「We are」という叫びはこの曲の象徴的な言葉だろう。希望だろうが絶望だろうか、光だろうが闇だろうが、どんな状況にあっても「We are」というところは変わらない。音楽性が変わっても、戦う舞台が日本から世界へ変わっても、「それさえ忘れなければ大丈夫」というメッセージを感じる。ワンオクのキャリアを通じた「アンセム」にもなり得る力強さをもった楽曲だ。

7. Bedroom Warfare / 10. One Way Ticket

 

 この二つの曲は、レーベル側の要求から「ラジオでかける曲」を意識して制作。共通するのはボーカルをフィーチャーした楽曲という点。本作のテーマである「歌にフォーカスする」ことを体現している。

 ポップで切ないメロディーが印象的な、R&Bのテイストも垣間見える「One Way Ticket」は、クレジットこそされていないがリンキン・パークのマイク・シノダがプロダクションで参加しているという豪華な一作。スタジオに遊びに行きお互いの曲を聴かせあう中で参加が決まった。

10. Listen

 

 日本でもおなじみのアヴリル・ラヴィーン参加の楽曲。以前に日本で面識があった両者は、ワンオクのカナダでの公演で再開し連絡先を交換。アルバム制作を報告したという経緯を持つ。さすがの世界の歌姫であり、圧倒的な存在感でアルバムの中で強烈なアクセントとなっている。

【収録曲】
  1. Ambitions -Introduction-
  2. Bombs away
  3. Taking Off
  4. We are
  5. 20/20
  6. Always coming back
  7. Bedroom Warfare
  8. Lost in Tonight
  9. I was King
  10. Listen
  11. One Way Ticket
  12. Bon Voyage
  13. Start Again
  14. Take what you want (featuring 5 Seconds of Summer)
※作曲クレジット等
  1. Ambitions -Introduction- / (コリン・ブリテン,Taka,Toru,Ryota,Tomoya)1:23
  2. Bombs away / (Taka,コリン・ブリテン,Bruno Agra)4:23
  3. Taking Off / (Taka,Dan Lancaster,Nick Long)3:39
  4. We are / (Toru,Taka,コリン・ブリテン)4:15
  5. 20/20 / (Taka,コリン・ブリテン,Nick Long)3:19
  6. Always coming back / (Taka,Toru,ジョン・フェルドマン)3:33
  7. Bedroom Warfare / (Taka,Nolan Sipe,Andrew Goldstein)3:23
  8. Lost in Tonight / (Taka,Kane Churko)2:52
  9. I was King / (Taka,ジョン・フェルドマン,Simon Wilcox)3:58
  10. Listen (featuring Avril Lavigne) / (Taka,コリン・ブリテン,Nick Long)3:38
  11. One Way Ticket / (Taka,Cj Baran,Nick Long)3:36
  12. Bon Voyage / (Toru,Taka,コリン・ブリテン)4:05
  13. Start Again / (Taka,コリン・ブリテン,Nick Long)3:14
  14. Take what you want (featuring 5 Seconds of Summer) / (Taka,コリン・ブリテン,Nick Long)4:04