Oasis(オアシス)まとめ【おすすめアルバム,名盤,レビュー】

2017年11月12日

理不尽な酷評を受け続けた中期のオアシス

 飛ぶ鳥を落とす勢いで売上と評価を高めていったオアシス。だが、まだまだやるべきことはたくさんあった。考えてみれば、彼らは94年のデビューからわずか2年ほどで、イギリスのポピュラー音楽の歴史に名を刻んだ。それに、あのビートルズと比較する声すら出てきていた。デビュー間もない若いバンドにとっては、あまりにも急激な周囲の変化だ。

  やるべきことは、まずはアメリカへの本格進出。そして、より深い音楽性と、前作を超える大作だ。その結果生まれたのが、3rd『Be Here Now』だった。バンドは目標のいくつかは達成する。3rdはビルボードで2位を獲得(前作は4位)。アルバムの内容は曲の長さや構成の面では「大作」だった。しかし、よくも悪くも、オアシスの評価はこのアルバムを境に大きく変わってしまう。

 

Be Here Now』(‘97,3rd) – オアシスの運命を変えた隠れた名盤


Be Here Now

 前作の大ヒットを受け、オアシスの新作への期待値は上がりに上がっていた。メンバーの意気込みもかなり高く、満を持して発表された3rd『Be Here Now』。当時はブリット・ポップ全盛期。メディアも煽るだけ煽って、ろくに内容も聴かずに「名盤」と評価。結果、発売当初は売れに売れたが、徐々にアルバムに対する否定的な意見が出始める。結局、ヒットはしたものの想定したほどの売上も評価も得られず、今では存在自体が無かったことにまでされている。

 酷評の原因は曲の長さと、音の悪さ。大半の曲が5分を超え、7分台、9分台の曲もある。音はミキシングのしすぎで音が飛んでいる。前作のようなわかりやすい作品ではないし、かといって新たな音楽性に脱皮したかといえばそうでもない。何かをしようとしてできなかった内容になっている。ただし、楽曲のクオリティはすばらしいのだ。曲の長さうんぬんはもはや好みの問題だから無視する。曲の構成はいい具合に複雑化しているし、演奏もハードでテンションも高い。一方で、メロディアスな部分もしっかりある。素材の良さは前作を上回ると言ってもいい酷評されたのはわかるが、悪い音も慣れてしまえばどうってことない。無理してでも聴くべき名盤。

 音の話は抜きにして、曲調について。簡単に言えば、2ndの「Morning Glory」「Champagne Supernova」といった楽曲をイメージすればいい。壮大な雰囲気をもった楽曲が多く、音もでかい。オアシスのアルバムはどれもよく聞くけど、気がつけば一番良く聞いている。#1~#3の大作、メロディーが素晴らしい屈指の名曲#4「stand by me」、#10,12の大作「all around the world」などは必聴。良くも悪くも、ノエルの作曲センスはこのアルバムの時点で最高だったと思う。当時のメンバーはドラッグ中毒で、感性はあっても理性が欠如していたのだろう。それでも、やっぱり素晴らしいアルバム。

 

Standing on the Shoulder of Giants』(‘00,4th)

Standing on the Shoulder of Giants

 失敗作となってしまった前作以降、オアシスの評価は不当に低くなってしまう。とりわけイギリス国内のメディアからの評価の低さはひどくなる。チャートでは毎回1位を獲得し、欧州各国、日本、オーストラリア、カナダなどでも10位以内は固い。それでも、本国での酷評はすさまじく、ついでに米でのチャート成績も振るわず。3rdまでは各国で軒並み1位を獲得するほど力があり、本国では救世主扱いされていた。あまりにも評価と期待が上がりすぎた故の、酷評というのが正しい。それほど、2ndの出来は素晴らしかったのだ。

 世間的な評価はともかく、このアルバムは名盤。オアシスのアルバムの中でも、ベスト3に入る。とりわけ、作品全体の統一感は秀逸。前編を通してサイケデリック調の曲が占め、3分台のコンパクトな曲も多く、締りのある内容となっている。メロディーの美しさは相変わらずで、サイケ特有のトリップ感やグルーブを持っており、ハマると抜け出せなくなる。非常に心地の良いアルバム。

演奏には、ドラムループ、サンプリング、エレクトリックシタール、メロトロンシンセサイザー、バックワードギターなどが使用されており、モダンサイケデリックの印象が強く、結果的として、エレクトロニカやヘビー・サイケデリック・ロックに影響を受けたより実験的な要素の濃いアルバムに仕上がっている。

引用元:スタンディング・オン・ザ・ショルダー・オブ・ジャイアンツ – Wikipedia

 他の特徴といえば、ノエルのヴォーカル曲が2曲(「Where Did It All Go Wrong?」#7、「Sunday Morning Call」#8)、リアム作の曲が1つ(「Little James」#5)。ノエルのヴォーカル曲が複数入るのと、リアムの曲が入るのは、以降のアルバムにも引き継がれる。ノエルの歌が上手くなっており、#8はアルバムのベスト曲と言ってもいいほどの出来。かなりの名曲。また、今作からゲム・アーチャーアンディ・ベルが加入。解散までのオアシス、解散後のリアム率いるビーディー・アイまで、共に活動するメンバーとなる。

 確かに、3rdまでの作品とは全く雰囲気が違う。このアルバムでオアシスから離れてしまった人も多いと思う。ただ、2ndまでのオアシス像を引きずって、このアルバムを敬遠するのは非常にもったいない。

 

Heathen Chemistry』(‘02,5th)

Heathen Chemistry

 前作の雰囲気から一変、バンドサウンドを基調とし、個性の際立つ曲が多くなったアルバム。シングル曲(#1,4,6)の出来が良く、キャッチーな作風に戻りつつある。ただ、新たな方向性を探る過程のアルバムとあって、完成度はまずまず。オアシスが大好きになったら、これを聞くと面白いというのが私見。

 今作ではゲムとアンディ作の曲が1つずつ、リアム作が2曲となっている。各メンバーが楽曲を提供する形は、次作以降にも引き継がれる。曲のバリエーションが広がったのは確か。

 ひとつ残念なのは、リアムの声の劣化が始まったこと。これは以降のオアシスに付きまとう大問題(特にライブで)であり、正直これも解散の大きな理由になったと思う。その辺の話はまあ後にして、面白いアルバム。

 

⇒page3「60’s/70’sへの回帰。クラシック・ロックとサイケデリック・ロック。」

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Posted by hirofumi