漫才(お笑い)の台本の書き方・作り方[ネタ探し,時事,アイディア]

2018年3月4日

漫才(お笑い)の台本の書き方・作り方

 最初に紹介した漫才の作り方を、順を追って見てみよう。設定は時事ネタ。時事ネタはたくさんの話題をどんどん紹介していくので、半ば無理やりに話をつなげても違和感はそれほどありません。ストーリーを細かく練ったりする必要が無いので、アイディアを形にしやすいです。

1. 短い単語でネタ(ニュース)を列挙
カテゴリごとに分類すべし!

国外】

ノーベル文学賞、カズオ・イシグロ、村上春樹

【社会】

プレミアムフライデー、週休三日制、副業・兼業、ブラック企業、業務効率化・深夜営業自粛、離婚率上昇、

【スキャンダル・不祥事】

山尾志桜里、力士暴行事件

 まずは基本のネタ(ニュース)探し。今年のネタをネットなどで検索しながらどんどん書き出し、カテゴリ別に分けていきます。今回は数が少ないので、3つに分類しました。なるべく似ているネタは複数用意することと、できれば数は多い方がいいでしょう。また、単語を聞けばだれでもわかるネタがポイントです。

2. ネタに対して「疑問・感想・追加情報」を考える

 漫才の導入部にできそうな、今年のニュースの中でもホットなもの、あるいは年の終わりにかけての話題がおすすめ。ここでは毎年10月発表のノーベル文学賞。村上春樹あたりを使います。そこで、ネタに対する疑問、間奏、追加情報を加えていきます。

【疑問・感想・追加情報】

■ノーベル文学賞、カズオ・イシグロ、村上春樹
⇒カズオ・イシグロって、完全に日本人の名前だけど、カタカナ表記で面白いな
⇒村上春樹の作品はどんなのあったかな?……「1Q84」
⇒村上龍って作家もいたな。デビュー作の名前が変だったな……「限りなく透明に近いブルー」

 このようにして情報を加えていって、ボケのきっかけを探します。

3. ボケを考えてみる

【ボケ】

★カズオ・イシグロ⇒ブランドの「タケオ・キクチ」みたいだな
★過去のニュースをからめてみようかな?⇒偽ピアニストの佐村河内は今頃何してるんだ?⇒「サムラ・ゴウチ」
★村上春樹がスランプになったとしたら?⇒「頭が悪くて小説書けない」⇒「IQが低い」⇒「IQが84」

 二つ目のボケは突拍子もないですが、最初に「タケオ・キクチ」を出しておけば勢いで行けそうです。村上春樹さんの話はあくまで「漫才のネタ」です。では、これを漫才の流れにまとめていきましょう。

■冒頭部分

ボケ  「今年もいろいろあったけど、毎年恒例のノーベル賞の話題で盛り上がったな
ツッコミ結局また村上春樹は受賞できなかったね

 

ボケ  「でも、日本に関係する人が受賞して盛り上がった
ツッコミそうそう。両親が日本人の、日系イギリス人小説家

 

ボケ  「『タケオ・キクチ』だっけ?
ツッコミ違うよ!

 

ボケ  「思い出した。『サムラ・ゴウチ』だ
ツッコミ違うよ!『カズオ・イシグロ』だろ!誰だそれは

 

ボケ  「いや、紛らわしいんだよ。それもこれも、村上春樹がなかなか賞取らないから悪いんだよ
ツッコミまあでも、周りが盛り上がりすぎてるからね。あの人もいい迷惑なんじゃない?

 

ボケ  「あの人は『自分は頭が悪いからノーベル賞なんて似合わない』って言ってたしな
ツッコミそんなこと言ってたっけ?

 

ボケ  「IQ84だって言ってた
ツッコミくだらねえわ!本のタイトルだろ!

 

ボケ  「あと、最近は小説書こうにもアイディアが出ないって言ってたな。『頭の中が真っ白で、限りなく透明に近いブルーだ』って
ツッコミそれは村上龍の小説だろ!わかりずらいわ!

 これでひと塊のボケができました。ツッコミはあとでどうにでもなるので、この要領でどんどんボケを考えていきます。

4. 関連ネタor別の話題でどんどんボケる

 漫才は流れが肝心なので、関連するネタで話を進めていくのが基本です。ただ、時事ネタは話題をどんどん出していけるので便利です。別の話に飛ぶ時は、前の話と何らかの形でつなぎをします。この点は後で説明するので、とりあえずボケを考えていきましょう。

【疑問・感想・追加情報】

■プレミアムフライデー、週休三日制、副業・兼業
⇒休日や仕事の形がどんどん変わる
⇒兼業するとしたら、どんなものがあるか
⇒面白い兼業って何だろう?

 ここからボケを考えていきます。ここでテクニックがいくつか出てくるので、合わせて見ていきましょう。

テクニック①「大喜利方式でどんどんボケる」
テクニック②「ボケを被せる/連続ボケ」「天丼」

 ここでは面白い兼業を考えていきます。ボケの考え方としては大喜利方式です。お題は「面白い兼業(副業)を教えて」。大喜利の答えはいろいろありますが、ここではボケの基本の一つ「真逆のものを組み合わせる」「水と油を混ぜる」を使います。真逆のものを一緒にするとその落差やギャップに笑いが起こる可能性が高くなります。ここでもニュースや日常の出来事をイメージして、単語をどんどん羅列していくのがおすすめです。

【ボケ】
大喜利方式 – 「面白い兼業(副業)を教えて」

★消費者金融と法律事務所(過払い金請求)=言わば水と油
⇒プロミスとアディーレ法律事務所
※具体的な名前を出した方がわかりやすく面白い

★ブラック企業の兼業は辛そうだ
⇒ワタミ、アリさんマークの引越社

★山尾志桜里=愛人を政策秘書に起用
⇒愛人と政策秘書の兼業

★佐村河内守と新垣隆
⇒ゴーストライターネタ

 こんな風にして、どんどんボケを作っていきます。ここではもう一つの基本テクニック、「被せ」「天丼」も使っています。「被せ」同質のボケをどんどん重ねていき、笑いを大きくする手法、「天丼」は忘れたころに既出のボケをもう一回登場させる手法です。ここでは「おもしろい兼業」というボケを連発します。感覚的にですが、「被せ」は3回が基本だと思います。3段落ちという言葉もありますし、バラエティ番組でも3回の被せが良く見られます。あるいは、多くても5回がいいでしょう。

(余談ですが、日本人の感覚として「奇数」がリズムとして優れています。俳句の5・7・5、ノックの回数は3回などがその例です。もっと言えば「素数」なのですが、ややこしい話になるので省略します。この理論は数学好きのビートたけしさんがテレビや書籍で何度か語っています。とりあえず、被せは3回か5回と覚えておけばいいでしょう。)

 話を戻しましょう。ボケの際には話題のニュースをからめるのがポイントです。最初に羅列したネタの中から探したり(ブラック企業、山尾志桜里議員)、すでに出て来たネタを繰り返す(佐村河内守)のもポイントです(天丼)。

 さて、冒頭のネタから話題が変わるので、なんらかの繋ぎが必要です。冒頭のネタの最後を見ると――

ボケ  「あと、最近は小説書こうにもアイディアが出ないって言ってたな。『頭の中が真っ白で、限りなく透明に近いブルーだ』って」
ツッコミ「それは村上龍の小説だろ!わかりずらいわ!

――となっているので、「わかりずらい」をいただきます。さっそく見ていきましょう。

■中盤1

ボケ  「わかりずらいと言えば、プレミアムフライデー。あれは意味があるのか?
ツッコミでも、金曜日に安くなるお店なんかがあって、結構楽しんでるみたいだよ

 

ボケ  「しかも最近は週休3日制にしようとか言う話もあって、金曜日もこのままいくと休日になるかもな
ツッコミそれに伴って、兼業をOKにするという話も出てるね

 

ボケ  「だからさ、俺も兼業を早いうちに始めようと思って、今いろいろ調べてるんだよ
ツッコミ何かいいのあった?

 

ボケ  「プロミスとアディーレ法律事務所の兼業
ツッコミいきなり具体的な社名出て来たけど?

 

ボケ  「金貸した客に後で過払い金請求させる。これが本当の永久機関だ
ツッコミ意味わかんねえよ!

 

ボケ  「あと、ワタミとアリさんマークの引越社の兼業
ツッコミどっちもブラックじゃねえか!

 

ボケ  「それから、愛人と政策秘書の兼業
ツッコミそれは山尾志桜里の相手だろ!

 

ボケ  「佐村河内守と新垣隆
ツッコミうるせえよ!

 

ボケ  「真面目な話するとね、あの有名なロック・バンドのGLAYも兼業してるらしいよ
ツッコミそれは知らなかった。何やってるの?

 

ボケ  「白と黒の兼業。つまりグレー
ツッコミくだらねえわ!

5. 「2.~4.」の手順を繰り返す

 基本的には「2.~4.」の手順を繰り返してボケをつくっていき、全体としてストーリーを完成させればOKです。ここからはいくつかテクニックを紹介しつつ、漫才を完成させます。

2. ネタに対して「疑問・感想・追加情報」を考える
3. ボケを考えてみる
4. 関連ネタor別の話題でどんどんボケる

【疑問・感想・追加情報】

■力士暴行事件
⇒「かわいがり」みたいな、力を使った無理なしごきは時代に合わない
⇒力士に正しい指導法をさせるにはどうすればいいか?

 ここからまたボケを考えていきますが、先ほどの「兼業」のボケのところは、アイディアが出やすいので、また再利用します。漫才を作っていると、「このボケはまだいけるな」という時が出てきます。そういう時は、それをメインのテーマにして最後まで引っ張りましょう。単調になりがちなので、あくまで別の話題を進めるふりをしておくといいです

【ボケ】

★力士が兼業して、いろんな勉強をしたらいのではないか?
⇒力士が教師を兼業すれば、指導法を学べる
⇒ただの暴力教師になったら嫌だ

 ここではボケのテクニックが一つ隠されているので、説明しましょう。

テクニック③「もしもネタ」でボケる

 ボケのテクニックの一つに、「もしもネタ」があります。ここでは「もしも力士が別の仕事をしたら?」と想像してみます。このもしもネタは定番であり、ドリフターズがコントでよく使っていました。全体としてコントでよく使われる手法ですが、漫才にも応用可能です。

【ボケ】

★もしも力士が……サラリーマンになったら?
⇒力でなく言葉で部下を指導する技術が身に付く
⇒でもやっぱり強いので、トラブル処理や社長のボディガードに使われる
⇒特命係長「只野仁(ただのひとし)」みたいだな
⇒力士がサラリーマンを兼業したけど、やっぱり「ただの力士」だった

 こういう突拍子もないボケは、突然ひらめくものです。いろんな話題を頭に入れておくと、時としてこういったエキセントリックなボケが生まれます。

 では、ここまでのボケを漫才にまとめましょう。

■中盤2

ボケ  「あと今年のニュースで気になったのは、モンゴル人力士の暴力事件
ツッコミ現役横綱の暴力沙汰は結構衝撃的だったね

 

ボケ  「相撲界には『かわいがり』ってのがあるらしいけど、ああいう指導法は現代には合わないよ
ツッコミ確かに、本当に必要なのかっていう議論はあるね

 

ボケ  「だからさ、横綱に教師を兼業させればいい。力を使わないでどう指導するかってのをそこから学ぶ
ツッコミそういうのができたら本当にいいんだけどね

 

ボケ  「ただの暴力教師になったりして
ツッコミだめじゃねえか!

 

ボケ  「もしくはサラリーマンやらせてさ、言葉を使って後輩にどう指導するかってのを学ぶべきだな
ツッコミそれは本当に効果あるかもね

 

ボケ  「でも強いからってことで、いつの間にか社内のトラブル処理とか社長のボディガードとかやらされたりして
ツッコミそれじゃ意味ないな

 

ボケ  「特命係長『ただの力士』!
ツッコミそれ言いたかっただけだろ!