「論理的な文章の書き方入門」のレビュー(文章の書き方/論文・レポート)

自分の意見が伝わる論理的な文章が簡単に書ける!

 文章の書き方を紹介する本はいろいろありますが、この本では、自分の意見や考えを文章にする方法について紹介されています。例えば、ニュースで紹介された社会問題についてどのような解決方法があるか。ある考えについて賛成か反対か。これらを論理的な考えに従って文章にまとめる方法です。

 社会問題とか論理的とか聞くと難しいイメージがありますが、本の内容はかなり易しく、非常にわかりやすいです。中学生や高校生でも充分読めるので、例えば大学受験で小論文を書く高校生などにおすすめできます。また、特に初めてレポートを書く大学生におすすめです。これまで大学生向けのレポート作成本をいくつか読んできましたが、入門用としては一番わかりやすい部類に入ると思います。

 筋道の通った文章の書き方はもちろん、自分の意見・考えに対する理由の述べ方、理由を支える証拠はどのように集めるかも書いてあり、レポート作成のための基本事項はしっかりカバーしています。

もくじ

「問題提起」→「結論」→「理由」のクイズ文を利用する

わかりやすい文章は「問題提起」と「結論」を先に述べる

 読み手に自分の意見・考えを伝える文章として、本の中では「クイズ文」というものを紹介しています。まずはクイズ文の構造について見て行きましょう。

  • クイズ文
    • 問題提起……
      「~すべきかどうか」(Yes or No型)
      「~はどのようにすればいいか」(How型)
    • 結論  ……
      「~すべき/すべきではない」(Yes or No型)
      「~のようにすればいい」(How型)
    • 理由  ……
      「なぜなら~だからだ」

 

  クイズ文というのは、最初に問題提起をして、すぐに結論を述べる文章です。日本では馴染みがないですが、欧米ではレポートでも報告書でもこの形が基本です。問題と結論を先に提示することで、その先で何が書かれるかひと目でわかります。また、最初に問題提起することで、読者も内容に惹き付けられます

 Yes or No/Howというのは、その名の通り、賛成か反対かで答えられる問題と、どのような解決法があるかを考える問題ということです。他にもいろいろな型がありますが、まずはこの2つをマスターするのが大切です。

クイズ文の例

 ここでいくつかクイズ文の例を見て行きましょう。

  • 例1
    • 問題提起……朝食抜きの子供を減らすため、学校で朝食を出すことは適当だろうか。
    • 結論  ……適当である。
    • 理由  ……なぜなら、朝食をきちんととれれば、学校の勉強に集中できるからだ。

 

  • 例2
    • 問題提起……朝食抜きの子供を減らすため、学校で朝食を出すことは適当だろうか。
    • 結論  ……適当ではない。
    • 理由  ……なぜなら、朝食を出すのには手間がかかるからだ。

  シンプルすぎる文章ですが、問題と結論を先に述べ、そこから理由を説明する癖をつけましょう。前提が長すぎて何を言いたいかわからない文章と比べると、読み手にとって非常にわかりやすくなります。

「背景」「反論の想定」「まとめ」で文章を構成する

「背景」「反論の想定」「まとめ」を加えてクイズ文を完成させる

  • クイズ文の完成形
    • 背景  ……問題を取り巻く状況など、話のきっかけ
    • 問題提起
    • 結論
    • 理由
    • 反論の想定……反論を想定した上で、反論への反論をしておく
    • まとめ  ……文章の流れを踏まえての、結論の言い換え

 クイズ文はいきなり問題提起をしては不自然ですし、そのままでは説明不足です。したがって、これらの要素を加えていきます。とりあえずは、次に紹介する例を見てみましょう。

クイズ文の完成形の例

 「学校で朝食を出すか否か」という話は、本の中で紹介されている問題提起の例です。本の中で「実際に自分で文章を書いてみるといい」とあったので、私が書いた例を載せておきます。

背景
 ここ数年、朝食を食べない子供が増えてきたという話をよく耳にする。朝食を食べないと血糖値が上がらず、脳の働きを悪くするため、学習の弊害になる。また、成長期の身体の発育を考えても、好ましいものではない。
問題提起
 この問題を解決するために、軽食を提供する学校も一部出始めている。子供のことを考えれば、このような取り組みにはメリットがあるように思えるが、果たして学校で朝食を出すことは適当だろうか
結論
 朝食を出す取り組みはメリットがあるものの、朝食を出すべきではない。
理由
 その理由は、学校が朝食を提供するのには手間がかかるからだ。例えば、朝食は有料にするか無料にするか、毎日の献立をつくる必要はあるか、朝食を食べる人数はその日によって変わるので、食事が余った時はどうするか。このように、朝食を出すためには考えることがたくさんあり、その分だけ手間がかかる
反論の想定
 ただ、あくまで朝食を勧めることは良い影響があるので、問題のある家庭と先生が個別に話し合う、あるいはプリントなどを配って朝食を食べることを促すことが必要だ。それで改善しないならば、例えば学校で1時限目の休み時間に限って、飲食を許可すればいい。わざわざ学校が手間をかけて朝食を用意する必要は無くなる。
まとめ
 メリットはあるものの、学校で朝食を出すべきではない。手間をかけてまで学校がすべきことか、他により良い方法は無いかを考えるべきだ。

 ここで説明しなければならないのは、「反論の想定」です。反論としては「朝食を取らない子供を放っておいていいのか」「手間がかかると言うなら、代わりの案があるのか」といったものが考えられます。そこで「あくまで朝食を勧めることは良い」としつつ「食事の時間を設ける」という案を示しています。反論を想定して対策や代替案を示しておけば、読み手も納得できます。

 レポート作成に役立つ、上手な問題設定の方法

  • より具体的な問題設定をする。目的を明確にする。
    • 例1:子供のために学校がすべきことは何か?(☓)
    • 例2:子供が勉強に集中できるよう、学校がすべきことは何か?(△)
    • 例3:朝食抜きの子供を減らすため、学校がすべきことは何か?/
         
      朝食抜きの子供を減らすため、学校で朝食を出すことは適当だろうか。(○)

  例1は「子供のため」という部分が抽象的すぎて、目的がはっきりしていません。例2では目的はややはっきりしていますが、考えられる答えが多すぎます。例3になると、目的がより明確になり、答えもある程度限られてきます

 

  • 感情、善悪、価値観は問題にしない
    • 例1:人生を楽しく過ごすにはどうしたらいいか?
    • 例2:科学技術は良い方向に発展しているか?

  例1はそもそも問題が抽象的で、目的もはっきりしません。仮に自分にとって楽しい人生が「経済的に豊か」であれば、「将来お金をたくさん稼ぐにはどうしたらいいか?」とした方が目的がはっきりします。より具体的に「平均年収以上を確実に得るには、どのような大学に進めばいいか」とすれば、話の展開も考えやすいです。

 例2についても同じです。科学は生活を豊かにする一方で、環境破壊、戦争といった負の側面も持っています。また、人間にとって良いものでも、動物や自然にとっては悪いこともあります。例えば、「科学技術は人間の脳を発達させているか?」とすればどうでしょう。便利な道具に頼るために脳が衰えるという意見がある一方、便利な道具をつくるために科学者や技術者は頭を使っています。問題の範囲を限定させ、目的を明確にするのが、上手な問題設定になります。