小説の登場人物(キャラクター)の書き方・設定のコツ

2017年11月8日

小説の登場人物(キャラクター)の書き方・設定 – もくじ

<登場人物の「性格」に注目してみよう>

  • 登場人物の性格はどう描くか?
    「思考」「感情」「会話」「行動」を組み合わせる

    • 性格とは「思考」「感情」に伴う「会話」「行動」
    • 人間には思考と感情にズレがある
    • 登場人物を魅力的にする方法
  • 登場人物の性格が出やすい場面・状況をつくる
    • プライベートな部分を見せると性格が出る!
    • プライベートの中で問題を抱えさせる!
    • 登場人物をどんどん追い込む!

<登場人物の設定を工夫する>

  • 登場人物の相関関係を複雑化させる
    • 友好関係にある人物の間に、敵対者を挟む
    • 協力者が敵対者に変わるパターン
    • 表の顔と裏の顔
  • 登場人物の性格を真逆に設定する
    • 仲の悪い二人は話を盛り上げる
    • 真逆の登場人物の具体例

登場人物の「性格」に注目してみよう

登場人物の性格はどう描くか?
「思考」「感情」「会話」「行動」を組み合わせる

性格とは「思考」「感情」に伴う「会話」「行動」

 人間の個性をつくりだしているのは、外見と内面です。このうち、内面は「性格」という言葉で表されます。性格という言葉は日常でもよく使います。改めてその言葉の意味を考えてみると、性格は「思考」と「感情」の組み合わせによって生まれるものと言えます。
 ここで「性格」の意味を辞書を引いて見ると――

行動のしかたに現れる、その人に固有の感情・意志の傾向。

(goo辞書-「性格」より)

 意志というのは何かをするにあたっての考え方ですから、「思考」としても問題はないでしょう。行動については、小説を書く上で忘れてはならない「会話」も意識します。つまり、小説の中でのキャラクターの性格は、その人物の「思考」や「感情」に伴う「会話」や「行動」ということになります。

人間には思考と感情にズレがある

 キャラクターの性格を描く際には、思考と感情のバランスがポイントです。現実の人間を見てもわかりますが、思考と感情が完全に一致していることはほとんどありません。少なからずズレがあるものです。感情のままに考えるのは赤ん坊や幼い子どもです。物心がついてきた時点で、感情のままに話したり行動したりすると、問題が起こることを人間は学びます。そこで、感情を理性でコントロールします。これが思考です。思考と感情のバランスは人によって違います。ここでいくつか分類をしてみましょう。

【性格のパターン】
  1. 感情が優先する人
  2. 思考が優先する人
  3. バランスの良い人
  4. 思考も感情も爆発している人

このように、感情と思考に注目するだけで、キャラクターの書き分けができるようになります。では、これらの人たちを魅力的に描くにはどうすればいいでしょうか?

登場人物を魅力的にする方法

 ポイントは、普段見せない部分を見せることです。順番に見ていきましょう。

 1.の場合は、基本は感情優先型の人間として描いておき、ここぞと言う時に「考える姿」を見せれば良いです。感情のままに行動する人が、例えば大切な人が困っている時になんとかしようと頭を使っている姿を描けばどうでしょう。あるいは、何も考えていないような人が、いざという時にその高い思考力を発揮したらどうでしょう。一気に人物として魅力が出ます。

 2.の場合も同じです。理論と知識で生きてるような人が、ある出来事がきっかけで怒ったり、取り乱したりしたらどうでしょう。また、合理的で現実的な人が、なりふりかわまず思い切ったチャレンジをしたらどうでしょうか。

 3.の場合、感情豊かで思考力も高い人は、それだけである意味魅力的です。そうなると、偏った性格の人と関わったり、小説の中で大きな事件を起こしたり障害を設けたりすれば、自然と魅力が出ます。そのままで魅力的なわけですから、事件や障害など、「普段起こらないもの」「非現実・非日常的なもの」を外から与えてやればいいでしょう。

 4.は3.と似たところがあります。設定の時点から魅力たっぷりです。わがままで頭も切れるという手の付けられない人間ですが、ここぞという時にその能力で問題を解決し、仲間を救ってやったら魅力が増しそうです。

 このように「普段見せない姿」を見せると、キャラクターは魅力的になります。

登場人物の性格が出やすい場面・状況をつくる

プライベートな部分を見せると性格が出る!

 キャラクターの性格を描く上で大切なのは、何よりまず感情を出すことです。人間は誰でも、「思考」と「感情」を持っていますが、普段表に出ているものは「思考」です。仕事でも学校でも、集団生活をしている時は、感情をそのまま出していては人間関係で問題が出ますので、感情を理性でコントロールし、考えてから言葉を発したり行動したりします。相手が仲のいい友人であっても、感情をそのまま表に出して「~がしたい」「~は嫌だ」ばかり言っていては、問題が起こるでしょう。

 では、感情を出すにはどうすればいいか? それは、プライベートな部分、個人的な部分に踏み込むことです。例えば家族、恋人の話題を出せばいつもよりは感情が表に現れやすくなります。その理由は簡単で、家族や恋人は他の人よりも距離が近く、感情を表に出す割合も多くなるからです。そんな人の話題を出せば、自然と感情が表に出やすくなるのです。

 他にも、例えばお金の話などもいいでしょう。お金は非常に個人的でプライベートな部分です。また、夢や目標に踏み込んだり、生まれ・育ち・バックグラウンドに関する話題でもいいでしょう。その人がどのような環境で育ち、性格を形成してきたかの鍵を知ることができます。また、幼いころの記憶を呼び起こせば、その分本来持っている感情も出やすくなります。

プライベートの中で問題を抱えさせる!

 プライベートに踏み込むには、プライベートの中で問題を抱えさせればいいです。例えば、20代前半の若いサラリーマンがいたとします。社交的で明るく、仕事もしっかりこなす人間です。そんな彼に、実家が母子家庭という設定を加えるとどうでしょう。さらに高校3年の妹がいるとしましょう。そして、家計を助けることに加えて、妹にも大学に通わせてやろうということで、実家にたくさんの仕送りをしているのです。

 ありきたりな設定ですが、これによって彼の感情を出すのは簡単になります。何かのきっかけで、他のキャラクターと家族の話をする状況をつくればいいです。また、同僚に高給なレストランに誘われたらどうでしょうか。仕送りをたくさんしているために、どうにか理由をつけて断るシーンを描いたり、その事情を誰かに話すシーンを描けばいいでしょう。

 少々荒っぽいやり方ですが、キャラクターに大きな問題や課題を与えてやってもいいです。例えば、借金を背負わせてたり、恋人が妊娠したり。まずは設定の段階で問題を背負わせ、その問題が何かのきっかけで表にでる状況を作ってやればいいわけです。

登場人物をどんどん追い込む!

 プライベートな部分に限らず、キャラクターに問題を抱え込ませるというのは有効な手段です。問題を抱えさせた上で、キャラクターをどんどん追い込んでやれば、自然と感情の部分が出てきます。例えば現実世界の人間を見ていても、疲れている時、体調が悪い時、忙しい時などは、感情的になるものです。小説の中でも、その状況を作り出してやればいいのです。

登場人物の設定を工夫する

登場人物の相関関係を複雑化させる

友好関係にある人物の間に、敵対者を挟む

 友好関係にあるキャラクターの間に敵対者を挟むと、人間関係が入り組んで話が盛り上がります。例をいくつか見てみましょう。

  • 婚約関係にある男女と、2人の結婚を許さない女の父親。
  • 銀行に勤める男がいて、その交際相手の父親が町工場を経営。しかし町工場は不況で赤字、男の務める銀行に融資を断られた。

 単なる恋愛話にちょっと手を加えるだけで、話はどんどん膨らんでいきそうです。他にも例を見てみましょう。

  • 幼い頃にいじめっ子だった主人公が大人になりある女性を好きになる。しかし、それがかつていじめていた同級生の妹だった。
    • 彼女の兄はいじめが原因で転校
    • 主人公は現在教師をしており、受け持ちのクラスでいじめが起こる

 このように設定を加えていくと、ストーリーはどんどん複雑化していきます。

協力者が敵対者に変わるパターン

 例えば、主人公が抱える問題を一緒に解決しようとする人物がいます。しかし、話が進むにつれて、実はその人物がそもそもの問題の原因だった、という設定があります。似たようなものとして、協力者だと思っていた人間が、実は敵対者であったというものもあります。これは小説でもドラマでも映画でも、いろいろな作品でよく使われています。

【例①】

 主人公が自分の勤めている会社の不正に気が付き、それを暴こうとします。しかし、会社から圧力を受けて四面楚歌の状態になります。そんな中、彼に協力したいという社員が現れます。しかし、その男は主人公を監視するために上層部が送り込んだ人物であり、最後の最後で主人公を妨害することになる、という設定です。

【例②】

 もっとシンプルな例だと、主人公に好きな女性がいて、友人に相談に乗ってもらいます。ところが、その友人は相談にのっているううちに女を好きになってしまい、彼女と付き合ってしまう、というものです。主人公がその事実を知るのは、女に「好きな人ができた」と言わせてもいいですし、男の方から言わせてもいいです。主人公が2人が手をつないで歩いているのを目撃してしまってもいいでしょう。

【例③】

 また、逆のパターンとして、 敵対者が協力者に変化するという設定はよく使われます。例えば、悪い奴が改心して仲間になっていくというもので、悪役が改心していく姿は見ていて気持ちがいいものです。漫画などでよく使われているイメージがあります。有名どころでは、ドラゴンボールなどでこのパターンがよく使われています。GTO、ワンピースなどもそうでしょう。

表の顔と裏の顔

 もう一つ例をあげれば、主人公は刑事で、捜査のためには暴力も辞さない性格、素行も悪く、署内で浮いた存在です。そんな彼を気にかけている唯一の理解者に、温厚な性格の上司がいます。しかし、その上司は裏でヤクザに麻薬を横流ししていて、主人公が捜査の過程でその事実を知ってしまう、というのはどうでしょう。これは、北野武監督の映画「その男、凶暴につき」の主人公の設定です。

登場人物の性格を真逆に設定する

仲の悪い二人は話を盛り上げる

 

  1. 仲は良くないが、性格は合う
     初対面の場合によくありますが、少し話をしただけでは相手の一面しか見えず、それが印象として強く残ってしまいます。その後に何かのきっかけで相手を深く知ることになり、実際には性格が合うことに気づきます。
  2. そもそも性格が合わない
     性格が合わなければ仲良くなることも無いと思ってしまいます。しかし、性格が合わない2人が、お互いの良い部分を知り、徐々に仲良くなっていけば、ストー リーは盛り上がります。性格が間逆な2人をどのように仲良くしようかと考えると、自ずと斬新なアイディアも出てくるものです。
  3. どちらかが悪人の場合
     悪人が何か大きな事件や経験を通して、心を改める様を描けば、そのキャラクターに一気に親近感が湧きます。

 他にもパターンはあるでしょうが、キャラクターの紹介とストーリーの盛り上げ方としては、便利な方法だと思います。

真逆の登場人物の具体例

 まずは例をひとつ。元ヤクザの中年のおっさんと、内気な少年という設定があります。この2人が「旅」をして、「母がいない」という共通点によって仲が深まるというのは、ストーリーとして面白いです。これは北野武監督の「菊次郎と夏」という映画の設定です。

 他にも、いじめられっ子の少年と、極端に明るい少女という設定もあります。少年の数少ない特技にかけっこがありますが、少女にかけっこで負けてしまったらどうでしょう。しかしそこで、2人を「ファンタジー」でつなぐとどうでしょうか。少年は空想好きで、絵を書くのが趣味です。少女は両親が小説家で想像力豊か、2人が近所の森を冒険して仲良くなっていくというストーリーです。これは小説が原作の「テラビシアにかける橋 [DVD] 」という映画の設定です。

 また、ここからさらにすべきことは、変化の幅を大きくすることです。1の場合なら、最初はとことん仲が悪い状態にすることです。主人公とメインのキャラ が1人いれば、主人公が最も嫌う部分を、相手が出せば良いです。そこから実際には性格が合うように話を進めていけば、ストーリーの起伏が大きくなります。