小泉進次郎のスピーチ・演説力!人気の理由!

2017年10月27日

スピーチ・演説の「つかみ」!
『小泉進次郎「先手を取る」極意』を読む!

小泉進次郎「先手を取る」 極意

小泉進次郎のスピーチ・演説力、人気の理由 – もくじ

  • スピーチ・演説から人気の理由を分析
    (第48回衆院選北海道5区和田義明候補応援演説より)

    • 1. 演説は客いじり、候補者いじりから入る
    • 2. 自虐ギャグ・ダジャレをきっかけに話題に入る
    • 3. 子育て・少子化問題で心をつかむ
    • 4. 地元の人より地元を知る。農業に強い。
    • 5. わかりやすいトピックで引き付ける
    • 6. 首都圏と比較し地方の人気・魅力を提示する
    • 7. 政策等の難しい話は後で
    • 8. 党や派閥に縛られない方向性を示す
    • 9. 前向きな結論へと導く
    • <演説内容書き起こし>
  • 『小泉進次郎「先手を取る」極意』を読む!
    • 地元で強く、全国から票を集められる、最強の議員
    • スピーチ・演説での「つかみ」こそ人気の理由だ
    • ダジャレもここまでくればすごい
    • 人気の理由は「褒め」の技術
    • 言葉の「間」の取り方がすごい
    • 言葉のタイミングと相手への配慮がすごい

スピーチ・演説から人気の理由を分析

 2017年10月に行われた、第48回衆院選のうち、北海道5区「和田義明」候補の応援演説を例に、小泉進次郎議員の人気の理由を分析していきます。

 演説のポイントは全部で9項目。最後に実際の演説内容を書き起こししていますので、実際に読んでみて体感してください。

1.演説は客いじり、候補者いじりから入る

 進次郎氏が応援演説に来た際、必ずやるのは聴衆を見渡し、声をかけること。これは芸人が舞台でやる客いじりと同じ手法。

「カテプリ前の皆さん、こんにちわ。そして、お久しぶりです。ちょうど今恵庭の皆さま、ああやって私にメッセージを作って下さった皆様、去年和田さんの選挙でも会いましたね。覚えてますよ。本当にありがとうございます。」

 カテプリというのは、地元の商業施設の名前。恵庭というのは、札幌市に隣接するベッドタウンのこと。この辺の単語や地名は地元の人しか知らないもの。それをしっかり使って客いじりをする。また、一年半前の選挙のことも言い、「覚えてますよ」の一言。

 客いじりの意味は、客との距離を縮めること。聴衆に声をかけることで、「私も声をかけられるかも」と見ている人は緊張する。それによって、意識は舞台の上のいる人に否が応でも向けられる。これをやるかやらないかで、その後に本当に聞いてほしい演説の内容を、しっかり届ける準備が整う。

 このカテプリの前、和田さんの1年半前の選挙の時に、応援で来たとき、4月14日、私の誕生日だったんです。だから今でも忘れません。そして、面白いですよこの縁って。和田さんの誕生日知ってる人? 結構知ってますね。いつですか? その通り、10月10日、おととい。選挙の日に誕生日ってなかなかいませんよ。だから私も、自分の誕生日の時に和田さんの初めての選挙で応援に来て、1年半ぶりで、2回目の選挙を迎える、和田さんのその初日が誕生日。私は、和田さん、やっぱり何かね、この国のために働けっていう、そういうメッセージが込められていると思います。

※10月10日というのは選挙の公示日

 そして、今度は候補者に関する自分とのつながりを話す。よく細かく覚えているなあと思うし、ちょっとしたことから候補者と自分との選挙に関する縁を紹介し、上手に持ち上げる。事前にしっかりと情報収集をし、準備をしていることがうかがえる。大切な心配りと言えよう。

2.自虐ギャグ・ダジャレをきっかけに話題に入る

 小泉進次郎氏の演説で十八番ともなっているのが、父親譲りのギャグとダジャレ。下らないと言うなかれ、選挙応援という堅苦しいなかでギャグとダジャレは効果的で、聴衆を飽きさせない。

<子育て支援や少子化対策の話題にて>

 だけど、私はよく言われます。何で、独身で結婚していない、子供のいない小泉さんが、そういう子供子育てのことを力入れてるの? まあ、そう言われますけどね。まあ今の時代、子供のいるかいない、独身か既婚か、子供のための政策やるのにそんなことは関係ありませんよ。

 2017年10月現在、36歳という年齢で未婚。自分の立場を上手く利用して自虐ギャグを披露し、笑いをとったかと思うと「子育て支援は国民全員で考えるべき問題」と言って見せる。ギャグをギャグだけで終わらせないのは、巧みな話術と言う他ない。

 冗談さえ言えば客が喜ぶだろうと、演説とは全く関係ないことを言うだけの議員は山ほどいる。おまけに下品で、候補者を腐すだけの議員も多い。古い考えから脱却できないベテラン議員に多いだろう。そんな議員には、進次郎氏を見習ってもらいたい。

 ギャグやダジャレは演説で何度も登場する。もう一つ、終盤で登場するものを紹介しよう。

 私は、和田さんのこと、大好きなんです。何でか? こんなにおいしそうにご飯食べる人いないじゃないですか。これ、大切なことですよ。よく言うじゃないですか。声が大きくて明るくて、ご飯をモリモリ食べる人に悪い人はいない。和田さんはね、私と一緒に自民党本部でカレーを食べている写真を撮ってますけど、とてつもない山盛りのごはん食べるんですよ。間違いなく、今の自民党の中で、去年の補欠選挙で当選したばっかりの、自民党の中で最も政治キャリアの短い国会議員ですけど、自民党の中で最もおいしそうにご飯を食べるんです。

 相手をいじっているようで、しっかり持ち上げている。きちんと相手に敬意を示すからこそ、誰も傷つけず、笑いを取る。よく芸人は繊細で気遣いができる人が多いというが、進次郎氏はまさにそれである。笑わせもするが、決して無神経ではない。そこに彼の人間性がうかがえる。

3.子育て・少子化問題で心をつかむ

<保育園建設の際、泣き声などの問題などの反対意見に対して>

 赤ちゃんじゃなかったことがある人って、いるんですか? そして、一度も泣かずに大人になった子供っているんですか? そんな人いるわけはないですよね。赤ちゃんの仕事は泣くことなんだから、もっと温かい目で、子供を社会全体で見守るような、支えるような国を作っていこうじゃないですか。

 民衆の心をつかむうえで、欠かせないのは女性の支持を得ること。進次郎氏は必ずと言っていいほど、演説の際には子育て支援や少子化問題、あるいは待機児童問題を取り上げる。

 進次郎氏の論調は、誰かの意見に反論したり、無暗に持論を押し付けることは決してない。あくまで正論を言い、問題提起をし、「国民の皆様が」「社会全体で」という言葉を使って「問題を解決していこう」「変えていこう」と前を見る。

 「2.」の部分でもあげたように、子育て支援・少子化問題・待機児童問題は限られた人の問題ではなく、全員が主体となって考える問題とする。どのような問題であっても、聞く人みなに「自分が主体となる」という意識を持たせる。これこそ、リーダーに必要な「人をまとめ引っ張る力」ではないだろうか。

4.地元の人より地元を知る。農業に強い。

 今日も今まで、岩見沢の方へ行っていましたが、大きな水田が広がって……(中略)

 北海道の浜中町。あの浜中町でしか、毎年、一年中、脂肪分4.0以上のお乳を出す牛は育てられない。

 岩見沢はかつて炭鉱で栄えた夕張市や三笠市に隣接する市。札幌からは都心部まで30~40キロの位置にある。浜中町は北海道の東の外れ、釧路方面にある小さな町。こちらは道民でもなかなか知っている人は少ないような場所。どちらの話題も、道民でも知らないまさに地域に密着した情報。この話題をあげた際には、聴衆からも「へえ」という声があがっている。地元の人をも超えた知識をしっかり収集し、地域の価値を示す。地方の人にとってこれほど嬉しいことはないだろう。

 進次郎氏は2015年10月から約2年に渡って農林部会長を務めており、農業には非常に明るい。この後でも紹介するが、地方を語る上で農業の知識は非常に強みとなる。彼が全国の応援演説をする際、農業が一つの重要なキーワードになっている。

 

5.わかりやすいトピックで引き付ける

 昔は北海道のお米と言えば美味しくないと言われたのに、今では、マツコ・デラックスさんがおすすめするくらい、ユメピリカが有名で。

 そしてみなさん、アイスクリームは好きですか? ハーゲンダッツは食べますか? 私も農業のことをしっかり勉強してから、ハーゲンダッツを食べる度に思い出すのは、北海道の浜中町。あの浜中町でしか、毎年、一年中、脂肪分4.0以上のお乳を出す牛は育てられない。そういうわけで、あのハーゲンダッツは、北海道じゃなきゃできないんですよ。

 いくら北海道と言っても、道民が皆農業について良く知っているわけではない。そこで、若い人でも、そして札幌などの大都市の人でもわかりやすいように、わかりやすいトピックをあげる。ここでは、「マツコデラックス」「ユメピリカ」「ハーゲンダッツ」だ。

 旬な芸能人の名前を出せばやはり聞く方は興味をそそられる。さらに、有名な商品に関する地元の豆知識をあげれば、誰もが驚く。実際、演説の際には「ええ!」と歓声が上がったほどだ。

 地元と関連する話題のトピックをあげるだけなら誰でもできる。重要なのは、それをどのように紹介するかだ。「あのハーゲンダッツは、北海道じゃなきゃできないんですよ。」という締めの言葉は、非常にメッセージ性が強い。CMでも使えそうなフレーズである。このあたりにも、小泉進次郎氏の人気の理由がある。

6.首都圏と比較し地方の人気・魅力を提示する

 私の地元神奈川県横須賀市、三浦市は、北海道とはちがって、主にやってるのはキャベツと大根です。北海道、みなさんの地元は何がありますか? 何でもあります。何でもあるんです。本当に魅力的。

 北海道では当たり前に思われている数々のおいしいもの、北海道を一歩出て北海道物産展をやると、必ず行列。ほぼ完売。そいった魅力あるものを生かした国づくりをもっとやりたい。

 他の演説でも必ずするのが、首都圏や大都市と比較して、地方の価値を提示するという方法。ここでも、自らの地元との比較、そして、首都圏のデパートではおなじみの「北海道物産展」をあげる。

 ただ地方の価値を訴えても、それがどのように地方に貢献するかを伝えなければならない。そこで、「首都圏で人気」「首都圏の人ほど欲しがる」と言われれば、どうだろう? 地方の人にとっては嬉しいだけでなく、希望を見出すことができる。「首都圏で価値があるなら、産業としての力がある。」と思えるわけだ。

7.政策等の難しい話は後で

 この循環型の社会をつくってくれる農業・漁業・林業、この食に関係するお仕事をもう一回価値をしっかり見直して、私たちの社会に本当に大切なものは何なのか、私はは見直す時期がきてると思っています。美味しい食事をして、健康的な食事をして、適度な運動やスポーツをすることで、過度に医療費や介護費がかからない社会をつくって、それが結果として子供や次の社会に大きな負担を残さないような社会が出来れば、それこそ、真の医食同源の国づくりになるじゃないですか。

 ここまで演説を時系列で追ってきたが、はっきり言って難しい話は出てこない。農業に関しても、最初はわかりやすく面白い話をし、ここにきてようやく政治とからめた話になる。

 演説はここで中盤、ここから政治の話に一歩踏み込んでいく。ここまで地域や話題性をとりあげて、聴衆を引き付け、場を温めたところで、ようやく政治の話に入る。演説の構成力も優れているというわけだ。

8.党や派閥に縛られない方向性を示す

 この選挙の構図を、保守かリベラルか、右か左か、そういうことで報じているところが良くありますが、本当に皆さん、保守かリベラルか、右か左かで、そんな見方で政治を見てますか? 私は、そういうことよりも、右か左か保守かリベラルかよりも、やるべきことを必ず前に進める政治、それを国民の皆様は求めていると。

 進次郎氏の、他の議員との大きな違いを一つ上げれば、党や派閥にとらわれない意見を言えることだ。こういう議員はかなり稀だ。

 ここでも、保守とリベラルという、近年の政治思想の二大潮流をとりあげ、それらに捉われない方向性を示して見せる。日本では自民党は保守より、民主党はリベラル寄りという構図ができあがり、その思想の違いを軸にしてさまざまな議論が行われる。しかし、その風潮に疑問を投げかけ、ここでもまた正論を掲げ、派閥や思想よりも「問題解決」という姿勢を見せる。

 この北海道には、多くの自衛隊の皆さんがいらっしゃいます。

 本当に皆さん、この中で自衛隊のことを憲法違反だと思っているかたはいますか?

 東日本大震災はじめ、北海道で災害があった時、人命救助や復旧復興にきた自衛隊の方々に、あなた方は憲法違反だっていう人、本当にいるんですかね。

 保守かリベラルか右か左かということから議論を始めるから、おかしくなっちゃうわけで、今の皆さんに聞いたように、自衛隊のことを憲法違反だと思っていない、多くの方々がこういう感覚だとしたら、その国民の一般的な感覚に照らし合わせて、右・左じゃなくて、ちゃんと正すべきは正していこうじゃないかという議論から始めれば、物事は一歩一歩動いてくるんだと。

 ここの話の持っていき方は、はっきり言って見事である。あくまで国民の視線に立ち、そこから問題提起をして、議論をしていこうと言う。

 デリケートな問題を扱う際、下手に賛成・反対を言うと、身動きが取れなくなってしまう。そこで、見方を変える、別の方向から問題を考えてみる。この方法は柔軟性があり、どのような聴衆を相手にしても力を発揮する。

 賛成反対の結論を出さないのはズルい、と言う人もいるだろうが、その場限りの薄っぺらい言葉を聞くよりも、本気で議論する姿勢や変えていく姿勢を見せた方が、より信頼を得られるのだ。

9.前向きな結論へと導く

 ここまで見て分かるように、進次郎氏の結論はいつでも「前向き」である。加えて、誰かを批判することなく、新しい方向性を示し、最後は「一つずつ問題を解決していこう」と言う。

 前向きであり、常に未来を見据え、問題解決が最重要だとする。当たり前のことかもしれないが、政治家にはそれができる人は少ない。党や派閥にとらわれず、現状をしっかり確認したうえで、問題は何かを考える。政策ありきではなく、現場から問題・課題を抽出する。これが、進次郎氏の政治家としての核とも言える。