北野武のおすすめ映画作品

2017年10月1日

 初めて北野映画を見る人へおすすめの作品!

Kitano par Kitano: 北野武による「たけし」 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

 

もくじ

  • ハリウッドの手法を取り入れた「BROTHER」
  • ファンでなくとも絶対に見ておきたい名作「HANA-BI」
  • ヤクザものだけじゃない!感動のロードムービー「菊次郎の夏」
  • 衝撃の処女作「その男、凶暴につき」

ハリウッドの手法を取り入れた「BROTHER」
~「ファッキンジャップくらいわかるよバカ野郎!」~

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  • 2001年1月27日公開(北野武監督8作目)
  • ストーリー

    組の抗争に巻き込まれて居場所をなくしたヤクザが、アメリカに渡って黒人・メキシコ人と手を組み、新たな組を作ってマフィアと戦う

  • 見どころ

       この映画の面白いところは、北野映画の良さがありつつ、ハリウッドの手法を取り入れたことで商業作品となっている点です。北野映画ではおなじみのヤクザものですが、アメリカに渡ってマフィアと抗争するということで、いつもの作品とは雰囲気が少し異なります。ストーリーはシンプルで、雰囲気も全体としてスッキリしています。「ヤクザもの」と言うよりも「マフィアもの」と言った方がいいでしょうか? 
     主人公の男は、かつて留学したまま消息不明になっていた弟のもとへ行きます。そこで弟の仲間と、かつての舎弟を加えた数人からスタートして、組を大きくしていきます。オーソドックスな展開ですが、その成り上がっていく様が爽快です。最終的には本場のマフィアにボコボコにされてしまいますが、そのままでは終わらないのも面白いところです。
     北野映画は主にヨーロッパやロシアで高い人気を誇りますが、この作品をきっかけにアメリカにもファンが増えていったそうです。また、日本人、黒人、メキシコ人といった有色人種が手を組んで、白人に立ち向かっていくということで、中東や韓国の映画祭ではかなり好評だったそうです。

 

ファンでなくとも絶対に見ておきたい名作「HANA-BI」
~「ありがとう」「ごめんね」~

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  • 1998年1月24日公開(北野武監督6作目)
  • 第54回ヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞
  • ストーリー

     主人公の刑事は、子と部下を失い、妻も不治の病で余命わずか。彼は部下の死に責任を感じて辞職し、ヤクザから金を借りて妻と最期の旅に出る。

  • 見どころ

     言わずと知れた北野監督の代表作。北野映画の中でも作品全体の物悲しさと芸術性が際立っています。邦画洋画関わらず、古今東西の映画の中でも見ておいて損はない名作になっています。ストーリー、描写、シーンの美しさ、全体の構成、どれを取っても完成度が高い作品です。
     主人公はヤクザにも物おじしないやり手の刑事ですが、同僚や妻の前では穏やかで、人思いの人物として描かれています。また、主人公はほとんどセリフが無いのも特徴的です。基本的に北野映画は無駄なセリフがなく、会話がなくても成立するような撮り方をしています。その中でも特にセリフの少なさが目立ちます。
     他の作品との関連について言えば、個人的にはデビュー作「その男、凶暴につき」の完成形だと思っています。処女作で見せた北野映画の形を、この作品で完成させたという印象が強いです。

 

ヤクザものだけじゃない!感動のロードムービー「菊次郎の夏」
~「菊次郎だよ、バカ野郎!」~

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  • 1999年公開(北野武監督7作目)
  • ノミネート:カンヌ国際映画祭パルム・ドール
  • ストーリー

     両親が離婚し、父を事故で亡くし、今は祖母と二人暮らしの少年。夏休みに彼は、遠くに住む母を訪ねて旅に出る決心をする。その身を案じた近所のおばさんは、元チンピラの遊び人である夫の菊次郎に、旅の世話をさせることにした。

  • 見どころ

     北野映画の中でも少年と中年男性の友情を描いた作品ということで、ファンの間では賛否が分かれている作品です。しかし、個人的には一番気に入っている作品の一つです。
     基本はロードムービーであり、内気な少年と破天荒な中年オヤジが心を通わせていく様が描かれています。のんびりとした映画ですが、随所にコメディの要素があり、抽象的な描写なども挟み、いいアクセントになっています。監督自身も「これまでにないことをやろう」と考えていたそうです。
     北野映画というと「ヤクザ」「暴力」という印象が強いかと思いますが、この映画を見れば印象は180℃変わると思います。とてもいい映画です。

 

衝撃の処女作「その男、凶暴につき」
~「何の仕事してるんですか?」「鉄砲の通信販売」~

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  • 1989年8月12日公開(北野武監督1作目)
  • 監督:北野武、脚本:野沢尚
  • 当初は深作欣二監督、ビートたけし主演、野沢尚脚本という予定のところ、紆余曲折あって自らメガホンを取ることになり、監督デビューを果たした。
  • ストーリー

     捜査のためには暴力も辞さない刑事の我妻。ある日、警察署の管内で麻薬の売人が殺される。我妻は麻薬取引の首謀者を見つけるが、その一方で、同僚の1人が麻薬を横流ししている事実を知る。

  • 見どころ

     監督デビュー作であり、北野映画の原点である作品です。無駄な説明の省略、セリフの少なさ、突発的で加減のない暴力描写など、その後の北野映画の基本となる要素がすでに出来上がっています
     主人公は刑事ですが、ドラマや映画に見られる「典型的な刑事」とは真逆の人物像を描いています。非行少年を暴力で追い詰め、同僚から金を借り、違法な賭け事をし、凶悪犯を車で轢くというまさに破天荒な人物です。しかし、それらが逆に、主人公の人間性のリアルさを引き立たせています。
     全体の雰囲気は静かで陰鬱でありながら、要所での暴力描写がいいアクセントになっています暴力描写は典型的なアクション映画と比べると地味ですが、その分、観ている方が痛みを感じるように工夫されています