映画監督「北野武」のまとめ・年表

2017年10月20日

アメリカ進出と国内でのヒット作誕生。エンターテイメント3部作の時代。

BROTHER」(2001年1月27日公開)

BROTHER [DVD]

■北野武監督がハリウッドに殴りこみ!

  • この映画は、イギリス人プロデューサー、ジェレミー・トーマスの支えがなかったら実現しなかったと思う。彼のことはすごく評価してるよ。(中略)「戦場のメリークリスマス」を制作したのが彼だったから、よく知ってるんだ。彼とはね、「HANA-BI」でロンドン映画祭に招待されたときに再会したんだけど、すごくよかった。夢中になって観たって言ってくれてね。それからも連絡を取り合っていて、「BROTHER」で是非ともコラボレートしたいって言ってくれたんだ。
    (「Kitano par Kitano: 北野武による「たけし」 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) 」より)
  • 娯楽映画になってるとは思うんだけども。単に娯楽映画だけになるのはイヤだから、どうにか抵抗したって感じだね
  • 「ソナチネ」で失敗したとこちゃんと入れたっていうのはあるよ。だから「ソナチネ」の完成版ていうか(中略)車でエンジンとか足回りはいいんだけど、他が駄目だっていうのがあって、その部分を少し大衆的にしてよくなったって感じなんだ
    (「武がたけしを殺す理由 」より)

Dolls」(2002年10月12日公開)

Dolls[ドールズ] [DVD]

  • 監督・脚本:北野武
  • 出演者: 菅野美穂西島秀俊
  • 音楽:久石譲
    ※北野映画への参加は今作が最後
  • ロシアにて大ヒットを記録。以降、ロシア国内でのCM出演や講演会、2008年にはモスクワ国際映画祭の特別功労賞を受賞するなど、ロシアでの知名度は非常に高い。
  • 国際映画祭での上映:ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門

■日本の四季と色彩美!ロシアで2年のロングランを記録したラブストーリー「Dolls」

  • これまでに何度かコラボレートしていて、一緒に仕事をするのがすごく楽しい相手で、「BROTHER」の衣装も手がけてくれたファッションデザイナーの山本耀司さんが、「Dolls」の衣装を引き受けてくれたの。
  • それまで俺が撮ってきた映画には、あんまり色がなかった、っていうよりモノトーンの世界の繰り返しっていうか、ほとんどモノクロームと言っていいくらいだった。俺の映画のほとんどには”キタノ・ブルー”がつきまとってたからね。それを一回壊してみたかったんだ。鮮やかない色、画面上にきらめく色、本当に美しい色彩を撮ってみたいっていう、それも、この企画の動機のひとつだったね。
    (「Kitano par Kitano: 北野武による「たけし」 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) 」より)

座頭市」(2003年9月6日公開)

座頭市 <北野武監督作品> [DVD]

■ミュージカルと時代劇の融合!タップダンスに金髪の、新時代の座頭市!

  • HANA-BI」でベネチア国際映画祭の金獅子賞をもらって、「座頭市」で銀獅子賞をもらってから、日本では、俺はタレントとしてだけじゃなく、映画監督として認識してもらえるようになった。本当に、このふたつの賞のおかげで、いろんなことが変わったよね。(中略)「座頭市」は俺の存在を世に知らしめる役割を果たしてくれたっていうかね、それまでの努力のたまものだね。
  • 「座頭市」は依頼された作品だったからね。映画を依頼されて引き受けるのは、これが初めてだった。でも、このチャンスは逃したくないって思った。
  • 「座頭市」で初めて、自分にとって娯楽とは何かっていう、真のコンセプトを自由に表現させてもらったと思う。(中略)映画の出だしから”これは娯楽だ”って観てる人にわかってもらいたかったわけ。西洋の批評家たちは、これは”和製ウエスタン”だって書いてた。これは当たってるよね。

自己投影の3部作。大学教授就任と功労賞の時代。

2005年

TAKESHIS’」(2005年11月5日公開)

■撮影当初、北野監督はスランプのような状態に陥る。国内と国外での評価の差に悩み、原因不明の体調不良にも陥る。その葛藤の中で「自分自身の映画を壊す」という手法を模索していく。

■監督自身「タイトルの『TAKESHIS’』は『たけ(武)、死す』とも読める」と語っており、何か因縁めいたものを感じていたようだ。

■「HANABI」で世界的名声を得て、その後の3作ではエンターテイメントに舵を切った。そして、本作からの3部作(「監督ばんざい」「アキレスと亀」)では映画監督としての自分を見つめなおし、実験的な手法、自身の作風の破壊、最後は芸術の純粋性へとたどり着き、「アキレスと亀」にて「芸術は続けることに意味がある」という境地にたどり着く。

2007年

監督・ばんざい!」(2007年6月2日公開)

2008年

アキレスと亀」(2008年9月20日公開)

■「TAKESHIS’」からの2作は、北野監督の試行錯誤する過程を無理やり作品としてまとめた感があった。賛否両論、いや、実際のところ2:8くらいで批判を浴びせられていた。その一方で、2005年からの3年間は、芸大の教授になったり、各国の映画祭で功労賞を受賞したりと、映画監督としての地位と名誉を確固たるものにしていた。

 そんな試行錯誤の時代のラストが「アキレスと亀」。当時映画館で鑑賞した時は、ベテラン監督らしい作品の濃さに圧倒された。初期で顕著に表れていた芸術性、中期のエンタメ性、そしてここ数年のテーマであった自己の作品の破壊と芸術への問いかけ。その三つがこの作品に集約されている。

 ひとつ印象に残っているのは、あくまでも真面目な内容の中に、笑えるシーンがいくつかあるという点。シリアスな物語なのだが、一歩引いて見てみると思わず笑ってしまうようなシーンがある。

 前半は芸術を志す純粋な青年とその恋人の物語。後半は年老いた変わり者の「芸術家夫婦」のコメディ。そんな見方もできる作品だ。