話題の万能細胞(ES細胞,iPS細胞,STAP細胞)の特徴と違いについて

2018年3月15日

ES細胞、iPS細胞、そして話題のSTAP細胞の基礎知識


山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた

 もくじ

  • ES細胞とiPS細胞の違い
  • iPS細胞とSTAP細胞の違い
  • STAP細胞が本当に存在するならば、何が素晴らしいのか?

 ES細胞とiPS細胞の違い

参考:「人工多能性幹細胞」(wikipedia)/「iPS細胞とは?」(京都大学iPS細胞研究所)

ES細胞
  • 【正式名】:胚性幹細胞(Embryonic stem cells)
  • 【性質・能力】:すべての組織に分化/無限に増殖可能
  • 【材料】:受精卵の初期胚
  • 【課題】:倫理的な問題(受精卵を破壊することになる)
iPS細胞
  • 【正式名】:人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cells
  • 【性質・性質】:ES細胞と同等
  • 【材料】:体細胞(生殖細胞以外の細胞/皮膚など
  • 【課題】:細胞のがん化、倫理的問題
    (同性愛者間での妊娠・出産、同一人物から精子と卵子を作成可能)

  万能細胞と呼ばれるこれらの細胞は、生物のあらゆる組織へ分化するということで、再生医療などへ利用できると言われています。また、ES細胞の問題点を解決したかに見えたiPS細胞ですが、細胞のがん化、同一人物から精子・卵子を作成可能という新たな問題が出てきました。

 iPS細胞は、作成段階での倫理的な問題をクリアしたということで、再生医療への利用などを始めとして、盛んに研究がなされています。しかしながら、現時点ではまだ、人体に使用できるようなレベルには達していないようです。細胞のがん化をいかに防ぐか、心臓や脳などの複雑な機能をもった組織の再生を実現できるか、移植した際の拒絶反応をいかに防ぐかが、これからの課題になっているようです。

iPS細胞とSTAP細胞の違い

 今度は、「歴史的な新発見か?」と言われているSTAP細胞を、iPS細胞と比較してみましょう。

 参考:刺激惹起性多能性獲得細胞-iPS細胞との比較」(wikipedia)/iPS細胞とSTAP幹細胞に関する考察」(京都大学iPS細胞研究所)

iPS細胞
  • 【作成方法】:ES細胞に含まれる特異遺伝子を体細胞に導入
  • 【作成効率】:処理した細胞の1%未満(2006年時点)/※現在は20%を超える(2009年時点)
  • 【作成時間】:2~3週間(2006年時点)/※現在は7日間を記録(20013年時点)
  • 【細胞のがん化】:リスクが高い/※現在は研究が進み、大幅に低下
STAP細胞
  • 【作成方法】:体細胞に酸や熱などの刺激を与える(非常に簡単)
  • 【作成効率】:STAP細胞の発生確率は元の体細胞の10%近く
  • 【作成時間】:2~7日
  • 【細胞のがん化】:
    がん化のリスクは非常に低い。一方で、作成段階で細胞の8割ほどが死滅するため、安全性について検証が必要

  STAP細胞が話題になっているのは、作成が簡単であり、作成効率が高く、がん化のリスクも低いからです。ただ、それだけでiPS細胞より優っているとは言えません。iPS細胞は、その後の研究によってかなりの改良が見られ、作成方法やリスクの点でSTAP細胞と遜色ない程度になっています。

 テレビ・新聞の報道では、iPS細胞の改良についての説明が無く、人々に間違った印象を与えたようです。その点について、開発者の山中教授もホームページやテレビ番組などで言及しています。また、最近になって、STAP細胞作成に関する論文内容に、いくつかの問題が出てきています。テレビも新聞もこぞって取り上げ、報道が過熱しています。しかしながら、論文を取り上げた際に、メディアが情報をきちんと伝えていなかったことを考えると、今回の報道も鵜呑みにしてはいけないと思います。

STAP細胞が本当に存在するならば、何が素晴らしいのか?

 では、仮にSTAP細胞が本当に存在し、論文通りの性質・能力を持っているとすれば、何が素晴らしいのでしょうか。ここまでの情報を踏まえて言うなら、発見して間もない時点で、すでに高い能力をもっていることだと思います。
 iPS細胞は研究が進んでSTAP細胞にも負けないほどになっていますが、発見当初は作成効率や時間の面で問題が多かったです。しかし、STAP細胞は登場してすぐの時点で、研究を積み重ねたiPS細胞と同程度の能力を持っているのです。そして、今後も研究が行われていけば、その能力はさらに高まるはずです。つまり、その潜在能力が非常に高いということです。