『ゴジラ 60周年記念 デジタルリマスター版』(1954年)の感想

1954年公開の初代ゴジラが、BSプレミアムにて放送

ゴジラ(昭和29年度作品) [60周年記念版] [DVD]

もくじ

 

『ゴジラ』(1954)のあらすじ

 太平洋上で水爆実験が行われ、それに巻き込まれた舟を助けに言った者が次々と遭難。かろうじて助けだされた漁師の証言によって、ある島に伝わる怪獣の存在が浮上。嵐の夜に島に怪獣が上陸し、足跡を残す。学者が調査を行ったところ、足跡の近くで古代の三葉虫が発見され、放射能が検出される。これによって、怪獣と水爆実験・放射能の関係が疑われる。そして、島の山の影からゴジラがその姿をついに現す。

 ゴジラの出現が、政治家、マスコミ、学者を巻き込んだ騒動に発展する中、ゴジラは東京湾に姿を現すようになる。政府はゴジラを撃退しようとする一方、古生物学者の山根は貴重な研究材料と考え、攻撃を止めるように訴えていた。そして、ついにゴジラは東京に上陸し、街は破壊され、焼きつくされた。

 あまりの惨状に為す術のない人々。ゴジラを倒すべく、ある学者に注目が集まった。彼は山根博士の娘の、かつての婚約者「芹沢」だった。彼は戦地で片目を失い、そのまま婚約を破棄し、自宅の研究室にこもってある研究を続けていたのだった。

 こちらのページも参考にどうぞ。

 かなり長いので、これを読むだけでも結構楽しめます。

 

 

細かいところまでこだわりがある、本気度の伝わる映画!

 日本の怪獣映画の元祖、日米で多くのファンを生み出し、現在でも影響力のある映画だけあって、作品に力があります。ゴジラは子供の頃から見ていましたが、僕はいわゆる「平成ゴジラ」の世代です。映画館で初めて見たのは、平成ゴジラの中でも名作と名高い「ゴジラ対ビオランテ」でした。

 平成ゴジラはテレビでの再放送を含めてほとんど見ましたが、初代のゴジラは初めてです。率直な感想を言うと、「今まで見たゴジラの中でも最も不気味なゴジラ」でした。白黒映画ということもあるでしょうが、その他にも初代ゴジラの迫力のワケを自分なりに分析してみました。作品の概要とともに紹介していきます。

 

  • オープニングはスタッフロールとゴジラの足音&マーチ

 昔の映画は冒頭でスタッフロールが流れるものがあります。ゴジラもその一つです。冒頭から凝った作りになっていて、作品にかける思いが伝わってきます。スタッフロールの後ろでおなじみのゴジラの足音(太鼓の音)が鳴り、続いてゴジラのマーチがかかります。オープニングのインパクトとしては最高でしょう。

 昔の映画は音楽、映像、脚本など個々の要素のバランスが良くできています。最近の映画は映像に比重をかけすぎですし、日本映画はストーリーばかりにこだわって他の部分が弱すぎたりしますが、ゴジラはそんなことはありません。映画全体に渡って音を大切にしているのが分かります。映像は白黒、ストーリーは戦後10年も経っていない時代のものですが、いずれも力があります

 

 

  • エンターテイメント性が高く、ゴジラなしでも楽しめる作品

 ゴジラと言うと「特撮」「怪獣映画」ということで、悪く言えば中身が薄いと思っている方も多いでしょう。しかし、そんなことはありません。初代ゴジラでは、民族学的な要素を加えてオカルトチックにしていますし、全編を通して社会派映画的なところがあります。ゴジラについて国会での公聴会が開かれたり、ゴジラと水爆実験の関係性について激しい議論が行われたり、マスコミの描写を多用したり、一般的な「ゴジラ映画」のイメージとは違います。そして、最大の目玉として恐ろしい怪獣が出て来るということで、内容は非常に濃く、エンターテイメント性も高いです。

 ゴジラが登場するのは映画開始約30分後です。山の向こうからヒキガエルのようなボコボコの恐ろしい顔を出します。ゴジラ無しで30分も持つのかと思う方もいるでしょうが、そこまではテンポよく進むので心配ありません。無駄な描写がなく、観ている人を飽きさせない工夫がなされているのも、映画の良いところです。

 

 

  • 当時としてはかなり本格的な科学の知識

 作中では古代の三葉虫、ジュラ紀などの単語の他、放射能を計測する機械を「ガイガーカウンター」、検出された物質として「ストロンチウム」などの固有名詞がサラッと出てきます。どちらも今でこそ震災を経て認知度も高いですが、1954年の時点でこの2つを知っている人はかなり少ないでしょう。この辺は本格的な映画をつくろうという意気込みの表れでしょう。本格科学映画の一面もあるというわけです。しかし、「ガイガーカウンター」が当時から使われていたものとは知りませんでした。

 

無人無音の東京を歩く、圧倒的なゴジラの恐怖感!

 映画中盤から後半は、科学者とゴジラの話が中心です。

  • 戦争の爪痕が残る日本を描く

 作中では、ゴジラを貴重な研究材料として考え、ゴジラへの攻撃に反対する博士が登場します。その一方で、戦争で片目を失い、帰還後は研究所にこもって黙々と研究を進める学者が出てきます。

 詳しくは映画を見てくれればいいですが、ここでポイントとなるのは、作中の日本はまだ「戦後10年未満」というところです。そのタイミングでアメリカが水爆実験を行い、日本の漁船が被曝しました。戦争の恐怖が蘇る、あるいは戦争はまだ終わっていないと感じていた人も多いのではないでしょうか。映画では当時の社会の雰囲気や人々の心情を忠実に表現しています。戦地で負傷し、研究室にこもる学者もその一例でしょう。

 また、ゴジラが街を襲うシーンでも、民衆はどこか呑気で、「また戦争か」というような諦めたような雰囲気も出しています。空襲の際のサイレンの音が鳴り響き、恐怖の残像としてゴジラが街を破壊する。諦めたような民衆。この辺に戦後間もない日本の雰囲気が出ています。

 

 

  • ゴジラの怖さは粗さと静けさ

 初代ゴジラは「とにかく怖い」「不気味」と言われています。この秘密は、まずはゴジラの粗さがあると思います。時代のせいもあって、ゴジラの造形、映像共に粗さは目立ちます。しかし、その粗さが「違和感」を生み出し、映画全体に不気味さを与えていると思います。

 さらに、ゴジラのシーンは意外と静かです。真っ暗で人のいない都心を、ゴジラが徹底的に破壊します。そのバックで印象的な効果的に音楽が鳴り、恐怖感を煽ります。ゴジラが街を破壊するシーンは結構長いですが、一秒たりとも目を離せないほどの仕上がりです。これは是非とも必見です。まさに「特撮」といった仕上がりです。

 

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