核の歴史と共に歩む日本の怪獣「ゴジラ」

2017年11月8日

伝説の初代ゴジラ、平成ゴジラ、リメイクまで

ゴジラ(昭和29年度作品) [60周年記念版] [DVD]

核兵器とそれを生み出した人間への警笛!初代ゴジラ!

【ゴジラ誕生の経緯】

原作はレイ・ブラッドベリの短編小説『霧笛』(The Fog Horn)。特撮部分をレイ・ハリーハウゼンが担当している。登場する恐竜と思しき巨大生物は、 原作小説では「灯台のサイレンに反応して現れた」とされているが、映画では「核実験によって復活した」と設定変更されている。「夜の灯台を怪獣が破壊す る」というシーンに原作の名残が見られ、それが本作の名場面にもなっている。水爆実験で蘇った巨大な怪獣がニューヨークの街を破壊していく様が特撮で表現 されており、日本の特撮怪獣映画『ゴジラ』(1954年)にも大きな影響を与えた

引用元:原子怪獣現わる – Wikipedia

  ちなみに、レイ・ブラッドベリは有名なSF作家で、「華氏451度〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫 SF フ 16-7) 」という名作を世に残しています。

 ブラッドベリの名は知っていましたが、まさかゴジラの元となる映画の原作者だったとは知りませんでした。

 

  • 設定は水棲爬虫類と陸上哺乳類の中間、デザインは恐竜から
  • 水爆実験によって住む場所を奪われ、地上に現れる
    ※1946年~1958年にかけて、ビキニ環礁で行われた水爆実験がモチーフ。
    参考:ゴジラ (架空の怪獣) – Wikipedia
  • 核が生み出した恐怖の存在。人間がつくった核兵器によって生まれ、最後も人間の手で殺される。
    ※つまり、核と人間に対する批判的なメッセージが込められていたということです。
    参考:ゴジラ – Wikipedia
  • 初期のゴジラは大ヒットを記録してシリーズ化。ゴジラは徐々に人間の味方となっていき、映画も娯楽化が進む。70年台に入って人気が低下し、75年を最後にシリーズは一旦休止。

 

 初期のゴジラは日本の映画史に残る名作です。そのテーマやモチーフ、日本の特撮技術などが上手く噛み合った結果だと思います。私も子どもの頃に初代ゴジラを見たことがありますが、恐ろしくて今でも頭に残っています。世代としては平成ゴジラの世代ですが、初代ゴジラはそれくらいインパクトがあります。ただただ「怖い」のが初代ゴジラです。

 

【ゴジラの設定の変遷】

 一方で、設定の変化もゴジラの面白さです。初代は1954年に制作され、その当時はまだ大戦から10年経っていません。核兵器を使用された日本にとって、核実験および核は「悪」だったのです。その一方で、ゴジラ誕生の翌年には原子力基本法が制定、63年には日本で初の原子力発電が開始、70年台に入ると原子力発電の時代が本格的に始まります(参考:日本の原子力発電所 – Wikipedia)。

 このゴジラと原子力発電の歴史には、因縁を感じずにはいられません。この後で、平成の時代にゴジラ映画が復活します。そこでは、最初は米露の冷戦および核兵器への恐怖というモチーフを使いますが、それはあくまで米露に対する批判的なメッセージでしかありません。そして、平成ゴジラは完全なる敵ではなく、敵なのか味方なのかよくわからないものとして描かれていきます。私が子どもの頃にゴジラシリーズを見ていた時も、この曖昧さに混乱したものです。どちらかと言えばゴジラは人間の味方だと思っていました。この辺については、核の申し子である「ゴジラ=悪」としてしまうと、核燃料を使用した「原子力発電=悪」というイメージがついてしまいます。それを避ける意味があったとかないとか、いろいろ言われています。

 そして、ゴジラは大失敗のハリウッドリメイクを経て(ゴジラファンの有名映画評論家町山智浩さんは、「ゴジラファンの中でこの作品は無かったもの」と言っていました 笑)、2014年にハリウッドでゴジラが復活しました。2014年のゴジラには、やはり原子力が関係してきます。東日本大震災及び、福島第一原発の事故です。その真偽は別としても、ゴジラは核兵器や原子力発電と共に歩んできた、社会派の怪獣および映画というわけです。

 

 

 

冷戦時代に復活したゴジラと、名作ゴジラ対ビオランテ

【初代ゴジラの続編】

ゴジラ(1984年度作品) [60周年記念版] [DVD]

 

 

  • ゴジラは1984年に復活
  • 1954年に日本を襲った怪獣という設定で、初代ゴジラの続編という位置づけ
  • ビルの高層化にともなって、ゴジラの身長もアップ(50m→80m→100m)
  • 核物質をエネルギー源としている

 参考:ゴジラ (架空の怪獣) – Wikipedia

  • ストーリー:
    時代背景を反映したものになっている。ソ連の原子力潜水艦が日本海で撃沈され、アメリカの攻撃と勘違いしたことで米露関係が悪化。しかし、それはゴジラの仕業だった。ゴジラは日本に上陸して原子力発電所を襲うなどする。米露は日本に核兵器を使用しての撃退を勧めるが、日本政府は非核三原則からそれを拒否し、別の方法でゴジラを撃退する。その一方で、ソ連の核ミサイル装置が誤作動を起こし、新宿に向けて発射される。日本はアメリカに迎撃を要請し、地上爆発を回避し、なんとか丸く収まる。
    参考:ゴジラ (1984年の映画) – Wikipedia

 

 ご覧の通り、ストーリーは時代背景を反映して、なかなか本格的なものになっています。原子力発電所はゴジラに「破壊される」、核ミサイルは「使用を拒否」するあたりに、核と原子力に対する日本の微妙な姿勢が表現されていると思います。

 個人的な話をすると、このゴジラの公開当時、私はまだ生まれていないので、きちんと見た記憶はないです。テレビの再放送で見たかもしれません。高層ビルが並ぶ東京を、ゴジラが闊歩する姿はなんとなく見た覚えがあります。

 もう一つ、時代の変化にもよるものでしょうが、ゴジラの見た目が大きく変化しています。初代は「恐怖」そのものでしたが、平成ゴジラは人間っぽさが出てきています。理性を少なからず持っていそうな顔つきです。また、フォルムもスマートになっています。「わけのわからない恐怖の対象」というより、「一つのキャラクター」となっているような気がします。

 

 

 【平成の名作ゴジラ対ビオランテ】

ゴジラvsビオランテ [60周年記念版] [DVD]

 

 

  • 1989年(平成元年)公開
  • ゴジラファンの中でも人気の高い作品
  • 初代ゴジラファンの高年齢化に合わせて、大人向けの本格的なストーリーを採用
    参考:ゴジラ – Wikipedia
  • 内容は評価されたものの、収入は低迷。これ以降は、ファミリー向けの娯楽作品(人気怪獣の対決シリーズ)へシフトする参考:ゴジラvsビオランテ – Wikipedia
  • ストーリーなど:
    G細胞(ゴジラの持つ細胞。自己再生能力をもつ)を巡って、自衛隊、アメリカのバイオテクノロジー企業、中東のある国が争奪戦を繰り広げる。そんな中でゴジラが登場。ゴジラを倒すべく、ある研究者がG細胞を利用する。彼の娘は、G細胞の奪い合いに巻き込まれて事故死していた。彼は娘の細胞をバラと融合させ、そこにG細胞を組み込み、ビオランテを生み出す。

 

 ストーリーについては、バイオテクノロジーに加えて、アメリカと中等が出て来るのがポイントです。戦後から混乱状態の続く中東と、そこに介入するアメリカ、90年から始まる湾岸戦争を見据えてのストーリーでしょうか? 正確なことはわかりませんが、大人向けの少々込み入ったストーリーとなっています。

 

大きな期待がかかるゴジラ2014

godzilla2014

(全米での公開状況)

  • 全世界で記録的なヒットをしている
  • 位置づけは「原点回帰」
  • 第一作が第五福竜丸の事件をモチーフとした一方で、2014年版では東日本大震災、同時多発テロ、ハリケーン・カトリーナなど、現代的な事件や災害を使用

(ストーリー)

  • 原発事故をきっかけにゴジラとは別の巨大生物が誕生。そのままどこかへ飛び去る
  • 歴史を紐解くと、古代の地球上には怪獣がいた。大戦後の核開発や核実験をきっかけに、地底に眠っていた彼らが目覚め始めた。
  • ゴジラは半生記前にすでに人類の前に現れ、軍から核攻撃を受けてその力を強化する。
  • 体内に原子炉を持つゴジラと、放射能をエサにする生物が戦いを繰り広げる

引用元:novelUのBlog » 二度目のリメイク『ゴジラ(2014)』が気になる!

 

 2014年のゴジラは、原点回帰と謳っており、制作スタッフもアメリカのゴジラマニアが揃っているということで、設定に工夫が見られます。現代的な事件や災害を作中にからませるところも、ゴジラの「社会派」の一面をしっかり出しています。

 また、半世紀前にゴジラが受けた核攻撃は、初代ゴジラでモチーフにされていたビキニ環礁の水爆実験のことです。作中では、水爆実験は「実験」ではなく、ゴジラを倒すための「攻撃」だった、となっています。初代ゴジラとの関係性もしっかりしており、ここもポイントが高いです。

 

 

 今回のハリウッドリメイク版は、興行収入が素晴らしい他にも、評論家の評価が軒並み高くなっています(参照:ゴジラ (2014年の映画) – Wikipedia)。日本でも、圧倒的な知識と辛口の評価で有名な町山智浩さんが、ゴジラ2014を好評価しています。熱心なゴジラファンである彼が太鼓判を押しているので、期待していいのでしょう。

参照:

 

 

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