ドストエフスキーの作品のおもしろさ![あらすじ,まとめ,感想]

2014年4月9日

ドストエフスキーの作品の特徴と、おすすめ作品!

罪と罰〈上〉 (岩波文庫)
二重人格 (岩波文庫)

 

もくじ

ドストエフスキーとは?

  • 19世紀のロシアの小説家
  • 代表作は『罪と罰』、『カラマーゾフの兄弟』など。
  • 世界的に有名であり、文学史上でトップクラスの評価を得ている。
  • 文芸界以外にも影響を与えている
  • アルベルト・アインシュタイン「ドストエフスキーは、どんな思想家が与えてくれるものよりも多くのものを私に与えてくれる。ガウスよりも多くのものを与えてくれる」
  • ジークムント・フロイトは、論文「ドストエフスキーと父親殺し」において、ドストエフスキーの小説や登場人物について研究している
  • 黒澤監督は『白痴』を、日本を舞台にした上で映画化している。
  • 手塚治虫は、ドストエフスキーの影響を非常に受けた漫画家である。「ボクの長編の基本は『罪と罰』なんです」と公言していた。手塚治虫は『罪と罰』を初期に漫画化している

引用元:フョードル・ドストエフスキー – Wikipedia

 

 

  正直、このラインナップは驚きでしょう。アインシュタインとフロイトはそれぞれ「相対性理論」「精神分析」によって、近代の科学や思想に多大な影響を与えた人物です。加えて、日本国内でも映画界では世界の黒澤、漫画界の神である手塚治虫に影響を与えています。

ドストエフスキーは真理を描いている!

 特にフロイトの話は有名です。心理学の祖とも言われるフロイトは、人間の思考・感情を理論的に説明したことで有名です。そんなフロイトが研究の中で作品を引用していることは、何を意味しているのでしょうか?それは、ドストエフスキーの作品が、人間心理を忠実に描いている、ということだと思います。

 小説は「創作」ですが、架空の話にいかに真実味をもたせるかというのが、大きなテーマの一つです。そこから考えると、作品がフロイトの研究材料になるということは、もはや創作を超えて、真理を描いてしまっている、とも言えます。それくらいリアルに人間を描いているということでしょう。

19世紀のロシアの小説が現代人を共感させる!

 実際に作品をいくつか読んだことがありますが、その時に思ったことは「この主人公は俺のことじゃないか!?」でした。作品のテーマは重く、内容も人殺しや裁判など、普通ではありえないものが多いです。ましてや舞台はロシアであり、時代も19世紀です。それなのに、21世紀の時代に生きる日本人が読んでも、共感してしまうのです。

 作品の内容については後で説明しますが、「ドストエフスキーの何がすごいのか?」と聞かれたら、「真理を描いている」「リアルである」「共感させる」「感情移入させる」という答えになります。読者を共感させる小説など世の中にごまんとありますが、それを信じられないくらい高いレベルで行っているのが、ドストエフスキーの作品と言えるでしょう。

 

 

学生時代に読んだ『罪と罰』のあらすじと感想

『罪と罰』のあらすじ

鋭敏な頭脳をもつ貧しい大学生ラスコーリニコフは、一つの微細な罪悪は百の善行に償われるという理論のもとに、強 欲非道な高利貸の老婆を殺害し、その財産を有効に転用しようと企てるが、偶然その場に来合せたその妹まで殺してしまう。この予期しなかった第二の殺人が、 ラスコーリニコフの心に重くのしかかり、彼は罪の意識におびえるみじめな自分を発見しなければならなかった。

引用元:ドストエフスキー 工藤精一郎『罪と罰〔上〕』|新潮社

警察による捜査が進む中、ラスコーリニコフは、貧しい家族を支えるために娼婦となった献身的な娘・ソーニャのもとを訪ね、事件の告白をする。

引用元:名著28 ドストエフスキー『罪と罰』:100分 de 名著

 

 このあらすじからもわかるように、大学生の主人公が殺人を犯してしまうというストーリーです。ストーリー自体はシンプルです。ここで設定をいくつか見て行きましょう。

 

【『罪と罰』の設定】

  • 主人公は頭脳明晰なものの、貧乏ということもあって学費を滞納していた。
  • 主人公の犯行動機
    • 金貸しの老婆を殺して金を奪えば、借金に苦しむ多くの人が助かるし、自分の将来も開ける
    • 一つの悪(殺人)は百の善(借金に苦しむ人を救うこと)によって償うことができる
    • 優秀な人間のために、凡人が犠牲になっても構わない
  • 理想を持ちながら矛盾を抱える主人公の一方で、ソーニャは主人公よりも貧しく苦しい生活をしているにもかかわらず、自己犠牲を貫いている
  • 当時のロシアは近代化の一方で社会には格差が広がっていた。また、当時は社会主義思想が広まっていた(『罪と罰』の発表翌年にはマルクスの『資本論』が発表)。

 

【主人公の犯行動機と社会主義】

 ここで注目すべきは、社会主義と主人公の犯行動機です。一人の老婆を殺して多くの人を助けようというのは、社会主義的な考えに似たところがあります。しかし、主人公は私利私欲を持っており、凡人を犠牲にしてもいいという矛盾した考えをもっています。これは社会主義の矛盾を表現しているようにも思えます。

 ロシアは20世紀に社会主義国家となりますが、その後崩壊してしまいます。原因の一つに、自由競争を認めない社会主義国家では労働者がやる気を見せず、結果として生産性が落ちてしまう、ということがあります。この裏には人間が持つ欲と、真の平等は実現しえないことがあります。主人公の持つ私利私欲と自己矛盾がこれに対応すると考えることができます。

『罪と罰』の感想

 ややこしい話になりましたが、『罪と罰』は大学生が読むとものすごく影響されます。20歳前後の人間が陥りやすい矛盾した思想が、作品の中で描かれているからです。

 また、設定や背景を無視して読んでも、そもそも作品として面白いのが『罪と罰』です。主人公も含めて、作中に出て来るキャラクターも面白いです。特にマルメラードフという人物は見ものです。彼はソーニャの父であり、酒を飲んで金を使い込み、ソーニャに体を売らせるという人物で、はっきり言ってクズです。酒場では金がないのに偉そうな理屈をたれるために、周囲の人間にからかわれています。しかし、彼の言葉には一理あり、主人公は彼の話を聞き、酒場で議論を交わすのです。

 ただひとつ難点をあげるとすれば、クソ長い作品です。分厚い文庫本で3巻に分かれています。しかし、学生時代の僕は、作品に熱中するあまり、一気に読み進んでしまいました。当時は小説を読み始めた頃だったのに、よく読了できたなと思うほどです。それも作品の面白さがあってのことでしょう。

とりあえず短くて読みやすい『二重人格』がおすすめ!

coming soon……

 

【関連記事】

[article mode=”cat” id=”5,8,52″ numberposts=”5″ tail=”
“]