太宰治の名言・格言・表現集

2017年10月28日

太宰治の作品別名言・格言・表現集 – もくじ

  • 富嶽百景
  • 女生徒
  • 走れメロス
  • 津軽
  • お伽草紙
  • ヴィヨンの妻
  • 斜陽
  • 人間失格

 

「富嶽百景」の名言・格言・表現集

走れメロス (新潮文庫)
走れメロス (新潮文庫)「富嶽百景」収録

【作品解説】

 若くして小説家としてデビューした太宰治。しかし、20代の後半になり、私生活や作品作りに問題を抱え、スランプに陥ります。そんな中、29歳の時、太宰は師匠である井伏鱒二を頼って、甲州の御坂峠にある天下茶屋を訪ねます。

 茶屋の二階の部屋で居候をしながら執筆を開始するも、筆は思うように進まず、窓の外には大きな富士山が見える。悶々とした日々を過ごしながらも、茶屋の女将やその娘、茶屋を訪ねる若者など、素朴な人々との触れ合うことで、太宰の心も少しずつ変化していく。やたら大きい不格好な富士山も、次第に太宰にとって頼もしい姿に変わっていき、太宰の私生活や文櫃活動に希望が見え始める。

 爽やかで溌剌とした文体で描かれた、太宰の代表作の一つである。

【「富嶽百景」からの名言】
  • 諸君が、もし恋人と逢って、逢ったとたんに、恋人がげらげら笑い出したら、慶祝である。必ず、恋人の非礼をとがめてはならぬ。恋人は、君に逢って、君の完全のたのもしさを、全身に浴びているのだ。

 

  • 富士には、かなわないと思った。念々と動く自分の愛憎が恥ずかしく、富士は、やっぱり偉い、と思った。よくやってる、と思った。

 

  • そっと、振りむくと、富士がある。(中略)ちょっと気取って、ふところ手して歩いた。ずいぶん自分が、いい男のように思われた。

 

  • 富士には、月見草がよく似合う。
    ※作品を超えて、世間では非常に良く知られた一文となっている。

 

  • 富士にたのもう。突然それを思いついた。おい、こいつらを、よろしく頼むぜ。

 

  • そのときの富士はまるで、どてら姿に、ふところ手して傲然とかまえている大親分のようにさえ見えた

 

  • ああ、富士が見える。星が大きい。あしたは、お天気だな

 

「女生徒」の名言・格言・表現集


女生徒

【作品解説】

 女生徒は太宰治の中期の作品。東京の女子校に通う少女が主人公であり、主人公の一人称告白体で展開される独特の作品です。若い少女の日記を覗いたかのようなその文体は、思春期の女性の移り行く心情や溢れ出る好奇心を的確に描いており、男性が書いたとは思えない内容になっています。

 この作品を見れば、いかに太宰治が多才であり、人間観察・心情描写い優れているかがよくわかります。

【名言・表現】
  • あさ、眼をさますときの気持は、面白い。かくれんぼのとき、押入れの真っ暗い中に、じっと、しゃがんで隠れていて、突然、でこちゃんに、がらっと襖をあけられ、日の光がどっと来て、でこちゃんに、「見つけた!」と大声で言われて、まぶしさ、それから、へんな間の悪さ、それから、胸がどきどきして、着物のまえを合せたりして、ちょっと、てれくさく、押入れから出て来て、急にむかむか腹立たしく、あの感じ、いや、ちがう、あの感じでもない、なんだか、もっとやりきれない。箱をあけると、その中に、また小さい箱があって、その小さい箱をあけると、またその中に、もっと小さい箱があって、そいつをあけると、また、また、小さい箱があって、その小さい箱をあけると、また箱があって、そうして、七つも、八つも、あけていって、とうとうおしまいに、さいころくらいの小さい箱が出て来て、そいつをそっとあけてみて、何もない、からっぽ、あの感じ、少し近い。
    ※作品冒頭の文章。「あさ、眼をさますときの気持は、面白い。」という一文は、唐突であり、切り口も斬新だ。

 

  • 眼鏡をとって、遠くを見るのが好きだ。全体がかすんで、夢のように、覗き絵みたいに、すばらしい。汚ないものなんて、何も見えない。

 

  • 眼鏡をとって人を見るのも好き。相手の顔が、皆、優しく、きれいに、笑って見える。

 

  • けさから五月、そう思うと、なんだか少し浮き浮きして来た。

 

  • 食堂で、ごはんを、ひとりでたべる。ことし、はじめて、キウリをたべる。キウリの青さから、夏が来る。

 

  • こんなくだらない事に平然となれるように、早く強く、清く、なりたかった。

 

  • ぽかんと花を眺めながら、人間も、本当によいところがある、と思った。花の美しさを見つけたのは、人間だし、花を愛するのも人間だもの。

 

  • できるのだ。ほんとうに、どんなつらいことでも、堪えてみせる。

 

  • 扇子をひらく感じって、よいもの。ぱらぱら骨がほどけていって、急にふわっと軽くなる。

 

  • 明日もまた、同じ日が来るのだろう。幸福は一生、来ないのだ。それは、わかっている。けれども、きっと来る、あすは来る、と信じて寝るのがいいのでしょう。

 

  • 幸福は一夜おくれて来る。

 

  • おやすみなさい。私は、王子さまのいないシンデレラ姫。あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか? もう、ふたたびお目にかかりません。

「走れメロス」の名言・格言・表現集

走れメロス (新潮文庫)
走れメロス (新潮文庫)

【作品解説】

【名言・表現】
  • 人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ

 

  • なんの為の平和だ。自分の地位を守る為か。

 

  • 処刑までに三日間の日限を与えて下さい。たった一人の妹に、亭主を持たせてやりたいのです。三日のうちに、私は村で結婚式を挙げさせ、必ず、ここへ帰って来ます。(中略)私が逃げてしまって、三日目の日暮まで、ここに帰って来なかったら、あの友人を絞め殺して下さい。

 

  • 一ばんきらいなものは、人を疑う事と、それから、嘘をつく事だ。

 

  • 私は、今宵、殺される。殺される為に走るのだ。

 

  • 中途で倒れるのは、はじめから何もしないのと同じ事だ。

 

  • 友と友の間の信実は、この世で一ばん誇るべき宝なのだからな。

 

  • 歩ける。行こう。

 

  • 私は、信じられている。

 

  • 私の命なぞは、問題ではない。死んでお詫び、などと気のいい事は言って居られぬ。私は、信頼に報いなければならぬ。いまはただその一事だ。

 

  • 走れ! メロス。

 

  • 私は生れた時から正直な男であった。正直な男のままにして死なせて下さい。

 

  • 急げ、メロス。

 

  • いや、まだ陽は沈まぬ。

 

  • それだから、走るのだ。信じられているから走るのだ。

 

  • 間に合う、間に合わぬは問題でないのだ。人の命も問題でないのだ。私は、なんだか、もっと恐ろしく大きいものの為に走っているのだ。

 

  • メロス、私を殴れ。同じくらい音高く私の頬を殴れ。私はこの三日の間、たった一度だけ、ちらと君を疑った。生れて、はじめて君を疑った。

 

  • 信実とは、決して空虚な妄想ではなかった。

「津軽」の名言・格言・表現集

津軽 (新潮文庫)
津軽 (新潮文庫)

【作品解説】

 「津軽」は太宰治が出版社からの依頼を受け、故郷である青森へ赴き、生まれ育った町や名所、生家などを巡り、歴史や文化を紹介していく紀行文となっています。

 作中に中学時代の友人が登場したり、彼の生家の屋敷や家系のこと、そして太宰が小説家になる上で大きな影響を与えた養母の「たけ」も登場します。太宰治を知る上で、そして津軽地方を知る上でおすすめの作品となっています。

【名言・表現】

 津軽では故郷を巡る太宰が思いにふける場面が多々見られ、その時々で格言めいたものを記しています。名言も非常に多く、一読の価値ありです。

  • 思えば、おのれの肉親を語る事が至難な業であると同様に、故郷の核心を語る事も容易に出来る業ではない。ほめていいのか、けなしていいのか、わからない。

 

  • 男の意地というものは、とかく滑稽な形であらわれがちのものである。

 

  • 私は真理と愛情の乞食だ、白米の乞食ではない!

 

  • 大人というものは侘しいものだ。愛し合っていても、用心して、他人行儀を守らなければならぬ。

 

  • 大人とは、裏切られた青年の姿である。
    ※非常によく知られた名言。

 

  • 信じるところに現実はあるのであって、現実は決して人を信じさせる事が出来ない。

 

  • つつしむべきは士族の商法、文士の政談。

 

  • 青磁の壺に水仙を投げ入れて見せたって、僕はちっともそれを上品だとは思わない。(中略)本当の気品というものは、真黒いどっしりした大きい岩に白菊一輪だ。

 

  • 私には、常識的な善事を行うに当って、甚だてれる悪癖がある。

 

  • 酒は身を飲み著書を飲む

 

  • それでも君は、負けないじゃないか。津軽地方は昔から他国の者に攻め破られた事が無いんだ。殴られるけれども、負けやしないんだ。

 

  • 僕もね、ひとりじゃ我慢も出来るんだが、君の顔を見ると、飲まずには居られないんだ。

 

  • 肉親を書いて、そうしてその原稿を売らなければ生きて行けないという悪い宿業を背負っている男は、神様から、そのふるさとを取りあげられる。

 

  • 日本の文華が小さく完成して行きづまっている時、この津軽地方の大きい未完成が、どれだけ日本の希望になっているか

 

  • 知らん振りして、信じて、しばらく努力を続けて行こうではないか。

 

  • さらば読者よ、命あらばまた他日。元気で行こう。絶望するな。

「お伽草紙」の名言・格言・表現集

お伽草紙 (新潮文庫)

 「お伽草紙

【作品紹介】

 「お伽草紙」は太宰治の作品の中でも人気が高いです。そのタイトルからもわかるように、日本の昔話を太宰治が現代風にアレンジ・再解釈した内容となっています。

 「浦島太郎」「カチカチ山」「瘤取り爺さん」「舌切り雀」。誰もが知っている昔話を、小説家の太宰が深い考察を加え、新たなストーリーに再編しています。その出来栄えは見事としか言いようが無く、彼の才能の豊かさを再確認させられる作品となっています。

【「浦島さん」の名言・表現】
  • 竜宮には批評はありませんよ。

 

  • どうも、陸上の生活は騒がしい。お互い批評が多すぎるよ。陸上生活の会話の全部が、人の悪口か、でなければ自分の広告だ。うんざりするよ。

 

 

  • お前は、まあ、何を言い出すのです。私はそんな野蛮な事はきらいです。亀の甲羅に腰かけるなどは、それは狂態と言ってよかろう。決して風流の仕草ではない。
    ※亀に「背中に乗れ」と言われた際の、浦島太郎の言葉

 

  • それじゃ私だって言いますが、あなたが私を助けてくれたのは、私が亀で、そうして、いじめている相手は子供だったからでしょう。亀と子供じゃあ、その間にはいって仲裁しても、あとくされがありませんからね。

 

  • 言葉というものは、生きている事の不安から、芽ばえて来たものじゃないですかね。

 

  • 怒っているのかね。私が竜宮から食い逃げ同様で帰るのを、お前は、怒っているのかね。

 

  • 人間三百歳にもなりゃ、いい加減、諦めているよ。

 

  • つまり、私たちは、浦島の三百歳が、浦島にとって不幸であったという先入感によって誤られて来たのである。

 

  • 年月は、人間の救いである。忘却は、人間の救いである。

 

  • 竜宮の高貴なもてなしも、この素張らしいお土産によって、まさに最高潮に達した観がある。思い出は、遠くへだたるほど美しいというではないか。

 

  • 浦島は、それから十年、幸福な老人として生きたという

「ヴィヨンの妻」の名言・格言・表現集

ヴィヨンの妻 (新潮文庫)
ヴィヨンの妻 (新潮文庫)

【作品解説】

 「ヴィヨンの妻」は、子持ちでありながら酒飲みで女好きの詩人とその妻を描いた作品です。これまた太宰自身を投影した主人公が登場する作品ですが、物語の中心にあるのは女性です。

 後期から晩年にかけての太宰の作品では、たくましい女性が描かれるようになります。屈折した人間や生活の一方で、朗らかでたくましい女性を描くことで、ストーリーや人物をより輝かせています。太宰作品に登場する女性は救いであり、男はやはりそれに頼ってしまう。頼るどころか、救いの手を差し伸べた人間へ平気で嘘をつき、恩を仇で返すようなことをする。

 ヴィヨンの妻に登場する男もまた、どうしようのない人間です。しかし、女性の存在によって物語は不思議と明るく爽やかなものになっているのです。

【名言・表現】
  • 人間三百六十五日、何の心配も無い日が、一日、いや半日あったら、それは仕合せな人間です。

 

  • 自分のこのからだがアイスクリームのように溶けて流れてしまえばいい

 

  • 女には、幸福も不幸も無いものです

 

  • 男には、不幸だけがあるんです。いつも恐怖と、戦ってばかりいるのです

 

  • 傑作も駄作もありやしません。人がいいと言えば、よくなるし、悪いと言えば、悪くなるんです。

 

  • おそろしいのはね、この世の中の、どこかに神がいる、という事なんです。いるんでしょうね?

 

  • 神がいるなら、出て来て下さい!

 

  • 私たちは、生きていさえすればいいのよ

「斜陽」の名言・格言・表現集

斜陽 (新潮文庫)
斜陽

【作品解説】

 「斜陽」は後期の太宰治の名作で、当時はベストセラーとなりました。キャリアを通じての最高傑作としてもあげられるほどの作品です。また、「斜陽産業」などの言葉は、この作品が元となっています。これを見ても、世間への影響力が強い作品だということがわかります。

 その内容は、戦後の預金封鎖や身分制度の廃止により没落していく貴族の一家を描いたものとなっています。この作品もまた、太宰治自身と関係のあるものとなります。彼の実家は地方では有名な名家であり、父親は地元の権力者でした。使用人のいる大きな屋敷で育った太宰は、若い頃自身の出自に悩み、共産主義へ傾倒したこともあります。

 作中に登場する一家には、やはりろくでなしの若い男が登場します。その一方で、貴族らしく浮世離れした母親、落ちぶれて行く中でたくましく生きようとする強い姉。このように、女性にスポットをあてた作風は、後期の太宰作品の特徴です。

【名言・表現】
  • おむすびが、どうしておいしいのだか、知っていますか。あれはね、人間の指で握りしめて作るからですよ。

 

  • 死ぬひとは、きまって、おとなしくて、綺麗で、やさしいものだわ。

 

  • 貧乏って、どんな事? お金って、なんの事?

 

  • 他の生き物には絶対に無くて、人間にだけあるもの。それはね、ひめごと、というものよ。いかが?

 

  • 学問とは、虚栄の別名である。人間が人間でなくなろうとする努力である。

 

  • 人間は、嘘をつく時には、必ず、まじめな顔をしているものである。この頃の、指導者たちの、あの、まじめさ。ぷ!

 

  • とにかくね、生きているのだからね、インチキをやっているに違いないのさ。

 

  • 不良とは、優しさの事ではないかしら。

 

  • あなたは、恋をなさっては、いけません。あなたは、恋をしたら、不幸になります。恋を、なさるなら、もっと、大きくなってからになさい。三十になってからになさい

 

  • 喜んだり怒ったり悲しんだり憎んだり、いろいろの感情があるけれども、けれどもそれは人間の生活のほんの一パーセントを占めているだけの感情で、あとの九十九パーセントは、ただ待って暮らしているのではないでしょうか。

 

  • 人間は恋と革命のために生れて来たのだ。

 

  • 幸福感というものは、悲哀の川の底に沈んで、幽かに光っている砂金のようなものではなかろうか。

 

  • 悲しみの限りを通り過ぎて、不思議な薄明りの気持、あれが幸福感というものならば

 

  • なぜ、「恋」がわるくて、「愛」がいいのか、私にはわからない。

 

  • 人間は、自由に生きる権利を持っていると同時に、いつでも勝手に死ねる権利も持っているのだけれども、しかし、「母」の生きているあいだは、その死の権利は留保されなければならないと僕は考えているんです。

 

  • この世の中に、戦争だの平和だの貿易だの組合だの政治だのがあるのは、なんのためだか、このごろ私にもわかって来ました。(中略)それはね、教えてあげますわ、女がよい子を生むためです。

「人間失格」の名言・格言・表現集

人間失格 (新潮文庫 (た-2-5))

 「人間失格 (新潮文庫)

【作品解説】

 言わずも知れた題材の代表作。作家としてのイメージがこの作品によって決定づけられたと言っても、過言ではないでしょう。作中の主人公はまさに「太宰治そのもの」であり、彼の生まれや育ち、作家としての反省、人格、交友関係、それらすべてを含んだ私小説です。

 この作品の主人公、そして彼が抱えている悩みは、確かに人間の本質的な部分をついています。しかし一方で、それは大人になるまでに解消しておかなければならないものでもあります。それを解消できずに大人になったのが主人公です。ただ、世の中にいる大人の大半が、本当に彼と同じような悩みを解消できたかと言えば、そうではありません。多くはそれに蓋をかぶせ、大人として生きる覚悟をしただけなのです。

 人間失格が人の心に響くのは、遠い昔に蓋を被せたある感情を、読者に想起させるからでしょう。

 太宰治「人間失格」 – 名言・格言①

  • 恥の多い生涯を送って来ました。
    ※本編冒頭の有名な一文

 

  • 人間は、めしを食べなければ死ぬから、そのために働いて、めしを食べなければならぬ、という言葉ほど自分にとって難解で晦渋で、そうして脅迫めいた響きを感じさせる言葉は、無かったのです。

 

  • ただ、めしを食えたらそれで解決できる苦しみ、しかし、それこそ最も強い痛苦

 

  • 自分は隣人と、ほとんど会話が出来ません。何を、どう言ったらいいのか、わからないのです。 そこで考え出したのは、道化でした。 それは、自分の、人間に対する最後の求愛でした。

 

  • 互いにあざむき合って、しかもいずれも不思議に何の傷もつかず、あざむき合っている事にさえ気がついていないみたいな、実にあざやかな、それこそ清く明るくほがらかな不信の例が、人間の生活に充満しているように思われます。

 

  • 自分には、あざむき合っていながら、清く明るく朗らかに生きている、或いは生き得る自信を持っているみたいな人間が難解なのです。

 

  • 自分は、これまでの生涯に於いて、人に殺されたいと願望した事は幾度となくありましたが、人を殺したいと思った事は、いちどもありませんでした。それは、おそるべき相手に、かえって幸福を与えるだけの事だと考えていたからです。

 

  • 惚れられるつらさ、愛せられる不安

 

  • あまりに人間を恐怖している人たちは、かえって、もっともっと、おそろしい妖怪を確実にこの眼で見たいと願望する

 

  • 酒と煙草と淫売婦と質屋と左翼思想とを知らされました。

太宰治「人間失格」 – 名言・格言②

  • 何だか自分にもわからぬが、人間の世の底に、経済だけでない、へんに怪談じみたものがあるような気がして

 

  • 用を言いつけるというのは、決して女をしょげさせる事ではなく、かえって女は、男に用事をたのまれると喜ぶものだという事も、自分はちゃんと知っているのでした。

 

  • 弱虫は、幸福をさえおそれるものです。

 

  • 金の切れめが縁の切れめ、ってのはね、あれはね、解釈が逆なんだ。金が無くなると女にふられるって意味、じゃあ無いんだ。男に金が無くなると、ただおのずから意気消沈して、ダメになり、ついには破れかぶれになり、男のほうから女を振る(一部省略)

 

  • 貧富の不和は、陳腐のようでも、やはりドラマの永遠のテーマの一つだと自分は今では思っています

 

  • けれども、その時にはまだ、実感としての「死のう」という覚悟は、出来ていなかったのです。どこかに「遊び」がひそんでいました。

 

  • 背後の高い窓から夕焼けの空が見え、鴎が、「女」という字みたいな形で飛んでいました。

 

  • 自分は、皆にあいそがいいかわりに、「友情」というものを、いちども実感した事が無く

 

  • 人に好かれる事は知っていても、人を愛する能力においては欠けているところがあるようでした。

 

  • 自分は神にさえ、おびえていました。神の愛は信ぜられず、神の罰だけを信じているのでした。

 

  • ああ、人間は、お互い何も相手をわからない、まるっきり間違って見ていながら、無二の親友のつもりでいて、一生、それに気附かず、相手が死ねば、泣いて弔詞なんかを読んでいるのではないでしょうか。

太宰治「人間失格」 – 名言・格言③

  • 世間とは、いったい、何の事でしょう。人間の複数でしょうか。どこに、その世間というものの実体があるのでしょう。

 

  • 世間というのは、君じゃないか

 

  • それは世間が、ゆるさない
    世間じゃない。あなたが、ゆるさないのでしょう?
    そんな事をすると、世間からひどいめに逢うぞ
    世間じゃない。あなたでしょう?
    いまに世間から葬られる
    世間じゃない。葬むるのは、あなたでしょう?

 

  • 世間というものは、個人ではなかろうかと思いはじめてから、自分は、いままでよりは多少、自分の意志で動く事が出来るようになりました。

 

  • 努力の目標は必ず個人、個人を乗り越えてまた個人、世間の難解は、個人の難解、大洋は世間でなくて、個人なのだ

 

  • 互いに軽蔑しながら附き合い、そうして互いに自らをくだらなくして行く、それがこの世の所謂「交友」というものの姿だとするなら

 

  • 自分は昔から、人間の資格の無いみたいな子供だったのだ

 

  • 神に問う。信頼は罪なりや。

 

  • 神に問う。無抵抗は罪なりや?

 

  • 人間、失格。 もはや、自分は、完全に、人間で無くなりました。

 

  • いまは自分には、幸福も不幸もありません。 ただ、一さいは過ぎて行きます。
    ※物語の最終盤での、有名な一節。

太宰治

Posted by hirofumi