太宰治の作品まとめ・年表[おすすめ作品,代表作,生涯]

2017年12月22日

あえて勧める!太宰治のおすすめ作品

本当の太宰治は明るく楽しい作家!

作家太宰治はこういう人間だ!
  • 「人間失格」はあくまで太宰治の一面に過ぎない!
  • 太宰治はバラエティ豊かな作家!
  • 前向きで明るい作品、思わず笑ってしまう作品、昔話のアレンジ、紀行文、少女目線の作品などなど。
  • わかりやすい文章と類まれなる表現力!
  • 随所に散りばめられた言葉遊びやジョーク!

 一言で言うと、太宰治は「才能豊か」。「人間失格」はもちろん傑作だが、そこで終わってしまうにはあまりにもったいない!そういうわけで、ここでは初めて読む人、人間失格しか読んだことがない人を意識し、明るく楽しく読みやすい作品を紹介しよう。

太宰治のおすすめ作品 – もくじ

  1. お伽草紙
    浦島太郎、カチカチ山を太宰がアレンジ!
  2. 女生徒
    太宰が思春期の少女に変身!SNSでの「女子語り」を70年先取り!
  3. 斜陽
    戦後の貴族の没落を描いたベストセラー!
  4. 新釈諸国噺
    太宰が現代にいたらお笑いでトップに立っている!
  5. 富嶽百景
    富士山になりたい太宰治!

『お伽草紙』
浦島太郎、カチカチ山を太宰がアレンジ!

お伽草紙

作品解説
  • 太宰が有名な昔話を現代風にアレンジ!
  • 収録作品:「瘤取りじいさん」「浦島太郎」「カチカチ山」「舌切雀」
  • 登場人物はすべて人間に置き換える
  • 昔話を現代的に解釈する上で、話の中にある矛盾を見つけていき、つじつま合わせをするべく太宰が新解釈を加える

 どうでしょう?読みたくなったでしょう! 昔話のアレンジというのはいろいろな作家や漫画家などが行っているテーマですが、太宰は何と言っても才能が桁違い。擬人化と共に鋭い人間描写・人間観察による解釈を加え、全く新しい作品に生まれ変わらせています。

浦島太郎が見た本物の風流・幸福

 中でも浦島太郎は見もの。気取り屋の浦島に対して、江戸っ子のようなべらんめえ口調の亀が登場。この時点でセンスが爆発しており、かなり笑えます。そして、竜宮に行けば絵本とは違う「本物の風流」が描かれていておなじみの玉手箱についても、深い考察による新たな真相が描かれています。まさに天才。太宰治はすごい。

美人のウサギに恋するタヌキ
太宰流のリアル「美女と野獣」

 カチカチ山については、狸とウサギの喧嘩を、男と女の争いとして描いています。醜男で間抜け、食い意地の張った下品なタヌキと、美しく純真ながら、残酷で情け容赦のないウサギ。ここから人間界における一つの男女関係を描いていきます。

 文庫本で一冊にまとまっていて、各作品も短編小説ほどの文量ですので、太宰治の入門として最適です。
とにかく面白いので、読んで損はないです。

『女生徒』
太宰が思春期の少女に変身!
SNSでの「女子語り」を70年先取り!

女生徒

作品解説
  • 女子校に通う感受性豊かな少女の一日を描く!
  • 少女の一人称視点で、日記のような「内面の告白」によって展開!
  • まるでSNSでの女子の「つぶやき・語り」を見ているよう!
  • 現代でも通じる女性心理の巧みな表現!

太宰治の表現力・内面観察力がいかんなく発揮!

 この作品のすごいところは、太宰治の表現力です。30前後のおっさんが少女の内面を描こうとすれば、的はずれでぎこちない文章になりがちですが、太宰は違います。本当に少女になりきっています。この作品は女性が読めばより太宰のすごさがわかるでしょう。

 太宰は女性に囲まれて育ち、大人になってからはモテモテ。自分で「人たらし」と呼ぶほどです。そんな太宰だからこそ、女性の扱い方を知っていて、女性が何を考えているのかわかるのです。太宰はモテるだろうなあと、読んでいて思います 笑。

『斜陽』
戦後の貴族の没落を描いたベストセラー!

斜陽

作品解説
  • 太宰治のベストセラー長編!
  • 戦後間もなく、太宰治の晩年(38歳)に書かれた傑作
  • 一躍人気作家になった太宰治
  • 戦後の貴族制廃止の中で、没落していく貴族を描いた意義深い作品
  • 「斜陽産業」などで使われる「斜陽」という言葉を定着させた
    ※1945年に東京空襲があり、7月に実家の津軽へ疎開。翌年11月に自宅のある三鷹へ戻り、その翌年に完成・発表された作品。
  • 「人間失格」の前年に書かれた、才能絶頂期の時の作品
    ※「人間失格」発表後、遺作となる「グッド・バイ」の草稿を残し、6月13日に玉川上水にて入水自殺。

名家出身の太宰にも関係する「貴族制廃止」の時代背景

 終戦と共に日本では貴族に対して預金の封鎖や財産税が課され、実質的に貴族は廃止されます。それ以外にも社会的に大混乱の戦後、そこで生きる貴族一家の話です。父は数年前に死に、母と娘は伊豆の別荘に。そして、戦地から帰還した弟が主人公となります。

 貴族制廃止と戦後の混乱の煽りを受け、徐々に資産が亡くなっていく一族。生活が苦しくなっていく中でも、娘は貴族としての誇りを強く持っており、どんなことをしてでもたくましく生きていきます。その一方で、母は間もなく死んでしまいます。一方の弟は「庶民」になりきれず、金を浪費して酒を飲み、徐々に身を滅ぼしていきます。これはまさに、太宰治の投影とも言えるでしょう。

女性のたくましさと男の弱さ

 作品の見所は、何と言っても各登場人物の生き方の違いです。母は「貴族のまま」ある意味幸せに死んでいき、娘は覚悟をきめてたくましく生ることを選択。しかし、弟は庶民になりきれず堕落していきます。同じ一族、同じ貴族でも生き方が分かれていくのが面白いです。

没落する貴族と金を手にする庶民

 さらに、貴族と庶民の対比も面白いです。貴族が廃れて行く一方で、庶民の中に大金を手にする者が出てきます。これはあmさに戦後のゴタゴタで金儲けをしたという、実際に当時数多くいた人間を表しています。作中に登場するのは、田舎の農家出身の作家。彼が時代の波に乗って金を稼ぐ一方、貴族出身で生活力のない弟や娘がそこにいる。この対比がますます作品を面白く展開させていきます。

 全体として、お金、肩書、出自、人格などの面で、裏腹な人物が登場してくるところに、作品の面白さがあると思います。人物、ストーリー、構成、時代背景、どれをとっても面白く、全体としてバランスのとれた作品です。

『新釈諸国噺』
太宰が現代にいたらお笑いでトップに立っている!

新釈諸国噺

  • 『お伽草紙』と同年に発表された作品集
  • 江戸時代の作家である井原西鶴の作品を、太宰がアレンジ
  • 落語のような小話が収録されている
  • しっかりとしたオチ、人情や粋が描かれた面白い作品集

 短い作品を集めたものですので、短い時間でささっと読むことができます。新潮文庫を始め、お伽草紙と一緒に収録されていることが多いです。この作品を読むと、太宰治は楽しい話をする天才、笑いの天才だとわかります。

太宰は笑いの天才。松本人志もびっくり

 いろいろな有名人が現代に生きていたらどうなっているだろう? という話をすることがありますが、太宰治は他の作品も含めて「面白い話」をすることに長けています。聞く人を飽きさせず、巧みな表現を使い、最後はしっかりオチを用意。これはまさに「すべらない話」「落語」「漫談」に通じるものであり、太宰が現代に生きていたら間違いなくお笑い芸人になっていたでしょう。そして、彼はかなり良い位置まで上り詰めると思います。

『富嶽百景』
富士山になりたい太宰治!

富嶽百景

  • 29歳の時の自身を描いた作品
  • デビュー後に私生活でも作品作りでも問題を抱え、様々な問題を起こした太宰
  • その後、幼馴染の女性と自殺未遂の末、断筆に入る。
  • 再起をかけるべく、師である井伏鱒二を頼って、甲州の御坂峠にある天下茶屋を訪ねる。その茶屋で太宰は富士山と出会う。
  • 茶屋の人々との交流の中で、その時々で見せる富士山の姿と共に太宰が再起へのきっかけをつかむ

 この作品の見どころは、何と言っても前向きな内容と、歯切れのいい文体です。その象徴とも言えるのが、随所に登場する印象的なフレーズです。有名な言葉も出てきます。一部を紹介しましょう。

  • 富士には、かなわないと思った。念々と動く自分の愛憎が恥ずかしく、富士は、やっぱり偉い、と思った。よくやってる、と思った。
  • 富士には、月見草がよく似合う。
  • 富士にたのもう。突然それを思いついた。おい、こいつらを、よろしく頼むぜ。

 こういった前向きな言葉と共に、実に爽やかな文体で若き日の自身を綴っています。太宰治の人間像を知る上でも欠かせない一作です。

まとめ

 ここで紹介した作品を読めば、太宰のことがもっとわかるし、太宰治に関して「通ぶる」ことができます 笑。まあそのへんの「太宰好き」とか「小説好き」を気取った奴に聞いてみて下さい。

「太宰治の作品で何が好き?」
「人間失格でしょ」

十中八九こう返ってきます。そこでこう聞いてみましょう。

「でも、お伽草子もいいよね」

この時点で「?」という顔をするかもしれないです。さらに一言いきましょう。

「斜陽はやっぱり傑作だよね」

 これであなたも太宰マニアだ!

太宰治

Posted by hirofumi