David Bowie(デヴィッド・ボウイ)まとめ【おすすめアルバム,名盤,レビュー】

2017年11月8日

あらゆるジャンルを踏襲
世界一影響力のあるミュージシャン


ジギー・スターダスト

 「世界で最も影響力のあるアーティストは誰か?」この質問の答えはいろいろ考えられる。そもそも「音楽家」と言えば範囲が広すぎるし、「影響力」も表現としてアバウトだ。ただ、ロックやポピュラーミュージックに限定し、より幅広いリスナーに音楽を届けているミュージシャンと限定すれば、その一人にデヴィッド・ボウイがあげられる。

 2016年1月10日、デヴィッド・ボウイが死去したというニュースが入ってきた。彼は世界的なミュージシャンであり、欧米では日本よりもかなり大きなニュースとして報道された。彼は間違いなく、20世紀を代表するミュージシャンであり、その影響力はポール・マッカートニーにもジョン・レノンにも、ミック・ジャガーにも、ボブ・ディランにも劣らない。まさにビックスターの死去。二日前の自身の誕生日に新作を発表したばかりだった。

 活動期間は1966年から2016年まで、まるまる半生記。その間、幾度と無く傑作を世に送り出し、その時代を切り取った音楽を生み出してきた。そこがボウイのすごいところだ。加えて、彼は「ノンジャンル」と言っていいほど、あらゆるジャンルの音楽を取り込み、自分のものにしてきた。アルバムごとに姿を変え、常に新しい音楽を届けてきた。そういう意味で、「現在活動しているあらゆるミュージシャンは、直接的・間接的に、少なからずボウイの影響を受けている」とまで言われている。それくいらい、幅広い音楽性を持っているミュージシャンだった。

 メジャーな舞台で活躍し続けながらも、その表現はカルト的であり、常に姿を変えてきたアーティスト。オリジナルアルバムからプロデュース作品まで、ボウイのおすすめアルバムを紹介し、そのキャリアを振り返っていきたい。

 

 

グラムロック時代 – 架空のスター「ジギー・スターダスト」

ジギー・スターダスト』(1972)


ジギー・スターダスト

 すでに4枚のアルバムを発表し、人気ミュージシャンであり、その音楽性や世界観も評価されていたボウイ。そんな彼が、一躍「スター」に押し上げた作品が『ジギー・スターダスト』。この作品はコンセプトアルバムで、「火星からやってきたミュージシャンの成功と没落を描く」というもの。ぶっ飛んだコンセプトだけど、それを支えているのが素晴らしい楽曲とボウイの表現。彼は創作上のキャラクターとして「ジギー」を表現するのではなく、あくまで「ジギー」になりきって活動を始めた。ステージでも自身をジギーと名乗り、メディアに対しても役になりきる。その徹底したキャラクターへの憑依によって、「ジギー」というデヴィッド・ボウイとは別のアーティストを演じきったことが、それまでになく革新的だった。

 一方曲の方は、クオリティが素晴らしい。個々の曲の個性も、アルバム全体のまとまりも、それを支えるテーマも、詩も、そして演奏と歌も、すべてがハイクオリティ。結局はこれらがないと、いくら凝ったコンセプトでもうまくいかない。すでにアーティストとしての実績を挙げていた上で、とっておきのアイディアを具現化したところが、このアルバムの成功の理由だと思う。

 曲についてもう少し話すと、曲調はオーソドックスなロック。特徴的なのは、盟友「ミック・ロンソン」の印象的なギター。アコースティック寄りの曲に、要所要所でエレキギターを加えているところが良い。あと、ピアノをフィーチャーした曲も多い。この辺もデヴィッド・ボウイが得意とする曲作りの一つ。それから、何と言ってもボウイの特徴的な声。ハスキーな彼の声は、ドスの利いた低音からむせび泣くような高音まで、曲の中で何度も行ったり来たりする。この歌による表現力は見事。個人的に、初期のボウイは特に表現力が豊かな気がするけど、このアルバムはその最たるもの。特にラストの「Rock’N’Roll Suicide」は見もの。

 

 この作品の発表後、ライブでもボウイはジギーを演じ続け、ツアーの合間に新たな作品『アラジン・セイン』を発表。前作ではジギー・スターダストの歴史を描いたのだが、新たな作品は「架空のミュージシャンであるジギーが発表したアルバム」という内容。この辺がなんとも言えない。完全にキャラクターになりきっている。個人的に最もおすすめのアルバム。

アラジン・セイン』(1973)


Aladdin Sane

 この時期のボウイは、奇抜なメイクや衣装でも話題になっていた。実は、その衣装を担当していたのは日本の山本寛斎。ボウイは日本の文化に興味があって、アルバムの曲のテーマとしても取り入れている。その影響もあって、山本寛斎にむちゃくちゃな衣装をつくってもらっていた。この後のボウイの活動を見ていくとわかるけど、彼はいろいろなジャンルのいろいろな人と関わっていく。日本で言えば大島渚監督の「戦場のメリークリスマス」に出演しているし、そこでは日本が誇る映画監督のビートたけし、そして同じく日本が誇る世界的ミュージシャンの坂本龍一と共演している。そんなこんなで、ボウイは日本でも結構知名度が高い。

 『アラジン・セイン』に話を戻すと、曲調は結構アバンギャルド。マイク・ガースンというピアニストが参加していて、不協和音とか変拍子(?)のピアノがいい味を出している。他にも、ローリング・ストーンズの曲のカバーも面白い。原曲のリズムを早めて、全く別の曲に変えている。ボウイはその後のキャリアの中で様々なアーティストと共作(曲レベルでも、プロデュースも)しているので、カバーはお得意。ボウイの器用さがよく出ているアルバムでもある。

 

⇒page2「ベルリン時代 – ジャーマン・ロックの影響とブライアン・イーノとの共作」「キャリア最大の成功『レッツ・ダンス』」

洋楽

Posted by hirofumi