コック・アンド・ローチズ(1)「世界一のバンド」

「ゴキブリが世界を制す」

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 古代から地球に存在し、ほとんど姿を変えず現在も生きるゴキブリ。原始的であり、地球上で最後まで生きているのがゴキブリだと言う。現在地球上で生態系の頂点に立つ人間、その住処に生息し、半ば寄生状態であるのを見れば、少なくとも人間が滅亡するまで彼らは生き残るだろう。

 ゴキブリが忌み嫌われているのは、その動きが最も大きいと言われている。不規則で予想のつかない動きをするものを、人間は非常に嫌うそうだ。その証拠に、海外のカブトムシほどの巨大ゴキブリは動きがのろく、愛好家が多くペットとして親しまれている。

 ただ、ゴキブリと似た動きでヒゲまで共通のネズミは「かわいい」とされる。それはなぜか? 毛が生えているからだ。それに、ネズミは哺乳類の祖先でもある。毛があるかないかでこれほど変わるものか!? 一方で人間は、ムダ毛の処理に奔走する。人類は矛盾の生き物である。

 

 

ローチズは本当に存在するのか?

 

「コック・アンド・ローチズ」

20世紀後半から現在に至るまで、音楽界はポップとロックが牛耳っている。細分化するジャンルも、結局はこれらの要素が根っこにある。

そんなポップ・ロックを世界中に広めたのが、「コック・アンド・ローチズ」だ。

もはや説明不要のローチズ。解散から半生記近く経ち、メンバーも半分しか残っていない現在でも、知名度はミュージシャンの中で一番であり、CDも未だに売れ続け、アーティストからの尊敬を集め続ける。

解散後もすべてのメンバーがソロで成功、そこでようやく「ローチズは天才の集まりだった」と世間は知ることになった。

音楽があるかぎり、これからもローチズは愛され続けるだろう。

 

 現在世界で親しまれている音楽は「ポピュラー・ミュージック」と呼ばれている。その範囲は非常に広いが、その中心にあるのはロックとポップである。流行りのR&B、ヒップホップ、ダンスミュージックなどはロック・ポップから派生したジャンルであり、レゲエやソウルはロック・ポップのルーツという関係性をもつ。

 

 最近はルーツ・ミュージックと呼ばれるブルース、フォーク、カントリー、ジャズが再評価されている。これらは何の「ルーツ」かと言えば、ポピュラー・ミュージックのルーツなのである。

 

 さて、このロック・ポップを定義するのは難しいが、ノリのいいリズム、心地良いメロディー、そしてバンド形式という3つの要素がある。さらに言えば、ルーツ・ミュージックを取り込み、様々なジャンルに派生する柔軟性・創造性も大きな要素だ。これらを完璧に体現し、世界中でレコードを売りまくったのが、「コック・アンド・ローチズ」である。

 

 つまり、彼ら抜きにして現代に生きる人が聞いている「音楽」は語れないのである。

 

 堅苦しい説明はこれくらいにして、楽しい話をしよう。何度も言うがローチズは売れに売れすぎた。あまりに売れすぎて、世界中の人が全員レコードを持っており、ローチズは空気みたいに当たり前のものになってしまった。これはもはや全く売れていないこととと表裏一体である。そのために、ローチズは本当に存在するのかという議論が巻き起こったことがある。正確に言えば、現在もこの議論は続いている。

 

 これが有名な、「ローチズUMA説」である。

続く

今日の格言

「ゴキブリを語らずして、現代社会は語れない」(文化人類学者)