B’z(ビーズ) – まとめ【おすすめアルバム,名盤,レビュー/歴史,経歴】

2017年12月10日

4. HR/HM、JPOP回帰時代

★★★最高傑作★★★
Brotherhood』(99.07.14)

Brothehood

  • 売上:139.2万枚

 ベストアルバムで一区切りついたところで、B’zはハードロック・メタルへと舵を切る。何と言ってもシングル曲の「ギリギリchop」。このタイトルを見ただけで、「???」となる。本作では制作方法も変わり、バンドサウンドを基本としている。ヴォーカル・ギター・ベース・ドラムといった基本パートだけで、セッションを通じて曲を作るスタイルだ。それが作風にも当然影響している。これまでのB’zの作品の中でも最もハードな音で、稲葉さんの声もメタルに近い。

B’zウルトラクロニクル 1988-2003』(2008)より

[松本]99年の楽曲の創り方は、今度のシングルも含め、4人でしかスタジオにいない。キーボードも呼んでいない(笑)。(pp.361-362)

[松本](中略)とりあえずみんなでせーの! で創ってみようって。そういう構築の仕方って『RUN』のとき一回やってみたんだけど、結局は形にできなかったからね。(中略)でも今回はアルバム『RUN』の時に試したようなことをそのまま完成形に持っていけた。(pp.343-344)

 ちなみに、上記の4人というのは、B’zお二人に、レコーディングに参加したビリー・シーン(ベース)、パット・トーピー(ドラム)の二人である。彼らは日本でも知名度のあるMr.Bigのメンバーである。このような経緯もあって、本作はこれまでのB’zの作品とは大きく異なる内容となっている。ギターリフが好きな人はかなり楽しめる内容だ。

 さて、本作の収録曲の中でも力作なのが、#3,4である。#1,2,10などの疾走感のある曲と並んで、本作を象徴する曲となっている。

[稲葉]レコーディングをやってるときは〈ながい愛〉で始まって〈Brothehood〉で終わるとずっと思ってたんだけど、ちょっと仰々しいかなと(笑)。今回の僕らの姿勢を示すにはすごくいい始まりと終わりだなってやってる最中は思ったんだけど、アルバムとしては何もそこまで構えなくてもいいんじゃないかって意見が出てね。(p342)

 ながい愛で始まってBrothehoodで終わる形のアルバムもぜひとも聞いてみたい。ただ、結果的に冒頭とラストに置かれた2曲も、負けず劣らずインパクトのある曲となっている。バンドサウンドで一気に聞けるアルバムだ。

01. F・E・A・R
02. ギリギリchop (Version 51)
03. Brotherhood
04. ながい愛
05. 夢のような日々
06. 銀の翼で翔べ
07. その手で触れてごらん
08. 流れゆく日々
09. SKIN
10. イカせておくれ!
11. SHINE

★おすすめ★
B’z The “Mixture” 』(00.02.23)

Mixture

  • 売上:150万枚

 本作はベスト盤だが、その内容は「カップリングを中心とした過去発表曲のリメイク・アレンジ集」となっている。初期の曲は録り直しで、脂の乗った時期の二人の演奏と歌によって生まれ変わっている。アレンジもギターの音を中心に太く鋭くなっている。全体として演奏・歌・録音のレベルが統一されており、なおかつ選曲や曲順もB’zの二人で考えたものであり、ほとんどオリジナルアルバムといっていい。当時はオリジナルアルバムみたいに思っていた人も多かったと思う。それくらい作品としてまとまりがある。全体としてギターサウンドが目立ち、メリハリのある仕上がりになっている。

B’zウルトラクロニクル 1988-2003』(2008)より

●既出のベスト2作を受けて
[松本]今回はもうちょっとアルバムとして起承転結をはっきりさせたもので、内容的にもいいものをやりたいなって。それでこういう形になったんです。初期の曲は一回試しに録り直してみようかなって。それで原曲と比べていいほうをとろうと。で、結果新しいテイクのほうがよかったんで、全部録り直したんです。初期のものは。(pp.372-373)

[松本]カップリング集って感覚に近くもなるけど、ラッキーなことに1枚のアルバムに近い構成ができたってだけで、最初から2nd beat集にしようってわけではなかったから。(p375)

●歌唱法の変化、歌の「タメ」について
[稲葉]そのまま同じことをやってもこれだけ違うんだってことを見せたい……っていうか出ちゃった。自分としては変えようって思ってやったわけじゃないんだけど、歌い方とかもだいぶ……ネバネバしてきちゃったし(笑)
[松本]なんで歌は”たまって”いくんだろうね?
[稲葉]そうですね。昔、たまれなくてしょうがなかったんだけど(笑)
[松本]あれはあれでよかったんだけどね、元気のよさが。歌ってだんだん、たまっていくんだよね(笑)(pp.378-379)

 #1はデビュー曲、#7はミニアルバム収録の名曲、#16は新曲と、カップリング集にとどまらない選曲がわかる。また、 「-Mixture style-」はリメイク(計5曲)、「-Mixture mix-」はアレンジ(6曲)となっている。両方表記ないものは、比較的新しい曲なのでそのまま収録となっている。

【収録曲】
01. だからその手を離して -Mixture style-
02. YOU & I -Mixture mix-
03. OH! GIRL -Mixture style-
04. NEVER LET YOU GO -Mixture style-
05. JOY -Mixture mix-
06. 今では…今なら…今も… -Mixture style-
07. 孤独のRunaway -Mixture style-
08. MOVE
09. 東京 -Mixture mix-
10. hole in my heart -Mixture mix-
11. KARA・KARA -Mixture mix-
12. FUSHIDARA 100%
13. ビリビリ -Mixture mix-
14. Hi
15. The Wild Wind
16. あなたならかまわない
※-Mixture style-:再録、-Mixture mix-:アレンジ

  • 00.10.06
    RING』リリース。

★★★傑作★★★
ELEVEN』(00.12.06)

ELEVEN

  • 売上:113.2万枚

 前作でHR/HMに大きく舵を切ったB’z。今作もその方向性が続く。前作との違いを挙げれば、一番大きいのは曲のバリエーションが豊富という点。ホーンセクションを取り入れたB’zらしい#2、オリエンタルなストリングスから始まる#4、メタルな雰囲気を持つ#5,13、ラップやヒップホップの作風を取り入れたミクスチャーロック的な#6,7、アコースティック部分から始まり、ストリングスと速弾きのソロへと転換する大作バラードの#9、ドラマの主題歌で大ヒットしたミドルテンポの#14。これだけ多種多様な曲を詰め込みつつも、全体を通してはギターリフが前面に出されており、統一感は十分にある。

 さて、本作に収録された4つのシングル曲のうち「RING」と「今夜月の見える丘に」にはちょっとしたエピソードがある。

B’zウルトラクロニクル 1988-2003』(2008)pp.364-365,p367より

[稲葉]1曲ね、いい曲出来てたの。ほんとにいい曲。ちょっと都合上……(笑)。こんなにいいのにとか言いながら。みんなで”ハーッ”ってため息を(笑)。世の中うまくいかないな、と
(中略)
[松本]要はドラマと合わないって言われたんだけどね(笑)。やっぱり僕らの曲ね、稲葉とも言ってたんだけど、ちょっとパワーがありすぎるんだよね。その楽曲とか歌が、ストーリーや映像を食っちゃうんだ
(中略)
[稲葉]曲だけ聞くといいんだけど、ドラマに乗っちゃうとちょっと……。ドラマにかかる音楽としてはちょっとTOO MUCHな感じがするんじゃないかな
[松本]で、もう1曲(「今夜~」)をやる前に、台本も読んでたし。なんかこう……道は見えたよね。行く道は
(中略)
[稲葉]ドラマが、いわゆる障害というか、病気の女の子……ハンディキャップを持っていて。だから、最初、暗めのストーリーかなと思っていたんだけど、そういう感じじゃなくて、いわゆるバリア・フリーっていう、段差をなくそうみたいな。そういう風に僕は解釈したんで、段差をなくすっていうテーマで書いて(笑)。そういう言葉が頭にあると、とても面白かったですね

 ドラマのために曲を制作していた時の話だが、最初にできた良い曲とは「RING」のことである。B’zとしては曲の出来を非常に気に入っていたが、ドラマとの兼ね合いで変更。その結果生まれたのが、ヒット曲の「今夜~」というわけだ。結果的に名曲が生まれ、ドラマにも合っていたわけだし、一方で「RING」をシングル化させ、アルバムに入れたことも良かったと個人的に思う。序盤で流れる「RING」は、アルバムの持つ雰囲気を決定づけているとも言える。オリエンタル調で不思議な感じを出しつつ、少々陰鬱であり、それでいて流麗なメロディーもあり、最後はハードに終わる。一筋縄ではいかないこの曲は、さまざまな顔を持つアルバムを象徴しているというわけだ。

 松本さんもかつてのインタビューで、最高傑作と挙げたこともある本作。激しくねちっこく、ある意味ではしつこいくらいのギターリフをとことん楽しみたい方には、もってこいの名作。

【収録曲】
01. I ※インスト
02. Seventh Heaven
03. 信じるくらいいいだろう
04. RING
05. 愛のprisoner
06. 煌めく人
07. May
08. juice (PM mix)
09. Raging River
10. TOKYO DEVIL
11. コブシヲニギレ
12. Thinking of you
13. 扉
14. 今夜月の見える丘に (Alternative Guitar Solo ver.)

★★名盤★★
GREEN』(02.07.03)

GREEN

  • 売上:113.1万枚

 本作の特徴は、曲調がPOPであり、初期に顕著だった打ち込みの多用がある。加えて、メロディーの良さが光り、稲葉さんの高音の伸びがここで絶頂期を迎える。何かと見どころの多い作品だ。

B’zウルトラクロニクル 1988-2003』(2008)より

[松本]でもまあハードなものなんかも、どっちかっていうと、こうバンドで”せーの”っていう感じじゃないものをやろうとしていた風潮はちょっとあったよな。だって、バンドで曲を完成させちゃうと、ちょっと『ELEVEN』とかぶっちゃうような感じもあったし (p.463)

(『Brothehood』『ELEVEN』に対して)
[稲葉]まあそのふたつも、それぞれちょっと……は違う気分で作れたと思うんだけど。うーん、反動でもないけど、いわゆる初期に僕らがやってた打ち込みモノとギターと歌と、っていうものの組み合わせを、また模索しようかな? っていう感じだったんじゃないですか、今思えば。 (p.463)

(シャウトや速いギターソロが少ない点について)
[松本]もう隠すものはない。出しきっちゃったもん、もう(笑)。言ってみれば『GREEN』は、出しきっちゃったところからのアルバムなんですよ。 (p.468)

 本作には、先行シングルであり、B’zの代名詞ともなる「ウルトラソウル」が収録されている。本作の作風を体現したのがこのシングル曲だ。バックで流れる打ち込みのドラムが曲をタイトに、そしてメリハリを持たせ、そこにさわやかなトーンのギターが乗る。イントロやサビ前など随所で聞こえる加工された声が、曲に独特な雰囲気とインパクトを与える。良い意味で機械的で洗練されたサウンドが、生々しいギターとの対比効果を生む。稲葉さんの声も、これまでで最も伸びやかで、時折電子音のような響きを見せる。

 この作品はメロディーが素晴らしい。これも、歴代でもトップクラスの美しさだ。そして、繰り返しだが稲葉さんの高音の伸びはこの時が抜群。この相乗効果で、非常に爽やかで美しい世界観を生み出す。#3,6,8などは聞いていて思わず恍惚な気分になってしまう。一方で、疾走感あふれる#2,5といった曲もある。一転して、終盤の#10では生々し泥臭く、#11では哲学的な世界観を生み出し、ラストの#12では攻撃的な一面も見せる。稲葉さんの詩作の深化が垣間見えて面白い。

 終わってみれば、前2作のハードロック・メタルで吸収したものを打ち込みサウンドの中に見事に落とし込んでいる。POPさが目立つが、よくよく聞いてみると非常に味わい深い名作となっている。

 補足として、本作のツアーから「シェーン・ガラース」がサポートメンバーとして参加し、次作以降から現在まで、レコーディングを含めた固定メンバーとして活動していくこととなる。

【収録曲】

01. STAY GREEN ~未熟な旅はとまらない~
02. 熱き鼓動の果て
03. Warp
04. SIGNAL
05. SURFIN’ 3000GTR
06. Blue Sunshine
07. ultra soul
08. 美しき世界
09. Everlasting
10. FOREVER MINE
11. The Spiral
12. GO★FIGHT★WIN

  • 02.10.09
    志庵』(稲葉浩志)リリース

BIG MACHINE』(03.09.27)

BIG MACHINE

  • 売上:74.6万枚

 前作より打ち込みを減らして臨んだ本作。しかし2003年に稲葉さんが喉を傷め、翌年には手術をすることになる。その影響がこのアルバムにも出ており、2000年代初めに顕著だった高音のキレや伸びが悪くなっている。その後、喉に負担をかけない発声法に変えるのだが、新しい発声法の成果が目に見えて出るのは2007年あたりから。その後は40を超えたボーカリストとは思えない進化を見せる。音域は全盛期のそれを超え、声量・安定感共に過去最高のパフォーマンスを見せるようになる。従って、声に焦点を当てると、本作から数作はスランプ、あるいは過渡期に当たる。

 もちろん、音楽の要素はボーカルだけではない。松本さんのプレイはより安定感を増し、後に準メンバーともいえる存在となる「シェーン・ガラース」のレコーディング参加も本作から始まる。前作のツアーから帯同しているだけあり、コンビネーションは全く問題ない。むしろ、ここから数年共に活動していき、彼のプレイはどんどんB’zに馴染んでいき、バンドサウンド期のサウンドの核にまでなる。それも含めて、本作はやはり「過渡期」という印象が個人的には強い。

 一方で、この作品を名作に挙げるファンも少なくない。各パートの音のまとまりがあり、高音と低音のバランスに優れ、録音状態も良い。

【収録曲】
01. アラクレ
02. 野性のENERGY
03. WAKE UP, RIGHT NOW
04. 儚いダイヤモンド
05. I’m in love?
06. IT’S SHOWTIME!!
07. 愛と憎しみのハジマリ
08. BIG MACHINE
09. Nightbird
10. ブルージーな朝
11. 眩しいサイン
12. CHANGE THE FUTURE
13. ROOTS

 

邦楽

Posted by hirofumi