ビートルズ(The Beatles)まとめ[おすすめアルバム,名盤名曲,レビュー]

世界中で愛される不朽の名バンド


増補完全版 ビートルズ 上 (河出文庫)

もくじ

名盤で振り返るビートルズ(The Beatles)の歴史・経歴
  • 『ラバー・ソウル』(1965年)
    初期の名盤!美メロの宝庫!★★★★★初心者におすすめ!
  • 『リボルバー』(1966年)
    芸術性を高めた傑作!★★★★☆
  • 『サージェント・ペパーズ』(1967年)
    歴史に残る傑作!★★★★☆
  • 『マジカル・ミステリー・ツアー』(1967年)
    サイケデリック・ロックの名盤!★★★★★初心者におすすめ!
  • 『ホワイト・アルバム』(1968年)
    ごった煮の2枚組アルバム!★★★★★おすすめ!
  • 『アビイ・ロード』(1969年)
    晩年の傑作!不朽の名作!★★★★★最高傑作!
  • ビートルズ解散へ
洋楽ロックまとめ

名盤で振り返るビートルズ(The Beatles)の歴史・経歴

ラバー・ソウル』(1965年)
初期の名盤!美メロの宝庫!
★★★★★初心者におすすめ!


ラバー・ソウル

 

アルバム解説

ビートルズは何がすごいのか?

 ビートルズは60年代とそれ以降のロック・ポップの基礎を築いたバンドである。と言うのも、それ以前のアーティストやバンドはソングライターではなくあくまでも歌手であった。歌手がバックバンドをつけ、ソングライターに提供された曲を歌う。ジョン・レノンが敬愛するエルビス・プレスリーもそうだった。しかし、ビートルズを始めとするイギリスのロック・バンドは、始めこそカバー曲中心にアルバムを制作していたが、60年代半ばにはオリジナル曲のみでアルバムを制作し始めたのだ。そして、4人がヴォーカル、ギター、ベース、ドラムというパートを担当し、自作曲を自分たちで演奏する。今では当たり前となっているロック・バンドの基本を、彼らが築いたと言っていいわけだ。

全曲自作曲のアルバム

 そんなロック・バンドの先駆者であるビートルズが、全曲自作曲で発表したアルバムがこのラバー・ソウルである(実質的には前作『HELP!』)。それ以前にもバンドは数多くの自作のヒット曲を世に送り出してきたが、このアルバムの存在意義は大きい。当然ながら作曲能力も急激に成長しており、本作では素晴らしいメロディーとハーモニーが存分に楽しめる。

バーズとボブ・ディランの影響

 60年代はロック・バンドが登場した時期であり、ロックの黄金期である。目まぐるしく流行が変化し、名盤が次々と生まれた年代でもある。本作もロック史の中で重要な位置を占めるアルバムとなっている。まずこのアルバムは、ボブ・ディランとバーズという二組のフォーク・ロックアーティストからの影響を受けている。実際に聴いてみると、ラバー・ソウルはフォーク・ロック中心の作りである。ボブ・ディランは1965年に『追憶のハイウェイ61』を発表し、フォークとロックの融合を果たした。バーズは実験的な音楽を追求し、後のサイケデリック・ロックの誕生に深く関わることとなる。

↓ラバー・ソウル発表の数週間後にレコーディングされた、バーズの楽曲「霧の8マイル」。サイケデリック・ロックの起源とも言われることがある。

 

サイケデリック・ロックへの影響
ビーチ・ボーイズ『ペット・サウンズ』へ


ペット・サウンズ

 

 本作が有名であることの一つに、アルバムそのものの評価はもちろん、ビーチ・ボーイズの傑作『ペット・サウンズ』が誕生するきっかけになった事実がある。これはロック界では非常に有名な話である。ペット・サウンズでは様々な楽器と効果音を駆使し、それまでに無い独特の世界観を表現した。そしてこのペット・サウンズは、逆にビートルズの傑作『サージェント・ペパーズ』に影響を与えることとなる。

 このように、ラバー・ソウルは当時の音楽界及びサイケデリック・ロックのムーブメントの中で様々なアーティストやアルバムと相互に影響しあっている。そういう意味でも、非常に意義深い作品と言える。

【動画で試聴】
【収録曲】
  1. Drive My Car
  2. Norwegian Wood
  3. You Won’t See Me
  4. Nowhere Man
  5. Think for Yourself (Harrison)
  6. The Word
  7. Michelle
  8. What Goes on (Lennon – McCartney – Starky)
  9. Girl
  10. I’m Looking Through You
  11. In My Life
  12. Wait
  13. If I Needed Someone (Harrison)
  14. Run for Your Life

リボルバー』(1966年)
芸術性を高めた傑作!
★★★★☆


リボルバー

 

アルバム解説

サイケデリック・サウンドへ

  ビートルズは本作あたりからレコーディング・アーティストの道を歩み始める。はっきりとそれが現れるのは自作『サージェント・ペパーズ』からになる。それはそうと、本作もまた当時のロック界で様々なアーティストやアルバムに相互に影響を与えている。代表的なのは、最初期のサイケデリック・ロック・アルバムの一つであるバーズの『霧の五次元』である。


霧の5次元

 気になる作風はサイケデリック・サウンドであり、メンバーのドラッグ体験を歌った曲も見られる。ジョン作で、歌詞と共に独特なサウンドを奏でる#3「I’m Only Sleeping」。こちらはジョンの声の回転スピードを速めたり、ジョージのギターを逆回転させるなどの工夫が見られる(『全曲解説シリーズ(2) ザ・ビートルズ』p.81)。また、ジョージ作のタブラシタールなどのインド音楽を取り入れた#4「Love You to」、ループや逆回転、サンプリングを駆使した#14「Tomorrow Never Knows」などがわかりやすい。

複雑化した楽曲

 いきなりこのアルバムを聞くと、あまりにもビートルズのイメージからかけ離れていて、拍子抜けしてしまうかもしれない。ジョンがヴォーカルをとる(後述)4つのサイケデリック曲の影響も大きいが、基本的に楽曲が複雑化したことがその原因だろう。実際、本作の楽曲をライブで演奏することは難しくなり、ビートルズはストーンズのようなライブ・バンドではなく、徐々にレコーディング・アーティストの道を歩むようになる(参考:『全曲解説シリーズ(2) ザ・ビートルズ』p.79)。

狂った歌詞(「Tomorrow Never Knows」)

 本作の代名詞とも言える「Tomorrow Never Knows」。その歌詞を見てみよう。哲学的で狂っていて、実にこのアルバムを言い表していると言える。

「Tomorrow Never Knows」【歌詞・和訳】※ノベルユウオリジナル

Turn off your mind relax and float down stream
思考を止めて リラックスして流れに身を委ねる
It is not dying, it is not dying
死ぬわけじゃない、死ぬわけじゃないさ

Lay down all thoughts, surrender to the void,
全ての考えは横に置いておき、虚空に身を委ねる
It is shining, it is shining.
そこは輝いている

Yet you may see the meaning of within
内に隠された意味を見いだせれば
It is being, it is being
それが存在だ

Love is all and love is everyone
愛こそは全て、愛こそは個だ
It is knowing, it is knowing
それこそ悟りだ

And ignorance and hate mourn the dead
It is believing, it is believing
無知と、そして死を嘆く憎しみ
それこそ信仰だ

But listen to the colour of your dreams
それでも、夢の色に耳を傾けろ
It is not leaving, it is not leaving
逃げるわけじゃない

So play the game “Existence” to the end
存在というゲームの終局へ
Of the beginning, of the beginning
それが始まりだ

【動画で試聴】
【収録曲】
  1. Taxman(Harrison)
  2. Eleanor Rigby
  3. I’m Only Sleeping ※voジョン・レノン
  4. Love You to(Harrison)
  5. Here, There and Everywhere
  6. Yellow Submarine
  7. She Said She Said ※voジョン・レノン
  8. Good Day Sunshine
  9. And Your Bird Can Sing ※voジョン・レノン
  10. For No One
  11. Doctor Robert
  12. I Want to Tell You(Harrison)
  13. Got to Get You Into My Life
  14. Tomorrow Never Knows ※voジョン・レノン

サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』(1967年)
歴史に残る傑作!
★★★★☆


サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド

 

アルバム解説

【レコーディングアーティストへの転身】

 この頃のビートルズは誰もが知る世界的なアーティストになっていた。アジアの辺境にある日本でも誰もが知っていたことを考えれば、当時の熱狂ぶりがイメージできる。しかし、その一方であまりに人気がありすぎるという問題が発生していた。前作あたりからの楽曲の複雑さも相まって、それは「ライブができない」という致命的な問題へ発展していった。

 その問題に対して、ビートルズはレコーディング・アーティストという道を選択することとなる。スタジオに籠もり、とにかく質のいい作品づくりをする。それも、当時の他のアーティストが驚くような作品作りをする。(参考:公演旅行の中止とレコーディングアーティストへの変遷 – Wikipedia)。

【ペット・サウンズからの影響】

 そんなビートルズのメンバーに影響を与えたのが、ビーチ・ボーイズの『ペット・サウンズ』であった。『ラバー・ソウル』のところでも説明したが、ビートルズの作品に影響を受けてつくられ、今ではロック及びサイケデリック・ロックの超名盤に挙げられるアルバムである。

[ポール]
「あのアルバムにはすっかりやられた。聴いた瞬間、思ったよ。『まいったな、これは後にも先にもないアルバムだ。じゃあ一体、僕たちはどうしたらいいんだ?』そこがすべての出発点になったんだ。僕が考えたのは、僕達じゃない架空のバンドのアルバムにしようということだった。(中略)アルバムに一種の距離感を持たせる意味で、これはなかなかいい方法だったよ」

引用元:『全曲解説シリーズ(2) ザ・ビートルズ』p.91

 ポールにここまで言わせるアルバムは、機会があったら是非とも聴いて欲しい。さて、引用部でも出ているが、このアルバムは架空のバンドが演奏しているというコンセプトに基づいて制作されている。いわゆるコンセプト・アルバムである。歴史の中でも最古のコンセプト・アルバムのひとつに数えられる。これは一言で言えば、一つのテーマに沿って構成されたアルバムである。

【なぜここまで評価されているのか?】

 本作は歴代アルバムランキングなどで必ずと言っていいほどベスト3に入る。歴代最高という評価も多い。その理由は、何よりその録音技術と音の数の多さである。当時は録音技術が未熟であり、現在のような高音質の録音、様々な効果音を利用した楽曲作りは実質的に不可能であった。そんな中で、簡素な機材のまま様々なアイディアや技術を駆使し、当時では考えられないようなサウンドクリエイトをしたというのが大きい。

 はっきり言って、時代背景や音などを無視し、楽曲そのもののクオリティで言うと、他にも良い作品はたくさんある。しかし、コンセプト・アルバムという点や、当時の時代背景を考慮した上での音の良さ、他のアーティストへの影響力を総合的に評価すると、最高傑作となると考えればいいかと思う。このアルバムの評価と現代人が聴いた際のインパクトの乖離はこの辺に原因があるのだと、筆者は勝手に推測する。あと、歌詞などをしっかり見ればまた評価が変わるかも知れない。あとは専門的な音楽の知識だ。それが私にはないので、ここではここまでの分析が限界である。

【動画で試聴】
【収録曲】
  1. Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band
  2. With a Little Help from My Friends ※voリンゴ・スター
  3. Lucy in the Sky with Diamonds
  4. Getting Better
  5. Fixing a Hole
  6. She’s Leaving Home
  7. Being for the Benefit of Mr. Kite!
  8. Within You Without You(Harrison)
  9. When I’m Sixty-Four
  10. Lovely Rita
  11. Good Morning Good Morning
  12. Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band (Reprise)
    A Day in the Life

マジカル・ミステリー・ツアー』(1967年)
サイケデリック・ロックの名盤!
★★★★★初心者におすすめ!


マジカル・ミステリー・ツアー

アルバム解説

編集版にして傑作

 本作は元々ビートルズの自作映画のサウンドトラック集であったが、その後レコード会社の再編集を経て、当時のシングル曲などを加えたアルバムとして世に出された。本作の曲調は流行でありビートルズが火付け役であったサイケデリック・ロック丸出しの作品。その独特のノリは他のアルバムと一線を画しており、編集版と言えど現在では公式ディスコグラフィーにも名を連ね、非常に評価が高いアルバムとなっている。

 映画のサウンドトラックであるのは前半の5曲。そして、後半にはハロー・グッドバイペニー・レイン愛こそはすべて、ビートルズ屈指の名曲ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァーといった豪華な曲が名を連ねる。サイケ特有の浮遊感、陶酔感に加えて、とりわけメロディーの美しさが際立つ楽曲が多い、初めてのビートルズに最適な名盤である。

【各曲解説】

※参考:『全曲解説シリーズ(2) ザ・ビートルズ』PP.103-110

2. The Fool on the Hill

 ポール作。ピアノ主導する楽曲は、ビートルズお得意のコーラスワークに加えて、フルートの音が加わってなんとも言えない美しくキャッチーな旋律を奏でている。

3. Flying

 バッキングボーカルのみのインスト曲。4人全員の名前がクレジットされているという珍しい楽曲。メロトロンの音と少々不気味なバッキングボーカルが独特の味わいを醸し出している。

4. Blue Jay Way

 ジョン作らしい東洋の神秘的な雰囲気を感じさせる楽曲。ジョージの声と共に断片的で印象的なコーラスが不安を煽るような旋律を生み出している。

6. I Am the Walrus 歌詞・翻訳※ノベルユウオリジナル

I am he as you are he as you are me
僕は彼で君は彼で君は僕
And we are all together
だから皆一緒
See how they run like pigs from a gun
銃から逃げる豚のように、逃げる彼らを見なよ
See how they fly
彼らが飛んでいくのを
I’m crying
泣けてくるね

Sitting on a corn flake
コンフレークの上に座って
Waiting for the van to come
トラックが来るのを待つ
Corporation T-shirt, stupid bloody Tuesday
会社のシャツ、愚かで残虐な火曜日
Man you’ve been a naughty boy
お前は酷い人間だ
You let your face grow long
だらしなく顔を緩ませて
I am the egg man
僕はエッグマン
They are the egg men
彼らはエッグマン
I am the walrus
僕はセイウチ
Goo goo g’joob
いいね

Mr. City policeman sitting
街の警官が座ってる
Pretty little policemen in a row
とっても可愛い警官が列をなして
See how they fly like Lucy in the sky
「ルーシー・イン・ザ・スカイ」みたいに飛んでくのを
See how they run
走っていくのを
I’m crying
泣けてくるね
I’m crying, I’m crying, I’m crying
ああ、泣けるよ

 ジョン作のこの曲は、その謎めいた歌詞に様々な憶測が飛び交った。しかし、それに意味はない。言葉の羅列の遊びというのが実際のところ。それにしても、無茶苦茶な歌詞である。

 とは言え、バンド及びアルバムの楽曲の中で、この曲ほどインパクトがあり、かつ後世のアーティストに影響を与えた曲はない。

8. Strawberry Fields Forever

 ビートルズ屈指の名曲であるこの曲は、異なる2つのヴァージョンをつなぎ合わせたことで独特のリズムを生み出すに至っている。また、メロトロン、スライド・ギター、ティンパニ、チェロといった様々な楽器が用い要られているのも、そのサウンドに深みを与えているだろう。

【収録曲】
  1. Magical Mystery Tou
  2. The Fool on the Hill
  3. Flying
  4. Blue Jay Way(Harrison)
  5. Your Mother Should Know
  6. I Am the Walrus
  7. Hello Goodbye
  8. Strawberry Fields Forever
  9. Penny Lane
  10. Baby You’re a Rich Man
  11. All You Need Is Love

ホワイト・アルバム』(1968年)
ごった煮の2枚組アルバム!
★★★★★おすすめ!


ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)

 

 

アルバム解説

 ビートルズ後期の2枚組アルバム。メンバーの作曲能力、とりわけジョージ・ハリスンの能力が高まり、当時バンドを仕切っていたポールとのいざこざが出始める。その結果、全メンバーがそれぞれ曲を作ってアルバムに突っ込むということになった。そう聞くと散漫な内容をイメージするかもしれないが、アルバムの完成度は高く、ビートルズの傑作の一枚となっている。

 ビートルズ分裂(解散)の原因は様々な説があるが、有力なのはマネジャの自殺にともなうリーダーの不在と、暫定的にバンドを仕切るようになったポールと他メンバーの対立である。ポールはどんな楽器でもこなせるし、様々な楽曲をつくる才能がある。しかし、ビートルズにはジョンというもう一人の天才がおり、ジョージ・ハリスンも急激に成長していた。そういった事情があってのこのアルバムだが、良くも悪くもビートルズというバンドの凄さが際立つ出来である。

引用元:【60年代】洋楽ロックの名盤とおすすめバンド①

メンバー間の軋轢 

 さて、ビートルズは相変わらず時代の先端を突っ走っていくのだが、本作あたりからメンバー間の軋轢が表面化し始める。上述したように、その大きな原因は敏腕マネージャーのブライアン・エプスタインの自殺である。そして、暫定的にポールがバンドの主導権を握ったことで軋轢は大きくなっていく。ポールが主導権を握ったのは何も今作からではなく、『サージェント・ペパーズ』『マジカル・ミステリー・ツアー』でもそうであった。サージェント・ペパーズのコンセプトはポールがもってきたものであったし、マジカル・ミステリー・ツアーの映画のアイディアもそうであった。その辺について、本作製作時の様子を参考文献から垣間見ていこう。

[ポール]
「あれは張り詰めたアルバムだった。(中略)あのアルバムの制作中はそこらじゅうで摩擦が起こっていた。グループも解散直前で、それだけでもすごい緊迫していた。

引用元:『全曲解説シリーズ(2) ザ・ビートルズ』p.113

 実際、今作から2年後にポールは脱退し、実質的にビートルズは解散に追い込まれることとなる。ここから3作のアルバムが発表されるので(『LET IT BE』は解散後発表)まだ解散直前と聴いてもピンとこないが、実際にはここから2年しかないのである。本作製作中にはリンゴが一時脱退するなど、まさに問題は表面化していく。続きを見ていこう。

ジョージとポール(ジョージは自分がポールによって半人前の扱いしか受けていないと思っていた)、そしてジョンとそれ以外のメンバー(一つにはジョンがオノ・ヨーコをスタジオ・ワークに参加させることを主張した点、そしてもう一つには彼女に対するポールとジョージの態度をめぐって)の衝突だった。
(中略)
熱心に船の舵取りをしようとするポールのやり方は、どちらかといえば無干渉主義のジョンとジョージとの間に摩擦を生じさせた。

引用元:『全曲解説シリーズ(2) ザ・ビートルズ』p.113

 と、こういうわけである。とは言え、結果的にこの軋轢が本作のバラエティーの豊かさを生んだ。功罪とでも言うべきこの問題は、結局解消されないままにビートルズは解散することになる。それでも、ここから傑作と呼ばれるアルバムをいくつも出すのは流石といったところだ。

【動画で試聴】
【収録曲】

ヴォーカル分類:ポールジョン

[DISC1]

  1. Back in the U.S.S.R.
  2. Dear Prudence
  3. Glass Onion
  4. Ob-La-Di,Ob-La-Da
  5. Wild Honey Pie
  6. The Continuing Story of Bungalow Bill
  7. While My Guitar Gently Weeps(Harrison)
  8. Happiness is a Warm Gun
  9. Martha My Dear
  10. I’m So Tired
  11. Blackbird
  12. Piggies(Harrison)
  13. Rocky Raccoon
  14. Don’t Pass Me By(Starkey)
  15. Why Don’t We Do It in the Road?
  16. I Will
  17. Julia

[DISC2]

  1. Birthday
  2. Yer Blues
  3. Mother Nature’s Son
  4. Everybody’s Got Something to Hide Except Me and My Monkey
  5. Sexy Sadie
  6. Helter Skelter
  7. Long, Long, Long(Harrison)
  8. Revolution 1
  9. Honey Pie
  10. Savoy Truffle(Harrison)
  11. Cry Baby Cry
  12. Revolution 9
  13. Good Night (voリンゴ・スター)

アビイ・ロード』(1969年)
晩年の傑作!不朽の名作!
★★★★★最高傑作!


アビイ・ロード

 

アルバム解説

 中身よりもジャケットとアルバム名が有名なアビイ・ロード。これは晩年の作品で、翌年にビートルズは解散。その後メンバーはソロ活動に入っていく。本作ではジョージ・ハリスンの曲が多く収録されていたり、アルバムの後半はポール主導でつくったメドレー形式になってる。はっきり言ってまとまりはない。でも、クオリティがすごい。さすがビートルズ。

 ベストアルバムとかシングル曲しか知らない人からすれば、このアルバムは少々「暗い」と感じるはず。一方で、有名曲も多い。カム・トゥゲザーサムシングオー!ダーリンヒア・カムズ・ザ・サンユー・ネヴァー・ギヴ・ミー・ユア・マネーあたり。全部一度は聞いたことがあるはず。このうちサムシングとヒア・カムズ・ザ・サンの2曲はジョージの傑作。

 このアルバムはとにかく、ジョージの名曲とポールのメドレー。もちろん、ジョンレノンも相変わらずすごい。ジョン作のカム・トゥゲザーなんかは超格好良いし、これまで幾多のアーティストにカバーされてる。解散後、メンバーはそれぞれソロや独自のバンドをつくって名作を世に送り出すこととなる。どのメンバーもソロで歴史に名を残しちゃうくらいだから、ビートルズがいかにすごいバンドだったかがよくわかる。

引用元:【60年代】洋楽ロックの名盤とおすすめバンド①

【動画で試聴】
【収録曲】

ヴォーカル分類:ポールジョンジョージ

  1. Come Together
  2. Something(Harrison)
  3. Maxwell’s Silver Hammerポール・マッカートニー
  4. Oh! Darlingポール・マッカートニー
  5. Octopus’s Garden(Starkey)
  6. I Want You (She’s So Heavy)
  7. Here Comes the Sun(Harrison)
  8. Because
  9. You Never Give Me Your Money
  10. Sun King
  11. Mean Mr. Mustard
  12. Polythene Pam
  13. She Came in through the Bathroom Window
  14. Golden Slumbers
  15. Carry That Weight
  16. The End
  17. Her Majesty

ビートルズ解散へ


レット・イット・ビー

 ビートルズ解散への道筋をまとめてみたので、参考にして頂きたい。

  1. レコーディングバンドへの転身(1966.8)
    ★ジョンとヨーコの出会い
    サージェントペパーズ』発売(1967.6)
  2. バンドをまとめるマネジャーの死(1967.8)
  3. リーダー不在&ポールが実質的なリーダー役
    ⇒他のメンバーのポールへの不満
    ⇒『ホワイトアルバム』発売(1968.11)
  4. ゲット・バッグセッション(1969.1)⇒アルバム『レット・イット・ビー』へ
  5. 『アビイ・ロード』レコーディング(1969.2~8)
    ★ジョンが脱退宣言(1969.9)
    ⇒『アビイ・ロード』発売(1969.9)
  6. 再びセッションを開始(1970.1)
    ⇒ジョンがフィルスペクターにセッション音源の編集依頼
    ★ポールが脱退宣言(1970.4)、ソロアルバム発売
    ⇒『レット・イット・ビー』発売(1970.5)
  7. ビートルズ正式解散(1971.3)

ブライアン・エプスタインの自殺

 ビートルズ解散には上述の通り様々な要因が積み重なった結果ということができる。まず一つには、個々のメンバーの実力拮抗がある。ここではやはりジョージ・ハリスンの存在が大きい。彼はジョンやポールから遅れるも徐々にその才能を開花させ、やはり「天才」と呼べるほどの能力を見せるようになる。しかし、バンドには彼を超える天才二人がいつもいた。まさに目の上のたんこぶである。しかし、裏を返せばジョージの能力をバンドに生かすことは十分可能であった(実際に、『ホワイトアルバム』『アビイ・ロード』では彼の曲が非常に良いアクセントとなっている)。

 しかし、『サージェント・ペパーズ』という最高傑作を生み出してすぐ、まさに絶頂期を迎えていたところでバンドのまとめ役であるマネジャーのブライアン・エプスタインが自殺してしまう。折しもバンドはレコーディング・アーティストへの転身を迫られている時期であり、まさにリーダーを必要としていた。あまりにも痛い死であったわけだ。

暫定リーダーのポールとメンバーの対立

 その後、ポールはバンドのリーダー的な役割を買って出ることとなる。『マジカル・ミステリー・ツアー』などは映画のアイディアは彼が持ってきたものだし、『サージェント・ペパーズ』もそうであった。そして、メンバー間で徐々にポールに対する不満が噴出し始める。そんな中で完成されたのが『ホワイト・アルバム』。軋轢が表面化、否、軋轢をそのままアルバムとしてまとめた作品となった。

バンドの状態と世間の評価の乖離

 しかし、バンドは才能がありすぎたので、作品は傑作として受け入れられてしまう。何という皮肉だろうか。そこからもバンドの状態と世間の評価は乖離していく。もはや解散寸前の状態のメンバーは、ゲット・バック・セッションが失敗に終わり、そのままアビイ・ロードの制作に取り掛かる。ジョンの脱退宣言を経て発売された作品は多大な評価を受けるに至り、いまでも最高傑作と呼ばれるまでになった。

 このように見ていくと、ビートルズの解散は、「レコーディングアーテストへの転身」「ジョージの才能開花」「マネジャーの死」「メンバー間の軋轢」「ポールのリーダーシップ失敗」「オノ・ヨーコの存在」など、実に様々な要因が重なったとわかる。そして、才能がありすぎる故の「バンドの状態とファンの評価の乖離」が容認できないレベルにまで達したためだと、私は思う。