『嫌われない毒舌のすすめ』(有吉弘行)のレビュー・感想

クズとしての生き方指南書!
たらし込み、褒め殺し、ウソ、媚びへつらい、作り笑顔……
これであなたも世渡り上手!

『嫌われない毒舌のすすめ』のもくじ

 

内容説明

上手な媚びへつらい&ヨイショをマスターすれば面倒な人付き合いが楽になる!上司や先輩に取り入り、後輩をたらし込んで転がす逆説的な処世術入門。

目次

第1章 マイナス評価をプラスに変える「人たらし」の方法
第2章 確実に相手を「たらし込む」人付き合いの方法
第3章 無駄なプライドを捨てて「クズ」として生きる方法
第4章 単純なヤツを使って自分の「株」を上げる方法
第5章 上司・先輩・同期・後輩を上手に「転がす」方法
第6章 苦手な相手を「小バカ」にして好感度を上げる方法

引用元:嫌われない毒舌のすすめ / 有吉 弘行【著】 – 紀伊國屋書店ウェブストア

 本書のタイトルは「毒舌のすすめ」となっていますが、毒舌はあくまで話の切り口になっているだけ。メインは、有吉さんおすすめの生き方指南。簡単に言うと、いかに相手に取り入り、人をたらし込むか(笑)

 実際にどんな内容が書いてあるのかは、目次の章タイトルを見てもらえばいいです。それにしてもひどいタイトルの数々!

 有吉さんの汚い生き方を知って大笑いするもよし。本気で受け止めてクズとして生きるもよし。タレント本としても実用書としても、一石二鳥の良書! 電車の中で読んでいると思わずニヤニヤしてしまいます。

『嫌われない毒舌のすすめ』のおすすめポイント(1)
(第3章 無駄なプライドを捨てて「クズ」として生きる方法 より)

本当の自分を探すより、相手の求める自分になる!

 僕は、相手に合わせて自分を使い分けます。相手好みの有吉弘行になるんです。そのほうがうまくいくし、僕も楽です。
(中略)
 毒舌を吐くのも、媚びへつらうのも全然平気。
 ストレスって、「本当の自分」と違うことをやらなきゃいけないときに溜まるから、もともと、「本当の自分」がなければストレスも溜まらないんです。
 これがもし、「本当の自分はこうじゃない」とか思いながら、媚びへつらったりしてると、
「こんな自分はみっともない」とか、
「媚びへつらってる自分は嫌だ」とか、ストレスが溜まりますけど、
「本当の自分なんかないよな」と思っていれば、ストレスも溜まりません。
(中略)
 だから、「本当の自分なんてないんだ」と思っちゃった方が、楽に生きられると思うんです。

引用元:有吉弘行(2009)『嫌われない毒舌のすすめ』,第四刷,pp.66-67

 これは名言だと思います。「本当の自分なんてないと思えば、楽に生きられる」。自分は「こうしたい」と思っていても、回りがあなたに求めていることは全く違っていたりします。それでも自分の意志を貫き通す場合、かなりの労力を要します。それなら、相手の求める自分になりきってみよう、と。

 もちろん、自分の意志を突き通すべき時や場面があるでしょう。しかし、日常生活の中でのちょっとした場面では、こうした方が人間関係が円滑に進みそうな気がします。

 自分探しなんてやめて、「本当の自分なんてない」と認める。そこから、自分は回りにどう見られているか、何を求められているかを考える。そして、その客観的に見た「自分」になってみる。相手によっていろいろな自分になりきる。これって意外と楽しいかもしれません。しかも、観察力、演技力、柔軟性、対応力などなど、生きる上で必要な力がたくさん身につきそうです。

 

本音も本当の自分も、見つけたところで何の役にも立たない

 僕、思うんですけど、「本音」とか「本当の自分」なんて、必要ないでしょ?
 結局、相手が見た自分こそが「本当の自分」なんだから、そこに本音なんかいらないと思っています。
(中略)
 ウソもつき続ければ、というか、つき通すことで、「本当」になります。それはもうウソじゃなくて、本当なんです。
(中略)
 だから、そういう意味では、すべてが本当の自分かもしれないし、すべてが本当の自分じゃないのかもしれない。でも、そんなこと、どーでもいいことなんですよ。
 本当の自分を見せて、うまいこと世の中を渡っていければいいけど、そんなことないですよね。だから、世の中を渡っていくためには、「本当の自分」とか、「本音」とか、そんなものは、どーでもいいんです。
 結局、そんなものを持ってても、何の役にも立たないんですよね。

引用元:有吉弘行(2009)『嫌われない毒舌のすすめ』,第四刷,p71

 見つかりもしない「本当の自分」を探して自己満足するか、世の中を渡っていくために「いろいろな自分」を身につけるか。この有吉さんの考え方は、非常に現実主義だと思います。

 うまく生きることより、自己満足することの方が大切な人もいるでしょう。その人は自分探しを続ければいいだけです。しかし、そこに答えなんてあるのでしょうか? いっそのこと「本当の自分」は回りに決めてもらうことにして、その場その場で柔軟に対応していけば、今よりずっと楽に、幸せに生きていけるかもしれません。

 

プライドなんて捨てろ!

 そもそも、「本当の自分って何なんだ?」とか、「俺の本音はどこにあるんだ?」みたいなことを考える人って、自分にプライドがある人だと思います。
(中略)
 その点、僕はプライドないですから。
 自分にプライドなんか持っても、何の得にもならないですし。
 昔からずっと、人の顔色を見て生きてきたし。
 プライドなんかないから、いくらウソをつこうが平気です。
 媚びへつらうのもまったく苦痛じゃない。
 毒舌を言って嫌われたって、気にしません。
 だって、自分にプライドないですから。
(中略)
 だから僕、最低の人間なんです。
 でも、それでいいと思ってる。
 プライドは持っていないけど、「僕は最低の人間ですよ!」っていう、人間としての根っこの部分だけは、キチンと持ってますから。
 それさえしっかり押えておけば、何をやっても平気だと思うんです。

引用元:有吉弘行(2009)『嫌われない毒舌のすすめ』,第四刷,pp.72-74

 最初の一文は、核心を突いていると思います。プライドがあるから本当の自分や本音についてあれこれ悩む。それなら、プライドなんて捨ててしまえばいい。プライドを捨てて、人の顔色を伺って、ウソをつき、媚びへつらってでもうまく生きていく。その一方で、自分は最低の人間だとあくまで自覚しておく。これは卑屈になることでは決してなく、人間なんてこんなもんだろうという、開き直りだと思います。あるいは、皆が考えているほど、個々の人間にそれほど大層な価値なんてないと自覚することです。

 その上で、どうやってうまく生きるかを考える。人間も動物の一つで、生きている目的は子孫を残すこと。言い換えれば、生存競争を勝ち抜くこと。それはうまく生きることとイコールではないでしょうか。その最大の目的を果たせるのであれば、ウソも媚びへつらいも、どんな手段でも使ってやろう、というわけです。

 

『嫌われない毒舌のすすめ』のおすすめポイント(2)
(第6章 苦手な相手を「小バカ」にして好感度を上げる方法 より)

苦手な相手、勝てない相手には絶対服従!

 自分が苦手なタイプの人、この人と同じ土俵で戦っても絶対に勝てないなっていうときは、明らかに「僕はあなたの下ですよ」ってところを見せちゃいます。
 ツッコミも毒舌も一切なし。そういう苦手な人に対しては僕、完全服従します。

引用元:有吉弘行(2009)『嫌われない毒舌のすすめ』,第四刷,p157

 これは、有吉さんが苦手とする、深い知識や考えを持った人を相手にした時の対処法です。有吉さんはとにかく質問をしまくり、相手の知識欲を満足させ、下手に出ます。

 質問をするというのは、汎用性が高い方法です。質問をして相手に答えさせるという一連の流れは、それだけで会話が成り立ちますし、相手に自然と話させることができます。そして、質問をした上で共感したり、「へえ」「なるほど」などと相槌を打てば、相手も悪い気はしないでしょう。

答えがわかっている質問をあえてする

 答えを知ってる質問は、相手の答えも想定できるから、リアクションが取りやすいんです。これって、かなり効きます。
 答えが出てる質問をどんどんしていけば、だいたい想定内の答えが返ってくるので、そこでいいリアクションを取るっていうのが有効だと思うんです。
(中略)
 最初から用意しておいた「向こうが気に入るだろうな」っていうリアクションを取ればいいだけだから楽です。
(中略)
 質問すればいいといっても、
「自分はこれからどうしていけばいいんでしょう?」
 みたいな、答えが出てない質問はしない方がいい。その手の質問をすると、結局のところは、
「じゃあ、お前はどうしたいんだ?」
 っていうところに行き着いちゃう。

引用元:有吉弘行(2009)『嫌われない毒舌のすすめ』,第四刷,pp.158-161

 質問をする際に、一歩進んで「答えが想定できる質問」をするという方法。これはコミュニケーションのハウツー本などでも良く見かけます。有吉さんが言うといやらしい感じがしますが、上手なコミュニケーションの一つというわけです。

 苦手な相手と会話する際に、余計なことを言ってはいけませんし、ヘタにこちらのことを相手に明かしてしまうのも避けたいところ。その点、こちらから質問をして、相手の気に入るようなリアクションをするというのは、最小限のリスクで自然な会話を成立させることが可能です。

 

相手の話をトコトン引き出す!

 まず、相手の話を聞くときの基本ですけど、徹底的に聞いてあげることです。
(中略)
 そこで、引っ張り出せば引っ張り出すほど、勝ちだと思うんです。相手のことがわかるし、弱点も掴めるし、後々、役に立つんです。
(中略)
 そこからさらに、相手の話に共感して、相手のことを認めてあげる。
「◯◯って言ってたよね。それ、わかるんだよね」とか、
「◯◯って言ってたことも、的を射てるよなぁ」とか、
 向こうが話したことを繰り返してればいいんです。そいつが言ったことの「おおむ返し」をしてりゃいいんですよ。
 そして、ツッコんだように見せかけるんです。
「◯◯って行ってたけどなぁ、違うと思うんだよ。でもなぁ、お前が言う◯◯の方が正しいのかもなぁ……」
 みたいなことを言って、ツッコんで一回相手の話を否定したように見せかけといて、その上でそいつの言ったことを最終的に認めてやればいいんです。
 ひと言で言えば、お茶を濁すんです。
 そうすると、相手は、
「すっげー、わかってくれてる」と思うんです。

引用元:有吉弘行(2009)『嫌われない毒舌のすすめ』,第四刷,pp.165-168

 これは読んでいて思わず苦笑いをしてしまいました(笑)。話を引き出して、オオム返しで聞いているふりをして、最後は否定したと見せかけて相手の話を認める。聞き上手の人や人当たりのいい人は、自然とこれをやっています。ただ、それを自覚した上で、ここまで丁寧に説明してくれる有吉さんは恐ろしいです(笑)。

 先ほどの質問テクニックと合わせれば、苦手な相手でも自然な会話ができ、その上で相手を満足させされます。このようにして、有吉さんは苦手な相手と付き合い、心の中で小バカにしているというわけです。有吉弘行恐るべし!

 

感想

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