アークティック・モンキーズ(Arctic Monkeys)まとめ[おすすめアルバム,名盤名曲,レビュー]

2018年5月1日

新作情報!

21世紀の英国代表バンド!


CROSSBEAT Special Edition アークティック・モンキーズ

もくじ

アークティック・モンキーズ(Arctic Monkeys)のプロフィール

名盤で振り返るアークティック・モンキーズ(Arctic Monkeys)の歴史・経歴

  • 『Whatever People Say I Am, That’s What I’m Not』(2006年)
    記録を塗り替えた衝撃のデビュー作!
    ★★★最高傑作★★★
  • 『Favourite Worst Nightmare』(2007年)よりハードに進化した2作目!
    ★★おすすめ★★
  • 『AM』(2013年)新境地で世界的ヒット!
    ★★★名盤★★★
洋楽ロックまとめ

アークティック・モンキーズ(Arctic Monkeys)のプロフィール

基本情報

デビュー:2005年
出身:イギリス
ジャンル:

オルタナティブ・ロック、ガレージ・ロック、インディー・ロック、ハード・ロック、ストーナーロックなど

メンバー:
  • アレックス・ターナー(ヴォーカル、ギター)
  • ジェイミー・クック(ギター)
  • マット・ヘルダース(ドラム)
  • ニック・オマリー(ベース)
同時代のアーティスト等:

フランツ・フェルディナンドアーケイド・ファイアカサビアンキラーズなど

名盤で振り返るアークティック・モンキーズ(Arctic Monkeys)の歴史・経歴

Whatever People Say I Am, That’s What I’m Not』(2006年)
記録を塗り替えた衝撃のデビュー作!
★★★最高傑作★★★


ホワットエヴァー・ピープル・セイ・アイ・アム、ザッツ・ホワット・アイム・ノット

 

アルバム解説

英国で大騒ぎとなったアルバム

 デビューシングル「I Bet You Look Good on the Dancefloor」が英国で初登場1位を記録し、メディアも絶賛。新たなビッグバンドの登場にイギリスが湧いた。間髪入れず発売されたのが本作であり、英国のアルバム最速売上記録(当時)を更新。国内ではブリット・アウォーズを始めとした音楽賞を総なめにし、バンドは一気にスターダムへのし上がることとなる――

オアシスに変わるビッグバンド

 以上がアークティック・モンキーズのデビューアルバムを語る一般的な表現となる。当時はイギリスで過剰と言えるほどの注目を集め、その結果アメリカや日本でもその噂が駆け巡り、外国のバンドとしては珍しく日本でもかなり早いうちに知名度を獲得していたことを覚えている。また、本国イギリスではオアシスに変わる新たなビッグバンドとして迎えられていた。当時のオアシスは結成から10年以上経過しており、イギリスでは変わらずの人気があったが全盛期の勢いは見せられなくなっていた。そして、常に解散の噂が立つような状況でもあった。実際に2009年にオアシスは解散することとなる。

英国版ガレージロック・バンド

 そんな中で彗星のごとく現れたアークティック・モンキーズ。彼らの音楽性はジャンルで言うとガレージ・ロックやオルタナティブ・ロックとなる。2000年代に一大ブームを引き起こしたジャンルである。アメリカのバンドではストロークスやホワイト・ストライプスがブームを牽引していたが、その流れを汲むバンドとして位置づけて良い。初期のロックにあった、いわゆる「ロックの初期衝動」を表現したような荒々しい演奏。それを現代的な音で表現する。インディー・ロックの要素をバンドはしっかりと持ち合わせていた。

唯一無二の音

 その中でも、アークティック・モンキーズに特徴的だった要素がいくつかる。まずは疾走感溢れる性急なギター。レッド・ツェッペリンのジョン・ボーナムを思わせるタメの多いパワフルなドラミング。そして、シニカルな歌詞をまくしたてるように吐き出すボーカルである。こういった要素を持ち合わせた音はこれまでになく、まさに「新たな音楽」と言えるものであった。それでいて、音はあくまでもシンプル。アレンジに頼ることのない生々しい音。イギリス及び世界で人気を博すのはもはや当然と言えるほどの個性である。

 さて、このようにアークティック・モンキーズのデビューアルバムははっきり言って出来過ぎである。今でも最高傑作にあげられるし、歴代のバンドのデビュー作の中でも歴史に残るような作品と言っていい。このデビューアルバムのためにバンドは苦しむ時期もあるのだが、このアルバムがなければ2010年代に入ってからのさらなる躍進もなかった。そういうわけで、まずはこのアルバムを聴くべし!

【動画で試聴】
【収録曲】
  1. The View from the Afternoon
  2. I Bet You Look Good on the Dancefloor
  3. Fake Tales of San Francisco
  4. Dancing Shoes
  5. You Probably Couldn’t See for the Lights But You Were Staring Straight at Me
  6. Still Take You Home
  7. Riot Van
  8. Red Light Indicates Doors are Secured
  9. Mardy Bum
  10. Perhaps Vampires is a Bit Strong But…
  11. When the Sun Goes Down
  12. From the Ritz to the Rubble
  13. A Certain Romance

Favourite Worst Nightmare』(2007年)
よりハードに進化した2作目!
★★おすすめ★★


フェイヴァリット・ワースト・ナイトメアー

 

アルバム解説

より速くよりヘヴィに

 デビュー作で大騒ぎされたバンドの2作目というのは鬼門である。なかなかファーストを超える評価を得るのは難しい。ファーストの重圧に押しつぶされて駄作を生み出してしまうことも少なくない。そんな中で、アークティック・モンキーズはファーストの流れを踏襲しつつ、新たな方向性も示して見せた。アルバムの評価はまずまずであり、本国イギリスでは再び熱狂を持って迎えられた。

 作風での変化は、とりわけアルバムの前半で見られるヘヴィな展開だ。メタル的とも言えるハイテンポで低音に重きを置いたサウンドは、本作最大の特徴と言っていいだろう。ファーストにあったスマートさを脱ぎ捨て、泥臭いサウンドと言ってもいい。

[アレックス・ターナー]
つねに新しいものを取り込んで、新しい場所に飛び込んで、そして前進していきたい。ただし、それを自然なやり方でね。つまり、毎回違うバンドに聞こえちゃう、みたいな感じじゃなくて。だから今回も、少し進化してると思う。少なくとも今は、自分ではそう思ってる。

引用元:『CROSSBEAT Special Edition アークティック・モンキーズ』(2014)シンコーミュージック・エンタテイメント

 このアレックスのコメントに、全ての説明が詰まっていると言っていい。自然な形で新たな要素を加え、少しだけ進化したアルバム。それが本作というわけだ。ちなみに、サウンド面の変化について次のコメントもチェックしておきたい。

[アレックス・ターナー]
ジェイミーなんかは昔からヘヴィなギター・ミュージックが好きだったし。あと去年クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジのライブを観たんだけど、マット(・ヘルダース)はそれ以来もっとハードなドラムを叩くようになった。それも少し関係しているんじゃないかな。

引用元:『CROSSBEAT Special Edition アークティック・モンキーズ』(2014)シンコーミュージック・エンタテイメント

後半のドラマティックな展開

 前作でもその兆候は見られたが、アルバムの後半ではドラマティックな展開が見られ、大人っぽい曲も多く登場する。この流れは本作以降のアルバムに受け継がれていき、ミドルテンポでメロウなサウンドで構成したアルバムも登場する。そういった意味では、ファーストとサード以降の合間出みせた、いい意味での過渡期のアルバムと言ってもいいかもしれない。

【動画で試聴】
【収録曲】
  1. Brianstorm
  2. Teddy Picker
  3. D is for Dangerous
  4. Balaclava
  5. Fluorescent Adolescent
  6. Only Ones Who Know
  7. Do Me a Favour
  8. This House is a Circus
  9. If You Were There, Beware
  10. The Bad Thing
  11. Old Yellow Bricks
  12. 505
  13. Da Frame 2R
  14. Matador

AM』(2013年)
新境地で世界的ヒット!
★★★名盤★★★


Am

 

アルバム解説

アメリカ本格進出とR&Bの影響

 本作はバンドにとって大きな転換点となるアルバム、そして今後のキャリアを考えても最高傑作の一枚にあげられるであろう名盤となった。キーワードはアメリカ進出である。バンドは2012年に拠点をL.Aに移し、まずは2012年2月にシングル「R U Mine?」を発表する。このシングルを青写真としてアルバム制作に取り掛かるのだが、そこでアレックスが意識したのは本場アメリカのR&Bやヒップホップのメロディーだった(参考:【インタビュー】アークティック・モンキーズの最新5thアルバム『AM』から紐解く、音楽的進化と歌詞の変遷―。)。具体的なアーティストとしてはドクター・ドレアウトキャストの名前が挙げられている――

 

 なるほど、聴いてみれば確かにR&B特有のミドルテンポで官能的なリズムが本作には反映されているのがわかる。特定のフレーズを繰り返し使用するところも、あるいはその影響かもしれない。本作では楽曲のタイトルを繰り返し、形を変えて使用し、フレーズを大切にする作りも見られる(#2「R U Mine?」#10「Snap Out of It」など)。

 また、プロモーションにも積極的に参加したとインタビューで語っている。アメリカでの成功には何よりこのプロモーション活動が重要になってくる。いくらいい作品をつくっても、プロモーションに失敗すると売れない。ある意味でこれがアメリカ音楽市場である。

[アレックス]あの当時は自分たちが創り上げたものを守ろうとして、プロモーションの機会を与えられても、多くのものに「ノー」と言っていた。後戻りできないような状況を作ってたんじゃないけど、若さゆえの気難しさは、自分たちの得になったとは言い難い。

引用元:「あの当時のひたむきさと純朴さを再現するのは不可能だ」―アークティック・モンキーズ 最新インタビュー(ビルボードジャパン)

世界的なヒット

 アークティック・モンキーズは本国イギリス、あるいは人気の高い日本では「ビッグ・バンド」の一つになっている。ところが、アメリカでは事情が異なっていた。それはセールスの面からもわかる。ここで英米での主要アルバムのセールスを比較してみよう。

【英米でのセールス比較】

参考:Arctic Monkeys discography – wikipedia

『Whatever People Say I Am, That’s What I’m Not』(2006)

  • 英:170万枚
  • 米:50万枚

『Favourite Worst Nightmare』(2007)

  • 英:90万枚
  • 米:6.2万枚

『AM』(2013)

  • 英:115万枚
  • 米:135.5万枚

 アメリカで売れたのはファーストのみであり、それ以降は10万枚すらこえることはなかった。そこにきて、今回の『AM』で大幅に売上を上げ、100万枚を突破するに至っている。本国イギリスでの売上が回復したのを見ると、プロモーションの成功に加えてそもそもアルバムの質が高いというのがよくわかる。驚くべきは、イギリスでのセールスを上回っていることだ。イギリスではトップアーティストの一つにあげられ、出すアルバムは必ずチャート首位というバンド。アメリカでの売上がそれを上回るというのは衝撃的と言える。

 現在までにアルバムは世界中で500万枚のセールスを超えており、アークティック・モンキーズが本当の意味で世界進出を果たしたと言ってもいい。遅すぎるくらいだが、彼らの才能を持ってすれば当然の結果でもある。

ヘヴィなミドルテンポ

 本作を一言で例えるならば、「ヘヴィなミドルテンポ」という表現があてはまる。前半の楽曲はまさにそれだ。これまでのアークティック・モンキーズはテンポの速さが売りであった。それを捨てて、なおかつヘヴィさを増すというのは楽曲そのものに力がないと難しい。同じフレーズを繰り返しつつ、曲をしっかりビルドアップする技術は非常に評価できる(#1「Do I Wanna Know?」など)。それを支えている要素に重厚かつ効果的になったコーラスワークも忘れてはならない。明らかにこれまでのコーラスワークとは異なる楽曲があり、シンプルな楽曲に効果的なアクセントを加えている。これらが、ヘヴィなミドルテンポを実現しているのだろう。

今後のキャリアは次作で決まる

 2018年4月現在、次作が5月11日に発売されることが決まっている。このアルバムの出来によって今後の音楽的な方向性はもちろん、世界市場におけるバンドの立ち居位置は決まってくるだろう。願わくば本作「AM」と同じ方向性で、さらに進化を遂げたインパクトのあるサウンドを活かせて欲しいものだ。

【動画で試聴】
  • AM」(Youtube検索)
【収録曲】
  1. Do I Wanna Know?
  2. R U Mine?
  3. One for the Road
  4. Arabella
  5. I Want It All
  6. No. 1 Party Anthem
  7. Mad Sounds
  8. Fireside
  9. Why’d You Only Call Me When You’re High?
  10. Snap Out of It
  11. Knee Socks
  12. I Wanna Be Yours
  13. 2013