Aerosmith(エアロスミス)まとめ【おすすめアルバム,名盤,レビュー】

2017年11月8日

ジョー・ペリー自伝

アンダーグラウンドから世界的バンドへ
初期を知らずしてエアロスミスを語るな!

【エアロスミス(Aerosmith)基本情報】

Aerosmith」(1973年)
名曲を含む「やっつけ」アルバム!

Aerosmith

 エアロスミスのデビューは1973年とかなり早い。最も売れたのがここから20~30年後なわけだから、かなり息の長いバンドだ。90年代にヒット曲を飛ばしていた時点で、メンバーは40代。アルマゲドンで有名な「ミス・ア・シング」の時で50手前のおっさん。ビートルズのメンバーなんかと7つくらいしか違わない。

 こう考えると、エアロスミスは遅咲きのアーティストと思うかもしれないが、そんなことはない。あくまで世界的に、もっと言えば日本での知名度が高くなったのが遅かったというだけで、70年代ですでに有名なバンドとなっていた。

 そんな彼らのデビューアルバムは、1973年発表。このアルバムははっきり言ってそんなに売れなかった。メンバーの演奏技術や録音状態も悪く、おまけにジャケットまで手抜き 笑。かなり適当な合成写真となっている。当然評判も悪かった。しかし、このアルバムにはバンドにとって代表曲となるものがいくつか収録されており、ライブなどでも頻繁に取り上げられる。#3「Dream On(ドリーム・オン)」は大作バラードで、#5「Mama Kin(ママ・キン)」は他のバンドからカバーされるなど、非常に人気のある曲となっている。この2曲だけでも聞く価値あり。演奏がひどいだけで、他の曲もそんなに悪くない。

 また、ラストを飾る#8「Walkin’ the Dog(ウォーキン・ザ・ドッグ)」は、ローリングストーンズがデビューアルバムで同じくラストに収録していた曲。オリジナルはソウルミュージシャンのルーファス・トーマス。ストーンズは黒人音楽にルーツを持った音楽性を持つバンドで、デビュー当時のエアロスミスもその辺を意識していたはず。また、この時点でブルース色が出ており、彼らの個性も出ている。また、この頃はほとんどの曲をスティーヴンタイラーが書いている。

 まだ方向性は定まっていないものの、才能を感じさせる一枚。

【収録曲】

  1. Make It
  2. Somebody
  3. Dream On(ドリーム・オン)
  4. One Way Street
  5. Mama Kin(ママ・キン)
  6. Write Me
  7. Movin’ Out
  8. Walkin’ the Dog(ウォーキン・ザ・ドッグ)

Get Your Wings」(1974年)
最高傑作「Rocks」へ繋がる名アルバム!
★★おすすめ★★

Get Your Wings

 前作を反省してか、2ndの本作ではまともな録音環境が整い、前作が嘘のような重厚で躍動感あふれる演奏が楽しめる。また、初期のエアロスミスを支える名プロデューサー「ジャック・ダグラス」が参加。ここから80年代初めまで、いわゆるエアロスミスの最初の黄金期を支えることとなる。

 ジャック・ダグラスは、1971年にジョン・レノンの「イマジン」に参加し、その後エアロスミスのプロデュースを成功させることで自身のキャリアを決定づける。

 さて、このアルバムの良いところは、まずはバンドの良いところが出ているところ。アグレッシブでライブ感を有した生々しい演奏。エアロスミスの十八番でもある、間奏やエンディングでの、ブルースハープとギターの掛け合いによる長いソロも随所に聞かれる(#4「Woman Of The World」など)。スティーブンタイラーの独特の歌唱法も、本作から徐々に垣間見える。加えて、70年代のエアロスミスに特徴的な、低音を聞かせた緊張感のあるリズムも、ここでほぼ完成している。後の最高傑作「Rocks」へつながる音作りが素晴らしい。

 全体としてミドルテンポの曲が多いが、アルバムを通じてメンバーの演奏のテンションが非常に高く、随所にのびのびと自由にプレイする個所もあり、ノリが良いので一気に聞けてしまう。

 本作のハイライトは、何と言っても#6「Train Kept A Rollin’」。この曲はヤードバーズエリック・クラプトンジェフ・ベックジミー・ペイジがギターを歴任したバンド)の曲として有名だが、だが、オリジナルは20世紀前半のR&Bやジャズで活躍したタイニー・ブラッドショウ。カバーのカバーということになるが、エアロスミスが本作でカバーしたのち、ライブの定番曲となり、世に一気に広まった。アルバムの中でのアレンジも、やや控えめな部分もあるがライブ感が出ていて最高。

【収録曲】

  1. Same Old Song And Dance 
  2. Lord Of The Thighs
  3. Spaced
  4. Woman Of The World
  5. S.O.S. (Too Bad)
  6. Train Kept A Rollin’
  7. Seasons Of Wither
  8. Pandora’s Box

Toys In The Attic(闇夜のへヴィ・ロック)」(1975年)
初のヒット作。人気曲多いバラエティー豊かな作品。


Toys In The Attic

 全作とは打って変わり、ポップで明るい曲調が目立つ本作。有名曲・人気曲も多く(#1,4,6)、曲のバリエーションが豊か。とりわけラップ調の#4が目立つ。早すぎるミクスチャーロックと言っても過言ではないこの曲は、70年代の黄金期の終盤にドラック中毒でほぼ休止状態になったバンドを、再浮上させるきっかけにもなる。その時はヒップホップグループのRun-D.M.C.にカバーされている。日本でもおなじみの曲。スティーブンタイラーの歌唱法には様々な特徴があるが、韻を踏んでまくしたてるような歌唱法は、ここで確立されている。

 スティーブンタイラーの声について話をすれば、このアルバムで個性を確立したと言ってもいい。前作まではブラックミュージックやローリングストーン、あるいは60年代のバンドからの影響が非常に強く、押し殺したような声で、低音を意識した歌唱法をとっていた。しかし、本作ではスティーブンタイラー特有の「リズミカルかつ高音が伸びやかなハスキーボイス」を聞くことができる。声の伸びは80年代から90年代に入ってさらに進化するものの、本作で自分の好む音楽から脱却し、オリジナリティを確立している。

 おすすめの曲は#1,4,6,9。ラストを飾る大作バラードは必聴。

【収録曲】

  1. Toys In The Attic
  2. Uncle Salty
  3. Adam’s Apple
  4. Walk This Way
  5. Big Ten Inch Record
  6. Sweet Emotion
  7. No More No More
  8. Round And Round
  9. You See Me Crying

Rocks(ロックス)」(1976年)
文句なしの最高傑作!
★★おすすめ★★


Rocks

「エアロスミスが好き」と言いながら本作を聞いたことがない奴は、人として底が浅い。「いやあ、エアロスミスなんて商業バンドでしょ」という奴は、先入観で物事を考え、知識の浅い人間。「エアロスミス知ってるけど、70年代のアルバムはわからないなあ」と言う人間は、素直でよろしい。すぐにこれを聞けばいい。

 エアロスミスのこれまでのアルバムは、ブルースなどのルーツミュージックの影響が強く出ていた。しかし、本作では余計なものをそぎ落としたハードロックとなっている。ロックスというタイトルも、ここからきているのだろう。重低音のリズムが主導して、冒頭からラストまで一気に駆け抜ける作品。とは言え、クリーンでシャープな音とは程遠い。間奏やアウトロでのギターやドラムの掛け合いは、良い意味でくどくしつこく、ギターリフはねちっこく歪み、間奏では音色など無視した破裂音が飛び交う。メロディーもわけがわからん。ロックの初期衝動を、コンプレックスを抱えた少年が表現し、そのまま裸で外に飛び出したような作品。それでいて、統一感のある一枚に仕上がっているのがすごい。

 非常にアングラ感が漂うこの作品。歴代のロックアルバムのランキングなどをやれば、結構な頻度で顔を出す。若かりし日のアクセル・ローズは、女の家でたまたまこれを聞いて、衝撃のあまり女を放り出して、レコードをもってそのまま自宅へ走り去ったという逸話がある。

 本作で絶頂期を迎えたバンドは、この数年後に一度表舞台から去ることとなる。バンドの核であるジョー・ペリーが脱退し、メンバー全員が薬物の更生施設に入ってしまうという典型的なパターンだ。そりゃそうだ。こんなアルバム作ったらテンション上がっておかしくもなる。その後、バンドは不調に陥り、出すアルバムはヒットも評価も得られず、終わったバンドみたいになる。しかし、80年代後半から、エアロスミスは奇跡の復活を遂げる。そして、90年代に入って世界的なビッグバンドとなり、いわゆる一般的な「エアロスミス」のイメージと合致していくのである。

【収録曲】

  1. Back In The Saddle
  2. Last Child
  3. Rats In The Cellar
  4. Combination
  5. Sick As A Dog
  6. Nobody’s Fault
  7. Get The Lead Out
  8. Lick And A Promise
  9. Home Tonight

Permanent Vacation(パーマネント・ヴァケイション)」(1987年)
敏腕プロデューサーを起用した、第二期黄金期の1作目。

Permanent Vacation

 70年代後半から80年代の前半にかけて、ドラッグ問題やメンバーの不仲、脱退など不調に陥っていたエアロスミス。1985年発表の「Done with Mirrors」でジョー・ペリーが復活し、ようやくバンド再生への光が見えてきた。そして今作、有名プロデューサーのブルース・フェアバーンを起用し、本作で見事に復活。ヒット曲も生まれ、ここから第二期黄金期を迎える。ブルース・フェアバーンはボン・ジョヴィのメガヒット作「ワイルド・イン・ザ・ストリーツ」のほか、AC/DCの「レイザーズ・エッジ」などを手掛けている。個々のバンドの特徴をわかり易い形で提示する手法で知られている。

 今作はまさにそれが成功した例であり、アルバムのヒットに加えて、#3,5,9のシングル曲はいずれもヒット。バンドの復活を示すには充分な結果となった。

 作風の面で言えば、個々の曲は初期のエアロスミスと比べるといい意味でシンプルになっている。初期にあったねちっこさやアングラ感は無いものの、スティーブンタイラーの声を活かした曲(連続シャウトなども随所に聞かれる)やホーンセクションの多用が見られ、インパクトの強くなったバンドの新たなサウンドを楽しめる。ブルースロックの色を前面に出しているところも、今後のエアロスミスの土台を築いたと言えるだろう。日本でもおなじみの名バラード#9「Angel」も収録されており、初心者にもおすすめできる作品。

【収録曲】

  1. Heart’s Done Time
  2. Magic Touch
  3. Rag Doll
  4. Simoriah
  5. Dude (Looks Like A Lady)
  6. St. John
  7. Hangman Jury
  8. Girl Keeps Coming Apart
  9. Angel
  10. Permanent Vacation
  11. I’m Down
  12. The Movie

Pump(パンプ)」(1989年)
グラミー受賞曲含む大ヒットアルバム!
★おすすめ★

Pump

 エアロスミスの第二期黄金期を決定づけたのがこの作品。もっとも目立つのは、サウンド面の進化と楽曲のクオリティの向上。前作の流れをさらに推し進め、かつ、向上させている。それは1曲目からすぐにわかる。とりわけ冒頭の2曲の流れは秀逸で、非常に高いテンションの演奏と、それを倍増させる録音のクオリティの良さ。さらには、声量や高音の伸びが急激に進化したスティーブンの圧倒的な歌唱が楽しめる。初期のエアロスミスとは全く別物であり、前作からいきなりここまで進化するかという仕上がりになっている。前作から目立つホーンセクションも効果的に使われており、「エアロスミスの音」をここで完成させたと言ってもいい。

 アルバムの構成にもこだわりが見え、#3,5,6,9はそれぞれ曲の冒頭に、セリフ、効果音やインストが挿入されており、曲と曲との間をつなぎ、アルバム全体の流れをうまくつくっている。アルバムは全米チャートで年間4位という大ヒット、シングル曲もビルボードトップ10が3曲、さらには#5「Janie’s got a gun」は社会問題を扱ったシリアスな内容の曲で、新たなバンドの側面を見せ、グラミー賞の受賞も果たしている。これらのチャートアクションやグラミー受賞も納得の出来だ。

 前作でもあったブルース色は今作でも引き継がれ、ハードな楽曲の中でうまく共存させている。もともとハードロックはブルースの影響が大きいが、ここまではっきりとブルース色を出したハードロックはなかなか聞けない。ハードロックバンドが全盛期を迎えると、ギターサウンドをさらに追及したり、あるいは様式美を兼ね備えたメタルへと向かい、ルーツの部分が薄れていくことは多い。しかし、エアロスミスの場合はそれがはっきりと残る。この辺は、とりわけ60年代のブリティッシュ・ロックを好むジョー・ペリーの存在が大きいだろう。彼のギターは、音色や音量は変わっても、いつでもルーツミュージックの雰囲気をはっきりと残しているからだ。

【収録曲】

  1. Young lust
  2. F.I.N.E.
  3. Going down – Love in an elevator
  4. Monkey on my back
  5. Water song – Janie’s got a gun
  6. Dulcimer stomp – The Other side
  7. My girl
  8. Don’t get mad get even
  9. Hoodoo – Voodoo medicine man
  10. What it takes

Get A Grip(ゲット・ア・グリップ)」(1993年)
第二期黄金期の最高傑作!
★★おすすめ★★

GET A GRIP

 第二期黄金期の最高傑作の名高い本作。前作よりもさらにインパクトのある曲づくりがなされ、アルバムの構成力も非常に高い。本作でついに全米チャート1位の座を手にし、2年間にわたってロングセラーを記録。バンドキャリアのハイライトとなる作品になった。

 アルバムの特徴としては、第二期のハード・ロック路線を突き進めたところがまずある。合わせて、ポップさやキャッチーさも加わり、楽曲のバリエーションに富み、メリハリの効いた楽曲構成をもっている。シングル曲が5つあり(#5,8,9,11,14)、うち4曲がバラード含むミドル・スローテンポの楽曲というのも面白い。中でもグラミーを受賞した#4「Livin’ On The Edge」」は、静と動が絶妙に絡み合う壮大な楽曲で、キャリアを通じてのベストの楽曲の一つと言って良い名曲だ。心地よい音色の美しいギターリフから始まり、後の彼らの代表作となるミス・ア・シングに見られるようなパワーバラード的な要素を見せつつ、スティーブンタイラーお得意の早口で韻を踏むような詩作・歌唱法は熟練の域に達している。

 忘れてはいけないのは、アルバム冒頭から数曲の流れ。#1はスティーブンのシャウトのリフレインとラップで構成される20秒あまりのまさにアルバムの「イントロ」だ。間髪入れず、アルバムの始まりを告げる、最高のギターリフを持つ#2。#3では全盛期を迎えたスティーブンの声が大胆にフィーチャーされ、#4はライブでおなじみのTrain Kept a Rollin’のイントロをフィーチャーし、ブルース色と躍動感を見せる。Livin’ On The Edgeまでの流れに全く隙が無い。インパクトある#6と、ジョー・ペリー作詞作曲で自らボーカルをとる#7。後半戦はスロー・ミドルテンポのシングル曲が引っ張り、抒情的な世界観を作り出す。こんな調子で、全曲見どころのある充実のアルバムになっている。

【収録曲】

  1. Intro
  2. Eat The Rich
  3. Get A Grip
  4. Fever
  5. Livin’ On The Edge
  6. Flesh
  7. Walk On Down
  8. Shut Up And Dance
  9. Cryin’
  10. Gotta Love It
  11. Crazy
  12. Line Up
  13. Can’t Stop Messin’
  14. Amazing
  15. Boogie Man

Nine Lives(ナイン・ライブス)」(1997年)
★おすすめ★

Nine Lives

 大作の後でややインパクトは劣るものの、円熟味を増したメロディーや展開をもった名曲が多く、全体として非常にまとまりのあるアルバム。とりわけ#2,3,11のシングル曲の出来が素晴らしい。

【収録曲】

  1. NINE LIVES
  2. FALLING IN LOVE (IS HARD ON THE KNEES)
  3. HOLE IN MY SOUL
  4. TASTE OF INDIA
  5. FULL CIRCLE
  6. SOMETHING’S GOTTA GIVE
  7. AIN’T THAT A BITCH
  8. THE FARM
  9. CRASH
  10. KISS YOUR PAST GOOD-BYE
  11. PINK
  12. FALLING OFF
  13. ATTITUDE ADJUSTMENT
  14. FALLEN ANGELS

Honkin’ On Bobo(ホンキン・オン・ボーボゥ)」(2004年)

Honkin’ On Bobo

 本作は1950~60年代中心のブルースナンバーのカバーアルバム。彼らのルーツにあるブルースナンバーを、独自のサウンドに昇華している。オリジナル発表のアーティストの情報に加えて、様々なアーティストのカバー情報などを見ていただきたい。

 オリジナルを辿っていくと、黒人のブルースが60年代以降のロックにとって、どれだけ大きな影響を与えていたかわかる。是非、他のアーティストのカバーと合わせて、youtubeなどでオリジナル曲を聞いてみて欲しい。楽曲の持つパワーが感じられ、様々なアーティストに繰り返しカバーされる理由がよくわかる。

【収録曲】

  1. Road Runner
    ボ・ディドリーが1959年に発表。
    ザ・フーがライブのレパートリーに加えていた。ローリングストーンズはデビューアルバム「ザ・ローリング・ストーンズ」でボ・ディドリーの「Mona (I Need You Baby) 」カバー。
  2. Shame, Shame, Shame スマイリー・ルイスが1956年に発表
  3. Eyesight to the Blind
    サニー・ボーイ・ウィリアムソンIIが1951年に発表。
    ザ・フーが「トミー」収録の同名のオリジナル曲で詞を引用のほか、エリック・クラプトンのライブアルバム「Crossroads 2」(1996)に収録。
  4. Baby, Please Don’t Go
    ビッグ・ジョー・ウィリアムスが1935年に発表。
    マディ・ウォーターズなどがカバー。
  5. Never Loved a Girl アレサ・フランクリンが1967年に発表
  6. Back Back Train
  7. You Gotta Move 
    フレッド・マクダウェルの1965年発表。
    ローリング・ストーンズが「スティッキー・フィンガーズ」(1971)でカバー。ライブでの定番となる。
  8. The Grind
  9. I’m Ready マディ・ウォーターズが1954年に発表。
  10. Temperature リトル・ウォルターが1957年に発表。
  11. Stop Messin’ Around
  12. Jesus Is on the Main Line
    黒人霊歌(※奴隷時代の黒人の間で口頭伝承された民謡を指す)

洋楽

Posted by hirofumi