なぜ自民党は強いか? 安倍首相はなぜ人気があるか?

2017年10月27日


 「民進党(笑)

なぜ自民党は強いか? – もくじ

  • 安定志向で消極的な若者は、変革など求めない!
    • 始めから見えていた与党の2/3議席超え
    • 一般市民もちゃんと実感していた好景気
  • 有権者は本当はこう考えている
    • 有権者は良い時に誰かを持ち上げることより、
      悪い時に誰かに責任を押し付けることを好む
    • 憲法改正論争は国民にとっては「対岸の火事」でしかない
  • 安倍首相はどうして人気があるか?
    • 安倍首相は「不満はあるけど無難」な理想的リーダー
    • 市民感覚を持っていた小泉首相と小渕首相
    • 「アホとは友達になりたくない」
  • 権力交代は与党内だけでもできる

安定志向で消極的な若者は、変革など求めない!

始めから見えていた与党の2/3議席超え

 2017年衆議院選挙では、自民党・公明党の与党圧勝に終わり、新勢力の希望の党は話題性ほどの表は獲得できず、党名を変えた民進党は野党第一党に躍り出るも、大躍進とは行かず。

 野党が当初描いていたのは、新勢力の希望の党の勢いを借り、民進党と結束し、問題続きの自民党の足元をすくおうというもの。ところが、希望の党は民進党との対立に続いて失言等もあり失速。民進党は名前を変えただけで目新しいことはできず。自民党の安定政権を崩すことはできなかった。

 野党が上手に協調していれば、結果は少しは変わっていただろう。自民公明の議席数2/3獲得を阻むことはできたかもしれない。しかし、それまでだ。過半数を超える得票は、選挙前から不可能であるのは明白だった。

一般市民もちゃんと実感していた好景気

 それはなぜか? 一言で言えば、有権者は変革など求めていなかったからである。現在は近年まれにみる好景気。市民に実感のわかない好景気などと言われているが、求人倍率はここ数年概ね良好、最低賃金も上昇、ボーナスも上昇、株価は連騰。市民レベルでも十分に実感できる好景気だ。実感できないのは、言い方は悪いが低所得者層。メディアでは賃金格差、低所得者、ワーキングプアなどと騒ぎ立てるが、あくまでそれは社会の一部。大多数はそこそこの企業の正社員として働き、普通に生活するには何不自由ない給与をもらっている。メディアは少数の目だったところばかり焦点をあてるが、錯覚してはならない。あくまで大多数は好景気を実感しているのだ。つまり、現状はそれほど悪くない。

 そんな状態で、わざわざ長期安定政権を築いた自民党を落とそうと考える人は、どれくらいいるだろうか? ましてや、現在の20代30代の人間は、長きに渡る不景気・不安定な時代を味わってきた人たち。とりわけ20代の若者は夢を見ることよりもそこそこの生活を望む。こうなれば結果は明白。威勢は良いが政権を回す能力があるとは思えない野党よりも、多少の不満はあっても明確なヴィジョンで国を動かす与党自民党に表を入れるに決まっている。そういうわけで、今回の選挙は始まる前から結果は決まっていたのだ。

有権者は本当はこう考えている

有権者は良い時に誰かを持ち上げることより、悪い時に誰かに責任を押し付けることを好む

 有権者は何を考えているか? そんなのこれまでの選挙を見ていればすぐにわかる。これまでに政権交代が起こったのは、決まって何か悪いことが起こった後。あるいは不景気の最中だ。言い換えれば、悪いことが起こって、その責任を取らせる意味で政権交代をさせてきたのだ。

 逆に、景気の良い時、社会情勢の安定した時に、わざわざ誰かを持ち上げようとして、政権を交代したことはあっただろうか? 与党内での権力交代は別として、それは非常にまれなことである。そもそも日本人は良い意味でマイナス思考の民族である。資源の少ない小さな島国で、台風や地震などの天災に幾度となく見舞われ、それでも努力を重ねて経済大国となった。常に「何か悪いことが起こる」と想定し、「悪いことが起こったときにどうするか」を考えてきた。そういう意味で、日本人はマイナス思考の民族なのだ。そこがアメリカとは全く違う。彼らは土地も資源もありあまり、足りなければ他所からもらうし、土地が気に入らなければ未開の地を求める。現状維持が最も嫌いな民族である。「何か良いことはないか」とプラス思考の民族だ。だから政権交代が起こり、トランプ政権も誕生したのだ。

 話を戻そう。日本は好景気であり、稀にみる長期政権を築いた、安倍首相率いる自民党がある。これに本気で文句を言う日本人など、皆無である。加計問題、憲法改正議論など、自民党にマイナスとなるトピックスはいくつもあった。しかし、加計問題は致命傷となりうるまでには至らす、結局は「グレー」のまま問題は収束。そもそも、政治を巡る金の問題は政治家に付きものである上、加計問題は事情が複雑で完璧に理解した一般市民など皆無に近い。大多数は「よくわからない」ことであった。

憲法改正論争は国民にとっては「対岸の火事」でしかない

 憲法改正論争については、自民党を揺るがす可能性は確かにあった。しかし、戦後の日本で戦争は一つも起こらなかった。他国と軍事衝突することも無かった。戦争を知る人間などほとんどいない。そんな中でいきなり「戦争」のことを言われても「わけがわからない」というのが本音だ。せいぜい、「他国の戦争に自衛隊が参加するかも」くらいしかイメージができない。その場合でも、日本人は「対岸の火事」の精神で、「まあ自衛隊に入らなければいいだけさ」と考える。いくらメディアが煽っても、一部の人がデモを起こしても、それだけで動く人は少ない。やはり日本人は良い意味で消極的であり、本当に一般市民の多くが行動に移すのは、憲法が改正され、何らかの形で犠牲者が出てからだろう。もう一つ言えば、日本人の意識の根底には、「人の好さ」がある。憲法改正によってリスクが増えるとは言え、「政治家ってのはまあ、無茶苦茶ながらも頭のいい人が集まってるんでしょ。そんな人たちが本当に危険な方向に進むわけないじゃん。戦争が本当に起こる可能性があったら、憲法改正なんてしないはず。てことは、憲法改正しても大丈夫ってことだ。よくわかんないけどさ」と。

 さて、繰り返すが現在は好景気で長期安定政権である。そこで、政権交代などは選択肢にないのだ。「安倍批判はするけど自民党でいいや」が有権者の声である。日本人は、良い時に誰かを持ち上げることはしない。良い時でもその立役者にちょっと小言を言いつつ、「まあでもよくやってるよね」と言うのが日本人である。むしろ、悪い時にこそ日本人は積極的になる。「こうなったのはだれの責任だ」と、悪いやつを探し、そいつを晒し上げる。先述したが、日本はその土地の性格上、長きに渡って天災に苦しめられてきた。天災は誰のものでもない。文句を言えずに耐え、努力によって挽回することを宿命づけられた民族なのだ。だからこそ、人災には人一倍うるさい。天災の時に貯まった鬱憤を、ここぞとばかりに噴出させる。

 そういうわけで、そもそも今は政権交代の可能性は全くなかったというわけだ。

安倍首相はどうして人気があるか?

安倍首相は「不満はあるけど無難」な理想的リーダー

 さて、安倍首相はメディアであそこまで叩かれていたのに、どうして人気が継続しているのだろうか? それは、「日本人の良いところと悪いところをバランスよく持ち、平均的な日本人でありながら議員一族に生まれ首相に上り詰めた」からである。ちょっと長くなったので以下でわかりやすく説明しよう。

 安倍首相は、真面目で不器用な秀才で、気が弱い一方で気が短く、努力家で人柄が良く、しかしながら政治の世界でもまれて強さと狡猾さを手に入れたという、言わば成り上がりの小市民、あるいは大企業のたたき上げの部長のようである。それでいて、彼はあくまで議員一族の生まれであり、一国の首相なのだ。ここが、彼の人気の秘密だ。

 はっきり言って、安倍首相を心の底から信頼している人などほとんどいないだろう。大好きという人はまあまあいる。しかし大多数は、「いくつか不満はあるけどさ、彼にリーダーやってもらうのが無難だろう」といった具合である。「大嫌い」という人もそんなにいない。これこそが、安倍首相の強さであり、長期政権の秘訣なのだ。

市民感覚を持っていた小泉首相と小渕首相

 安倍首相は何か親近感を感じざるを得ない人物である。そこが、政治家にとって重要な「国民とのつながり」となっている。別の首相で言えば、例えば小泉首相はその巧みでありユーモラスな話術がそれであった。彼は非常に頭が切れ、リーダーシップも素晴らしかった。それははっきり言って、凡人には無い部分。一般市民からすると遠い存在でもあった。しかし、それを忘れさすようなあの話術である。日々のメディアからの質問にはあたかも芸人のような素っ頓狂な切り返しを見せながら、要所ではその頭脳と決断力を示して見せた。また、志半ばで倒れた小渕恵三も人気があり、長期政権の可能性も高かった。彼は父も国会議員ではあったが、大臣及び首相の経験は無い。地方の経営者から政治家になった人物だ。そう考えれば、小渕首相はいわば政治界では叩き上げの人物。彼はまさにその点が人気の秘訣であり、いい意味で市民感覚を持っていた。あくまでエリート社会の中での「市民」ではあろうが、それは政治家一族のエリートには決して得られない、貴重な経験である。小渕首相は酸いも甘いも知り、野心があり、負けん気も人一倍強い人物だと見える。しかし、あくまで国民の前では「凡人」であり続けた。

「アホとは友達になりたくない」

 逆に悪い例をあげれば、民主党の鳩山由紀夫首相があげられる。彼は総理を輩出した議員一族に生まれ、東大出身の完全なるエリートである。しかし、一方で宇宙人などと呼ばれ、浮世離れしながらも国民に親しまれる要素は持ち合わせていた。しかし、彼は失脚した。なぜか? 単純明快、彼はアホだったのである。国民が好きなのは親しみがあり、あたかも一般市民のような、あるいは市民の感覚を共有してくれる首相である。ただし、「犯罪者とアホを除いて」である。これは何も、首相に限った話ではない。友人相手でも同じだ。自分と気が合う人とは仲良くなりたいが、犯罪者とアホは嫌なのである。5人くらいの友人グループにアホを入れれば多少は楽しめるかもしれないが、個別にアホと付き合うのは誰もが嫌である。ましてや、そいつがリーダーになるなどというのは考えられない。そういうわけで、鳩山由紀夫は生理的に受け付けなかったというわけだ。

 さて話を戻そう。好景気の上に、安倍首相のような「いくつか不満はあるけどさ、彼にリーダーやってもらうのが無難だろう」という人物が来れば、国民はもう何も言うことはない。むしろ、加計問題などで時折メディアに叩かれる安倍首相は、国民にとって親近感がわく。「ちょっと頼りないとこがあるんだよなあ」「たまに変なミスするんだよねえ」といった具合が、何とも憎めない。そして、逆に安心する。完璧すぎる上司より、時折部下に指摘されるくらいの上司の方が、日本人は信頼できるのである!

権力交代は与党内だけでもできる

 さて、自民圧勝に終わった2017年衆院選だが、解決すべき問題が全くないわけではない。いや、世界的に先の見えない現在において、問題は常に山積みである。現在の自民党では解決できない問題だって出てくるだろう。そういう時は、いよいよ政権交代、野党が政権を奪取する時だろうか? いや、そうとは限らない。

 現在の与党で解決できない問題が出てきたとき、壁にぶち当たった時。そういう時は、何もわざわざ政権ごと変えなくとも、与党内でリーダーを変えればいいだけである。ここまで長期政権をつくってさまざまな政策を打ってきたのに、それをちゃぶ台返しするのはリスクが大きすぎる。ましてや、安倍政権はここまで致命的と言えるミスは犯していない。政治にとってはここが何より大切なポイントだ。

 それならば、仮にもし安倍政権に不満を感じる時がきたら、自民党内での権力交代をするよう、国民は声をあげればいいのである。何もわざわざ組織ごと壊す必要は全くない。会社の経営が傾いたからと言って、いきなり経営陣から社員まで丸ごと入れ替える会社がどこにあろう? 仮にそのまま倒産したとしたら、それはそもそも組織として腐っていて、手遅れの状態だっただけである。今の安倍政権をどう厳しく見ても、そんな状態ではないだろう。いや、少なく見積もっても平均点、あるいは偏差値50の仕事はしている。

 「なんだ安倍政権は偏差値50か。そんなものか」と思ったとしたら大きな間違いである。成熟した組織、そして上向きの組織にとって大事なのは、当たり前のことを当たり前にこなすことである。細々なミスはしても大きなミスはしない。当たり前の業務を当たり前にこなしてこそ、大組織は保たれるのである。

政治

Posted by hirofumi